アジア欧州会合(ASEM)

アジア欧州会合第10回首脳会合(ASEM10)議長声明(仮訳)

(平成26年10月16日~17日 於ミラノ)

平成26年10月17日

英語版 (English)

持続可能な成長と安全保障のための責任あるパートナーシップ

1 第10回アジア欧州会合(ASEM10)は,2014年10月16日及び17日にイタリアのミラノにおいて開催された。首脳会合には,アジア及び欧州の51か国の首脳,ハイレベルの代表,欧州理事会議長,欧州委員会委員長並びにASEAN事務総長が参加した。今次首脳会合は,イタリアのレンツィ首相が主催し,ファン=ロンパイ欧州理事会議長が議長を務めた。

2 今次会合でASEMに新規参加し,パートナーとなったクロアチアとカザフスタンを温かく歓迎した。

3 「持続可能な成長及び安全保障のための責任あるパートナーシップ」のテーマの下で,首脳は,アジア・欧州間のパートナーシップの精神に基づき,伝統的及び非伝統的な安全保障の課題とともに,経済,財政,地域及び世界情勢について意見交換した。首脳は,平和,安全と安定の維持の重要性を強調しつつ,アジア・欧州間のつながりを高めることにより,両地域の国民が繁栄するための環境を醸成する方策につき議論した。首脳は,また,2016年のASEM20周年記念に向け,ASEMの3本柱を強化することに合意した。

4 首脳は,ASEMがアジア・欧州間の政治的対話,経済協力及び文化的社会的交流,また,両地域間のより良い理解を達成し,相互の関心を促進するための重要な礎として歓迎した。首脳は,ASEMの非公式な性格が,急激に変化する世界状況に対応することを可能としていることに合意した。首脳は,両地域の国民が裨益する具体的且つ結果指向的な活動を継続し,ASEMの認知度関連性を高めていくことに合意した。

5 首脳は,ASEM第9回首脳会合(ビエンチャン,ラオス,2012年)以降行われた教育(クアラルンプール,マレーシア,2013年),外務(ニューデリー,インド,2013年)及び財務(ミラノ,イタリア,2014年)の大臣レベル会合の成果を評価しつつ留意し,ASEMの作業計画(2014―2016年)に従い,更なる会合が実施されることを期待する。

アジアと欧州の連結性の強化を通じた金融及び経済協力の推進

6 首脳は,より強固で,より持続可能かつ均衡ある成長とその構造に見合った雇用水準を達成するため,経済・金融改革を継続する重要性を再確認した。首脳は,世界経済の見通しが国ごとにばらつきがあるものの徐々に力強くなっていることに留意した。アジア経済は,強靱さを示し,世界経済にとって力強い推進力であり続ける。欧州では,健全な経済政策及び構造改革の着実な実施が中期的により強い成長のために,依然として極めて重要である。首脳は,経済の下方リスクが依然として存在することを認識し,とりわけ財政の持続可能性の観点から強固で持続可能かつ均衡ある包括的な成長を,国内及び国際的に推進していくこと,また,開発格差を縮小し,共通の経済的・社会的課題に取り組むために積極的に協力することに今後ともコミットし続ける。首脳は,欧州安定メカニズムやチェンマイ・イニシアティブ等の欧州及びアジアにおける重要な地域金融取極の進展に留意した。

7 首脳は,経済の繁栄及び持続可能な発展にとり,また,人,貿易,投資,エネルギー,情報及び知識の自由で途切れのない動きにとり,両地域間の連結性が重要であることを強調した。そのため,首脳は,アジア及び欧州間及びそれらの地域において,統合され,持続可能,安全で,効率的且つ便利な一貫輸送を含む空,海及び陸上の交通システムの構築を訴えた。首脳は,例えば,EUの単一市場のガバナンスやASEAN連結性に関するマスタープランの実施に関連した,共通の関心分野に関するベスト・プラクティスや経験を交換することの有用性につき留意した。首脳は,両地域の連結性を増進する過程において,産業界,シンクタンク及び学界を含む全ての利害関係者の関与を強調した。

