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日米首脳会談(共同プレス行事記録)

平成17年11月16日

(写真)日米首脳会談(共同プレス行事記録)(11月16日)

 11月16日午後12時00分より約20分間、小泉総理及びブッシュ米大統領は日米首脳会談終了後、共同プレス行事を行ったところ、概要以下のとおり。

1.小泉総理冒頭発言

(1)ブッシュ大統領夫妻の京都御訪問を心から歓迎する。本日は幸い良い天気に恵まれ、京都の美しさに触れて頂けたと思う。会談前に金閣寺にも一緒に行くことができた。このような良い環境で日米関係の重要性を踏まえながら、率直な意見交換を行うことができた。国際社会での日米関係の重要性について、「世界の中の日米同盟」という視点からブッシュ大統領と話した。その他の国際社会の諸問題についても、協力していくことで一致した。日本にとって米国はかけがえのない同盟国である。かけがえのない日米関係によって、中国、韓国、その他のアジア諸国をはじめ世界各国との関係を築くことができる。

(2)日米関係が良すぎたり緊密すぎたりすると、日本は方向性を失ってしまうため、日米関係はほどほどにという意見が一部にあるようだが、私はこのような考えはとっていない。日米関係が緊密であればあるほど、中国、韓国、アジア諸国との関係にも資するのである。第二次世界大戦の経験、及び戦後60周年であること、また、過去、現在、将来を踏まえても、日米関係の重要性は変わらないのである。いかに平和・安全を確保し、日本の安定をはかっていくかという観点からも日米関係は重要である。

(3)国連改革に向けた動きを見ても、日米関係の重要性及び国際協調の重要性を理解することができる。米国は日本の安保理常任理事国入りを支持しており、今後とも協力していきたい。

(4)また、今後もテロに対する長い、辛い闘いを覚悟しなければならず、世界の各国が安定した民主的な国を立ち上げることを、支援していかなければならない。イラクやアフガニスタンといった国々が、自らの国を自らの力で立ち上げるために、日本は国際社会の一員としてしっかりと支援をしていかなければならない。

(5)さらに、米軍再編あるいは沖縄の人々の負担の軽減、BSE、あるいは鳥インフルエンザといった、今後ますます日米間で協力していくべき問題も多いが、日米関係の重要性を認識していれば、重要なパートナーとして、同盟国として、国際社会における責任を果たしていけると思う。大変率直な意見交換ができた。日米間の信頼関係を大事にし、「世界の中の日米同盟」という観点からも緊密な関係を維持したい。

2.ブッシュ大統領冒頭発言

(1)まず、暖かいおもてなしに心から感謝する。京都に来て、京都迎賓館に泊まることができたことを本当に光栄に思う。米国民の間では、小泉総理と私が非常に親しい友人であるということがよく知られており、日米関係は重要、かつ非常に強固である。このような関係が平和の維持に資するのである。私は、先般の選挙における総理の勝利を祝福する。日本の人々は民主主義を重視しており、このような人々が判断した結果、総理の勝利がもたらされたのである。民主主義及び自由の拡大が重要であり、イラクやアフガニスタンにおける日本の人々の支援に感謝し、高く評価している。

(2)本日の会談において、中東で重要な進展があったことを報告することができた。11月25日までには、(パレスチナ自治区のガザとエジプトとの間の国境にある)ラファハ検問所の通行が再開される予定である。その他の通行所も今後開通するであろう。海港建設も始まるであろう。ガザと西岸との交通も開始するだろう。中東に民主主義及び自由が根付くチャンスがもたらされている。和平の達成の可能性が高まっている。

(3)総理と私は、日本の安保理常任理事国入りに関して、米国の立場が以前から一貫して変わっていないということを確認した。

(4)我々は、北朝鮮についても意見交換した。国際社会の一員として受け入れられるためには、北朝鮮が全ての核兵器計画を検証可能な方法で廃棄する必要があるということを、北朝鮮の指導者に対して明確にすることについての日本の理解と意志に感謝する。拉致問題に関する懸念を米国は共有している。

(5)我々双方は、貿易について意見交換し、ドーハ・ラウンドが進展しなければならないということで一致した。米国は農産品に対する補助金について、大胆な提案をした。この問題についての総理のご協力に感謝する。

(6)BSE問題については、日本政府が検討を行い、米国産牛肉は安全であろうとの確認を行った。本件について進展が見られていることを評価する。

(7)我々は、援助協調を継続する必要があることを話した。またそのメカニズムが既にある。日本は、アメリカと同じく、貧困に苦しむ人々を助けるため、税金を投じて本当に惜しみなく支援を行ってきている。我々がより協調することで、一層課題解決のために共に作業を行うことができるだろう。我々は共に鳥インフルエンザの問題について取り組んでいくつもりであり、協力して鳥インフルエンザに関する情報の収集及び共有を行うべきである。この問題は、国際的な問題である。

