APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)

平成28年11月18日
11月17日(木曜日)及び18日(金曜日),ペルー・リマにおいて,ペルーのルナ外務大臣及びフェレイロス通商観光大臣の議長の下, APEC閣僚会議が開催され,我が国からは,岸田文雄外務大臣及び世耕弘成経済産業大臣が出席した。
「質の高い成長と人間開発」という全体テーマの下,下記4つのセッションで幅広い分野について意見交換が行われた。会議の成果として,閣僚声明(骨子(PDF) / 英文(PDF))が発出された。議論の概要は以下のとおり。

1 日程

11月17日 午前 セッション1:地域経済統合と質の高い成長
  午後 セッション2:地域フードマーケットの促進
    セッション3:アジア太平洋地域の零細・中小企業の近代化
11月18日 午前 セッション4:人材開発促進

2 個別セッションの概要

(1)セッション1:地域経済統合と質の高い成長

ア 地域経済・グローバル経済の現状と課題,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の推進,サービス貿易・サービス関連産業活性化の推進方策等について議論が行われた。

イ 日本からは,概要次のとおり発言。

(ア)世界経済が下方リスクに直面し,自由貿易に対する懐疑的見方が広がる中,APECは自由貿易への力強いコミットメントを示し,アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて貢献すべき。あらゆる手段を用いて下方リスクに対処するとともに,自由貿易の利益を多くの人々が享受できる包摂的な経済の実現に向けた意思を示す必要がある。

(イ)FTAAP実現に向けた「道筋」であるTPP及びRCEPを着実に進展させることが不可欠。日本国内では,衆議院を通過し,現在TPPの参議院での審議が進展。全てのTPP参加国が早期承認へ向けて努力することを慫慂。

(ウ)APECは次世代貿易投資課題について,高い志を維持した上で,実現に必要な能力構築を進めることが必要であり,日本は積極的に貢献していく。デジタル貿易は,中小企業を含め,大きなビジネスチャンスをもたらすものであり,次世代貿易投資課題と位置づけ,議論を進める必要がある。

(エ)アジア太平洋地域の経済発展のためには,インフラの「量」だけでなく,ライフサイクル・コスト,環境性能,安全性などを考慮した「質」も追求していくことが必要。日本は,「ピアレビュー及び能力構築」や,「質の高い電力インフラ・ガイドライン」等を通じて,質の高いインフラの普及に貢献していく。

(2)セッション2:地域フードマーケットの促進

ア 食料安全保障,質の高い成長のための都市・農村開発,水資源の持続的活用等について議論。

イ 日本からは,概要次のとおり発言。

(ア)食料安全保障は,地域の質の高い成長と繁栄を達成するための鍵。日本は,フードバリューチェーンの構築やイノベーションの推進を通じ,農林漁業者の所得向上,農村活性化等に努力。G7農業大臣会合でもこうした点を強調。

(イ)災害に強靱な質の高い農村インフラが重要。APECでの取組も含め,この分野で引き続き貢献していく所存。

(ウ)APECにおいて,気候変動対応型農業イニシアティブが議論されていることを歓迎。日本の知見を積極的にインプットしていく。

(エ)水資源は農業において重要な役割を果たす。日本は米との共催で海洋ごみに関する会議を開催し,適正な廃棄物処理の資金調達に焦点を当てた提言を作成。

(3)セッション3:アジア太平洋地域の零細・中小企業の近代化

ア 成長のためのイノベーション,零細・中小企業のグローバル・バリューチェーンへの統合等について議論。

イ 日本からは,概要次のとおり発言。

(ア)零細・中小企業がグローバル・バリューチェーンに組み込まれ,貿易自由化の恩恵が享受されることが重要。昨年のAPEC貿易担当大臣会合で合意されたボラカイ行動アジェンダを踏まえ,企業の海外展開を後押しする政策を進めるべき。

(イ)競争力のある裾野産業は,貿易・投資の拡大や地域全体の経済成長の後押しとなる。日本とベトナムは本年,裾野産業の育成支援策の高度化の取組を立ち上げた。地域の裾野産業育成に関する政策の質の底上げに貢献していく。

(ウ)零細・中小企業の情報セキュリティリスクに関する啓蒙が不可欠。日本では中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインを改訂。各エコノミーにおけるセキュリティレベルの向上を期待。

(4)セッション4:人材開発促進

ア 成長と繁栄のための教育,起業とイノベーション等について議論。

イ 日本からは,概要次のとおり発言。

(ア)少子高齢化の下での持続的成長は,先進国・新興国を問わず,直面する課題。この課題を克服するべく,我が国は,アベノミクス第2ステージとして,「一億総活躍社会」の実現と,多様な個人の能力の発揮やイノベーションの創出に挑戦。

(イ)「一億総活躍社会」実現に向けた最大の課題が「働き方改革」。「柔軟な働き方」,「最先端の人材育成」,「生産性の高い事業への労働移動」を重点に取組を実施。

(ウ)様々な舞台で活躍する女性を応援。

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