8 首脳は,高級実務者(SO)に対し,全ての分野における欧州とアジアの連結性を強化する方策を研究し,ワーキング・グループ設立を含む具体的な措置につき模索するよう指示した。首脳は,ASEMパートナーによる,アジアと欧州をつなぐ現行の地域,準地域的な協力及び国別のイニシアティブを歓迎した。また,首脳は,海洋へのアクセスの欠如から引き起こされる制約に直面する内陸国の途上国の特別なニーズを認識した。

9 首脳は,インターネットへの高速且つ高能力のブロードバンド接続によって実現したデジタルの連結性が,現代の社会インフラの主要な要素の一つであることを強調した。首脳は,アジア・欧州間のデジタル連結性を,向上するための方法を検討することについて関心を表明した。首脳は,ユーラシア大陸横断情報ネットワーク(TEIN)の進展及び韓国にあるTEIN協力センターの役割を歓迎するとともに,そのプロジェクトの実施に更なる支持を繰り返した。首脳は,また,例えば,E-ラーニング,E-科学,E-保健,E-政府等の分野における新たなアジア・欧州間のプロジェクトのために,TEINの下で開発されたE-インフラを推進する機会であることを強調した。首脳は,オランダのハーグで2015年4月に開催予定のサイバースペースに関する世界会議でサイバー問題についてさらなる意見交換が行われることを歓迎した。

10 首脳は,両地域間のより強固な経済的連結性のために,貿易と投資の関係を強化し,開放された世界経済のために努力するとのコミットメントを改めて表明した。この文脈で,首脳は,ASEM経済大臣会合の活性化を慫慂した。首脳は,持続可能な成長及び雇用創出のためには,貿易と外国投資の潜在力を利用することが重要であり,そのためには,開かれ,安定した,且つ予測可能なルールに基づいた貿易システムが必要であることを強調した。首脳は,貿易円滑化行動計画(TFAP)及び投資促進行動計画(IPAP)の実施も含め,地域間の貿易及び投資の流れを高め,全ての形での貿易歪曲的または保護主義的な措置に積極的に反対し,また,貿易の増加と投資を阻む規制,特に非関税障壁に取り組むとのコミットメントを強調した。首脳は,2016年末までスタンド・スティル・コミットメントを延長することに合意した。首脳は,2013年10月に開催された第10回ASEM関税局長級会合の成果を歓迎した。

11 首脳は,2013年12月にインドネシアのバリで開催された第9回WTO閣僚会議で合意された,世界貿易機関(WTO)の貿易円滑化協定の議定書の採択の期限が守られなかったことに深い懸念を表明した。首脳は,全てのWTO加盟国に対しWTOドーハ・ラウンド交渉の成功裡の妥結を確実にするために,バリ合意を元の軌道に戻す努力をすることを求めた。

12 首脳は,既存のパートナーシップを強固にし,今日の課題に対処するための新たな経済協力の道を作り上げながら,持続可能な経済成長とまともな雇用創出に資する観点から,民間セクターの役割と,特に,中小企業の重要な役割を強調した。首脳は,2014年10月15日~16日の日程でミラノにおいて開催された第14回アジア欧州ビジネス・フォーラム(AEBF14)の成果を歓迎した。首脳は,中小企業のクレジットへのアクセス拡大を含む,その活動環境の改善の重要性を強調した。首脳は,中小企業のエコ改革の重要性,特に,ASEM中小企業エコ改革センターの役割,2015―16年に計画される中小企業のエコ改革に関するワーキング・グループ・セミナー及び2014年6月にジャカルタで開催されたASEM中小企業の環境ビジネス育成会議の重要性を認識した。

13 首脳は,科学技術イノベーションが包摂的社会・経済成長と雇用創出において主要な役割を果たすことを認識した。首脳は,共通の社会的課題に対応するため,また,研究者及び技術革新従事者の地域間移動を強化するために,科学,技術及びイノベーションの協力を強化し,また,イノベーションへの制度的なアプローチの一環として革新的解決法,とりわけクリーン技術の共同開発を促進することに合意した。この関連で,首脳は相互に有益な技術の移転に関わる国際協力の重要性を認識した。首脳は,欧州とアジアの研究者と革新者の交流を促進するための手段として提案されているASEM科学技術イノベーション協力センターを歓迎した。

