ジンバブエ共和国

基礎データ

令和6年11月21日
ジンバブエ共和国国旗

一般事情

1 面積

38.6万平方キロメートル(日本よりやや大きい)

2 人口

1,665万人(2023年:世銀)

3 首都

ハラレ

4 民族

ショナ族、ンデベレ族、白人

5 言語

英語、ショナ語、ンデベレ語他(憲法で公認されている言語は16言語)

6 宗教

キリスト教、土着の伝統宗教

7 国祭日

4月18日(独立記念日)

8 略史

年月 略史
11世紀 ショナ族によるマプングブウェ王国の成立
13~15世紀 ジンバブエ王国の繁栄(グレート・ジンバブエ遺跡)
1890年代~ セシル・ローズ率いる英国南アフリカ会社による占領
1923年 英国の自治植民地としての南ローデシア成立
1953年 ローデシア・ニアサランド連邦成立
1963年 連邦解体
1965年 白人スミス政権による南ローデシア(ローデシア共和国)の一方的独立宣言
1968年 国連安保理対ローデシア経済制裁決議採択
1970年代 黒人解放団体によるゲリラ活動の激化
1979年 独立に向けて平和的解決合意(ランカスターハウス制憲協定の署名)
1980年 ジンバブエ共和国として英国から独立、ムガベ首相就任
1987年 ムガベ大統領就任
1990年 ムガベ大統領再選
1996年 ムガベ大統領三選
2002年 ムガベ大統領四選
2008年3月29日 総選挙(大統領選挙、上院・下院選挙、地方選挙)実施
2008年6月27日 大統領決選投票の末、ムガベ大統領が五選
2009年2月13日 包括的政府が成立(ムガベ大統領、チャンギライ首相)
2013年7月31日 ムガベ大統領六選
2017年11月 ムガベ大統領辞任、ムナンガグワ大統領就任
2018年7月30日 総選挙(大統領選挙、上院・下院選挙、地方選挙)実施
2018年8月26日 ムナンガグワ大統領就任
2023年9月4日 ムナンガグワ大統領再選

政治体制・内政

1 政体

共和制(複数政党制)

2 元首

エマソン・ダンブゾ・ムナンガグワ大統領(Emmerson Dambudzo MNANGAGWA
2017年11月24日就任。2023年9月4日再選(2期目、任期:5年)

3 議会

二院制
(下院:定数280名(選挙区選出210名、比例代表女性60名、比例代表青年10名)、任期5年、上院:定数80名(選挙区選出60名、伝統的チーフ代表枠18名、障害者代表枠2名)、任期5年)

4 政府

外相名
アモン・ムルウィラ外務・国際貿易大臣(Hon. Professor dr. Amon Murwira

5 内政

  • (1)1980年の独立以来37年間にわたり、ムガベ大統領(2019年に95歳で死去)が実権を掌握した。
  • (2)2008年に実施された大統領選挙に関し、公正・自由ではなかったと国際社会から強く非難された結果、アフリカ周辺国等の仲介努力を経て、2009年、大統領にムガベ大統領、首相にチャンギライMDC党首(当時)が就任する包括的政府(与野党協働政府)が成立した。
  • (3)2013年5月に制定された新憲法に基づき2013年7月31日に大統領選挙、議会選挙、地方議会選挙が実施された結果、ムガベ大統領が六選を果たし、包括的政府は解消された。
  • (4)グレース・ムガベ大統領夫人(当時)率いる「G40」と、軍を後ろ盾としたムナンガグワ副大統領(当時)率いる「チーム・ラコステ」との対立が激化する中、2017年11月、軍の介入を契機としたムガベ大統領の辞任によりムナンガグワ副大統領が大統領に就任した。
  • (5)2018年7月に実施された大統領選挙の結果、ムナンガグワ大統領が得票率50.8%で勝利した。
  • (6)2023年8月、大統領選挙、議会選挙、地方選挙が実施され、ムナンガグワ大統領が52.6%を獲得し、第2次ムナンガグワ政権が発足した。

