APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)
ベトナムAPECダナン首脳会議
1 主な日程
11月 | 11日 | 午前 | 首脳会議第1リトリート |
「デジタル時代における革新的な成長,包摂性及び持続可能な雇用」 | |||
昼食 | ワーキングランチ「共通の未来の促進」 | ||
午後 | 首脳会議第2リトリート | ||
「地域の貿易,投資及び連結性のための新たな原動力」 |
2 個別セッションの概要
(1)グローバル経済に関するセッション及び第1リトリート:「デジタル時代における革新的な成長,包摂性及び持続可能な雇用」
(ア)地域及び世界経済の回復を確固たるものとすること,質の高い成長,構造改革,ビジネス環境改善,質の高い人材開発の促進,零細・中小企業の競争力・イノベーションの強化の方策等について議論が行われた。
(イ)安倍総理の主な発言
- 金融・財政政策、構造改革の「3本の矢」にコミットし続けるべき。
- 人口減少下の中でも、潜在成長率を高めていくと同時に、人口減少の問題それ自体にもしっかりと手を打っていく。そのため、「生産性革命」と「人づくり革命」という二つの旗を掲げ、全力で取り組んでいく。
- 日本はアジア太平洋地域の「成長の好循環」を目指し、デジタル貿易、UHC(*)と高齢化社会への対応を実現する「アジア健康構想」、持続可能な農業の促進、エネルギー協力等の面で積極的に貢献する。
(注)UHC(Universal Health Coverage):全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを必要な時に支払い可能な費用で受けられる状態。
(2)ワーキングランチ「共通の未来の促進」
(ア)APECの今後の方向性,その存在感を高める方策等について議論が行われた。
(イ) 安倍総理の主な発言
- APECの活動のコアは、貿易・投資の自由化。
- APECはこれからも、産業界と連携しつつ、デジタル貿易等の新しい課題にも、「自由化」の旗の下、大胆に取り組むべき。
(3)第2リトリート:「地域の貿易,投資及び連結性のための新たな原動力」
(ア)地域の貿易,投資及び連結性におけるAPECの役割,質の高いインフラ投資,サプライチェーン連結性,サービス競争力,インターネット及びデジタル経済,電子商取引,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP(エフタープ))の最終的な実現に向けた取組,多角的貿易体制等について議論が行われた。
(イ)安倍総理の主な発言
- 自由貿易は平和と繁栄の礎。保護主義は、世界経済全体の縮小に繋がり、どの国にも得にならない。
- 「レベル・プレイング・フィールド」(公平な競争条件)を世界に広げることが、自由貿易の果実を公正に分配する前提。市場歪曲的措置を是正するとともに、国有企業の改革を進め、「不公正な貿易慣行」を除去することが重要。
- WTOを中核とするルールに基づく多角的貿易体制を強化していくことが重要。来月の第11回WTO閣僚会議(MC11)の成功に向け結束すべき。
- 野心的な地域貿易協定の推進も重要。自由貿易の旗手として、TPP、質の高いRCEP等の経済連携協定や投資協定を積極的に推進していく。特に、TPP閣僚会合で11か国でのTPP早期発効につき大筋合意できたことは、世界に向けた力強いメッセージ。
- FTAAPについては,野心のレベルを高く保ち、将来的な実現に向け必要な取組を着実に実施していこう。
- アジア太平洋地域の膨大なインフラ需要に適切に応え、連結性を強化するためには、質の高いインフラが不可欠。
3 今後の予定
4 評価
(1)本年の経済関係の国際会議の総仕上げとして,「自由で公正」な通商ルール形成に向けた我が国の積極的姿勢をアピールすることができた。
(2)包摂的かつ持続可能な経済の実現が重要との議論の中で,「生産性革命」「人づくり革命」「アジア健康構想」「デジタル貿易」「エネルギー協力」等の我が国の取組を世界に発信することができた。
(3)首脳宣言には,「レベル・プレイング・フィールド」の確保、多角的貿易体制の支持、質の高いインフラ投資,アベノミクスによる「3本の矢」を踏まえた金融・財政政策、構造改革、女性の経済的エンパワーメントの強化など包摂的な経済政策、防災など,我が国にとっての重要事項を盛り込むことができた。