アラブ首長国連邦
アラブ首長国連邦(United Arab Emirates:UAE)
基礎データ
令和4年6月9日
一般事情
1 面積
83,600平方キロメートル(日本の約4分の1。北海道程度)
2 人口
約989万人(2020年:世銀)
3 首都
アブダビ
4 民族
アラブ人
5 言語
アラビア語
6 宗教
イスラム教
7 略史
紀元前3000年頃にさかのぼる居住痕が存在。7世紀イスラム帝国、次いでオスマン・トルコ、ポルトガル、オランダの支配を受ける。17世紀以降、英国のインド支配との関係で、この地域の戦略的重要性が認識された。18世紀にアラビア半島南部から移住した部族が現在のUAEの基礎を作った。1853年、英国は現在の北部首長国周辺の「海賊勢力」と恒久休戦協定を結び、以後同地域は休戦海岸と呼ばれた。1892年には、英国の保護領となった。1968年英国がスエズ運河以東撤退を宣言したため、独立達成の努力を続け、1971年12月、アブダビ及びドバイを中心とする6首長国(翌年2月ラアス・ル・ハイマ首長国が参加)が統合してアラブ首長国連邦を結成した。
政治体制・内政
1 政体
7首長国による連邦制
2 元首
大統領:ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下(アブダビ首長)
3 議会
- 連邦国民評議会
- (選挙により選出される20名及び各首長の勅選により任命される20名、計40名の議員(任期4年)から構成。立法権は限定的)
4 政府
- (1)首相:
- ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下(副大統領、ドバイ首長)
- (2)外相:
- アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下
5 内政
- 連邦結成以来、連邦政府は一貫して連邦体制強化を唱えているが、各首長国は独立性を保つ傾向が強い。
- 2004年11月2日、ザーイド大統領が逝去。翌3日、ハリーファ新大統領就任。新大統領の下においても前大統領の穏健路線が継承されている。
- 2006年2月、ムハンマド副大統領兼ドバイ首長を首相とする新内閣が発足。
- 2013年11月、ドバイが2020年の国際博覧会の開催地として選出された。
- 2014年8月、新対テロリズム法が成立し、取締対象武器の範囲拡大、厳罰化等が行われた。
- 2015年10月、第3回連邦国民評議会(FNC)選挙が実施され、議員の半数20名が選挙人の投票で選出。
- 2016年2月、省庁再編・内閣改造が行われ、29名の閣僚からなる新内閣が成立した(2018年9月の内閣改造では、女性9名を含む33名の閣僚から構成)。
- 2019年10月、第4回連邦国民評議会(FNC)選挙が実施され、議員の半数20名が選挙人の投票で選出(半数は女性議員)。
- 2022年5月13日、ハリーファ大統領が逝去。翌14日、ムハンマド新大統領就任。
外交・国防
1 外交基本方針
- (1)欧米諸国、アラブ・イスラム諸国、アジア諸国等と穏健かつ協調的な外交を展開。
- (2)1981年5月設立のGCC(湾岸協力理事会)加盟国との関係を基軸とした現実的な外交を推進(注:2021年1月、3年半以上断交していたカタールと国境を開放)。
- (3)2020年8月、イスラエルとの国交正常化を発表。
2 軍事力
- (1)予算
- 不明(ミリタリーバランス2018)
- (2)兵役
- 徴兵制
- (3)兵力
- 約6.3万人(ミリタリーバランス2021)
経済
1 主要産業
石油・天然ガス、建設、サービス
2 名目GDP
4,211億ドル(2019年:世銀)
3 一人当たり名目GDP
43,103ドル(2019年:世銀)
4 GDP成長率
-0.25%(2019年:世銀)
5 物価上昇率
-2.08%(2020年:世銀)
6 失業率
2.23%(2019年:世銀)
7 総貿易額
- (1)輸出
- 3,064億ドル(2020年)(UNCTAD)
- (2)輸入
- 2,264億ドル(2020年)(UNCTAD)
8 主要貿易品目
- (1)輸出
- 原油、天然ガス、原油製品、再輸出品(金、電化製品等)
