APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)

平成27年5月25日
(写真1)APEC貿易担当大臣会合
(写真2)APEC貿易担当大臣会合

 5月23日及び24日,フィリピン・ボラカイにおいて,APEC貿易担当大臣(MRT)会合が開催された。APEC21エコノミーの貿易担当閣僚等が参加し,我が国からは宮沢洋一経済産業大臣及び薗浦健太郎外務大臣政務官が出席した(薗浦外務大臣政務官は「多角的貿易体制への支持」及び「地域経済統合アジェンダの推進」のセッションに出席)。会合における議論の概要は以下のとおり。会合の成果として,「2015年APEC貿易担当大臣会合声明(日本語(骨子)(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く)」、「零細・中小企業(MSMEs)のグローバル化のためのボラカイ行動アジェンダ(日本語(概要)(PDF)別ウィンドウで開く英語別ウィンドウで開く)」及び「多角的貿易体制への支持に関する声明(日本語(骨子)(PDF)別ウィンドウで開く英語(PDF)別ウィンドウで開く)」が発出された。

1.第1セッション(多角的貿易体制への支持)(23日午前)

  • (1)アゼベドWTO事務局長からの報告を受け,「バリ合意」の実施、貿易円滑化協定(TFA)の早期発効の重要性、ドーハ・ラウンド交渉(DDA)の妥結に向けた作業計画策定等につき議論が行われた。また保護主義抑止の取組を再確認した。
  • (2)我が国からは,第10回WTO閣僚会議(MC10)でDDAを妥結することの重要性、情報技術協定(ITA)拡大交渉をできる限り早期に妥結する必要性や環境物品交渉の推進に向けた取組について発言を行った。また、7月の期限までに作業計画を策定することの重要性について発言、さらにTFAの早期発効に向け、我が国は5月15日に同協定の受諾に必要な国会承認を得た旨紹介し、各国の取組を促した。
  • (3)会合においては、TFAの早期発効に向け、各国の受諾に向けた手続きを加速すべき点で一致。また、アフリカで初めての開催となる本年末のケニアでのMC10の開催を歓迎。MC10はDDA妥結のための最後の機会となるとの発言があった。ITA拡大,環境物品自由化などのプルリ交渉についても,その重要性について多くの発言があり、特にITA拡大交渉については,交渉参加国に対し速やかに品目合意に至るよう促した。

2.第2セッション(地域経済統合アジェンダの推進)(23日午前)

  • (1)昨年のAPEC首脳会議で採択された「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現に向けたAPECの貢献のための北京ロードマップ」において立ち上げに合意した「FTAAP実現に関連する課題にかかる共同の戦略的研究(以下、「共同の戦略的研究」)」の進捗等FTAAPの実現に向けた議論や地域経済統合に向けた地域貿易協定・自由貿易協定(RTAs/FTAs)の役割について議論が行われた。
  • (2)我が国からは、北京ロードマップの承認を改めて歓迎し、横浜APEC以降進められているFTAAPの実現に向けたAPECの貢献として更なる一歩を着実に踏み出したものであると評価。今般、「共同の戦略的研究」の進め方について具体的な進展が得られたことを歓迎の上、積極的に貢献していく旨表明した。また、質の高い成長と持続可能な開発の実現の観点から、インフラ投資の望ましいあり方を模索するための調査を実施しており、地域における質の高いインフラ投資促進を通じた連結性の強化に貢献する旨表明。さらに、地域のグローバル・バリューチェーン(GVC)の発展に向けた投資環境改善の議論を主導していく旨発言。
  • (3)各エコノミーからは、「共同の戦略的研究」の実施に関する進展を歓迎の上、今後の実施に向けた貢献に関する意欲が表明されるとともに,域内の地域貿易協定/自由貿易協定(RTAs/FTAs)の透明性の向上,能力構築等の重要性が述べられた。

3.第3セッション(地域経済統合アジェンダの推進(続き))(23日午後)

  • (1)サービス分野での協力(APEC貿易リポジトリ(APECTR)、サービス協力枠組み(ASCF))や物理的、制度的、人と人の連結性、サプライチェーン連結性の達成等に向けた議論、2012年APEC首脳会議において合意された環境物品リストの関税引下げ(2015年末までに54品目の実行関税率を5%以下に引き下げ)の着実な実施等について議論がなされた。
  • (2)我が国からは,21日に安倍総理が発表した「質の高いインフラパートナーシップ」を紹介するとともに、APECにおいて個別エコノミーのインフラ開発投資に関する制度を「インフラの質」等の観点からピアレビューし、能力構築支援に取り組む考えを表明。エネルギー分野では、アジアのエコノミーのニーズに応じてエネルギーインフラ整備など包括的な協力を行っていく旨表明。さらにサービス貿易の自由化・円滑化について、サービス協力枠組みと連携しつつ、製造業関連サービス及び環境サービスに関する行動計画の策定に向けて議論を主導すること、及びGVCの自然災害に対する強靱性向上のためガイドブックを策定することにつき発言。
  • (3)各エコノミーからは、日本の質の高いインフラへの取組をはじめとする日本の各提案について高い評価が表明された。また、APEC貿易リポジトリやサービス協力枠組みへの支持が表明されるとともに、環境物品リストに係る関税引下げを確実に達成すべきことについて多く発言がなされた。

4.第4セッション(中小企業の地域・世界市場への参画促進)(24日午前)

  • (1)「零細・中小企業(MSMEs)のグローバル化のためのボラカイ行動アジェンダ」の策定等、零細企業及び中小企業の地域・グローバル市場への参画の促進、昨年の首脳会議で採択された「グローバル・バリューチェーンの発展と協力のための戦略ブループリント」実施の進捗状況等につき議論が行われた。
  • (2)我が国からは、「零細・中小企業(MSMEs)のグローバル化のためのボラカイ行動アジェンダ」のとりまとめを支持するとともに、APEC地域の中小企業の更なる飛躍を実現するため、APEC地域のシームレスな中小企業金融環境の整備の促進や、電子商取引の発展を促す施策の推進の重要性を指摘。
  • (3)参加エコノミーからは、「零細・中小企業(MSMEs)のグローバル化のためのボラカイ行動アジェンダ」の支持が表明されるとともに、零細・中小企業の発展に向けた各エコノミーによる取組について紹介がなされた。


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