トンガ王国
トンガ王国(Kingdom of Tonga)
基礎データ


一般事情
1 面積
720平方キロメートル(対馬とほぼ同じ)
2 人口
104,597人(2023年、世界銀行)
3 首都
ヌクアロファ
4 民族
ポリネシア系(若干ミクロネシア系が混合)
5 言語
トンガ語、英語(ともに公用語)
6 宗教
キリスト教(プロテスタント、モルモン教等)
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1616年 | オランダ人の探検隊が北方の二島を視認 |
1845年 | キリスト教徒のトゥポウI世がトンガを統一 |
1900年 | 英国の保護領となる |
1970年6月4日 | 英国より外交権を完全に回復 |
政治体制・内政
1 政体
立憲君主制
2 元首
国王 トゥポウ六世(Tupou VI)(2012年就任、世襲)
3 議会
一院制定員26(議席:貴族議員9名(貴族による互選)、人民代表議員17名(小選挙区制))
4 政府
- 首相
- アイサケ・ヴァル・エケ(Hon. Dr.‘Aisake Valu Eke)(2024年12月就任)
- 外相
- トゥポウトア・ウルカララ皇太子殿下(His Royal Highness, Crown Prince Tupoutoʻa ʻUlukalala)(2025年1月就任)(国防大臣兼任)
5 内政
穏やかな民主化改革が行われた中で、国王の内政への影響がいまだに大きい立憲君主国である。議会は一院制で貴族代表議員(9名。33家ある貴族間の互選)と人民代表議員(一般選挙により17名選出)からなる。
2000年1月にヴァエア首相(当時)が辞任し、国王トゥポウ四世(当時)が自身の三男ウルカララ王子(当時外相・現国王)を首相に任命した。2002年3月の総選挙では、首都のあるトンダカプ島で民主化推進派が人民代表全議席を獲得し、2005年3月の総選挙後、初めて人民代表議員が閣僚に任命された。また、王室の特権的立場に対する不満を背景に、同年5月に民主化グループによるデモが実施された。また、同年7月には公務員の給与引き上げを求める6週間にわたる全国規模の公務員ゼネストが実施され、その際には首相等の辞任、全国会議員の普通選挙での選出及び全閣僚を国会議員から選出すること等の要求があり、国民の中に民主化への支持が高まった。2006年2月にはウルカララ首相が辞任し、同年3月末トンガ史上初めて平民代表のセヴェレ首相代行が首相に就任した。同年11月には政治改革要求に端を発した暴動が起きたが年末までには事態は収束した。
政府は民衆の要求に応える形で、2008年から憲法、選挙制度の改革に向け検討を開始、2010年に憲法及び選挙制度改革法案が可決し、同年11月の総選挙から人民代表議員の定数が9名から17名に増加し(貴族代表議員の定員は変わらず)、人民代表議員選挙では民主改革派が大勝した。この総選挙後、新政治制度が導入され、同年12月にはトゥイヴァカノ貴族代表議員が国王による選出ではなく、国会で初めて選出された首相として就任した。
新政治制度導入後2度目の選挙が2014年11月に実施され、同年12月に、ポヒヴァ人民代表議員が初の人民代表の首相に就任した。
2017年11月に総選挙が実施され、2018年1月に、ポヒヴァ首相が再任された。翌2月にはサイクロン・ジータによって大きな被害を受けた。
2019年9月、ポヒヴァ首相が急逝したことを受け、トゥイオネトア財務相が国会で新首相に選出され、同年10月に国王による任命を経て正式に就任した。
2021年11月に総選挙が実施され、同年12月にフアカヴァメイリク教育訓練大臣が国会で新首相に選出された。同月、国王による任命を経て正式に就任し、新内閣が発足。
2022年1月にフンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山が噴火し、津波が発生。大きな被害を受けた。
2024年12月、フアカヴァメイリク首相が辞任したことを受け、アイサケ・エケ人民代表議員が国会で新首相に選出され、国王による任命を経て正式に就任した。
外交・国防
1 外交
- (1)英連邦諸国、特に英国、オーストラリア及びニュージーランドとは緊密な関係を維持。国連専門機関への加入に積極的。南太平洋の域内協力を推進。
- (2)1998年11月2日、中国との外交関係を樹立。それにともない、台湾との関係を終了。
2 国防