- (2)輸入
- 自動車、機械、電化製品
9 主要貿易相手国(2020年:IMF)
- (1)輸出
- インド、日本、中国、スイス、オマーン
- (2)輸入
- 中国、インド、米国、日本、ドイツ
10 通貨
ディルハム
11 為替レート
1$=3.6725ディルハム(1997年11月以来ドルに連動)
12 経済概要
- 天然資源依存型経済から脱却した経済発展のため、豊富な石油収入を背景に活発な投資を行い、製造業やサービス業等の産業多角化を推進。
- ドバイは商業・運輸・物流のハブとして発展(エミレーツ航空は世界の150都市以上に運航)。
13 石油生産量
365.7万B/D(2020年:BP統計)
経済協力
1995年、UAEはODA卒業国となった。
- 有償資金協力 なし
- 無償資金協力(1990年度の1件のみ、ENベース) 5.0億円
- 技術協力実績(2002年度まで、JICAベース) 累計37.27億円
二国間関係
1 政治関係
- (1)1971年12月、UAEの独立を承認。
- (2)1972年5月4日、外交関係樹立の公文を交換。
- (3)1974年4月、大使館設置。UAEは1973年12月、在京大使館設置。
- (4)1995年1月、ドバイに総領事館を開設。
- (5)1990年5月、ザーイド大統領が国賓として来日した。1995年1月、皇太子同妃両殿下のUAE御訪問が行なわれた。
2004年4月、ハムダーン副首相兼外務担当国務相が外務省賓客として来日した。2007年4月、安倍総理がUAEを公式訪問し、ハリーファ大統領と会談した。2007年12月、ムハンマド・アブダビ皇太子が公式実務訪問賓客として来日した。 - (6)2011年3月の東日本大震災に際し、ハリーファ大統領、ムハンマド副大統領が天皇陛下にお見舞いの電報を送った他、アブダッラー外相をはじめとする要人が駐アラブ首長国連邦日本国大使館で弔問記帳を行った。
- (7)2013年5月、安倍総理がUAEを訪問。ムハンマド・アブダビ皇太子との会談、ムハンマドUAE副大統領兼首相との会談後、「日本とアラブ首長国連邦との間の安定と繁栄に向けた包括的パートナーシップの強化に関する共同声明」等を発出。
- (8)2014年2月、ムハンマド・アブダビ皇太子が公賓として来日。2013年5月の両国共同声明の進捗をフォローアップした。
- (9)2017年4月、アブダッラー・外務国際協力大臣が外務省賓客として訪日、皇太子殿下が同大臣に御接見になった他、安倍総理への表敬、岸田外務大臣と会談が行われた。
- (10)2018年4月、安倍総理がUAEを訪問。ムハンマド・アブダビ皇太子と会談し、「戦略的パートナーシップの深化及び強化に関する共同声明」を発出。
- (11)2019年10月、即位の礼にハッザーア・アブダビ執行評議会副議長が参列。
- (12)2020年1月、安倍総理がUAEを訪問。ムハンマド・アブダビ皇太子と会談し、「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)」の下、二国間関係を強化していくことで一致。
2 経済関係
- 対UAE貿易
-
- (ア)貿易額(2020年:財務省貿易統計)
- 輸入 1兆7,506億円
- 輸出 5,933億円
- (イ)主要品目
- 輸入 石油、液化天然ガス、アルミニウム
- 輸出 乗用車・貨物自動車、一般機械、電気機械
3 文化関係
2004年、ナヒヤーン高等教育・科学研究大臣(当時)と河村文部科学大臣(当時)との間で、「高等教育及び科学研究に係る協力に関する覚書」が署名された。
4 在留邦人数
4,358人(2020年10月)、日本人学校(アブダビ、ドバイ)あり
5 要人往来(肩書はいずれも当時のもの)
年月 | 要人名 |
---|---|
1980年2月 | 園田総理大臣特使 |
1980年12月 | 田中通商産業大臣 |
1982年5月 | 安倍通商産業大臣 |
1983年5月 | 山中通商産業大臣 |
1986年11月 | 桜内元外務大臣 |
1992年1月 | 渡部通商産業大臣 |
1995年1月 | 木部衆議院議員 皇太子・同妃両殿下 |
1996年12月 | 高村外務政務次官(建国25周年記念式典出席) |
