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1.ハイレベル交流
今般のグエン・ミン・チエット国家主席の国賓訪日を含め、近年、両国首脳の訪問が毎年行われている。グエン・ミン・チエット国家主席は、天皇皇后両陛下及び皇族方に対するベトナム訪問招待を繰り返し行った。グエン・ミン・チエット国家主席は、福田康夫総理に対し、早期のベトナム訪問を公式に招待した。双方は、双方にとって都合の良い早期に、ノン・ドゥック・マイン共産党書記長が訪日することへ希望を表明した。双方は、衆議院議長の招請により、来年前半にグエン・フー・チョン国会議長の訪日が実現することに強い希望を示した。
2.日越協力委員会
二国間関係を戦略的パートナーシップに深化させるため、政策対話が重要である。両国は、本年5月、両国外相が共同議長を務める総合的な政策対話である日越協力委員会を成功裡に開催し、2008年ベトナムで第2回委員会を開催する。
3.政府間交流
外務次官級政務協議を含む多様な分野の政府間協議が実施されている。ベトナム側は、様々な日本側招聘プログラムにより多数のベトナム政府関係者が訪日していることに感謝の意を示す。その関連で、日本側は、ベトナムが日本の中堅外交官の招聘を来年開始することを歓迎する。
4. 防衛交流
両国間で外交・防衛当局間協議(PM)、防衛当局間協議(MM)、幕僚間対話、教育交流など防衛交流が着実に進展している。3月、陸上幕僚長がベトナムを訪問した。双方は、ハイレベル訪問や海上自衛隊艦艇のベトナム訪問を含む防衛当局者の引き続いての交流により、防衛交流を更に促進する考えである。
5.治安、警察
今年4月、レー・ホン・アイン公安大臣が訪日した。双方は、警察当局間における交流の重要性を再確認し、この分野で更に具体的な協力を発展させることを希望する。その関連で、日本側は、警察幹部ミッションのベトナム派遣を検討する。
6.友好議員連盟
日ベトナム両国の友好議員連盟が二国間関係の強化に大きく貢献している。両国議員は頻繁に訪問を行っている。武部勤・日本側友好議員連盟会長は他の会員とともに8月、ベトナムを訪問し、ホー・ドック・ヴィエット・ベトナム側友好議員連盟会長は日本の招待プログラムにより10月日本を訪問した。双方は、両国議員間の定期的な対話枠組が構築されることに期待を表明する。
7.投資環境整備
「ベトナムの競争力強化のための投資環境整備に関する日越共同イニシアティブ」は建設的であり、日本からの直接投資の大幅増加に貢献した。日本の対ベトナム投資は過去3年間で10倍に増大した。双方は、11月に発表された同イニシアティブ・フェーズ IIの報告の誠実なフォローに協力する。また、双方は、同イニシアティブ・フェーズ IIIを開始する。双方は、投資誘致にとり、知的財産権保護の促進も重要であることを強調する。双方は、OECDのもとで日本も人的資金的協力を行って進めている「投資のための政策枠組(Policy Framework for Investment、PFI)」に関するベトナム・プロジェクト・フェーズ IIについて、ベトナムの更なる投資環境整備のため、今後とも着実に実施することを確認する。
8.日越経済連携協定(JVEPA)
双方は、日越経済連携協定を重視するとともに、2007年1月以降に行われた集中的な交渉の前向きな成果を認識する。双方は、互いに利益をもたらす質の高い協定を出来るだけ早期に締結すべく、交渉をさらに進める決意を表明する。
9.政府開発援助(ODA)
ベトナム側は、日本が政府開発援助(ODA)の最大の援助国としてベトナムの経済・社会の近代化に貢献しており、2002年度から2006年度の過去5年間の累積援助額が4788億円にのぼることに深謝する。2005年度以降、日本の対ベトナムODAは年間1000億円を超える。日本側は、今後数年の対ベトナムODAでインフラ整備分野、投資環境整備分野、環境保全分野等について支援を継続する。
10.南北高速道路、南北高速鉄道、ホアラック・ハイテクパーク
ベトナム側は、昨年の共同声明でベトナム側が提案した南北高速道路、南北高速鉄道及びホアラック・ハイテクパークに関し、日本が誠実に協力してきたことに深謝する。この協力には、2月の日本の代表団派遣、6月の交通戦略に関する事前調査、企業ミッションの派遣、11月のホアラック・ハイテクパークのマスタープラン改訂の報告書完成が含まれる。双方は、ホアラック・ハイテクパーク内の関連インフラについて可能な協力を調査することを含め、同開発計画の準備のための協力を歓迎する。ベトナム側は、ホアラック・ハイテクパーク内に先端科学技術研究所を設立する希望を表明する。双方は、これら3案件に関し、両国の相互利益に資する連携を維持し、効果的な協力を継続する。
11.主要インフラ