14 首脳は,イノベーション,成長及び雇用を促進する上での,知的財産とその保護の重要性を強調し,よって,執行を含む全ての関連分野における,知的財産権問題に関する現行の協力の強化に合意した。首脳は,インドのイニシアティブである,2014年12月の産業研究開発協力に関するASEMラウンド・テーブルを歓迎した。

15 首脳は,環境に優しい技術及び持続可能な開発,気候変動と雇用創出のためのサービスの重要性に留意した。首脳は,環境関連製品やサービス貿易を自由化する目的を有する取組を歓迎するとともに,経済開発の環境への影響によってもたらされる課題に上手く取り組むために一層協力するとのコミットメントを再確認した。この文脈で首脳は,2014年9月にインドのハイデラバードで開催された建築分野におけるエネルギー効率技術に関するASEMラウンド・テーブルの勧告を歓迎した。

16 首脳は,2014年9月12日,イタリアのミラノで開催された第11回ASEM財務大臣会合で表明された,脱税及び課税回避対策,企業所有権及び信託を含む他の法的アレンジに関する透明性向上の必要性を再確認した。首脳は,2014年11月にフィリピンのマニラで開催予定の盗まれた資産と隠蔽された富に関するASEM国際専門家ワークショップを歓迎した。

17 首脳は,豪州主催で行われるG20が,強固で持続可能かつ均衡ある経済成長を支え,雇用を創出し,世界経済をより強靱かつ,持続可能とする役割を担っていることを歓迎した。

18 首脳は,国際通貨基金(IMF)クオ-タ・ガバナンス改革が最も優先課題であることを再確認した。首脳は,改革の実施が依然として遅れていることに失望を表明するとともに全てのIMF加盟国に対し,出来るだけ早期に2010年改革を批准することを求めた。この文脈において,首脳は,クオーターに基づいた機関としてのIMFの重要性及び強固で十分なリソースを有するIMFを維持するとのコミットメントを再確認した。

相互に連結した世界において地球規模の課題に取り組む際のアジアと欧州のパートナーシップ

19 首脳は,気候変動により生じている課題の深刻さに同意した。首脳は,産業化以前の水準と比べて世界全体の気温の上昇を摂氏2度以下にとどめるとの共通の目的を果たすためにGHGを削減するとの観点から,全ての締約国により,さらなる早急かつ野心的な行動が必要であると合意した。そのため,首脳は,リマで開催される2014年の国連気候変動枠組締約国会議及び2015年にパリで開催される気候変動枠組条約第21回締約国会議の成功への支援を表明した。首脳は,第21回締約国会議で国連気候変動枠組条約の下で全ての締約国に適用される,議定書,他の法的文書または法的効力を有する合意成果が採択されるよう取り組む決意を表明した。首脳は,気候変動枠組条約の全ての原則及び規定に従い,衡平性に基づき,かつ,それぞれが共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に応じ,気候変動と環境保護への対処に取り組むとのコミットメントを強調した。

20 首脳は,2015年までのミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向け全てのレベルで努力するとともに,持続可能な開発の3つの側面をバランス良く統合する貧困の撲滅や持続可能な開発への国際社会のコミットメントを強化する野心的,普遍的,かつ変革的なポスト2015年開発アジェンダにつき合意するため,他の国連メンバー国とともに取り組んでいくとの共同のコミットメントを再確認した。首脳は,持続可能な開発は包摂的かつ人間中心であり,全ての人が裨益し,関与させるものでなければならない。この点おいて,首脳は,持続可能な開発目標に関するオープン・ワーキング・グループにより採択された報告書と持続可能な開発のための資金に関する政府間専門家委員会の報告書を歓迎した。首脳は,フォローアップとレビューのプロセスを含むモニタリングとアカウンタビリティのための強固なメカニズムが,新たなアジェンダの成功と進捗状況の評価のために重要であることを強調した。

21 首脳は,国連憲章,世界人権宣言,国際的な人権基準及び人権条約に従い,人権を保護・促進するとのコミットメントを再確認した。首脳は,経験とベストプラクティスを共有することをはじめ,人権分野におけるASEMの一層の協力を推進するとの意向を再確認した。首脳は,環境及び人権に焦点を当て,2013年にデンマークのコペンハーゲンで開催された第13回人権に関するASEM非公式セミナー,2014年にベトナムのハノイにおいて開催予定の第14回非公式人権セミナーの開催,また,2015年10月にスイスのジュネーブで開催予定の第15回人権に関するASEM非公式セミナーを歓迎した。