1997年11月 | 平林外政審議室長(総理大臣特使) |
1999年5月 | 与謝野通商産業大臣 |
2001年1月 | 河野外務大臣 |
2001年7月 | 平沼経済産業大臣 |
2001年10月 | 橋本元総理大臣(総理大臣特使) |
2002年5月 | 中谷防衛庁長官 |
2002年6月 | 谷口財務副大臣 |
2003年4月 | 山崎自民党幹事長 冬柴公明党幹事長 二階保守新党幹事長 中谷衆議院議員(元防衛庁長官) |
2004年1月 | 川口外務大臣 |
2004年4月 | 逢沢外務副大臣 |
2004年11月 | 川口特派大使(総理大臣補佐官、前外務大臣、ザーイド大統領逝去弔問) |
2004年12月 | 逢沢外務副大臣、谷口衆議院議員(日UAE友好議連幹事長) |
2005年4月 | 逢沢外務副大臣 |
2005年7月 | 橋本元総理大臣(総理大臣特使)、谷口衆議院議員(日UAE友好議連幹事長) |
2006年1月 | 金田外務副大臣(ドバイ首長逝去弔問) |
2006年5月 | 福田元官房長官(日UAE友好議連会長) 谷口衆議院議員(同幹事長) |
2006年8月 | 中川農林水産大臣 |
2006年11月 | 浅野外務副大臣 |
2007年4月 | 安倍総理大臣 |
2008年1月 | 甘利経済産業大臣 |
2008年5月 | 上川国務大臣・谷口総務副大臣、山本内閣府副大臣 奥田内閣特別顧問(総理大臣特使) |
2008年7月 | 額賀財務大臣 |
2008年10月 | 中曽根外務大臣 橋本外務副大臣 |
2009年3月 | 福田前総理大臣(総理大臣特使) |
2009年10月 | 直嶋経済産業大臣 |
2010年1月 | 松下経済産業副大臣 |
2011年1月 | 櫻井財務副大臣 |
2011年1月 | 大畠経済産業大臣 |
2011年10月 | 枝野経済産業大臣 |
2012年1月 | 玄葉外務大臣 浜田外務大臣政務官 柳澤経済産業大臣政務官 |
2012年11月 | 本多経済産業大臣政務官 |
2013年1月 | 城内外務大臣政務官 |
2013年2月 | 茂木経済産業大臣 |
2013年4月 | 阿部外務大臣政務官 |
2013年5月 | 安倍総理大臣 |
2013年10月 | 松島経済産業副大臣 |
2014年1月 | 牧野外務大臣政務官 |
2014年1月 | 茂木経済産業大臣 |
2014年4月 | 赤羽経済産業副大臣 |
2014年8月 | 木原防衛大臣政務官 |
2014年8月 | 甘利内閣府特命担当大臣(経済財政政策) |
2014年8月 | 赤松衆議院副議長 |
2014年10月 | 木村総理補佐官 |
2014年11月 | 高木経済産業副大臣 |
2015年1月 | 宮沢経済産業大臣 |
2015年1月 | 中山外務副大臣 |
2015年2月 | 高木経済産業副大臣 |
2015年5月 | 秋葉自民党外交部会長 |
2015年10月 | 西村内閣府副大臣 |
2015年10月 | 西村国土交通副大臣 |
2015年11月 | 高木経済産業副大臣 |
2016年1月 | 山田外務大臣政務官(IRENA総会) 高木経済産業副大臣 |
2016年3月 | 鈴木スポーツ庁長官 |
2016年5月 | 高木経済産業副大臣 |
2016年11月 | 高木経済産業副大臣 |
2016年12月 | 薗浦外務副大臣 |
2017年1月 | 世耕経済産業大臣 |
2017年2月 | 薗浦外務副大臣 |
2017年3月 | 高木経済産業副大臣 |
2017年4月 | 河井内閣総理大臣補佐官 |
2017年6月 | 薗浦外務副大臣 |
2017年7月 | 高木経済産業副大臣 |
2017年12月 | 河野外務大臣 |
2018年1月 | 河野外務大臣 |
2018年1月 | 世耕経済産業大臣 |
2018年2月 | 宮腰総理補佐官 |
2018年4月 | 安倍総理大臣 |
2018年5月 | 西銘経済産業副大臣 |
2018年11月 | 関経済産業副大臣 |
2019年1月 | 世耕経済産業大臣 |
2019年1月 | 原田環境大臣 |
2019年1月 | 辻外務大臣政務官(IRENA総会) |
2019年2月 | 高野農林水産大臣政務官 |
2019年3月 | 鈴木スポーツ庁長官 |