ベトナム側は、日本の協力により主要な橋梁、港湾、道路などインフラ整備が進展していることを深謝するとともに、本年、タンソンニャット国際空港ターミナルが開港し、ホーチミン市都市鉄道の協力が進展していることを歓迎する。ベトナム側は、日本に対し、ハノイ及びホーチミン市の都市交通改善計画に参加することを求める。日本側は、日本の優れた技術や知見を活用しつつ、成長促進、生活水準の改善、社会問題の解決、制度整備のような優先分野で支援を行うことで、ベトナムの社会経済開発に力強く協力していく旨再確認する。双方は、カントー橋での事故に遺憾の意を表明し、インフラ建設における安全確保の重要性を強調するとともに、この分野での協力を継続することを再確認する。
12.証券取引
双方は、東京証券取引所グループとホーチミン証券取引所の協力を歓迎するとともに、我が国金融庁とベトナム財務省との間における相互協力のための将来的なメカニズムの構築を期待する。
13.ビジネス交流
双方は、両国のビジネス交流の重要性を再確認し、ベトナムの裾野産業の発展に資する取り組みとして、ジェトロによる企業ミッションの派遣や展示会の開催を評価する。また、今回のグエン・ミン・チエット国家主席訪日の機会に東京と大阪で開催される経済フォーラムを評価する。
14.地域経済協力
双方は、地域の繁栄をより確固たるものとするため、日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定の交渉妥結を歓迎し、AJCEP協定の早期発効、東アジア包括的経済連携(CEPEA)の研究といった地域経済協力の促進、並びに東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の時宜を得た設立の重要性について意見を同じくする。
15.世界貿易機関(WTO)
日本側は、2007年にベトナムがWTOに加盟したことを歓迎する。日本側は、ベトナムの市場経済となることに向けた強い努力を歓迎する。双方は、包括的でバランスの取れた成果を得てドーハ・ラウンド交渉が早期かつ成功裡に妥結するよう協力を行う。この関連で、日本側はベトナムがWTOの約束を履行し、多角的貿易体制に更に統合することを引き続き支持する。
16.法制度整備
ベトナム側は、ベトナムの社会経済発展のために、法の支配の確立が必要であることを認識し、この分野における日本の協力に謝意を表明するとともに、民事・刑事両訴訟法改正や国家賠償法起草など法整備に関する新たなプロジェクトを歓迎する。
17.行財政改革
ベトナム側は、ドイモイ路線のもと、ガバナンス強化に取り組んでおり、貧困削減支援貸付(PRSC)など財政支援や税制改革支援といった日本の制度改革支援を評価する。
18.科学技術協力協定
2007年3月に、両国科学技術担当相の参加も得て、第1回科学技術合同委員会が成功裏に開催された。双方は、同委員会でリスト化した協力プロジェクトを進展させた上、2008年にベトナムで第2回委員会を開催する。
19.機関間協力
ベトナム科学技術院(VAST)と日本学術振興会(JSPS)や産業技術総合研究所(AIST)といった日本側関係機関との間でバイオマスなど科学技術協力が進展している。双方は、関係機関間協力を促進する。
20.宇宙
双方は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)及びベトナム科学技術院(VAST)の間の合意に基づくリモート・センシング及びその利用、小型衛星開発及びその利用といった分野における協力を評価する。双方は、2008年にベトナムで日越が第15回共催するアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-15)の成功に向けて協力する。
21.感染症
ベトナム側はベトナム国立衛生疫学研究所に対する日本の協力に謝意を表明する。同研究所は感染症臨床学研究拠点となっている。双方は同研究所を将来メコン地域の拠点として活用する。
22.情報通信技術(ICT)
ベトナム側は、アジア・ブロードバンド計画やアジアITイニシアティブの枠組の下、情報通信技術に関する協力が促進していることを高く評価し、本年、次世代IPネットワークやモバイル技術分野で協力が深化していることを歓迎する。双方は、日本のODAによるIT高等教育人材育成プログラムや地方部インターネット利用拡充計画の協力の重要性を強調する。
23.気候変動
気候変動問題は全世界的な喫緊の課題となっている。この関連で、ベトナム側は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の究極的な目的を達成するための日本の提案「美しい星50」を評価し、双方は、「世界全体の排出量を2050年までに現状に比して半減する」必要性を共有する。双方は、気候変動問題の解決のため全ての主要排出国が参加する2013年以降の実効的な枠組みの構築に参加する。双方は、気候変動対策、エネルギー効率改善、原子力を含むクリーン・エネルギーの利用、気候変動に伴う災害リスクに対する適応策の実施への相互協力を促進する。双方は、環境汚染対策と気候変動対策に同時に資するコベネフィット・アプローチを促進することで一致する。双方は、京都メカニズムに基づくクリーン開発メカニズム(CDM)の利用促進のための協力を継続する。