(8)また、日本の改革の進展について総理に祝福申し上げる。我々は貿易の良いパートナーであり、日本の経済は成長している。私は最初の東京訪問を思い出した。日本の経済成長のためには改革が必要であると総理は述べられていたが、経済成長の進展を祝福したい。2005年の上半期で日本のGDPが4.5%も上昇したことは、日本及び貿易パートナーにとって良いニュースである。

(9)総理の強いリーダーシップに祝福申し上げると共に、我々の友情に感謝する。

3.質疑応答

(1)(時事通信)

(対小泉首相)在日米軍再編について、首脳会談では具体的にどのような意見交換が行われたのか。沖縄はじめ地方自治体の反発が強いが、首相は来年3月の最終報告とりまとめに向け、どのように対処するのか。

(対ブッシュ大統領)日本側が最終報告のとりまとめに向けてどのように取り組むことを期待するか。

(小泉総理)在日米軍の基地の問題について、今まで外務大臣、防衛庁長官、米側国務省長官、国防長官と入念な議論が積み重ねられた結果、中間報告が出された。地元の方々の反発については承知しており、基地について賛成か反対かと言われれば、基地反対というのが率直な日本人の気持ちである。しかし、日本の平和と安全という恩恵は基地の存在によって維持されており、そのためには代価を払う必要がある。日米安保条約締結によって、日本の平和と安全が確保されている。これからは粘り強く日本政府としては解決に向けて努力していく必要があり、時間はかかるが最大限の努力を行っていきたい。

(ブッシュ大統領)日本は民主国家であり、我々は小泉総理のリーダーシップと日本国民によって、この問題を解決するつもりである。

(2)(米側プレス)

(対ブッシュ大統領)本日議会上院によって、イラクからの撤退に期限を設けるという決議は否決されたが、政府がイラク政策について説明することを求め、イラク政策の変更を勧告する共和党提出の決議が採択された。これはイラクに関して共和党が分裂していることを意味するのか。この事実は貴大統領に対するあからさまな挑戦、貴大統領にとって恥ずべき事実だと思われるか。

(ブッシュ大統領)上院が(党派を超えて)任務完了前に撤退を行う(国防歳出法案の)修正案を否決したことに感謝している。上院はイラクで進行中の計画について常に情報提供を受けることを求めた訳だが、その計画とは、議会に明確に説明してきているようにイラク軍を訓練することであり、イラクの人々が立ち上がれば、我々は退くということである。この修正案は我々の戦略と一致していると考えており、引き続き議会と協力していきたい。イラクにおいて民主主義が確立することが重要である。我々が尻ごみすれば、テロリストたちは罪のない人々を殺害することで、我々をイラクから追い出そうとするだろう。

(3)(テレビ東京)

(対小泉総理)イラクへの自衛隊派遣について、首相は会談で派遣期限が切れる12月14日以降の対応について、大統領にどのように説明したか。

(対ブッシュ大統領)日本による復興支援に何を期待するか。

(小泉総理)日本のイラク支援については自衛隊の活動も含めて日本としてはイラクがイラク人自身の力によって自らの国を安定した民主的なものにしたいと努力の最中である。政治プロセスも現在多くの困難を抱えながらも進んでいる。そういう中にあって、日本政府としては国際社会の責任ある一員としてイラクの復興支援に何ができるかということを考えて今日までも様々な支援を提供してきた。この考えに今も変わりはない。12月にどのような支援をなされるかということだが、それはまずイラクの復興支援のために日本が何ができるか、そして多国籍軍はじめ多くの国が今イラクの復興に汗を流している、その国際社会の一員として日本としても一緒にやっていく、さらに日米同盟の重要性というものをよく考えながら総合的に判断して日本はイラクの人道支援、復興支援のために何ができるかをよく考えながらその状況を踏まえて判断したい。

(ブッシュ大統領)イラク復興支援や自衛隊による支援をどうするかは、日本政府が自ら判断することであると考える。

(4)(米側プレス)

(対ブッシュ大統領)中国に対するアドバイスについて詳細を述べて頂きたいが、中国は台湾政府を真似するべきだと思われるか。

(ブッシュ大統領)今日の午後、この点についてスピーチをする予定であるため、そのスピーチをよく聞いて頂きたいが、例えば第二次世界大戦前夜においては、オーストラリアとニュージーランドの二国のみがこの地域の民主主義国家であったが、今日では様々な民主主義国が存在する。国民が意見を述べられることができるようになることで、社会はより安定する。私のメッセージは普遍的である。リーダーシップは、自国内における自由をおそれるべきではない。自由な社会は自らの利益となり、安定した、成熟した社会を築く。私は「一つの中国」政策を支持しており、三つのコミュニケを遵守し、台湾関係法を堅持する。中国も台湾も現状を変えようとするべきではない。平和的解決のために、今後、対話を進めていくべきである。

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