APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)
岸田総理大臣のAPEC首脳会議(第2セッション)への出席
令和5年11月17日


現地時間11月17日、午前11時30分(日本時間18日午前4時30分)から約2時間、APEC首脳会議第2セッション(テーマ:相互連結及び包摂的で強靭な国・地域の構築)が米国・サンフランシスコにて開催され、ジョセフ・バイデン・アメリカ合衆国大統領(Joseph R. Biden, President of the United States of America)が議長を務め、日本から岸田文雄総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。
- 岸田総理大臣は、アジア太平洋地域が連結し、包摂的で強靱な成長を実現するために重視する要素として、以下の2点を述べました。
- 世界の安定と成長のためにルールに基づく自由で開かれた、公正で透明性のある貿易・投資環境を維持・強化することであり、特に、WTOを中核とする多角的貿易体制の維持・強化が重要。紛争処理制度改革をはじめとするWTO改革を進めていく必要がある。日本は、明年2月の第13回WTO閣僚会議で具体的な成果が得られるよう貢献していく。また、この地域における自由で開かれた経済秩序の構築に引き続き貢献する考えであり、不公正な貿易慣行や経済的威圧に対し、適切に対処しつつ、CPTPPやRCEPの履行を持続可能な形で確保していきたい。一方で、ロシアのウクライナ侵略はこの地域の持続可能な発展の基盤を揺るがしており、ロシアの核による威嚇は断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならない。APEC発足当初からの精神に則った協力に早期に戻ることを期待。
- AIを含むデジタル技術は貿易円滑化、地域の連結性、包摂性、強靱性を向上させるものであり、活力ある地域経済の実現のために欠かせない。リスクを適切に管理し、誰もがデジタル経済の恩恵を受けることができる環境作りが重要。日本は、G7広島AIプロセスを通じて、生成AIを始めとする高度なAIの国際的なガバナンスの枠組みの構築に取組んでいる。今後はG7を超えたAPECエコノミーとも協力し、安全、安心で信頼できるAIの実現を目指したい。また、デジタル経済の核はデータであり、アジア太平洋地域において、「信頼性のある自由なデータ流通 (DFFT)」を実現することも重要。
- 岸田総理大臣は最後に、今回の米国APECの成果を基礎とし、来年議長を務めるペルーを始めとするAPECエコノミーと引き続き緊密に協力し、APECプトラジャヤ・ビジョンの実現に向けて引き続き貢献していく決意を表明しました。
- 会議の終了後、議論の総括として、首脳宣言(和文仮訳(PDF)
)が発出されることになったほか、ウクライナ、中東情勢等に関し、議長声明(和文仮訳(PDF)
)が発出されることとなりました。
(参考1)APEC参加国・地域(21エコノミー)
日本、米国(2023年APEC議長)、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、ベトナム。
(注)APECには、香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加。
(参考2)APECプトラジャヤ・ビジョン
(1)貿易・投資、(2)イノベーションとデジタル化、(3)力強く、均衡のある、安全で、持続可能かつ包摂的な成長、という3つの経済的推進力により、「全ての人々と未来の世代の繁栄のために、2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靭かつ平和なアジア太平洋共同体とすること」を目指す。