歩兵部隊、近衛部隊、海軍等で構成されており、その規模は非常に小さい。なお、2004年6月米軍の後方支援のため、44名の兵士をイラクに派遣。また、2011年には、英軍の後方支援のため、55名の兵士をアフガニスタンに派遣。
経済
1 主要産業
農業、林業、漁業、自動車関連
2 GDP
5.2億米ドル(2022年、世界銀行)
3 一人当たりGNI
5,260米ドル(2022年、世界銀行)
4 経済成長率
-2.3%(2022年、世界銀行)
5 物価上昇率
2.1%(2022年、世界銀行)
6 総貿易額
- (1)輸出
- 9.4百万米ドル
- (2)輸入
- 257.5百万米ドル
(2023年、アジア開発銀行)
7 主要貿易品目
- (1)輸出
- 野菜類、家畜関連、飲料
- (2)輸入
- 飲料、機械・機器関連、食糧
8 主要貿易相手国
- (1)輸出
- ニュージーランド、オーストラリア、米国
- (2)輸入
- ニュージーランド、中国、シンガポール
(2023年、アジア開発銀行)
9 通貨
- パアンガ(T$)
- 1パアンガ=約60円(2025年4月)
10 経済概況
財政状態は恒常的に海外援助及び出稼ぎ者からの送金に大きく依存。
政府は新しい輸出商品作物の開発に熱心で、過去に成功したかぼちゃに続く産品の開発に向けて市場調査や相手国への輸出手続きに関する調査を積極的に行うとともに、産品の品質管理にも力を入れている。
経済協力
1 日本の援助
2022年度 | 2022年度までの累計 | |
---|---|---|
(1)有償資金協力 | なし | なし |
(2)無償資金協力 | 15.10億円 | 321.90億円 |
(3)技術協力 | 4.01億円 | 127.69億円 |
2 主要援助国
- (1)オーストラリア(27)
- (2)日本(16)
- (3)ニュージーランド(15)
(単位:百万米ドル、2021年、DAC)
二国間関係
1 政治関係
伝統的に親日的。経済・技術協力が増大し、両国関係が一層緊密化。
2 経済関係
- (1)貿易額(2024年、財務省貿易統計)
-
- トンガへの輸出 26.2億円
- トンガからの輸入 0.2億円
- (2)日本からの直接投資 なし
- (3)進出日本企業数 3社(2022年10月現在、外務省海外進出日系企業拠点数調査)
3 在留邦人数
48名(2024年10月現在、外務省海外在留邦人調査統計)
4 在日トンガ人数
197名(2024年6月現在、法務省在留外国人統計)
5 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1990年 | 降矢敬義、中山太郎、谷洋一 議員(APPU) |
2001年 | 小島敏男 外務大臣政務官 |
2003年10月 | 秋篠宮同妃両殿下 |
2005年 | 福島啓史郎 外務大臣政務官 |
2006年9月 | 皇太子殿下(故トゥポウ四世の国葬御参列) |
2008年8月 | 皇太子殿下(ジョージ・トゥポウ五世戴冠式御参列) |
2012年3月 | 常陸宮同妃両殿下(故ジョージ・トゥポウ五世の国葬御参列) |
2014年2月 | 三ツ矢憲生 外務副大臣 |
2015年2月 | 中根一幸 外務大臣政務官 |
2015年7月 | 皇太子同妃両殿下(トゥポウ六世戴冠式御参列) |
2017年5月 | 二階俊博 自由民主党幹事長 |
2018年8月 | 堀井巌 外務大臣政務官 |
2019年12月 | 中山展宏 外務大臣政務官 |
2020年2月 | 山本朋広 防衛副大臣 |
2023年1月 | 茂木敏充 自由民主党幹事長 |
2024年5月 | 柘植芳文 外務副大臣(総理特使) |
2024年9月 | 高村正大 外務大臣政務官(総理特使)(太平洋諸島フォーラム(PIF)域外国対話出席) |
年月 | 要人名 |
---|---|
1982年、1985年、1986年 | トゥポウ四世国王 |
1983年 | トゥポウトア外務・国防相(後のジョージ・トゥポウ五世)(外務省賓客) |
1983年、1987年 | トゥイタ副首相 |
1984年、1985年、1988年、1990年 | トゥポウトア外務・国防相(後のジョージ・トゥポウ五世) |
1988年 | カヴァリク教育・建設・航空相 |
1988年 | ヴァエア副首相代行(外務省賓客) |
1989年2月 | トゥポウ四世国王・王妃、ヴァエア労働・商業・産業相(大喪の礼) |
1990年 | ヴァエア副首相代行(花博賓客) |
