欧州
安倍昭恵総理夫人の欧州訪問
1 イタリア(5月1~2日)
(1)フィレンツェで活躍する日本人との懇談
安倍昭恵総理夫人は、フィレンツェで活躍する日本人の方々と東日本大震災におけるイタリアの支援や熊本地震支援などについて意見交換を行いました。また、参加者の方々からは、文化活動、現地の食文化、日本人職人の活動等について、イタリアの現地の方々との温かい交流のエピソードも交えつつ紹介がありました。
(2)フィレンツェ大学日本語学科訪問

安倍昭恵総理夫人はフィレンツェ大学を訪問し、同大学日本語学科の学生と懇談を行いました。フィレンツェ大学日本語学科は、イタリアで日本語専門課程を有する5つの大学の一つで、専攻課程では70名、副専攻課程では50名の学生が日本語を勉強しています。
安倍昭恵総理夫人は、日本とのイタリアとの交流を更に発展させていく上で、学生の方々の役割が重要である旨を伝えるとともに、日本学習に取り組み始めたきっかけ等について質問しました。これに対して学生からは、日本で学者になりたい、日本で働いてみたいといった希望が語られました。また、安倍昭恵総理夫人と学生は、日本とイタリアの伝統工芸分野における協力に言及しつつ、どのような分野で二国間協力の可能性があるのかも含め、幅広い分野にわたり意見交換を行いました。
最後に安倍昭恵総理夫人より、若い人たちが、世界をより良くするために協力しあって欲しい、また、日本語を一生懸命学習する皆さんには是非日本に来て欲しい旨を伝え、フィレンツェ大学日本語学科に「昭恵文庫」(注)を寄贈しました。
(3)スペダーレ・デッリ・イノチェンティ訪問

安倍昭恵総理夫人は、スペダーレ・デッリ・イノチェンティを訪問しました。アレッサンドラ・マッジ院長から、数百年に及ぶ同院の歴史について説明を受けつつ、同院の歴史を物語る子供たちの記録を保管する古文書館の視察も行いました。ヨーロッパ最古の孤児院である同院は、15世紀の設立以来、約50万人もの子供たちを受け入れてきており、今日も、児童の保護・養育という目的に則って、児童教育や困難な家庭状況にある児童と親に対するリハビリ施設運営等の取組を行っています。
また、安倍昭恵総理夫人は、幼稚園及び孤児院の子供たちとおもちゃで遊びながら交流したほか、イタリアにおける幼児教育の現場を視察し、同院関係者とイタリアにおける少人数での幼児教育や子供を巡る課題等について意見交換を行いました。
2 フランス(5月2日)
エロー・フランス仏外相夫人との懇談
安倍昭恵総理夫人は、仏外務・国際開発省において、ブリジット・エロー仏外務・国際開発大臣夫人と懇談しました。安倍昭恵総理夫人からは、パリでの一連のテロ事件に対して、哀悼の意を表明しました。エロー大臣夫人からは、今回の熊本地震で多くの方が亡くなったことに対する弔意が表明され、安倍昭恵総理夫人から謝意を伝えました。
両夫人は、両夫人が関心を有しているアール・ブリュットの分野における日本とフランスとの繋がりについて懇談した他、料理を通じた青少年教育等についても意見交換を行いました。
3 ベルギー(5月3日)
(1)ブリュッセル日本人幼稚園視察

安倍昭恵総理夫人は、財団法人日本教育センターが運営する日本語による幼児教育機関「ブリュッセル日本人幼稚園」を視察しました。同幼稚園は、日本語の基礎を覚える重要な時期である幼児期に日本語での教育を行うとともに、日本の伝統行事や習慣を取り入れ、日本人としてのアイデンティティーを育む活動に取り組んでいます。
安倍総理夫人は、子供たちの歌を楽しむとともに、園児たちと個別に会話し交流を楽しみました。また、田保園長とブリュッセル幼稚園の設立経緯、ベルギーにおける幼児教育等について懇談しました。
(2)カトルバン学校視察
安倍昭恵総理夫人は、自閉症の生徒が通うカトルバン学校を視察するとともに、同学校に通う生徒と交流し、クレイナーマン校長との間で意見交換を行いました。同校長からは、同学校が、一般校への編入を目指した教育を基本方針の一つとし、また、職業訓練もカリキュラムに加えていること、生徒の可能性を引き出すために生徒各自に合ったプログラムを組んでいること等について紹介がありました。また、学生からは、学校での集団生活を通して社会性を身につけることを目標の一つとして学習に取り組んでいるとの説明がありました。
最後に、安倍昭恵総理夫人とクレイナーマン校長は、アール・ブリュットについても意見交換を行いました。
(3)ル・モンド・スロン・レ・ファンム代表らとの懇談