外交・国防

1 外交

  • (1)2000年以降の各種選挙プロセスの混乱や政治暴力の横行、人権状況の悪化、土地改革による白人農家からの土地収用等を理由に、欧米諸国は、渡航禁止、資産凍結などを含む経済制裁措置を実施(2003年末には英連邦を脱退)。欧米諸国との関係悪化を受け、ジンバブエは「ルック・イースト」政策として、中国やイランとの関係を強化。
  • (2)2017年の政権交代後、ムナンガグワ大統領が各種改革を打ち出したことで、国際社会においては、ジンバブエ国内状況の改善に向け期待がみられた。他方、2018年の選挙後の事態及び改革実施の遅延を受け、ジンバブエと欧米諸国との関係改善は実現していない。
  • (3)欧米諸国による「経済制裁」には一部緩和も見られるが、依然として制裁は継続されており、2023年に実施された各種選挙の結果を巡っても、欧米諸国との関係は低迷している。
  • (4)ジンバブエは「Engagement and Re-Engagement」という政策を掲げ、欧米諸国との関係改善を目指すだけでなく、歴史的に関係の深い中国やロシア、アフリカ諸国(特にSADC諸国)、UAEやインドなどとの関係構築・発展を進めている。

2 軍事力

(1)予算
38.9百万米ドル(2020:ミリタリーバランス)
(2)兵役
志願制
(3)兵力
総兵力 55,800(陸軍 30,000、空軍 4,000、パラミリタリー:21,800)

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

  • (農)たばこ、綿花、園芸
  • (鉱)プラチナ、クローム、ニッケル、金、ダイヤモンド
  • (観光)ビクトリアの滝やグレート・ジンバブエ遺跡等、世界遺産5か所

2 GNI

290億米ドル(2023年:世銀)

3 一人当たりGNI

1,740米ドル(2023年:世銀)

4 経済成長率

5.0%(2023年:世銀)

5 物価上昇率

104.7%(2022年:世銀)

6 失業率

8.8%(2023年:世銀)

7 貿易額(2022年:UNCOMTRADE

(1)輸出
65.86億ドル
(2)輸入
86.00億ドル

8 主要貿易品目(2022年:UNCOMTRADE)

(1)輸出
貴金属、タバコ、ニッケル、合金鉄等
(2)輸入
石油、自動車、薬剤、無機質・化学・窒素肥料等

9 主要貿易相手国(2022年:UNCOMTRADE)

(1)輸出
南アフリカ(41.8%)、アラブ首長国連邦(32.3%)
(2)輸入
南アフリカ(40.5%)、中国(13.9%)、シンガポール(13.6%)

10 通貨

 ジンバブエ・ゴールド(ZiG、2024年4月に導入)。
 2009年1月から複数外貨制を導入し、主として米ドル、南アフリカ・ランドを使用していた。旧ジンバブエ・ドルの流通は事実上停止。2014年1月より、日本円、中国元、豪ドル、インド・ルピーを新たに法定通貨として導入。2016年11月、米ドル現金の不足を補うため米ドルと同価で国内のみに流通するボンド紙幣を導入。2019年6月、ジンバブエ・ドルを唯一の法定通貨として再導入したものの、ハイパーインフレーションによる紙幣不足により、2020年3月より、暫定的に米ドル紙幣の流通が認められた。2022年には2025年までの期限付で複数通貨制度が正式に認められたものの、経済の殆どが米ドルで成り立っていることを鑑み、複数通貨制度を2030年まで延長した。その後もジンバブエ・ドル建てのインフレ率は高止まりし、2023年1月には統計局が国内の経済取引の80%が米ドルでなされていると発表。2024年4月に新通貨ジンバブエ・ゴールド(ZiG)が導入され、政府・中央銀行はその普及と信頼醸成に取り組んでいる。