1990年11月 | ピロレヴ王女(即位の礼) |
1992年、1994年、1995年 | トゥポウ四世国王、トゥポウトア外務・国防相(後のジョージ・トゥポウ五世) |
1994年 | フアカヴァメイリク副首相兼教育・公共事業・民間航空相(国際防災会議) |
1994年 | ヴァエア首相(ITU会議) |
1995年 | トゥポウ四世国王・王妃 |
1996年、1997年 | パウンガ労働通商産業観光相 |
1997年 | ヴァエア首相(第1回大洋州・島サミット及び非公式) |
1998年 | ヴァエア首相(南太平洋総合展出席) |
2000年4月 | ウルカララ首相(現トゥポウ六世国王)(第2回太平洋・島サミット、FAOアジア太平洋地域総会) |
2000年 | トゥポウ四世国王・王妃 |
2000年 | カヴァリク副首相兼教育・民間航空相 |
2000年 | パウンガ労働通商産業観光相 |
2001年 | ヴェイクネ国会議長 |
2001年 | パウンガ労働通商産業観光相 |
2001年 | トゥポウトア皇太子(後のジョージ・トゥポウ五世) |
2001年 | ピロレヴ王女 |
2002年 | ナナシパウウ王女(現王妃) |
2003年 | トゥポウトア皇太子(後のジョージ・トゥポウ五世国王)、フィエラケバ土地調査・天然資源相(水フォーラム) |
2003年5月 | ウルカララ首相(現トゥポウ六世国王)(第3回太平洋・島サミット) |
2004年 | ウルカララ首相(現トゥポウ六世国王) |
2004年 | タンギ保健相 |
2006年 | トゥポウトア皇太子(後のジョージ・トゥポウ五世国王) |
2006年5月 | セヴェレ首相(第4回太平洋・島サミット) |
2007年11月 | タンギ副首相兼保健相 |
2007年12月 | ジョージ・トゥポウ五世国王 |
2008年3月 | セヴェレ首相(PIF議長、実務訪問賓客)、カララス運輸通信相 |
2008年9月 | カララス運輸通信相 |
2009年5月 | セヴェレ首相(第5回太平洋・島サミット) |
2009年7月 | カララス運輸通信相(第1回太平洋諸島シンポジウム(於:大東文化大学)出席) |
2010年8月 | タンギ副首相兼保健相 |
2010年9月 | ヌク公共事業相 |
2010年10月 | タンギ副首相兼保健相(太平洋・島サミット中間閣僚会合) |
2011年1月 | ジョージ・トゥポウ五世国王 |
2012年5月 | トゥイヴァカノ首相(第6回太平洋・島サミット) |
2012年6月 | トゥポウトア・ウルカララ皇太子(戦略的実務者招へい) |
2013年10月 | トゥイヴァカノ首相(太平洋・島サミット第2回中間閣僚会合) |
2015年3月 | ソヴァレニ副首相兼環境・エネルギー・気候変動・気象・情報・通信相(第3回国連防災世界会議) |
2015年5月 | ポヒヴァ首相(第7回太平洋・島サミット) |
2015年10月 | ラヴラヴ社会基盤・観光相(太平洋島嶼国観光相会合) |
2015年11月 | ソヴァレニ副首相兼環境・エネルギー・気候変動・気象・情報・通信相(WTIS2015出席他) |
2016年4月 | トゥイヴァカノ国会議長(世界人口開発議員会議) |
2016年10月 | ラヴェマアウ歳入関税相(世界スポーツ文化ワールドフォーラム) |
2018年5月 | シカ副首相兼社会基盤・観光相(第8回太平洋・島サミット) テイ気象・エネルギー・情報・災害管理・環境・通信・気候変動相(第8回太平洋・島サミット) |
2019年2月 | テイ気象・エネルギー・情報・災害管理・環境・通信・気候変動相 |
2019年10月 | トゥポウ六世国王・ナナシパウウ王妃(即位の礼) |
2022年9月 | トゥイアフィトゥ国土・天然資源大臣(安倍元総理国葬儀) |
2024年3月 | トゥポウトア・ウルカララ皇太子(第2回日・太平洋島嶼国国防大臣会合(JPIDD)出席) |
2024年7月 | フアカヴァメイリク首相、フォへ農業・食料・林業相(第10回太平洋・島サミット) |
2025年4月 | トゥポウトア・ウルカララ皇太子、フィナウ観光大臣(大阪・関西万博ナショナルデー出席) |
6 二国間条約・取極
- 1972年 青年海外協力隊派遣取極
7 外交使節
- (1)トンガ駐箚日本国大使
- 稲垣 久生 特命全権大使
- (2)本邦駐箚トンガ王国大使
- テヴィタ・スカ・マンギシ 特命全権大使