アジア欧州会合(ASEM)
安倍総理大臣の第12回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合出席
1 概要
10月18日及び19日、安倍晋三内閣総理大臣は、ベルギー・ブリュッセルにおいて開催された第12回アジア欧州会合(ASEM)首脳会合(ASEM12)に出席しました。
今次首脳会合はEUがホストし、トゥスク欧州理事会議長が議長を務め、計3つのセッションで議論が行われました。
全体会合第一セッションでは、WTO強化、欧州とアジアの連結性強化、持続可能な成長等について議論され、全体会合第二セッションでは、気候変動、海洋プラスチック汚染、女性のエンパワーメント等について議論されました。
また、ワーキング・ランチ形式のリトリート・セッションでは、北朝鮮、海洋安全保障、サイバー、テロ、移民等の国際・政治情勢について議論されました。
安倍総理は各セッションに参加し、第一セッションにおいてリードスピーカーとして発言したほか、リトリートで発言を行いました。
2 第一セッション
第一セッションでは、安倍総理は、自由貿易体制、「質の高いインフラ」及び循環型社会の構築について、発言しました。
(1)自由貿易体制については、貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならず、過剰生産能力の解決や、市場歪曲的な措置を除去する取組を進めていくべき旨述べました。
(2)「質の高いインフラ」については、アジアと欧州の発展には連結性強化が不可欠であり、そのためにも「質の高いインフラ」を国際スタンダードとしていくべき旨述べました。さらに、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋」の実現は、アジア・欧州の連結性強化にも貢献するものである旨述べました。
(3)循環型社会の構築については、環境と経済成長の好循環を加速させる形で気候変動対策を推進していくこと、また、海洋プラスチックごみの問題に世界全体で取り組むための実効性ある対策のイニシアティブを打ち出していく旨述べました。
3 リトリート・セッション
リトリート・セッションでは、安倍総理から、北朝鮮情勢と海洋安全保障について発言しました。
(1)北朝鮮情勢については、朝鮮半島の非核化に向けて、国際社会が結束して安保理決議を完全に履行することが必要である旨述べました。また、拉致問題の早期解決に向けた決意を改めて明らかにしました。
(2)海洋安全保障については、紛争は力や威圧に頼らず、国際法に基づいて、平和的に解決されるべきであり、一方的な現状変更は許容されない旨を改めて強調しました。また、南シナ海について、行動規範(COC)交渉が平和で開かれた南シナ海につながることを期待する旨述べました。
(3)この二つの話題の他、リトリート・セッションでは、イラン、移民問題、テロ対策、サイバーなど喫緊の世界・地域情勢について、各国出席者から発言がありました。
5 成果
(1)今次ASEM首脳会合の出席を通じて、日本は、北朝鮮問題や海洋安全保障等の喫緊の国際課題について、ASEMから力強いメッセージを発出すべく議論をリードするとともに、アジア及び欧州地域における、自由で公正なルールに基づく経済秩序の強化や、持続可能な連結性の強化に資する「質の高いインフラ」の国際スタンダード化を推進するべく、日本の立場を発信しました。
(2)また今次首脳会合の機会を利用して、「V4+日本」首脳会合、並びにEU、ドイツ、イタリア、シンガポール及びオーストリアの各国・機関との首脳会談を行いました。
6 ASEMにおける連結性作業部会
[参考]「ASEM連結性に関するパスファインダー・グループ」(APGC:ASEM Pathfinder Group for Connectivity)
(1)2016年7月のASEM第11回首脳会合(於:ウランバートル)の議長声明において,あらゆる面での連結性を全てのASEMの関連活動において主流化することが謳われ,ASEM参加国の高級実務者をメンバーとした連結性に関する作業部会「ASEM連結性に関するパスファインダー・グループ(APGC:ASEM Pathfinder Group for Connectivity)」の設置が決定された。なおAPGCの活動期限は2年間とされた。
(2)APGCのアジア側の共同議長には日本と中国が,欧州側の議長にはEUが就任し,APGCでの議論をリードした。
(3)今次首脳会合をもってAPGCは,その任務を終了し,ASEMにおける連結性の議論は今後,APGCの成果を基にASEMの高級実務者会合にて引き続き行われることとなった。