ウズベキスタン共和国

基礎データ

令和7年1月8日
ウズベキスタン共和国国旗

一般事情

1 面積

44万8,969平方キロメートル(日本の約1.2倍)

2 人口

3,570万人(2024年:国連人口基金)

3 首都

タシケント(Tashkent)

4 民族

ウズベク系(84.4%)、タジク系(4.9%)、カザフ系(2.4%)、カラカルパク系(2.2%)、ロシア系(2.1%)等
(2021年:ウズベキスタン大統領付属統計庁)

5 言語

国家語はウズベク語(テュルク諸語に属する。但し、タシケント、サマルカンド、ブハラ等主として都市の諸方言はペルシア語の影響を強く受けている)。またロシア語も広く使用されている。

6 宗教

主としてイスラム教スンニ派

7 略史

年月 略史
古代よりオアシス都市が繁栄。
紀元前250年頃 グレコ・バクトリア王国成立
1世紀~3世紀 クシャーン朝による支配
6世紀中頃~ テュルク系遊牧民(突厥)の侵入、次第に住民のテュルク化が始まる
7世紀 ソグド人の活動が最盛期に
8世紀以降 アラブ勢力の侵入、イスラム教の受容
9世紀後半~10世紀 サーマーン朝成立(文芸・学問の発展)
13世紀 モンゴル帝国の支配
14世紀後半~15世紀 ティムール帝国(首都サマルカンド)成立
15世紀末~16世紀 遊牧ウズベク集団の侵入、シャイバーン朝の成立
18世紀~19世紀 ブハラ・ハン国、ヒヴァ・ハン国、コーカンド・ハン国の支配
1860年~1870年代 ロシア帝国による中央アジア征服
1867年 ロシア帝国、タシケントにトルキスタン総督府を設置し、統治を開始
1918年 ロシア連邦共和国の一部としてトルキスタン自治ソヴィエト社会主義共和国成立
1920年 ブハラ人民ソヴィエト共和国、ホラズム人民ソヴィエト共和国成立
1924年 旧ソ連における中央アジアの民族・共和国境界画定によりウズベク・ソヴィエト社会主義共和国成立
1989年6月 フェルガナ事件(ウズベク人とメスフ人の民族間衝突)
1990年3月 カリーモフ大統領就任
1990年6月20日 共和国主権宣言
1991年8月31日 共和国独立宣言、「ウズベキスタン共和国」に国名変更
2005年5月 アンディジャン事件
2016年9月 カリーモフ大統領逝去
2016年12月 ミルジヨーエフ大統領就任
2021年10月 大統領選挙が実施され、ミルジヨーエフ大統領が再選
2023年7月 前倒しで大統領選挙が実施され、現職のミルジヨーエフ大統領が再々選。

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

シャフカット・ミルジヨーエフ大統領(2023年7月再々選(3期目)、任期は2030年まで)

3 議会

二院制(任期5年、上院:「セナート」(定数65)、下院:「立法院」(定数150)、前回選挙は2024年10月)

4 政府

  • (1)首相 アブドゥラ・アリーポフ
  • (2)外相 バフティヨル・サイードフ

5 内政

  • (1)1991年12月、ソ連の解体とともに独立。初代大統領に選出されたカリーモフ大統領は、1995年12月の国民投票により任期(5年、1人2期)を2000年までに延期。2000年1月に再選を果たし、その後、2002年1月の国民投票による憲法改正で任期を7年間に延長(任期は2007年1月まで)。2007年12月大統領選挙で再選。2008年の憲法改正で任期を5年に短縮、2015年3月大統領選で再選。
  • (2)2016年9月、カリーモフ初代大統領が急逝。上下院は、ミルジヨーエフ首相(当時)への大統領代行職の委任を決定。同年12月に大統領選挙が行われ、同月、ミルジヨーエフ大統領代行が大統領に就任した。就任当初、ミルジヨーエフ大統領は前政権の路線継続を強調したが、徐々に独自色を発揮し、政治、経済、社会、外交等の幅広い分野で改革路線を打ち出している。2021年10月の大統領選で再選。
  • (3)2023年4月の国民投票により、同年5月、憲法が改正され大統領任期が5年から7年に延長。同年7月、任期満了前に大統領選が行われ、ミルジヨーエフ大統領が再選(憲法改正により、連続三選禁止規定上は改めて一期目とみなされる)。
  • (4)独立以来、議会では「人民民主党」と改称した旧共産党が大勢を占め、初代大統領(当時)を支持していたが、2004年12月に実施された二院制に移行後の議会選挙で、同大統領を支持する新党「自由民主党」が第一党となった。2014年、2019年及び2024年に実施された下院選挙後も、政権支持派の諸政党が議席を分け合う状況に変化は見られない。
  • (5)1989年のフェルガナ事件(ウズベク人とトルコ系メフス人との衝突)、1990年のオシュ事件(隣国キルギス南部でのウズベク人とキルギス人との衝突)等の民族間対立の他、1999年2月、2004年4月、7月にはタシケント市等で爆発事件が発生。2005年5月、フェルガナ盆地アンディジャン市にて武装勢力による刑務所等の襲撃や住民による反政府デモが起き、治安部隊が鎮圧の際に一般市民に発砲し、数百名の死者が生じたとされる(アンディジャン事件)。2009年にタシケント市内で武装グループと治安当局との間の銃撃戦等の事件が発生したが、2016年12月のミルジヨーエフ大統領就任以降、国内の治安は比較的安定している。

