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写真(環境省)
ヤンバルクイナはノグチゲラとともに沖縄本島北部の山地、「ヤンバルの森」にしか生息していない貴重な鳥です。発見は1981年と比較的最近で、当時この大型新種の発見は、ほとんど飛べないという特異な生態もあいまって、大きな話題となりました。正式な発見以前にも1970年代頃から、謎の鳥としていくつかの目撃例があり、地元では昔から知られていて、「ヤマドゥイ」と呼ばれていました。1982年には国の天然記念物として指定されています。
体は約30cm、顔と喉は黒色、眼の後ろにのびる白帯がとても目立ちます。頭上から背中にかけては暗いオリーブ褐色、胸から腹にかけては黒色と白色の横縞模様です。くちばしは太く、あざやかな赤色、先がやや白味がかります。脚は太長く、あざやかな赤色をしています。オスとメスの体の模様・色彩はほとんど同じです。
常緑広葉樹林の林床や、周辺の草地で生活していますが、夜間は樹上をねぐらにしています。飛ぶことはほとんどなく、林床の昆虫類、甲殻類、両生類などを食料にしています。繁殖期は5~7月で、地上に営巣し、1回の産卵数は4~5卵です。
生息地のヤンバルの森は年間約200ヘクタールの伐採が進んでいて、林道やダム建設 による生息域の分断も進んでいます。これにともなって整備された林道では、交通事故死やヒナの側溝での転落死の件数が増加しています。個体数は1985年には1,500~2,000羽と推定されていますが、その後、分布域の山林面積の減少が明らかなので、個体数もそうとう減っていると考えられています。また、ハブの駆除のために移入されたマングースの分布が北上していて、ペットが野生化したノネコ、ノイヌの食害とともに大きな脅威となっています。
(環境省RDB図鑑より)
マングース(写真:琉球大学小倉助教授)