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日米次官級経済対話(概要)
(12月6・7日 於:東京)

平成19年12月10日

 12月6、7日に日米経済次官級対話が東京にて開催されたところ、概要以下のとおり。今次会合は、11月16日に行われた日米首脳会談を踏まえ、世界経済が多くの課題に直面している中で、日米両国が経済分野における世界規模での協力関係を強化していくために、二国間経済関係強化の在り方に加えて、両国が協力して対処すべき地域的課題やグローバル経済における課題についても話し合うために開催された。

【出席者】

日本側:
河野外務審議官、豊田経産審議官、篠原財務官(6日夕食会)、柴田国交審議官(6日午後)、山下農水省官房審議官、上田厚労省技術総括審議官他(7日午前)

米側:
プライス大統領補佐官(国際経済担当)、ベロノー次席通商代表、マコーミック財務次官、パディラ商務次官(代行)、キーナム農務次官、サリバン国務次官補他

I .総論

(1)本件対話では、日米経済関係を一層強化するために、二国間、アジア太平洋地域、そしてグローバルな課題について取るべき具体的な取組につき議論した。これまで日米次官級経済対話の下での具体的活動として、第三国とのFTAに関する情報交換、知的財産権の保護・推進、安全かつ円滑な貿易、透明性、エネルギー安全保障について日米間の協力が進展しているところ、これらの進捗につきレビューした。

(2)また、中国へのアプローチ及びアジアの経済アーキテクチャーにおける日米の協力、日本が議長国をつとめる2010年APECに向けた協調、WTOドーハ・ラウンドの早期妥結にむけた協力等につき、率直かつ忌憚のない意見交換を行った。

(3)米側よりは、二国間の問題として牛肉、郵政、医療機器・医薬品、投資につき提起があった。日本側よりは、1916年AD法、米国向けコンテナ貨物の100%検査につき提起した。

II .各論

1.次官級経済対話の下での活動

(1)FTAに関する情報交換

 日米の各々が進めているFTAの現状につき情報交換を行った。各々のEPA/FTA政策についての理解を深める上でこのエクササイズは有意義であることにつき一致、これを継続することで合意した。

(2)「知的財産権の保護・推進」

 日米間においてはグレンイーグルス・サミットにおいて当時の小泉総理より提案したことに始まるACTA(模倣品・海賊版拡散防止条約)について、日米共同のイニシアチブとして議論をリードしてきているところ、同取組を加速化するとともに、関係国への働きかけを行って行くべき点につき一致、また、特許審査ハイウェイ等特許分野での協力やAPECでの協力も推進することで一致した。

(3)「安全かつ円滑な貿易」

 2001年9月11日の同時多発テロの後、米国政府がテロ対策のためのチェック体制を大幅に強化、物流が阻害されるおそれがあるところ、テロ対策と円滑な貿易とを両立させるために、現在、様々な協力、取組を日米間で進めている。今回の対話ではこうした取組を更に推進することを確認した。米側では2012年7月までの間に、米国向けコンテナ貨物の100%検査を求める法律が成立、日、欧等各国が懸念を表明しており、この点についても議論された。

(4)「透明性」

 行政の手続きの不明瞭性にかかる問題意識であり、これまで日米間においては、TV会議等を通じて双方の取組についての情報交換を進めている。別途、米国は規制改革イニシアチブの下で、日本の審議会のプロセスについてこれまで問題提起してきている。今後の課題としては、APEC等の場を通じた取組強化について議論した。

2.地域の問題

(1)中国へのアプローチ

 中国が持続可能な形での成長を遂げることは日米双方にとって重要であり、日中間においては今月1、2日の日中ハイレベル対話において、マクロ経済、気候変動・エネルギー・環境、貿易・投資、地域の問題等について議論されており、米側においても、12日から米中戦略対話を行うところ、中国に対する日米双方の見方についての意見交換を行った。

(2)アジア経済のアーキテクチャー

 アジアにおける地域協力が進む中、経済面では、日・ASEAN・EPAが合意され、ASEAN+3,+6等についての研究が進展している一方、米側はFTAAPを推進しているところ、こうした状況を踏まえたアジア太平洋地域の繁栄と同地域への米国の関与のあり方についての議論が行われた。なお、日本は2010年に、米国は2011年にAPECの議長国を務めることになることも踏まえ、意見交換を行った。

3.グローバルな課題

(1)WTO、農業改革

 ドーハ・ラウンドにかかる現状につき意見交換するとともに、早期妥結に向けた取組を推進することにつき一致した。農業改革については、米国の新農業法についての米議会での審議が進められているところであり、日本の取組についても説明した。

(2)開発

 11月の福田総理訪米においても取り上げられた問題であり、来年5月のTICADIVを見据えて、アフリカをはじめとする開発への取組についての日米協力に関し議論した。この中で、グローバル・ヘルスについても議論された。11月の首脳会談ではブッシュ大統領よりマラリア対策への強い関心が示されており、我が国よりは高村大臣が11月に保健に関するイニシアチブを発表した旨、併せ紹介した。

(3)気候変動/エネルギー安全保障

 現在行われているバリでのCOP13及び米国の主催する主要経済国会合等における取組、ポスト京都における枠組み作り等、洞爺湖サミットの成功に向けた協力について議論した。これと併せ、日本は「美しい星50」の下で資金メカニズム、米国はクリーン技術基金を提案しているところ、こうした協力のあり方、またAPPの分野別アプローチを広めるための連携についても議論した。

 この関連で、次官級経済対話の下での二国間の協力としてとり進めているエネルギー安全保障については、現下の原油価格の高騰を踏まえたエネルギー安全保障に関する協力の強化、エネルギー効率の向上やエネルギー源の多様化、革新的技術開発の推進における協力、5カ国エネルギー大臣会合、G8エネルギー大臣会合等に向けて日米の協力について議論した。

4.上記に加え、二国間の案件として、米側より米国産牛肉輸入問題、郵政民営化、医薬品・医療機器、投資等について提起があった。日本側からは、米国向けコンテナ貨物の100%検査、1916年AD法等について提起した。

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