22 首脳は,人権の保護・促進における,政府,国際及び国内人権組織,地域機関の重要な役割を強調した。首脳は,人権理事会,特に,普遍的・定期的レビュー(UPR)及び特別手続メカニズムを通じて,人権の保護・促進を前進させるための協力を強化するとのコミットメントを強調した。首脳は,脆弱な人々が全ての人権を享受することができるよう,特別な配慮が必要であることを強調した。首脳は,民主主義の確立を強化し,持続可能な開発の十分な基盤づくりに寄与するための,議会,市民社会及び報道機関の重要な役割を再確認した。この関連で,首脳は,2014年10月6~7日にローマで開催された第8回アジア欧州議員交流会議(ASEP)及び10月10~12日のミラノで開催された第10回アジア欧州市民フォーラム(AEPF)を歓迎した。

23 首脳は,外国人排斥,宗教的憎しみと暴力を含む憎悪や不寛容を如何なる形態であっても煽ることを非難した。首脳は,文化と宗教の多様性に対する尊敬と理解,また,異なる文化,文明及び民族間の寛容,尊敬,対話及び協力を奨励することの重要性を強調した。首脳は,全ての形態の過激主義への対抗措置,ASEMの枠組で,開かれ,かつ,包摂的な宗教及び文化的な対話が進められるための努力を支持する世界穏健運動による穏健を促進するイニシアティブを認識した。この点,首脳は,2014年8月,インドネシアのバリにおいて開催された第6回国連文明の同盟世界フォーラムの成果及び2014年7月にロシアのサンクトペテルブルクにおいて開催されたASEM文化と宗教間対話に関するハイレベル会合において採択された宣言を歓迎した。

24 首脳は,啓発プログラム,早期警戒システム,捜索・救助・救援活動及びイノベーション・科学・技術の適用等を通じ,災害への準備と対応を強化するとともに強靱性を構築し,また,災害への脆弱性や災害により生じる損害を軽減する共通の決意を改めて表明した。首脳は,また,女性,子ども,高齢者,障害者を含む最も脆弱な人々の強靱性を構築し,地域コミュニティ・社会が災害の影響に適応しこれを管理する能力を向上させる必要性を強調した。首脳は,2013年11月にベトナムのハノイにおいて,また,2014年6月にフィリピンのマニラにおいて開催された,災害リスク軽減・管理に関する2つのASEM会合の成果,特に,マニラ会合において採択されたタクロバン宣言を歓迎した。首脳は,災害リスク軽減・管理におけるアジアと欧州間の協力の深化を求めるとともに,全てのASEM参加国に対し,2015年3月に日本の仙台で開催される第3回国連防災世界会議において採択される新たな国際的防災枠組の強化に向けて取り組むことを呼びかけた。また,首脳は,「災害救助のための技術革新」に関する協力を促進すべく2014年12月にニューデリーで開催予定の産業志向のASEMラウンド・テーブルを支持した。

25 首脳は,ASEMの枠組みでの,子供,女性及び高齢者を対象とした国際保健分野での協力の可能性を承認した。首脳は,2014年9月の中国,北京での公共衛生緊急管理に関するASEMワークショップと2015年6月に「生活習慣病としての糖尿病の非侵襲性診断技術と治療」に関するASEMラウンド・テーブルをインドが開催するとのイニシアティブを歓迎した。

26 首脳は,食料,水及びエネルギー安全保障を向上させる上で,ASEMの枠組の中での一層の協力を求めた。首脳は,統合された河川地域の管理を含む持続可能かつ公平な水管理と洪水のリスク管理を促進し,また,安全な飲料水と衛生施設へのアクセスを確保するため,適当な場合には,国境を越えた協力を一丸となって行うことを通じ,新たに生じている課題に取り組むことを再確認した。首脳は,食料,水及びエネルギー安全保障に関連する共通の課題を包摂的な成長及び持続可能な開発の機会に転換するモデルとして,ドナウとメコン地域間の協力にASEMが関与することを再確認しつつ,欧州とアジア間の水関連の具体的な協力を奨励することにコミットした。この関連で,首脳は,2013年3月にベトナムのカントーにおいて,また,2014年6月にルーマニアのトゥルチアでそれぞれ開催された第2回及び第3回ASEM持続可能な開発セミナーと,2014年5月に,中国の長沙において開催された,都市化における水資源の持続可能な管理に関するASEMセミナーの成果を歓迎した。更に首脳は,2015年2月にインドのニューデリーで開催が予定される水資源管理に関するASEMラウンド・テーブルに産業界の代表が参加するよう慫慂した。