24.環境
双方は、水、3R(Reduce, Reuse, Recycle)計画策定、有害廃棄物対策、公害対策、森林、湿地保全などの分野における二国間及び多国間の環境協力の進展を高く評価する。双方は、温室効果ガスの削減及び生物多様性の保全のため、持続可能な森林経営が重要であることに一致し、二国間協力及びアジア森林パートナーシップ(AFP)や国連食糧農業機関(FAO)といった多国間の協力を通じ、この分野における協力を促進していく。日本側は、アジア及び世界における環境問題の解決に、日本で開発されている環境に優しい小型旅客機の普及が重要な貢献をなすと認識する。
25.天然資源・エネルギー
双方は、東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言及び気候変動、エネルギー及び環境に関するシンガポール宣言のもと、エネルギー効率向上の目標及び行動計画を2009年までに策定することの重要性を再確認する。ベトナム側は、鉱物資源、石炭、石油、天然ガス、石油備蓄、電力、省エネルギー、クリーン・エネルギー分野での日本の協力を高く評価する。双方は、3月の日越エネルギー・フォーラム開催、10月のベトナム北部地域でのレアアース共同地質調査プロジェクト実施など本年の協力進展を歓迎する。双方は、石炭・鉱物資源政策対話を含む近い将来の協力を促進する。
26.原子力
エネルギー安全保障及び地球環境保全の観点から、原子力の平和的利用に関する協力は重要である。双方は、ベトナムにおける原子力の平和的利用のために必要な基盤整備を含む二国間協力を継続させる意図を表明する。双方は、アジア原子力協力フォーラム(FNCA)の枠組みにおける多国間協力を促進し、本年12月に東京で開催される第8回FNCA閣僚級会合を歓迎する。原子力の平和利用に関しては、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティを確保することが必要であり、これには、IAEA追加議定書、核物質防護条約及び原子力安全条約が極めて重要な役割を果たす。これらの努力は、将来的に日越原子力協力協定に関する意見交換につながり得るものである。
27.省エネルギー・再生可能エネルギー
双方は、特に省エネルギー・再生可能エネルギーの分野において、ベトナムでの高性能工業炉及び産業廃棄物発電技術の導入に向けたモデルプロジェクトの進展を歓迎する。ベトナム側は、日本のベトナム商工省への省エネルギー長期専門家の派遣を高く評価する。
28.外交関係樹立35周年
来年は日越外交関係樹立35周年である。双方は、ベトナムにおいて行われている学生による映画制作活動を通じた青年交流、ハノイ・ホーチミンの音楽祭、日本において明年開催されるベトナム・フェスティバルのような多様な交流を通じて、国民間の相互理解が深まることを希望する。
29.青少年交流
両国国民の相互理解を深めるためには、人物交流、とりわけ青少年交流の促進が重要である。日本側は、21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS Programme)やODAスキームに基づくプログラムを含む様々な計画の下、今後5年間で2000人以上のベトナム青少年を日本に招聘し或いは留学生として受け入れる。ベトナム側は、このイニシアティブを歓迎する。
30.文化交流
ベトナム側は、国際交流基金日本文化交流センター設置を歓迎する。双方は、文化交流を更に促進し、日越文化交流フォーラムが日越両国の友好協力の促進に貴重な貢献をなすことを希望する。進行中の両国の蓮の交配事業は、文化的類似性を象徴し、友好の促進に貢献する。
31.教育、学術交流、人材育成
双方は、特に大学、研究機関、人材育成センター間の教育協力が重要であると認識する。ベトナム側は、日本におけるベトナム人留学生が増加していることに満足の意を示す。双方は、ベトナムにおいて義務教育を含む各段階で日本語教育が進展していることを歓迎する。双方は、ベトナムの日本研究分野のオピニオン・リーダー育成のために協力を促進する。
32.文化財
タンロン遺跡保存に関する日越合同専門委員会の枠組で協力が進展している。双方は、ユネスコ日本信託基金を活用し、本格的な協力を開始する。双方は、港町ホイアンやハタイ省の伝統集落ドンラム村保存に関する協力が促進していることを歓迎する。
33.観光