11 経済概況

 1990年代後半以降、脆弱なガバナンスと経済政策の失敗により、インフレ、失業、貧困等が続いていたが、2008年の大統領選挙を巡る混乱と過度の紙幣発行によるハイパーインフレーションによって、経済は極度に混乱した。2009年1月、政府は複数外貨制(米ドル、南アフリカ・ランドを含む計9か国の通貨を国内流通通貨とする制度)を導入し、また同年2月に成立した包括的政府のもとで、中央銀行の準財政活動等抑止、現金予算編成に取り組んだ結果、極度の経済混乱は収束し、12年ぶりに経済成長を記録した。2012年以降は、慢性的な貿易赤字、巨額の対外債務や公務員給与で逼迫する財政等により、経済成長が鈍化している。政府は、2030年までにGDPを700億米ドルにすることを目標に掲げており、達成には年間10%の成長率が必要とされている中、物価上昇率は2020年に557%を記録した。政府はインフレ率の制御に試行錯誤しており、金貨の導入や外貨保有率の調整、中銀の準財政機能の財務省への移行、新通貨ZiGの導入など、様々な金融政策を導入し、自国通貨の信頼醸成及び流通に努めているが、国民の現地通貨に対する不信感が払拭できず、米ドルによる経済が続いている。また、2022年末より巨額の対外債務により発生している延滞債務の解消に向けてアフリカ開発銀行を筆頭にドナー国との対話を開始し、2023年には政府がIMFに延滞債務解消を目的としたSMP(スタッフ・モニタリング・プログラム)の要請を行い、IMFはこれを承諾した。SMPは、2024年4月に開始される予定であったが、新通貨ZiGの発表により、IMFは実施を延期することを決定した。

経済協力

1 日本の援助実績(2022年度までの累計)(単位:億円)

  • (1)有償資金協力 380.65億円(2022年度なし)
  • (2)無償資金協力 622.63億円(2022年度12.20億円)
  • (3)技術協力実績 210.01億円(2022年度3.89億円)

2 主要援助国(2022年、単位:百万米ドル)

  • (1)米国(289.19)
  • (2)英国(46.61)
  • (3)スウェーデン(32.93)
  • (4)ドイツ(31.35)
  • (5)スイス(12.23)
  • (6)日本(8.69)

二国間関係

1 政治関係

1968年
国連の南ローデシア制裁決議履行の一環として在ソールズベリー総領事館(1960年開設)を閉館
1980年
ジンバブエ共和国独立と同時に国家承認
1981年
在ジンバブエ日本大使館開設(5月2日)
1982年
在京ジンバブエ大使館開設(3月8日)

2 経済関係

日本の対ジンバブエ貿易(2023年:財務省貿易統計)
(1)貿易額
輸出 28.9億円
輸入 77.7億円
(2)主要品目
輸出 自動車、医薬品
輸入 葉たばこ、粗鉱物、綿花

3 在留邦人数

86人(2023年10月現在)

4 在日当該国人数

332人(2022年12月現在)