27 首脳は,エネルギー安全保障を全てのレベルで向上させるためには,組織的な取組が行われるべきことを確認し,エネルギー安全保障と競争力を強化するための手段として,エネルギー源と輸送ルートを多様化する必要性を確認した。首脳は,エネルギー効率,再生可能なエネルギー源と低炭素技術の利用促進,化石燃料補助金の廃止,高効率石炭火力発電技術を含むクリーンコール技術,及びこれらの技術がエネルギー生産能力において効率的に統合されることの重要性を強調した。原子力エネルギーの開発と利用は,保障措置,原子力安全と核セキュリティの国際的基準に従い行わなければならない。この関連で,首脳は,国際原子力機関の重要な役割を認識した。首脳は,また,ASEMにおける国際的な原子力安全の枠組みの強化に関する協力につき認識した。首脳は,2013年11月,リトアニアのビリニュスにおいて開催された第2回ASEM原子力安全セミナー及び2014年11月4~6日にインドネシアのヨグヤカルタで開催予定の原子力安全に関する第3回ASEMセミナーを歓迎しつつ,本分野におけるASEMの協力を認識した。

28 首脳は,欧州とアジアが,人口の増加,天然資源への圧力及び気候変動に関連する地球規模の課題に直面しており,これらの課題に対応するためには,改善され持続可能であり,安全,かつ効率的なフードシステムが食料・栄養安全保障の手段として必要であることを想起した。首脳は,良い土地ガバナンスと土地,エネルギー,研究とイノベーションへの保証されたアクセス,エネルギー,統合的,かつ持続可能な水資源,森林及び漁場の管理,より包括的な農業のバリュー・チェーン,官民連携の強化,家族農業への投資,及び持続可能かつ気候変動に対応する農業が食料・栄養安全保障と農業分野の高い生産性のために必要不可欠であることに合意した。同時に,ポストハーベスト・ロスと食品廃棄を削減するために努力が払われるべきである。首脳は,また,食料安全保障及び農業開発に取り組むために国,地域及び国際的レベルであらゆる分野において包括的に取組を強化する緊急的な必要性を強調するとともに,持続可能な農業開発,食料の安全保障と栄養を達成するために,あらゆる資源から新規かつ追加的な金融資産を呼びかけた。最も脆弱なグループ,特に,女性や子どもに対し,特別の配慮が払われるべきである。首脳は,2014年11月にローマにおいて開催される第2回国際栄養会議と,「地球に食料を,生命にエネルギーを」をテーマとする2015年ミラノ国際博覧会への期待を表明した。

雇用,教育,社会・文化問題における協力の推進

29 首脳は,雇用と社会政策についてのASEMでの対話が,全ての人のために生産的な雇用及びまともな労働の促進,社会対話と社会的保護に貢献したことを歓迎する。首脳は,特に,女性や若者を対象とした,まともで生産的な雇用が持続可能で包摂的な発展の主要な柱であることを認識した。首脳は,労働力が必要とされる知識・技能を身につけることを確保し,活発な労働市場プログラム,訓練,職業上の安全と健康及び職場と企業間の関係における基本的原則と権利の強化による雇用面での成果を高め,また,社会的保護措置を推進する上で,政策,計画,協力を強化するコミットメントを再確認した。首脳は,企業,労働組織及び市民社会グループが,ディーセントかつ生産的な雇用創出のための経済成長を生み出す重要な役割を認めた。首脳は,2014年3月にブリュッセルにおいて開催された社会対話に関するASEMセミナーの結果を支持した。

30 首脳は,都市化が世界の開発にもたらす主要な影響及び持続可能な開発における都市の役割を強調した。首脳は,都市化に伴う経済上,社会上及び環境上の課題について取り組むために協力と経験の共有することに合意した。首脳は,新しい都市化の課題に向け共に取り組むとのコミットメントを確認し,2016年に開催される第3回国連人間居住会議(HABITATIII)を歓迎した。