観光は大きな潜在力を有する分野である。双方は、2005年の第1回日越観光協力委員会で承認されたアクションプランを実施し、明年日本で第2回委員会を開催する。
34.自治体間交流
双方は、相互理解や経済、文化、教育、人材交流分野での互恵協力を拡充するため、姉妹都市を含む両国自治体間の交流の重要性を強調する。
35.国際連合(UN)
日本側は、ベトナムが2008年から2009年の任期で国際連合安全保障理事会非常任理事国を初めて務めることに祝意を表し、2009年から2010年を任期とする非常任理事国選挙への我が国の立候補に対するベトナムの支持に謝意を表する。双方は、国際連合、特に安全保障理事会における協力を強化していく決意を再確認する。双方は、安全保障理事会の早期改革の実現の必要性を強調する。ベトナム側は、日本が安全保障理事会常任理事国となることへの支持を再確認する。
36.平和維持と平和構築
双方は、国連平和維持活動(PKO)やその他の平和構築に向けての努力に関する対話及び情報交換を促進するために一層緊密に連携できる。双方は、平和構築分野の人材育成のための協力を促進する。
37.テロ対策
双方は、テロ対策における地域協力の重要性を再確認し、ASEAN加盟国がこの分野における協力を強化すべきことを奨励する。
38.人間の安全保障
人間の安全保障について国際社会として共同で取り組んでいくべき。双方は、国際場裡における様々な地球規模課題への取組において、この観点から協力を強化する。
39.東アジア協力
双方は、日ASEAN協力、EAS及びASEAN+3等の既存の枠組みにおける一層緊密な協力を通じて、国際的に共有された利益、平和、安全、安定及び繁栄に基づく地域統合の拡大に努めていく。ベトナム側は、2015年までにASEAN共同体を形成するための開発格差是正や地域の一層の統合に向けたASEANの努力に対する日本の継続的なコミットメントを歓迎する。
40.メコン地域開発
ベトナム側は、日本が本年1月に発表した「日本・メコン地域パートナーシップ・プログラム」を含むメコン地域開発への日本の取り組みを高く評価する。双方は、地域の発展にとって東西経済回廊が大きな潜在性を有していることを認識する。双方は、回廊を最大限活用し、インフラ及び物流効率を改善し、両国ビジネスが回廊への投資を増大するのに好ましい環境を作り出すため、一層緊密な協力を行うことを再確認する。この関連で、双方は、東西回廊の実走実験の成功に協力する。双方は、来年1月の日メコン外相会議において、「開発の三角地帯」に対し日ASEAN統合基金(JAIF)の2000万ドルを活用した支援のパッケージを採択する。
41.朝鮮人民共和国(DPRK)
双方は、北東アジア及びアジア太平洋の平和と安定を維持する上での北朝鮮に関する諸懸案の解決の重要性について述べ、六者会合で合意された「初期段階の措置」の実施及び「共同声明実施のための第二段階の措置」の採択を歓迎する。日本は、日朝間のすべての懸案を包括的に解決することを通じ、北朝鮮との関係を正常化する強い意志を有する。ベトナム側は、その目的のためのあらゆる努力を支持する。双方は、10月3日の成果文書で合意された非核化プロセスの完全な実施及びすべての関係者が2005年9月19日の共同声明の完全な実施に向けた具体的かつ効果的な措置をとることを求める。双方は、北朝鮮が、拉致問題を含む、国際社会の人道上の懸念に対処する必要性を強調する。
42.ミャンマー
双方は、ミャンマーの現在の状況に深い懸念を示す。双方は、全ての関係者の間の真の対話を含む国民和解プロセスの促進が緊急に必要であることを強調する。双方は、ミャンマー政府に対し、イブラヒム・ガンバリ国連事務総長特別顧問はじめ国連に完全に協力するよう呼びかける。
43.アフリカ
双方は、アジアにおける経済開発の成功の経験をアフリカで活かすことの重要性に一致し、TICADの精神に則り、日、ベトナム、アフリカの間で共同プロジェクトを引き続き検討する。この関連で、双方は、モザンビークでの三角協力の実施を検討する意図を共有する。日本側は、ベトナム指導者を2008年5月28-30日に横浜で開催する第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に招待した。ベトナム側は、TICADプロセスがアフリカ開発のために果たしている意味のある貢献を賞賛するとともに、TICAD IVに向け協力していく用意を再確認する。ベトナム側は、同会議にハイレベルの政府代表団を派遣する。
44.軍縮・不拡散
双方は、軍縮・不拡散へのコミットメントを改めて表明し、核兵器を含む大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散を強く懸念しつつ、この分野で協力を継続し、パートナーとして取り組んでいく。ベトナム側は、IAEA追加議定書を早期に承認することを再確認する。