外交・国防

1 外交基本方針

 独立後はロシア依存を脱却する全方位的外交を展開し、2001年9月の米国における同時多発テロ事件後は、国内空軍基地に米軍駐留を認めるなど米国との関係を強めた。しかし、2005年5月のアンディジャン事件を受け、事件への対応を批難する欧米各国との関係は悪化し、カリーモフ政権の立場を支持する露・中との関係強化が進んだ。2005年11月には、米軍の撤退が完了。2006年1月にはユーラシア経済共同体(EAEC)に加盟、6月には集団安全保障条約機構(CSTO)への復帰を決定したが、その後、2008年10月にはユーラシア経済共同体(現ユーラシア経済同盟)、2012年6月にCSTOに対して、自国の加盟資格を停止した。
 ミルジヨーエフ大統領は外交面でも独自色を発揮し、中央アジア諸国との関係強化が最優先との姿勢を前面に、積極的に首脳外交を展開している。欧米・国際機関との関係も改善傾向。また、2020年春、ロシアが主導するユーラシア経済同盟へのオブザーバー参加を上院及び下院にて決定した。

2 軍事力

総兵力48,000人(陸軍24,500人、空軍7,500人、統合軍16,000人)、準兵力20,000人
(ミリタリー・バランス2023)

経済

1 主要産業

綿繊維産業、食品加工、機械製作、金、石油、天然ガス

2 GDP

1,015.8億ドル(2023年:IMF)

3 一人当たりGDP

2,820ドル(2023年:IMF)

4 経済(実質GDP)成長率

6.3%(2023年:IMF)

5 物価上昇率

10.0%(2023年:IMF)

6 失業率

6.8%(2023年:IMF)

7 貿易額

(1)輸出
244.3億米ドル
(2)輸入
381.4億米ドル

(2023年:ウズベキスタン大統領付属統計庁)

8 主要貿易品目

(1)輸出
金、サービス、工業製品、食料品および動物、化学製品
(2)輸入
機械・輸送機器、工業製品、化学製品、食料品および動物、鉱物性燃料・潤滑油等

(2023年:ウズベキスタン大統領付属統計庁)

9 主要貿易相手国

(1)輸出
ロシア、中国、カザフスタン、トルコ、アフガニスタン
(2)輸入
中国、ロシア、カザフスタン、韓国、トルコ

(2023年:ウズベキスタン大統領付属統計庁)

10 通貨

スム(Sum:1994年6月27日導入)

11 為替レート

1ドル=12,948.10スム(2025年1月8日付:ウズベキスタン共和国中央銀行)

12 経済概況

  • (1)独立当初より市場経済化については漸進的なアプローチを採用した結果、CIS諸国の中では独立後の経済の落ち込みは比較的緩やかであった。GDP成長率については、2020年は、新型コロナ禍の中、プラス成長を維持。2021年以降も年5%以上の堅調な成長率を維持。
  • (2)主要産業は綿花栽培。また、天然資源にも恵まれ、天然ガス、ウラン、金などが豊富。一次産業が主体の経済であり、産業の高度化が課題。
  • (3)ミルジヨーエフ大統領は、経済システムの自由化、投資環境の改善を重視。2017年9月、為替レートの統一を行うとともに、外貨兌換・持出しに対する制限が撤廃された。

経済協力

1 日本の援助実績

(1)有償資金協力 5,280.16億円(2022年度までの累計)
(2)無償資金協力 296.90億円(2022年度までの累計)
(3)技術協力実績 214.94億円(2022年度までの累計)
((1)~(2)は、いずれも交換公文ベース)