31 首脳は,教育が,持続可能で包摂的な開発,革新と貧困削減の促進を可能にする主要な要素であることを想起した。ASEM参加国での教育の機会を支援するには十分な資源を必要とする。国連事務総長の「エデュケーション・ファースト」イニシアティブ及び統合されたポスト2015年教育アジェンダを支持しつつ,首脳は,教育が社会全体,特にアジア・欧州間の人的交流への教育の重要な貢献を強調した。この点において,首脳は,ASEM DUOプログラムの貢献を歓迎した。首脳は,人材育成のための高等教育,生涯教育,職業教育及び訓練の役割を認識した。若者の失業問題を認識しつつ,首脳は,雇用可能性を改善し学校から仕事への移行を促進する徒弟制度や訓練プログラムを強化することにコミットした。首脳は,ラトビアのリガにおいて,2015年4月27日~28日に開催されたASEM第5回教育大臣会合を歓迎し,教育大臣に対して,ASEMにおける教育協力の強化と,更なる発展へのコミットメントを再確認した。首脳は,また,ASEMの教育プロセスの中で,マレーシアのクアラルンプールにおいて2014年8月25~26日に開催されたASEMの三つの国際セミナーの成果に留意した。

32 首脳は,二国間,地域及び国際レベルでのベスト・プラクティスの共有と協力を含め,UNESCOの文化条約とプログラムに従い,文化の多様性を尊重,保護,促進し,全ての有形・無形文化遺産を保護する決意を強調した。首脳は,仕事と富の創造のために創造的な産業の重要性について認識し,また,創造的な技術とイノベーションが,今日の課題の新たな解決方法を発見し,また,経済成長と持続可能な開発を促進するに際して不可欠であることに合意した。首脳は,創造的な産業に焦点を当て,2014年10月19日~21日にオランダのロッテルダムで開催されたASEM第6回文化大臣会合(CMM6)を歓迎した。首脳は,2016年にインドで開催予定の保存技術と道具に関するASEMワークショップを歓迎した。

33 首脳は,社会・文化的協力を強化し,文化,教育,学者,若者の交流の増進を通じてより多くの人的交流を促進するとのコミットメントを再確認し,また,これに関連し,アジア欧州財団(ASEF)が果たす有益な役割を認識した。

34 首脳は,観光が,成長とまともな雇用創出のエンジンであるとともに,人的交流促進を推進する重大な道具であるとの重要性を想起し,アジア欧州間でこの分野の協力を深化させるとの意思を再確認した。

地域及び国際問題

35 ASEM対話が地域安全保障に果たす役割を歓迎しつつ,首脳は,平和,安全,安定を維持すること,また,国連憲章と国際法に従い平和的手段により紛争を解決することの重要性を再度表明した。首脳は,安全保障への脅威の原因は複雑かつ多面的であり,それらの脅威の背後にある要因に取り組む協力の重要性を認識した。

36 首脳は,国内及び国境を越えた暴力,不法移民や人の密航,人身売買による不定期的な人の動き,サイバー犯罪,全ての形態の過激化と暴力的な過激主義,武器と麻薬の不法貿易,資金洗浄,海賊及び海上における武装強盗,核兵器その他の大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散等の伝統的・非伝統的な安全保障への脅威に取り組む重要性を認識した。首脳は,軍縮軍備管理及び不拡散を一層推進し,通常兵器,特に小型武器(SALW)の不正取引に対処するための国際協力を強化する必要性を認識した。首脳は,来るべき武器貿易条約(ATT)の発効を期待した。首脳は,核兵器不拡散条約(NPT)締約国に対し,2015年4月~5月のNPT運用検討会議への貢献を慫慂した。首脳は,不発弾(UXO)を含む爆発性戦争残存物に起因する懸念に対処するための協力を強化すると決意した。首脳は,マレーシアの対テロ南東アジア地域センターが2015年10月に過激化への取組みと題するASEMシンポジウムを行うことに関心とともに留意した。

