APEC(アジア太平洋経済協力,Asia Pacific Economic Cooperation)

2015年フィリピンAPEC閣僚会議

平成27年11月18日

英語版 (English)

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11月16日及び17日、フィリピン・マニラにおいて、APEC閣僚会議(デル・ロサリオ外務大臣、ドミンゴ貿易産業大臣が共同議長)が開催され、21か国・地域の外務大臣、貿易担当大臣等が参加した(我が国からは、岸田文雄外務大臣、林幹雄経済産業大臣が出席)。

2015年フィリピンAPECのテーマである、「包摂的な経済の構築、よりよい世界を目指して」の下、地域経済統合の促進、零細・中小企業の地域・世界市場への参画促進、人材開発への投資、持続可能かつ強靱な地域社会の構築を中心に、幅広い分野について意見交換が行われた。今次会合の成果として、「閣僚声明」(骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)Open a New Window)が発出された。議論の概要は以下のとおり。なお、パリで発生したテロ事件を受け、オープニング・セッション冒頭で1分間の黙祷が行われ、プレナリーにおいて、テロへの非難を中心に多くのエコノミーから哀悼と連帯の意が表明された。

1 経済統合を通じた包摂的成長

(1) APEC成長戦略に関し、質の高い成長への取り組みを強化する新たな戦略文書を承認、進捗評価報告書の作成を歓迎。

(2) 「APEC構造改革新戦略」による取組を評価。構造改革の更なる進展に向け、同戦略を更新した「構造改革のためのAPEC改訂アジェンダ(RAASR)」の実施にコミット。

(3) 「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けたAPEC の貢献のための北京ロードマップ」の進展及び「FTAAPの実現に関連する課題にかかる共同の戦略的研究」の進展を歓迎。TPP参加エコノミーを中心に、TPPを踏まえつつ、FTAAPの実現に向けて協力したい等との発言があった。

(4) APEC環境物品54品目の実行税率5%以下への引き下げに向けた進展を歓迎。完了していない一部エコノミーに対し作業の加速化を要請。

(5) APECサービス協力枠組を承認。製造業関連サービス行動計画を歓迎し、2020年の最終レビューに向けた具体的な行動を要請。

(6) 「零細・中小企業(MSMEs)のグローバル化のためのボラカイ行動アジェンダ」を支持し、各フォーラでの取組を歓迎。資金調達環境の改善の重要性を認識。

(7) 連結性の強化に関し、昨年採択された「APEC連結性ブループリント」の実施を通じ、2025年までに継ぎ目ない、包括的に連結され、統合されたアジア太平洋地域を構築するとのコミットを再確認。日本による質の高いインフラ促進の取組を歓迎。

(8) 財政改革・透明性の推進やインフラ開発とインフラ・ファイナンスの促進等4つの柱からなる「セブ行動計画」が財務大臣プロセスの下で策定されたことを支持。

(9) 日本からは、概要以下のとおり発言。

ア 2010年の横浜APEC首脳会議において採択されたAPEC成長戦略の将来の方向性に関する新たな戦略文書を首脳レベルで採択することを支持。

イ 幅広い分野で21世紀型のルールが盛り込まれたTPPが大筋合意に至った。これも含め、横浜首脳会議以降進められているFTAAPへの道筋に着実な進展がみられていることを評価、TPPはFTAAPの目指す方向性を示すものと考える旨言及。包括的で質の高いFTAAPの実現のためにTPPの早期署名・発効、TPPメンバーの拡大やRCEP交渉の加速などを目指すことが今後重要であり、日本はAPECがFTAAPの育ての親(インキュベーター)として貢献できるよう、引き続き積極的な役割を果たしていく旨表明。

ウ また、FTAAPの実現のためのサービス分野の取組の重要性を指摘し、日本が主導する「製造業関連サービス」及び「環境サービス」への協力を要請。

エ 中小企業の資金調達環境の整備の重要性を指摘。また、日本が進める投資環境改善の取組やアジアとラテンアメリカのバリューチェーンの統合強化に向けた取組を紹介。

オ 「質の高いインフラパートナーシップ」の現状を紹介し、また、日本が進めている能力構築とピアレビュー及びインフラ投資のあり方を模索する調査といった「質の高いインフラ」を促進する取組を通じ地域の連結性強化に貢献していく旨表明。

2 持続可能かつ強靱なコミュニティを通じた包摂的成長

(1) 包摂的成長に向け、科学技術、女性の役割強化、災害リスク軽減等の各分野で協力を継続することを確認。

(2) 「アジア太平洋地域の電力インフラの質の強化に関するイニシアティブ」を歓迎。

(3) 「APEC防災枠組」を承認。

(4) 日本から、概要以下のとおり発言。

ア「一億総活躍社会」の実現に向けた取組を開始したこと、また、「女性が輝く社会」の実現のため「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW!)」を開催したことを紹介。また、APECの枠組においても、女性が管理職に占める割合を高める取組などを実施しており、引き続き貢献をしていく旨言及。

イ APEC地域の電力インフラの質を向上させ、災害に強い電力供給体制を実現していく必要を指摘し、「APEC質の高い電力インフラ・イニシアティブ」を紹介。LNG市場の柔軟化等について議論を深めることの重要性を指摘。

ウ 「仙台防災枠組」も踏まえたAPEC初の包括的な防災枠組が策定されたことを歓迎。防災の観点からも強靱性を備えた「質の高いインフラ」を地域において推進していく旨言及。

エ 東日本大震災やタイの洪水における企業の取組事例を中心とする「APECガイドブック」を紹介し、GVCの強靭化は、APEC全体で取組むことにより初めて可能となる旨指摘。来年、このような取組の好事例について、APEC地域内の情報共有を促進するため、日本で能力構築セミナーを開催する旨言及。

3 多角的貿易体制の支持

(1)WTOを中心とする多角的貿易体制が世界経済の礎であるとの認識を共有。その強化のため、保護主義抑止のコミットメントを再確認し、第10回WTO閣僚会議(MC10)の成功の重要性につき一致。また、情報技術協定(ITA)拡大、環境物品協定等の有志国間交渉の進展の重要性を再確認。

(2)日本からは、(1)MC10における具体的な成果とともに、その後のWTO交渉のあり方の検討の必要性を指摘、(2)近年の需給ギャップを背景とした保護主義的措置の増加への懸念とその抑止のために国内の構造改革を進めることの重要性を指摘、(3)貿易円滑化協定の早期発効への期待を表明、(4)ITA品目拡大交渉の対象品目合意を評価し、MC10までの最終合意に向けた協力を要請。


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