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日米規制改革及び競争政策イニシアティブ・7年目の報告書(概要)

平成20年7月5日

 7月5日、北海道洞爺湖にて開催される日米首脳会談に向けて公表された「日米規制改革及び競争政策イニシアティブ」7年目の対話に関する両国首脳への報告書(和文(PDF)PDF / 英文(PDF)PDF)の概要は以下のとおり。

【日本側措置】

1.電気通信

(1)2007年10月、急速な市場変化に的確に対応するため、ブロードバンド市場における公正競争環境整備の具体的な行動計画として策定した「新競争促進プログラム2010」を改定。

(2)2008年3月、情報通信審議会が次世代ネットワークに係る接続ルールの在り方について答申。

(3)2008年1月、電気通信機器の適合性評価に関する日米相互承認協定(MRA)が発効。

2.情報技術

(1)2008年夏に「重点計画-2008」を公表予定。

(2)2008年秋までに「情報システムに係る政府調達の基本指針」の遵守・実施状況に関する報告書を公表予定。

(3)「知的財産推進計画2008」に従って、著作権保護期間延長の是非等について検討を継続。

(4)知的財産権保護の促進のため、米国政府と引き続き協力。模倣品・海賊版拡散防止条約(ACTA)について、米国政府と引き続き連携し、2008年末までに交渉を終えることを目指して議論を加速。

3.医療機器・医薬品

(1)2008年4月の制度改革において、革新的新薬等に対する開発のインセンティブを高め、イノベーションに対する評価を適切に行うとの観点から価格算定上の加算率の引き上げ等が行われた。

(2)医薬品医療機器総合機構がその審査員を2007年度から3年間で236名増加させるとの目標を設定。2008年5月現在、昨年度に比べ審査員が70名増員された。

4.金融サービス

(1)2007年12月に「金融・資本市場競争力強化プラン」が取りまとめられ、銀行と証券の間のファイアーウォール規制については、利益相反管理のための体制整備を求めた上で、役職員の兼職制限の撤廃や法人顧客に係る非公開情報の授受の制限の緩和等が打ち出された。

(2)2008年6月の金融商品取引法の改正により、銀行と証券の間のファイアーウォール規制について、一定の条件のもと緩和を手当て。

5.競争政策

(1)不当な取引制限において主導的役割を果たした事業者に対して課徴金算定率を従来の5割増とすること、課徴金制度の対象を拡大すること、排除措置命令及び課徴金納付命令の除斥期間を3年から5年に延長すること等を含む、独占禁止法改正法案を2008年3月に国会に提出。

(2)同改正法案の附則に基づき、手続上の公正性を確保する観点から,現行の事後審査型審判制度について全面にわたって見直しをするものとし,2008年度中に検討。

6.商法及び司法制度改革

(1)2008年6月10日公表の経済成長戦略に、対日投資拡大の施策として、買収防衛策の導入・発動の在り方の整理・明確化などにより、公正かつ透明性の高いM&A環境を整備することが盛り込まれ、同内容が、同年6月27日に閣議決定された「基本方針2008」にも盛り込まれた。

(2)企業価値研究会が、上記経済成長戦略の内容を踏まえ2008年6月に買収防衛策の発動の在り方等について報告書をとりまとめた。

(3)2007年12月の「金融・資本市場競争力強化プラン」に上場企業等のガバナンス強化についての検討を行うことなどが盛り込まれた。

7.透明性

(1)2008年3月に、翻訳整備計画を改定(3年間で合計約300本の法令を英訳する計画)。

(2)アジア・太平洋地域におけるビジネスや投資環境の改善に資する高い基準での透明性を促進するため、米国政府との協力を強化。

8.その他の政府慣行

(1)2007年12月に銀行等による保険商品の販売が全面解禁。

(2)遅くとも新たな在留管理制度の構築を規定する新法令の施行までに、再入国許可制度の見直しを実施。

(3)国際的に安全性が確認され汎用されている食品添加物46品目及び香料について、2003年以降、食品添加物13品目及び香料15品目の使用を承認。

(4)チューリップヒゲナガアブラムシに対する検疫措置の改正に向けて、WTOに通報。

9.民営化

(1)郵政民営化会社の財務・会計について、他の民間企業と同様の規制の下で開示。

(2)郵便貯金銀行・郵便保険会社と民間金融機関との間の対等な競争条件を確保。主務大臣が業務拡大について決定を下す際には、適正な競争関係と郵便貯金銀行・郵便保険会社の経営状況が考慮されなければならないことを確認。

(3)価格が20万円超の国際郵便物について原則として申告納税方式を適用する時期を、2009年3月までとした。

(4)郵政民営化プロセスの透明性の重要性を認識。

10.流通

 2008年に関税法を改正し、日本のAEO制度(注)に通関業者を含めることとした。当該制度により貨物引取申告と納税申告を分離して行うことが可能となっている。また、税関の臨時開庁手数料を廃止し、申請手続きを簡素化した。