安倍昭恵総理夫人は、ジェンダー及び開発問題に取り組む非営利団体「ル・モンド・スロン・レ・ファンム」の運営委員を務めるリックマンス上院議員らと、女性の自立及び教育問題、途上国における現地NGOとの連携等について意見交換を行いました。
リックマンス上院議員からは、ジェンダー及び開発関係の招聘事業の実施や、アフリカ諸国等における研修指導員としての活動につき紹介の上、現在抱える課題や今後の展望について説明がありました。また、安倍昭恵総理夫人から、「女性が輝く社会に向けたシンポジウム(WAW!)」の開催を通じた女性の活躍促進に向けた日本の取組について紹介しつつ、世界の諸問題の解決に向けた女性の貢献等についても意見交換を行いました。
(4)トゥスク欧州理事会議長夫人との夕食会
安倍総理大臣夫人は、マウゴジャータ・トゥスク欧州理事会議長夫人主催の夕食会に出席しました。安倍昭恵総理夫人からは、昨年6月のG7エルマウサミット以来の再会への喜びの気持ちを伝えたのに対し、トゥスク議長夫人からは、安倍昭恵総理夫人の訪問に歓迎の気持ちが表明されました。
また両夫人は、これまでの安倍昭恵総理夫人のポーランド訪問及びトゥスク議長夫人の東京及び京都訪問を通じて、双方がお互いの国に対する相互理解が深まったことを確認しました。
トゥスク議長夫人からは、5月末のG7伊勢志摩サミットへの招待に対する感謝が述べられるとともに、サミットの機会にさらに日本に対する理解を深めたいとの意向が示されました。また。安倍昭恵総理夫人からはG7サミットでの再会を楽しみにしていると伝えました。
4 ドイツ(5月4日)
(1)難民シェアハウスカフェ「Refugio」訪問

安倍昭恵総理夫人は、ベルリンの難民シェアハウスカフェ「Refugio」を訪問しました。「Refugio」は、キリスト教系の福祉団体と協力し、入居する難民に対し、ドイツ語学習や職業を始めるための訓練等の情報提供を行う施設です。1階はカフェで、2階以上の居住部分では、難民同士が共同生活を行っています。また、難民支援のボランティアを募り、難民の生活の支援を積極的に行っています。
安倍昭恵総理夫人は、同カフェのオーナーであるスヴェン・ラーガー氏より、ドイツにおける難民問題の現状、同カフェを開設した経緯及び難民の住宅問題につき説明を受けました。その後、安倍昭恵総理夫人は、カフェの店員又は事務員として働く難民の方々と懇談し、同カフェでの仕事、ドイツ語学習の状況、ドイツでの生活の苦楽、自立した生活に向けた取組、多文化共存の重要性、人種・信条にかかわらず個々の人間を尊重することの重要性等について意見交換を行いました。
(2)Macha-Machaカフェ訪問

安倍昭恵総理夫人は、ベルリンのMacha-Machaカフェを訪問しました。同カフェの経営者であるエリック・シュピックスヒェン氏は、日本のお茶及び文化に魅了され、2014年に同カフェをオープンし、日本の農家から直接買い付けた日本茶を提供しています。併設されている茶室では茶道教室が開催されるなど、ドイツでの緑茶ブームを牽引しているカフェでもあります。
安倍昭恵総理夫人は、シュピックスヒェン氏から、カフェのコンセプト等につき説明を受けた後、同席していた日本語を学ぶカニシウス・カレッジ(大学進学を目指す生徒の中・高一貫校)の生徒たちと交流しました。生徒からは、日本語、日本の社会問題、女性の役割、難民問題及び政治等についての質問がなされ、和やかな雰囲気の下で日本語を通した意見交換が行われました。
(3)ドイツで活躍する日本人との懇談

安倍昭恵総理夫人は、現地で活躍する在留邦人の方々と夕食を兼ねて懇談を行いました。安倍昭恵総理夫人は、在留邦人を激励するとともに、音楽、文学、スポーツ及び日本語教育等における日頃の日本発信に感謝の気持ちを伝えました。
5 英国(5月5日)
(1)マギーズセンター訪問

安倍昭恵総理夫人は、マギーズセンターを訪問しました。マギーズセンターは、「がん患者には、病院での治療以外に、個人のニーズに重きを置く小さな家庭的で安らげる場所が必要」との考えに基づき、1996年に設立された団体です。なお、同センターは、英国内各所に設置されており、今回視察したロンドンセンターは2008年に開所しました。
同センターでは、施設長等の説明を受けながら施設を見学し、利用者とも懇談を行いました
(2)グリーンフォード・ハイスクール訪問

安倍昭恵総理夫人は、英国で日本語教育に熱心な学校の一つであるグリーンフォード・ハイスクールを訪問しました。同学校は、1939年に創立した英国の公立中等学校で、11歳から19歳の生徒約1800人が学ぶ共学校です。同校には、日本文化等を紹介するホームページを運営するなど、日本語学習者約60名が在籍し、日本語教育を熱心に行っています。
安倍昭恵総理夫人は、日本語を学ぶ生徒とともに昼食を取りながら和やかに懇談した後、日本語の授業を視察しました。また、安倍昭恵総理夫人は、生徒による「上を向いて歩こう」の合唱を楽しんだ後、生徒から日本語学習を開始したきっかけ等について尋ねるなど,意見交換を行いました。
最後に、日本語普及の期待を込めて、安倍昭恵総理夫人から生徒に「昭恵文庫」(注)を贈呈しました。
(注)昭恵文庫
安倍昭恵総理夫人は、訪問国における日本語学習や日本文化の更なる普及や交流の促進に役立つようにとの願いから、関連団体の協力を得て、海外訪問先の日本人学校や日本語、日本文化のプログラムを実施する学校や大学に日本関連書籍や日本語教材を寄贈しています。