トリニダード・トバゴ共和国
トリニダード・トバゴ共和国(Republic of Trinidad and Tobago)
基礎データ


一般事情
1 面積
5,130平方キロメートル(千葉県よりやや大きい)(2018年 世銀)
2 人口
139.5万人(2019年 世銀)
3 首都
ポート・オブ・スペイン
4 民族
インド系(35.4%)、アフリカ系(34.2%)、混血(23%)、その他(7.5%)
5 言語
英語(公用語)、ヒンディー語、フランス語、スペイン語、トリニダード・クレオール語等
6 宗教
キリスト教(カトリック、英国国教会等)、ヒンドゥー教、イスラム教等
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1498年 | コロンブスによるトリニダード島「発見」 |
1596年 | 英国人によるトバゴ島発見 |
1889年 | 英国植民地(トリニダード島、トバゴ島合併) |
1956年 | 英国自治領 |
1962年 | 独立 |
1976年 | 共和制に移行 |
1986年 | 総選挙、国家再建連合党(NAR)政権誕生 (人民国家運動党(PNM)の独立以来の長期政権終了) |
1991年 | PNM政権復活 |
1995年 | 統一国民会議(UNC)とNARの連立政権誕生 |
2001年 | UNCとPNMが同議席獲得により、野党PNM党首を首相任命 |
2002年 | 総選挙によりPNM勝利 |
2007年 | 総選挙によりPNM勝利 |
2010年 | 総選挙により野党連合「人民のパートナーシップ」勝利、新政権誕生 |
2015年 | 総選挙によりPNM勝利、新政権誕生 |
2020年 | 総選挙によりPNM勝利 |
政治体制・内政
1 政体
立憲共和制
2 元首
ポーラ=メイ・ウィークス大統領(2018年3月~、第六代目)
3 議会
二院制(上院(31議席、任命制)、下院(41議席))
4 政府
- (1)首相名 キース・ローリー
- (2)外相名 エイマリー・ブラウン
5 内政
- (1)独立前の1956年以来、アフリカ系の人民国家運動党(PNM)が長期安定政権を維持していたが、1986年の総選挙(下院選挙、以下同じ)で、国家再建連合党(NAR)のロビンソン政権が成立。1991年の総選挙ではPNMが政権に返り咲き党首マニングが首相就任。
- (2)1995年11月の総選挙では統一国民会議(UNC)とNARの連立によりパンデイUNC党首が初のインド系首相に就任。2000年12月の総選挙では、与党が勝利したが、与党候補の二重国籍問題や落選者の閣僚任命を巡り、大統領と首相の対立が表面化したため2001年12月に総選挙を余儀なくされた。その結果、与党UNCと野党PNMが同数の18議席を獲得したが、ロビンソン大統領が野党のマニング党首を首相に任命したため、野党に転じたUNCと与党PNMとの関係が悪化し、国会が機能停止状態に追い込まれた。
- (3)2002年10月、改めて総選挙が実施され、与党PNMが勝利、マニングPNM党首が首相に再任された。2007年11月の総選挙でもPNMが勝利しマニング首相が再任。
- (4)2010年5月の総選挙では、野党連合「人民のパートナーシップ」が勝利。パサード=ビセッサー首相(トリニダード・トバゴ史上初の女性首相)が誕生した。
- (5)2015年9月に総選挙が実施され、野党PNMが勝利し、ローリー政権が誕生した。2020年8月に実施された総選挙でもPNMが勝利しローリー首相が再任。
- (6)ローリー政権は、トリニダード・トバゴ経済の主要な外貨収入源である原油・天然ガス価格の急落に対応するため、(1)政府支出の7%カット、(2)「安定化基金」の使用による対外債務増加の防止、(3)民間資金の活用による住宅建設の促進、(4)税制改正、(5)弱者対策の維持を種とする財政の緊縮及び外貨の節約を伴う経済・財政政策の調整を行う旨表明している。
外交・国防
1 外交基本方針
- (1)米国、英連邦(トリニダード・トバゴは加盟国)及びカリブ共同体(CARICOM)諸国との関係強化を重視。ラテンアメリカ諸国、アフリカ諸国及びBRICs諸国との関係強化にも努めている。
- (2)中国、キューバ、北朝鮮とも外交関係を有する。
2 軍事力
1967年3月、米州機構(OAS)に加盟するとともにOAS集団防衛体制下に入った
- (1)予算 904百万米ドル(2019年 ミリタリーバランス2020)
- (2)兵役 志願制
- (3)兵力 国防軍4,050人(陸軍3,000人、沿岸警備隊1,050人、空軍50人)(ミリタリーバランス2020)
経済
1 主要産業
エネルギー産業(石油・石油製品、天然ガス、メタノール、アンモニア、尿素)、鉄鋼製品、食料品、セメント
2 GNI
235億6,600万米ドル(2019年 世銀)
3 一人当たりGNI
16,890米ドル(2019年 世銀)
4 GDP成長率
0.0%(2019年 世銀)
5 インフレ率
4.7%(2015年)、4.8%(2016年推定値)、5.3%(2017年推定値)、5.4%(2018年推定値), 4.6%(2019年推定値)(IMF)
6 失業率
2.7%(2019年)(世銀(ILO出典))
7 総貿易額
- (1)輸出 101億米ドル(物品のみ)(2018年 WTO)
- (2)輸入 75億米ドル(物品のみ)(2018年 WTO)
