欧州連合(EU)
日EU外相会談

1.冒頭
これに対し,岸田大臣から,モゲリーニ上級代表の就任に祝意を述べた上で,日本は,戦後70年,先の大戦の反省の下,不戦を誓い,平和国家として国際社会の平和,安定及び繁栄のために大きく貢献し,この歩みは今後も揺るがないこと,EUは我が国にとり共に行動し,互いに信頼できる重要なパートナーであり,新体制の下でも日EU関係の更なる強化に向け緊密に協力したい旨述べました。
2.日EU関係
(1)総論
ア 岸田大臣とモゲリーニ上級代表は,日EU間では,首脳,外相レベルの会談が頻繁に行われるなど,関係が強化されてきたことを歓迎すること,戦後70年及びヘルシンキ最終文書採択40年という節目の年にあたり,日EUは民主主義,人権及び法の支配等の基本的価値を共有するグローバル・パートナーとして,国際社会の平和,安定及び繁栄のためにともに貢献していくことを確認しました。
イ また,岸田大臣とモゲリーニ上級代表は,次回の日EU定期首脳協議を本年前半に開催することを念頭に早急に日程調整を行うことで一致しました。
(2)各論
ア 岸田大臣とモゲリーニ上級代表は,昨年5月の第22回日EU定期首脳協議での首脳間の合意を踏まえ,各分野で具体的なフォローアップが着実に進められていることを確認しました。
イ 岸田大臣から,我が国の「積極的平和主義」や安保法制整備の基本方針についての閣議決定に対するEUからの支持・歓迎に感謝を述べるとともに,欧州安全保障・防衛政策(CSDP)ミッションと我が国支援との連携,アデン湾での自衛隊部隊とEU部隊との海賊対処に関する共同訓練を歓迎する旨述べました。
ウ 岸田大臣から,日EU・EPAについて,昨年11月の日EU首脳会談で一致したとおり,本年中の大筋合意を目指し,共に交渉を加速させていきたい旨述べました。また,岸田大臣から,福島第一原発事故に係るEUによる日本産食品等に対する輸入規制に関し,科学的根拠に基づく規制の緩和・撤廃を働きかけました。
エ 岸田大臣から,昨年10月にサイバー及び宇宙政策に関する初めての日EU対話が行われたことを歓迎する,本年3月に仙台で行われる第3回国連防災世界会議についてEUからハイレベルの参加を得た上で,協力して会議を成功させたい旨述べました。また,岸田大臣から,幅広い分野での日EU協力の基礎となる戦略的パートナーシップ協定(SPA)は,日EU関係をより持続的かつ高次元なものとするため重要であり,早期妥結に向け,引き続きEU側と共に努力したい旨述べました。
オ これに対し,モゲリーニ上級代表から,多くの前向きな案件があり,次回の日EU定期首脳協議では,このような前向きな日EU関係の進展を強調すると同時に,現在進行中の日EU間の協定交渉の後押しとなるようにすること,また,日EUが国際社会の平和と安全に果たす役割への評価を表明することを含め,日EUの強固な協力関係を示すよい機会となるだろう旨述べました。
3.地域・国際情勢
(1)国際テロ対策
モゲリーニ上級代表から,本日のEU外務理事会で行われた国際テロ対策に関する議論について紹介がなされました。
これに対し,岸田大臣から,先般フランス・パリ市内で発生した銃撃テロ事件は如何なる理由でも許されず断固として非難する,本件はテロとの闘いが引き続き国際社会が全力で取り組んでいくべき課題であることを強く決意させる,引き続きEUとも緊密に協力していきたい旨述べました。
(2)東アジア
岸田大臣とモゲリーニ上級代表は,東アジア情勢についても意見交換を行い,北朝鮮の拉致問題を含む人権分野について日EU間の緊密な協力が行われていることを確認しました。
(3)ウクライナ
岸田大臣から,ウクライナ問題の解決や,同国の改革と経済の近代化に向けたEUの取組を高く評価する,我が国としてはG7の結束を重視しつつEUとも連携し,積極的に取り組んでいく旨述べました。 これに対し,モゲリーニ上級代表から,EUの取組,ロシアとの関係等について紹介があり,EU28カ国の連帯,G7の結束及び可能な限り多くの国との連携を得ながらウクライナ情勢に取り組みたいと述べました。