APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)
石破総理大臣のAPEC首脳会議(第3セッション)への出席
令和6年11月16日
(写真提供:内閣広報室)
現地時間11月16日、午前9時(日本時間16日午後11時)から約3時間、APEC首脳会議第3セッション(テーマ:APECにおける包摂的経済の前進、地球規模課題を踏まえたAPECの重要性)がペルー共和国・リマにて開催され、ディナ・ボルアルテ・ペルー共和国大統領(Dina Boluarte, President of the Republic of Peru)が議長を務め、日本から石破茂内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。
- 石破総理大臣は、アジア太平洋地域における包摂的な成長実現のため、日本が重視する要素として、以下の3点を述べました。
- 第一に、デジタル・AIの活用の推進。信頼性ある自由なデータ流通の実現のために国際枠組みを通じた国際ルールの策定等を重視し、日本が共同議長を務めるWTO電子商取引協定交渉の早期妥結及び「広島AIプロセス」の実践と拡大への取組を強調しました。
- 第二に、脱炭素化実現に向けたエネルギー移行。気候変動問題への対応のため、各国・地域の事情に応じた多様で現実的な道筋によるエネルギー移行の実現が重要であることを強調し、AZECを通じアジア諸国の脱炭素化を加速し、経済成長とエネルギー安全保障の確保、エネルギー移行、脱炭素化、カーボン・ニュートラルの実現に向けて取組を進めていく旨、発信しました。
- 第三に、アジア太平洋地域の食品ロス・廃棄の削減の推進。日本が、2030年までに食品ロスを半減させる目標を2022年に達成したことに触れつつ、官民連携を通じアジア太平洋地域におけるコールドチェーン整備支援をし、流通段階での食品ロス削減に取り組んでいる旨、発言しました。
- また、石破総理大臣は、地域情勢についても触れる中で、ロシアのウクライナ侵略は、法の支配に基づく国際秩序に対する明確な挑戦であり、また、北朝鮮とロシアの軍事協力の一層の進展を深刻に懸念する、一日も早くウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現する必要がある旨述べました。また、中東情勢の緊迫化と危機的な人道状況への強い懸念を示し、全ての当事者に対し、最大限の自制と国際人道法を含む国際法の遵守を強く求める旨強調しました。
- 石破総理大臣は、最後に、来年の議長韓国及び各エコノミーと引き続き緊密に協力し、共通のビジョン(APECプトラジャヤ・ビジョン)の実現に向けて貢献していく決意を表明しました。
- 会議の終了後、議論の総括として、首脳宣言が発出されることになったほか、ウクライナ、中東情勢等に関する議長声明が発出されることとなりました。
- 参加した多くの首脳からは、「食品ロス・廃棄の防止・削減のためのトルヒーヨ原則」及び「低炭素水素政策ガイダンス」策定に向けたペルーのイニシアチブを支持する旨、及び気候変動対策やAI活用がアジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に必要である旨の発言があり、引き続き持続可能で包摂的なAPECの実現に向けた協力を推進することが確認されました。
(参考1)別添
(参考2)APEC参加国・地域(21エコノミー)
日本、ペルー(2024年APEC議長)、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、ホンコン・チャイナ、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィリピン、ロシア、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ、米国、ベトナム。
(注)APECには、香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加。
(参考3)APECプトラジャヤ・ビジョン
(1)貿易・投資、(2)イノベーションとデジタル化、(3)力強く、均衡のある、安全で、持続可能かつ包摂的な成長、という3つの経済的推進力により、「全ての人々と未来の世代の繁栄のために、2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靭かつ平和なアジア太平洋コミュニティとすること」を目指す。