(注) 貨物のセキュリティ管理と法令遵守体制が整備された事業者を税関が認定し、通関手続の簡素化等の特例措置を受けることが可能となる制度。

【米側措置】

1.ダンピング防止措置

 ダンピング防止関連法規則がWTO上の義務に合致するよう確保。WTOにおける「ゼロイング」問題(注)に関しては、WTO勧告履行のために講じた措置の有無もしくは協定整合性に関して、日米間で引き続き協議。

(注) ゼロイングとは、ダンピング調査に際して用いられる計算方法であり、輸出価格が国内価格よりも高い場合の価格差を「ゼロ」とみなし、全体のダンピング率を人為的に高くする手法。

2.税関・流通

 米国政府は、日本国政府が米国向けコンテナ貨物100%検査(注1)が国際貿易や経済活動に与えうる影響について深刻な懸念を有していることに留意。また、24時間ルール(注2)がリードタイムを長くし、物流効率に影響を与えるかもしれないことについて、日本国政府が表明した懸念に留意。

(注1) 2007年8月3日に成立した米国内法(「9.11委員会勧告実施法」)によって2012年7月までに、全ての米国向けコンテナ貨物に対し外国港にて船積前に検査(画像検査及び放射線検査)を実施することを要求されている。

(注2) 米国国土安全保障省税関国境保護局が実施しているテロ対策の一つ。本ルールにより、船会社は、これまで自発的に米国到着の48時間前に税関に送付していたコンテナの積荷目録(manifest)を、外国での船積み24時間前までに電子的に提出することが法的に義務づけられることとなった。

3.領事事項

(1)米国内での査証更新手続が停止されたことに関する日本国政府の懸念を認識。米国政府は、査証更新申請者が米国大使館・総領事館に実際に行かなくてもよい形でのビザ更新申請が可能となる手続につき検討中。

(2)ジョージア州において、外国人が自国の自動車運転免許証を保持し続けることを許容する州法改正法案が可決され、2008年1月1日より施行。

4.投資関連規制

 日米両国政府は、投資関連規則には、透明性、予見可能性、説明責任が重要な要素であるという見解を共有。

5.特許制度

 日本が要望する先願主義を採用する法案が、現在米国議会で審議中。また、米国は、日本及び先進国と、先願主義の観点から起草された条約草案を含む特許法の調和について引き続き協議。

6.政府調達

(1)2007年9月に車両等の調達に係る運輸省公共交通局の大量輸送規則の改正を実施。

(2)日本からの直接の財政支援により米政府がグアムの米軍基地建設工事の入札を行う場合には、外国企業よりも米企業の入札価格を優遇する連邦調達規則補足が適用されないことを確認。

7.輸出関連規制

 輸出管理品目番号(ECCN)に関し、電子的な品目番号請求フォームに、品目分類の結果を商務省BISのウェブサイトに公開することの可否を申請者に尋ねるための記入欄を追加。

8.基準・規格

(1)日本の有機農産物認証の申請について評価が終了し、認証のための次のステップである現地調査に向けた作業を引き続き実施。

(2)うんしゅうみかんのカンキツかいよう病に対する検疫措置の緩和に関し、日本国政府から受理した病害虫危険度解析の再評価のための情報を検討中。

9.州別規制の統一化

(1)米環境庁は水銀を含有する製品に関する州レベルのラベル表示に関する情報を提供。

(2)2007年9月、米国州建設業者許可団体協会試験プログラム・データベースの運用開始。これにより許可手続きを迅速化及び州政府間での情報共有を円滑化。

(3)2008年3月31日、ポールソン財務長官は、金融監督体制改革案を発表し、連邦政府による保険監督体制の構築を提案。

10.競争政策

 米国連邦反トラスト当局は、米国消費者の利益のための競争を促進する観点から、連邦反トラスト法の適用の除外及び免除の適切な範囲に関する考え方を示す機会を引き続き模索。

11.司法制度・法律サービス

 3つの州が、外国リーガルコンサルタント規則(注)を採用し、これにより、米国で外国リーガルコンサルタント制度を持つ管轄区は合計29となった。

(注) 外国の弁護士資格を有する者に対して、当該州において一定の範囲で弁護士として実務を行うことを認める裁判所規則。

12.海運

 米国政府は毎年1億ドルを超える運航補助を10年間に渡り実施するという新運航補助制度に関し、日本国政府に対し、引き続き補助対象船舶リスト及び同制度の変更につき情報提供することを確保する。

13.電気通信

(1)ケーブルテレビにおける双方向機能導入に向けた技術方式に関する必要な措置の実施。

(2)2008年1月22日、商用通信衛星を含む規制対象物品等の輸出許可手続きの迅速化等を図るための大統領令を発出。

(3)2008年1月1日、電気通信機器の適合性評価に関する日米相互承認協定(MRA)が発効。

14.情報技術

 米国政府はデジタル・ネットワーク技術の進展に伴う著作権侵害に関する共通の問題を日本国政府と共有。米国政府と日本国政府はこの問題について、情報交換を行う。

15.医療機器・医薬品

(1)米国食品医薬品庁は、米国業界と同様に日本企業に対しても、医薬品・医療機器に関する議論を行う機会を引き続き提供。

(2)米国商務省は世界同時開発の実現とドラッグラグ解消のために、米国業界が日本企業と協働するように働きかける。

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