8 主要貿易品目
- (1)輸出 鉱物・燃料、化学製品、工業製品、食品
- (2)輸入 鉱物・燃料、工業製品、輸送機器、食品
9 主要貿易相手国(2015年 WTO)
- (1)輸出 米国、EU、アルゼンチン、コロンビア
- (2)輸入 米国、ガボン、EU、中国
10 通貨
トリニダード・トバゴ・ドル(TTドル)
11 為替レート
1米ドル=6.78TTドル(2020年9月)
12 経済概況
独立以降、石油・石油化学部門が輸出収入・政府歳入の5割強を占めてきた。しかしながら、1980年代半ばには石油価格が急落するという外的要因によって深刻な経済危機に見舞われ、1980年代後半、輸出振興、規制緩和、民営化推進等経済の構造調整を余儀なくされた。1993年以降、石油部門に加え、天然ガス・天然ガス関連部門が拡大し、成長はプラスに転じた。2008年前半までは、石油・天然ガスの価格高騰等により輸出収入が急増し、15年連続のプラス成長を達成した。
しかし、世界的な金融危機の影響を受け2009~2011年は、エネルギー部門の伸び悩み、非エネルギー部門の生産縮小により、景気後退を余儀なくされた。
また、世界経済危機後は、エネルギー部門への依存から産業多角化に取り込んでいる。
2016年のガス価格の低下により、地元エネルギー企業の投資と生産に影響を与え、エネルギー収入の急激な減少は政府の支出を抑制する誘因となった。
2017年後期からは、国際原油価格の回復及び新規ガス田開発の活発化による下流部門の復調に後押しされ、長い不景気からの回復の兆しが見え始めた。2018年以降の経済は、新規ガス生産の開始、原油価格の上昇、天然ガス部門からのロイヤルティー増加による政府税収入の回復及び非エネルギー部門の回復もある一方、ガス生産の上向きな動向と比較し、石油生産は引き続き停滞しており、ペトロトリン(国営石油会社)は2018年8月に精油所の閉鎖及び大幅な雇用削減を発表するなど、依然としてエネルギー部門の動向が国家経済及び国家財政に大きな影響を与える経済構造となっている。
経済協力
1 日本の援助実績(累計)
- (1)有償資金協力(2017年度まで、交換公文ベース) なし
- (2)無償資金協力(2017年度まで、交換公文ベース) 2.35億円
- (3)技術協力実績(2017年度まで、JICAベース) 32.94億円
二国間関係
1 政治関係
我が国は独立と同時に承認、1964年5月外交関係開設。1979年、我が国大使館を開設。トリニダード・トバゴ側は1971年以来在インド大使館が日本を兼轄。
2 経済関係
- 対日貿易
-
- (1)貿易額(2019年 財務省統計)
- 対日輸出 175.0億円
- 対日輸入 69.5億円
- (2)主要品目
- 対日輸出 有機化合物、金属鉱及びくず
- 対日輸入 機械類、自動車
3 文化関係
- JETプログラム、国費留学生の実績あり
- 日本文化祭(西インド諸島大学)
- 和食デモンストレーション・邦楽公演(琴・和太鼓)
- 2014年10月 和太鼓コンサートを開催
4 在留邦人数
111人(2018年10月現在)
5 在日当該国人数
155人(2019年12月現在)(法務省)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1986年 | 中米・カリブ投資環境調査団 |
1989年 | 山下徳夫衆議院議員 |
1996年 | 三塚博衆議院議員(2002年ワールド・カップ招致活動) |
1999年 | 亀谷博昭農林水産政務次官 |
2000年 | 三浦一水農林水産政務次官 |
2001年 | 山口泰明外務大臣政務官 |
2006年 | 猪口邦子内閣府特命担当相(総理大臣特使) |
2010年 | 山花郁夫外務大臣政務官 |
2013年 | 城内実外務大臣政務官 |
2014年 | 安倍晋三内閣総理大臣 |
2015年 | 宇都隆史外務大臣政務官 |
2017年 | 薗浦健太郎外務副大臣、秋葉賢也衆議院議員、津島淳衆議院議員 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1974、1975年 | ウィリアムズ首相 |
1975年 | マハビア商工相 |
1978年 | マハビア石油鉱山相 |
1985年 | チェンバース首相 マハビア外相 モットレー商工相 |
1987年 | スダマ大蔵経済担当相 モハメッド下院議長 |
1988年 | ゴードン工業・企業・観光相 |
1989年 | ウィルソン蔵相 |
1990年 | ウィルソン蔵相 |
1991年 | ウィルソン蔵相 |
1991年 | ドゥケラン計画・動員相 |
1993年 | モトレー蔵相 |
1994年 | セイス計画・開発相 |
1999年 | マックリーン国会議員 |
2005年 | ロビンソニーレジス計画・開発相(IDB総会出席) |
2010年 | ランバチャン外相(第2回日・カリコム外相会議出席) |
2012年 | グリフィス観光相(世界旅行ツーリズム協議会主催グローバルサミット出席)、ドゥークラン外相(世銀・IMF年次総会出席) |
2013年 | ラムナライン・エネルギー相 |
2014年 | ダグラス芸術・多文化相 |
2015年 | アルフォンソ国家安全保障相(第3回国連防災世界会議) |
2016年 | ヤング首相府付大臣法務長官付大臣兼法務相 |
7 二国間条約・取極
- なし