2019年8月 | 田中内閣府副大臣 |
2019年11月 | 中谷外務大臣政務官 |
2019年11月 | 松本経済産業副大臣 |
2020年1月 | 山東参議院議長 |
2020年1月 | 若宮外務副大臣(IRENA総会) |
2020年1月 | 牧原経済産業副大臣 |
2020年1月 | 安倍総理大臣 |
2021年8月 | 井上国際博覧会担当大臣 |
2022年3月 | 林外務大臣 |
2022年3月 | 若宮国際博覧会担当大臣 |
2022年5月 | 甘利元経済産業大臣(総理大臣特使・ハリーファ大統領逝去弔問) |
年月 | 要人名 |
---|---|
1980年1月 | オウェイス水・電気相 |
1980年7月 | オタイバ石油相 |
1981年10月 | オタイバ石油相 |
1983年11月 | ムハンマド国防相(現副大統領兼首相兼ドバイ首長) |
1984年3月 | オタイバ石油相 |
1986年9月 | オタイバ石油相 |
1988年2月 | オタイバ石油相 |
1989年2月 | ムハンマド殿下(現アブダビ皇太子)、ヌアイミ外務担当国務相(大喪の礼参列) |
1990年5月 | ザーイド大統領(国賓) |
1990年11月 | ムハンマド殿下(現アブダビ皇太子、即位の礼参列) |
1994年11月 | ゴバーシュ経済・商務相 |
1996年4月 | アブダッラー殿下(現外相) |
1997年12月 | ミドファ保健相(COP III参加) |
2001年9月 | シャルハーン教育・青年相 |
2002年1月 | カーシミー経済商務相(アフガニスタン復興支援国際会議出席) |
2002年9月 | ナーセリー石油鉱物資源相(国際エネルギーフォーラム) |
2004年4月 | ハムダーン副首相兼外務担当国務相(外務省賓客) |
2004年12月 | ルメイシ・ハムダーン副首相府長官 |
2007年4月 | カーシミー経済相 |
2007年12月 | ムハンマド・アブダビ皇太子(公式実務訪問賓客) |
2009年4月 | アブダッラー外相(パキスタン支援国会合) |
2010年4月 | スルターン・シャルジャ首長 |
2011年5月 | ムハンマド副大統領兼首相兼ドバイ首長(非公式) |
2013年4月 | アブダッラー外相 |
2013年8月 | スルターン・ジャーベル国務相 |
2014年2月 | ムハンマド・アブダビ皇太子(公賓) |
2014年4月 | スルターン・ジャーベル国務相 |
2014年11月 | ハンマーディ教育相 |
2015年4月 | ハルドゥーン・アブダビ執行関係庁長官 |
2015年9月 | マンスーリ経済相 |
2015年11月 | マイサ国務相 |
2016年10月 | リーム・ハーシミー国際協力担当相(STSフォーラム) |
2016年12月 | オフード・ルーミー幸福担当国務相 |
2017年4月 | アブダッラー外務・国際協力相 |
2017年5月 | マイサ国務担当相(世界女性サミット) |
2017年7月 | スルターン・ジャーベル国務相 |
2018年2月 | スルターン・ジャーベル国務相 |
2018年4月 | アブダッラー外務・国際協力相(外賓) |
2018年5月 | ボワルディ国防担当相 |
2018年8月 | スルターン・ジャーベル国務相 |
2018年11月 | マイサ国務相 |
2019年1月 | マイサ国務相 |
2019年4月 | スルターン・ジャーベル国務相兼日本担当特使 |
2019年7月 | ゼイユーディ気候変動・環境相 |
2019年10月 | ハッザーア・ビン・ザーイド殿下(アブダビ執行評議会副議長)(即位礼正殿の儀) |
2019年10月 | スルターン・ジャーベル国務相兼日本担当特使 |
2019年11月 | マイサ国務相 |
2020年7月 | サラ・アーミリー国務相 |
2022年6月 | スルタン・ジャーベル産業・先端技術大臣兼日本担当特使 |
6 二国間条約・取極
- 航空協定(1998年3月)
- 原子力協定(2014年7月)
- 租税条約(2014年12月)
- 投資協定(2020年8月)
7 外交使節
- (1)磯俣秋男 特命全権大使
- (2)シハーブ・アフマド・アル・ファヒーム 駐日大使