37 首脳は,エボラ出血熱の流行がグローバルヘルスと安全保障に深刻な脅威を与えることに懸念を表明した。首脳は,ASEMパートナーが感染地域に援助を行っている努力を認識するとともに,エボラ出血熱の発生を収束させるため,ベスト・プラクティスの交換を含め,更なる緊急措置と国家・地域・国際的な協力が,包括的かつ調整された形で実施されるよう求めた。

38 首脳は,地域統合におけるASEANの努力を歓迎するとともに,2015年のASEAN共同体設立を期待。首脳は,アジアにおける地域的機構の展開における,ポスト2015年のASEAN共同体ビジョン及びASEANの中心性への支持を改めて表明した。また,アジア太平洋地域及びそれを超えて,対話の促進,信頼醸成,平和,安全,安定及び繁栄のための協力におけるASEANの役割を評価した。首脳は,2014年5月の第24回ASEAN首脳会議,第47回ASEAN外相会合及び2014年8月のミャンマーでの関連会合の成果を評価した。首脳は,パートナーとの関係を拡大するASEANの努力を評価し,全てのASEAN主導のプロセスにおけるEU及び非EU欧州ASEMパートナー諸国がこの地域への関与に関心を有していることを歓迎した。

39 首脳は,国際法の原則に完全に合致して,平和と安定と繁栄を確保し,海洋安全保障と安全・協力の促進,航行と飛行の自由及び妨げのない交易を促進し,海賊及び海上での武装勢力と戦うことにコミットすることを再確認した。首脳は,力の行使と力による威嚇を抑制すること,また,国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法の原則に従い紛争解決が行われることが極めて重要であることに合意した。

               

40 首脳は,リトリート会合において,共通の関心と懸念を有する多くの国際問題,地域問題について,真摯かつ建設的な議論を行った。首脳は,国際平和と安全及び開発を促進するためのアジア欧州間の協力強化の方法,イランの核計画,中東和平プロセス,リビア,シリア及びイラク(含むイスラム国)を含む中東及び北アフリカにおける展開,テロ,アフリカ情勢,アジアの地域安全保障環境、北朝鮮の核・ミサイル計画,拉致問題を含む人権状況等の朝鮮半島情勢、アフガニスタン,ウクライナを含む欧州の安全保障の展開に関して意見交換を行った。

結びとASEMの将来

41 首脳は,ASEMの認知度・関連性を高めるため,市民社会の組織とメディアを含む全ての関係者を一層関与させ,その活動や新たな考えを開発することが重要と強調した。首脳は,2014年~2016年のASEM作業プログラム及びASEMの今後のイニシアティブ・リストを承認した。首脳は,両地域が直面する実質的な政治・地域問題及びASEMの3本柱にまたがる具体的な協力に焦点を当てることで対話の質を強化することに優先順位を付した,ASEMメンバー間の行動指向的な協力を歓迎した。

42 首脳は,文化,経済,教育,ガバナンス,公衆衛生及び持続可能な開発分野におけるプロジェクトの実施によりASEMプロセスを補完するアジア欧州財団(ASEF)の貢献を賞賛した。首脳はASEM第10回首脳会議を支援するASEFの活動を評価した。首脳は,ASEMのプロセスとASEFの活動のより大きなシナジーを達成するための現行の努力を歓迎した。

43 首脳は,1996年の創設以来のASEMプロセスの発展を歓迎し,ASEMプロセスを進展させるため,長所と実績に基づき構築していく必要性を認識した。この点に関連し,首脳は,ASEM外相会合及び高級実務者(SO)に対し,ASEM創設20周年記念を迎える次回の首脳会合にASEMの将来のあり方について勧告を提出するよう要請した。首脳は,この重要な目標への貢献のためASEMの今後の方向性のためのシンポジウムを開催するとのタイのイニシアティブを歓迎する。

44 首脳は,欧州外務・安全保障政策上級代表を議長とし,2015年11月5日~6日にASEM第12回外相会合(FMM12)を開催するとのルクセンブルクの招待を歓迎した。

45 首脳は,首脳会合の議長に対し,この会合の効果的な運営とすばらしいアレンジメントに感謝した。首脳は,モンゴルによる2016年のASEM第11回首脳会議の主催の申し入れを歓迎し,ASEMの20周年を祝うために2016年に再会することを期待した。


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