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外国人と企業のダイバーシティ経営~住み心地よいですか,ニッポンの企業

平成28年3月14日
代替テキスト
2月26日,外務省は,品川区立総合区民会館「きゅりあん」において,国際移住機関(IOM)及び品川区との共催,一般財団法人自治体国際化協会の後援により,標記ワークショップを開催した(当日は内外の有識者,駐日大使館関係者,企業関係者,NGO及び一般市民を含め約180名が参加)。冒頭,武藤容治外務副大臣及び濱野健品川区長による開会あいさつの後,ウィリアム・レイシー・スウィングIOM事務局長による基調講演,国内外の有識者によるプレゼンテーションに続き,パネル・ディスカッションが行われたところ,概要と評価は以下のとおり。

1 概要と評価

(1)今回のワークショップでは,国内外の有識者から,経験や研究データを基にした外国人材の育成・管理についてのプレゼンテーションがあり,これを踏まえたパネル・ディスカッションでは,日本企業関係者,日本企業に勤める外国人社員,外資系企業関係者,人事コンサルタントといった様々な立場を代表するパネリストにより,日本企業のダイバーシティ経営の現状と課題について議論を行った。

(2)企業のグローバリゼーションは進んできているが,外国人材が一般に日本人が考えるよりもスピード感のあるキャリア形成を求めることや,彼らが受容(インクルージョン)されていると実感できる職場環境の創出のためには,まだ改善の余地がある。そのような認識の下,外国人,中でも高度人材たる外国人が日本の企業でその能力を十分に発揮し,活躍するために,企業側あるいは上司や同僚などの周囲はどのようなことができるかについて活発な議論がなされ,提言をまとめることができた。

2 パネル・ディスカッションにおける提言及び議長総括(議長:北浦正行・公益財団法人日本生産性本部参与)

(1)各パネリストからの提言

(ア)個の視点に立って考え,日本の人事制度に対して指摘があれば冷静に評価し,変えるべきところは変える柔軟性を持つことが必要。評価制度を明確にすることでキャリアの展望が開ける。
(イ)直属の上司や同僚等がコミュニケーションを意識してとることを通じて互いに理解を重ね,次のキャリア形成につなげていく。働きやすい環境として人間関係が良好な職場であること,人種・国籍に関係なく能力が正当に評価され,それが目に見える形であること,企業の戦略を明確に説明することが重要。
(ウ)暗黙の了解や前提条件を捨て,ゼロベースからコミュニケーションをすることにより,互いの理解が深まり,多様な文化を受容する基礎が形成される。
(エ)外国人を受け入れる意識があるというだけではなく,外国人が尊重され,組織に受容(インクルージョン)されていると感じるような行動をすべき。

(2)議長総括

ベースにあるのは日本とそれ以外という意味での「異文化」ではなく,日本もその一つであるという「多文化」の視点。外国人にとって心地よい企業のキーワードは,コミュニケーション,キャリア構築,柔軟な制度。人材育成においては,キャリアパスについて明確に説明すること,人材を「育てる」から「育つのを支援する」という自立の思想をもって,柔軟な制度を構築することが求められている。

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