2 主要援助国

日本、韓国、ドイツ、米国、フランス、スイス

DAC諸国のODA実績(過去5年)(支出総額ベース、単位:百万ドル)
暦年 1位 2位 3位 4位 5位 合計
2017年 日本 272.74 韓国 58.80 ドイツ 21.00 米国 10.62 スイス 8.11 378.60
2018年 日本 217.55 韓国 37.40 ドイツ 21.48 米国 10.94 フランス 4.11 299.24
2019年 日本 412.69 フランス 176.06 韓国 69.39 ドイツ 21.40 米国 18.95 710.93
2020年 日本 312.83 フランス 231.29 韓国 58.46 ドイツ 34.82 米国 22.51 677.69
2021年 日本 388.90 韓国 42.61 米国 39.74 ドイツ 25.86 フランス 17.42 530.71

(出典:OECD/DAC

二国間関係

1 政治関係

両国関係は良好に進展。双方が大使館を開設済み。人的交流も活発。

  • (1)国家承認日 1991年12月28日
  • (2)外交関係開設日 1992年1月26日
  • (3)日本大使館開館 1993年1月
  • (4)在日ウズベキスタン大使館開設 1996年2月

2 経済関係

日本の対ウズベキスタン貿易(2023年:財務省貿易統計)

  • 輸出 339.8億円(自動車、一般機械、電気機器)
  • 輸入 41.8億円(一般機械、果実及び野菜、肥料)

3 文化関係

一般文化無償資金協力 14件 計8.31億円 (2023年度まで)
草の根文化無償資金協力 9件 計0.68億円 (2023年度まで)
計:8.99億円(2023年度まで)

最近の事例

一般文化無償資金協力(実施額)
2022年度 デジタルアーカイブを通じたシルクロード文化遺産保存計画(5,590万円)
2017年度 タシケント情報技術大学メディア訓練センター機材整備計画(1.87億円)
草の根文化無償資金協力(供与限度額)
2019年度 ウズベキスタン国立世界言語大学日本語教育機材整備計画(992万円)
2012年度 タシケント東洋大学日本語教育・日本研究機材整備計画(851万円)

4 在留邦人数

163人(2023年10月現在:外務省)

5 在日当該国人数

6,591人(2023年12月現在:法務省)