5 要人往来

(1)往(1980年以降)
年月 要人名
1980年 山中貞則特派大使(独立式典)
1981年 愛知和男外務政務次官
1984年 北川石松外務政務次官
1991年 鈴木宗男外務政務次官
1994年 東祥三外務政務次官
1995年 柳澤伯夫外務政務次官
1997年7月 小泉純一郎厚生大臣
2000年1月 矢野哲朗参議院外交防衛委員長
2006年7月 日・AU友好議連南部アフリカ訪問団(大野功統衆議院議員(団長))
2012年8月 加藤敏幸外務大臣政務官(アフリカ貿易投資促進のための官民合同ミッション)
2013年8月 鶴保庸介国土交通副大臣(第20回UNWTO総会出席)
2015年9月 中根一幸外務大臣政務官
2016年3月 河野雅治政府代表
2017年8月 日AU議連(逢沢一郎会長)
2018年8月 田中和徳衆議院議員(総理特使、ムナンガグワ大統領就任式)
2024年7月 日AU議連(山際大志郎幹事長)
(2)来(1980年以降)
年月 要人名
1980年 ムゼンダ副首相兼外相
1981年 ムガベ首相夫妻
1983年 マサンゴ運輸相
1986年 マングウェンデ外相
1986年 ンドロヴ工業技術務相
1987年 チゼロ財務相
1987年 カンガイ・エネルギー相
1989年 ムゼンダ副大統領(大喪の礼参列)
1989年 ムガベ大統領(国賓)
1990年 ムレルワ環境観光相(花博出席)
ムゼンダ副大統領(即位の礼参列)
1991年 チゼロ大蔵経企開発相(LLDC東京フォーラム出席)
1993年 フングエ・マシンゴ州知事
1993年10月 シャムヤリラ外相(TICAD出席)
マサヤ大蔵・経企・開発担当国務相(同上)
1994年1月 マコンベ国会議長(土井衆議院議長招待)
1994年5月 カリマンジラ情報・郵政・通信相
1995年8月 ンコモ副大統領
1995年10月 ゴーチェ外務副大臣
1996年5月 ムデンゲ外相(中国訪問途次立寄り)
1996年10月 チナマサ財務副大臣
1997年5月 モンベショラ鉱業相(投資促進ミッション)、モヨ環境相(第3回気候変動枠組条約会議出席)
1998年10月 ホベ国家開発計画委員長(TICAD II出席)
2000年6月 マングウェンデ国務相(故小渕前総理大臣葬儀参列)
2001年12月 マコニ財務・経済開発相(TICAD閣僚レベル会合出席)
2003年9月 ムデンゲ外相、ムレルワ財務経済開発相(TICAD III出席)
2005年4月 ビマ外務次官、ダマサネ女性・ジェンダー・コミュニティー開発副大臣(愛知万博出席)
2007年10月 ムチェナ科学技術相
2008年5月 ムンベンゲグウィ外相、カセケ観光庁長官(TICAD IV出席)
2009年10月 ジノチキウェイ科学技術相(STSフォーラム出席)
2010年10月 ジノチキウェイ科学技術相(STSフォーラム出席)
2011年7月 マスンダ・ハラレ市長
2012年7月 チョムボ地方行政・都市・農村開発相(世界防災閣僚会議 in 東北出席)
チャンギライ首相(実務訪問賓客)
2012年10月 ビティ財務相(IMF世銀総会出席)
2012年12月 チョムボ地方行政・都市・農村開発相(原子力安全に関する福島閣僚会議出席)
2013年6月 ムガベ大統領夫妻、ムンベンゲグウィ外相、ビマ産業通商相(TICAD V出席)
2013年10月 カスクウェレ環境・水・気候相(水銀に関する水俣条約外交会議出席)
2015年3月 ムガベ大統領、ムンベンゲグウィ外相、チョムボ地方行政・公共事業・住宅相、カスクウェレ環境・水・気候相、パレリニャトワ保健・児童福祉相(第3回国連防災世界会議出席)
2016年3月 ムガベ大統領夫妻(公式実務訪問賓客)、ムンベンゲグウィ外相
2016年5月 ムゼンビ観光相
2016年10月 フロングワネ・スポーツ・レクリエーション相
2017年11月 ムポコ第2副大統領(EM研究機構による招へい)
2018年3月 モハディ副大統領
2019年8月 ムナンガグワ大統領、モヨ外務・国際貿易相、ヌーベ財務相、シリ土地・農業・水・気候・地方再定住相、カゼンベ情報通信技術・配達サービス相、ムルウィラ高等教育・科学・技術相、ンロブ産業・通商・企業開発相他(TICAD7出席)
2019年10月 ムンベンゲグウィ前外相(即位の礼に大統領特使として出席)
2022年5月 ムルウィラ高等教育・革新・科学・技術相
2022年9月 モハディ与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線副党首(安倍元総理大臣国葬儀に大統領特使として参列)
2022年11月 ムナンガグワ大統領夫人(民間女性イベントに参加)
2024年8月 シャワ外務・国際貿易相(TICAD閣僚会合)

6 二国間条約・取極

  • 青年海外協力隊派遣取極(1988年7月)

7 外交使節

(1)ジンバブエ共和国駐箚日本国大使
山中晋一特命全権大使(2023年12月着任)
(2)本邦駐箚ジンバブエ共和国大使
ステュワート・ニャコチョ駐日大使(2023年4月着任)
ジンバブエ共和国へ戻る