6 要人往来

(1)往(1992年以降)
年月 要人名
1995年9月 日本・ウズベキスタン友好議員連盟(会長:熊谷弘衆議院議員)
1996年4月 武村正義衆議院議員
1997年7月 対ロシア・中央アジア対話ミッション(団長:小渕恵三衆議院議員)
1997年9月 麻生太郎経済企画庁長官
1998年5月 中馬弘毅衆議院外務委員長
1998年11月 渡部恒三衆議院副議長
1999年5月 高村正彦外務大臣
2000年7月 鈴木宗男衆議院議員
2000年7月 武見敬三参議院議員
2000年8月 羽田孜衆議院議員
2001年8月 羽田孜衆議院議員
2001年10月 鈴木宗男衆議院議員
2002年1月 森喜朗衆議院議員
2002年5月 麻生太郎自民党政調会長
2002年7月 杉浦正健外務副大臣(シルクロード・エネルギー・ミッション)
2002年9月 谷口隆義財務副大臣
2002年11月 二階俊博保守党幹事長
2003年1月 土屋品子外務大臣政務官
2003年5月 塩川正十郎財務大臣(EBRD総会)
2004年3月 松宮勲外務大臣政務官
2004年8月 坂本剛二経済産業副大臣
2004年8月 川口順子外務大臣(「中央アジア+日本」対話・第1回外相会合)
2006年8月 小泉純一郎総理大臣
2007年4月 甘利明経済産業大臣
2007年5月 奥野信亮法務大臣政務官
2007年8月 松島みどり外務大臣政務官
2008年7月 額賀福志郎財務大臣
2009年4月 西村康稔外務大臣政務官
2010年5月 菅直人副総理兼財務大臣
2010年8月 岡田克也外務大臣(「中央アジア+日本」対話・第3回外相会合)
2012年5月 山根隆治外務副大臣
2014年1月 上川陽子総務副大臣
2014年5月 麻生太郎副総理兼財務大臣
2014年8月 茂木敏充経済産業大臣
2014年11月 薗浦健太郎外務大臣政務官
2015年7月 薗浦健太郎外務大臣政務官
2015年9月 鈴木馨祐国土交通大臣政務官
2015年10月 安倍晋三総理大臣
2016年4月 山田美樹外務大臣政務官
2016年9月 滝沢求外務大臣政務官
2018年7月 中根一幸外務副大臣
2019年7月 中村裕之文部科学大臣政務官
2019年9月 小林史明衆議院議員、中曽根康隆衆議院議員、本田太郎衆議院議員
2021年8月 中西哲外務大臣政務官
2022年4月 林芳正外務大臣
2023年1月 吉川ゆうみ外務大臣政務官
2024年1月 上月良祐経済産業副大臣
2024年6月 辻󠄀清人外務副大臣
(2)来(1992年以降)
年月 要人名
1992年10月 ムターロフ首相、アブドゥラザコフ外相、バキバエフ財相(旧ソ連邦支援東京会議)
1994年5月 カリーモフ大統領(公式実務訪問)
1996年3月 ハミードフ財相(輸銀主催国際シンポジウム)
1996年12月 スルターノフ首相
1998年1月 スルターノフ首相(IFC投資セミナー)
1999年3月 スルターノフ首相(第5回経済合同委員会)
1999年11月 カミーロフ外相(外務省賓客)
2000年12月 ガニーエフ対外経済関係相
2001年1月 ヌルムラードフ財相
2001年12月 スルターノフ首相
2002年6月 アジーモフ副首相、ガニーエフ対外経済相
2002年7月 カリーモフ大統領
2003年12月 アリーポフ副首相、サファーエフ外相、ポルヴォン・ゾダ司法相
2004年7月 アジーモフ副首相
2004年10月 ラヒーモフ財相
2005年9月 アジズホジャエフ文化・スポーツ相(万博賓客)
2006年5月 アジーモフ副首相
2006年6月 ガニーエフ外相(「中央アジア+日本」対話・第2回外相会合)
2010年4月 ガニーエフ副首相兼対外経済関係・投資・貿易相
2010年12月 ソビーロフ上院議長
2011年2月 カリーモフ大統領(公式実務訪問)
2012年12月 フダイベルゲーノフ非常事態相
2013年3月 ガニーエフ対外経済関係・投資・貿易相
2013年6月 ガニーエフ対外経済関係・投資・貿易相
2013年12月 ガニーエフ対外経済関係・投資・貿易相
2014年3月 ガニーエフ対外経済関係・投資・貿易相
2015年1月 アジーモフ第一副首相兼財相
2015年10月 ガニーエフ対外経済関係投資貿易相
2016年5月 アブドゥハキーモフ労働相
2016年5月 ガニーエフ対外経済関係投資貿易相
2017年7月 クルバーノフ・スポーツ体育国家委員会議長
2017年9月 アブドゥハキーモフ国家観光発展委員会議長
2018年3月 アブドゥハキーモフ国家観光発展委員会議長
2018年10月 ホルムラードフ副首相兼国家投資委員会議長
2018年10月 ホジャーエフ対外貿易相
2019年1月 クドビーエフ雇用・労働関係相
2019年7月 ガニーエフ副首相
2019年10月 ウムルザーコフ投資・対外貿易相
2019年10月 ナルバーエヴァ上院議長(即位の礼)
2019年12月 ミルジヨーエフ大統領(公式実務訪問)
2020年12月 ウムルザーコフ副首相兼投資・対外貿易相
2022年4月 ウムルザーコフ副首相兼投資・対外貿易相
2022年9月 アブドゥラフモーノフ・イノベーション発展相
2022年9月 サファーエフ上院第一副議長(故安倍元総理大臣国葬儀参列)
2022年10月 フサーノフ雇用・労働関係相
2022年10月 ダヴレートフ司法相
2022年11月 アブドゥハキーモフ副首相兼観光・文化遺産相
2022年12月 ノロフ外相(「中央アジア+日本」対話・第9回外相会合)
2023年7月 クチカーロフ副首相
2024年3月 サイードフ外務大臣(外務省賓客)
2024年6月 クドラートフ投資・産業・貿易大臣
2024年10月 クドラートフ投資・産業・貿易大臣

7 二国間条約・取極

  • 1994年5月 日ソ間で結んだ条約の承継を確認
  • 2004年8月 日・ウズベキスタン航空協定発効
  • 2006年6月 日・ウズベキスタン技術協力協定発効
  • 2009年9月 日・ウズベキスタン投資協定発効
  • 2019年12月 日・ウズベキスタン税関相互支援協定発効
  • 2020年10月 日・ウズベキスタン租税条約発効
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