1.日時
平成24年11月30日(金曜日)15時00分~17時00分
2.場所
外務省講堂
3.出席者
- (1)官側 榛葉賀津也副大臣(共同座長代理)
民側 坂根正弘経団連副会長(共同座長) - (2)関係省庁・機関(外務省,財務省,経済産業省,JICA,JBIC,JOGMEC,JETRO,NEXI) (3)民間企業20社の代表
4.議題
- (1)TICAD Vの準備状況(政府側説明)
- (2)官民連携の具体的方策(自由討議:「付加価値の高い投資の促進」,「アフリカの投資環境改善:現地における人材育成について」)
5.議事概要
(1)冒頭,榛葉副大臣より,前回会合での議論を総括しつつ,今次会合のテーマである資源,第三次産業,農業の3分野の論点について概要説明。また,「躍動するアフリカと手を携えてー質の高い成長を目指してー」をテーマとするTICADVでは,オールジャパンとして官民連携を進め,アフリカとの長期的信頼関係に基づくビジネスの発展を力強く支援し,アフリカの成長を我が国の成長につなげていく旨表明。
(2)坂根共同座長より,TICADVに臨むに際しては,TICAD IVの実績の上に,一層の付加価値をもたらす行動計画を策定することが重要である旨述べ,特に民間投資がアフリカの経済発展に貢献していくためには,1)特定地域の内陸部と沿岸部を連結するためのインフラ整備の面的展開,2)資源開発のための関連技術移転と外資規制の緩和,3)農業復興のための生産性向上と市場整備,4)即戦力となる人材育成,5)我が国中小企業の進出支援等が重要課題である旨述べた。
(3)政府側からの説明
(ア) TICAD Vの準備状況
外務省より,11月15日~17日にブルキナファソにて行われたTICAD V高級実務者会合(SOM)概要について説明。来年3月にエチオピアにて行われる閣僚級準備会合に向け,TICADVのメッセージを作っていくとともに,アフリカ開発の政策的な方向付けを行っていきたい旨発言。
(イ)アフリカ向けビジネス支援の方向性
JBICより,TICAD IVにおけるJBICの取組及び実績について言及しつつ,対アフリカ投資支援の今後の方向性について説明。JETROより,現在取りまとめ中の在アフリカ進出日系企業調査について報告。
(ウ)民間セクター強化のための支援(人材育成を含む)の方向性
JICAより,民間セクター支援策の全体像について説明しつつ,ビジネス環境整備の事例及び人材育成事例について紹介。
(4)官民連携の具体的方策(自由討議)
自由討議における参加者から出された主な意見は以下のとおり。
(ア)付加価値の高い投資の促進
【資源ビジネス】
- 資源ビジネスでは,相手国との長期的な信頼関係の構築が重要であり,人材育成や環境等に配慮した技術協力等を通じたネットワークの強化が有益。
- 資源開発にはODAを使ったインフラ整備が重要。特に内陸国の資源を港へ運ぶまでのインフラ整備については,点と点ではなく,面的視点が重要。
- 資源に付加価値を付ける技術移転型アプローチ(例:ガスを肥料やメタノールに変えて輸出)に関心を有する国は多い。他方,中東や米国等,競合先は多数あり,アフリカ域内での消費促進についてもあわせて考える必要がある。既にアフリカ内でマーケットがあるものからビジネス展開を図るという視点も重要。
- 危険を伴う鉱業分野において,日本企業は人命や安全に配慮した投資を行うことで付加価値を付けることが可能。
【農業ビジネス】
- アフリカではインフラの未整備により,産地と消費地がつながらないという農業分野での課題に直面。道路整備だけではなく,保冷車等機材も含めいかに生産市場と消費市場をつなげるかといった視点が重要。
- 小規模農業技術等,日本が持つ農業の強みをアフリカ農業に活かしていくべき。官民連携で現地にアグリビジネスセンターのような農業加工,ないしは流通の拠点をモデルとして設立し,上記強みを伝達していくことは有益。
【その他】
- アフリカは急速な都市化により,治安悪化等,多くの課題に直面。すぐにビジネスに結びつかなくとも,日本政府として都市計画や治安対策の面で総合的かつ長期的なサポートを行っていくべき。
(イ)アフリカの投資環境改善:現地における人材育成
- インフラ整備を実施する際に併せて人材育成を行うことが重要。
- アフリカを将来的な消費市場として捉え,今日,明日の人材ではなく,長期的な視点に立ち,女性も含め,人材を育成することが必要。
- アフリカの若者は,アフリカを出て世界を見る機会が少ないため,日本に招へいし,研修等実施することが日本ファンを地道に増やしていく観点からも有益。他方,こういった研修には多額の費用がかかるため,恒常的に実施するには政府からの支援が必要。
- 人材育成を実施しても,HIV/AIDs等の病気により,その努力が台無しになってしまうケースがあるため,人材育成を進める上では医療分野での支援も併せて必要。
- JOCVの活動はアフリカにおける人材育成の観点から有益であり,その活動は評価されるべき。JOCVの活動後の再就職を支援することが重要。
- パートナー候補となる人材など,企業の事業活動から逆算した人材育成に注力し,戦略的に選択と集中を行っていく必要がある。
(5)閉会
坂根共同座長より,議論を総括するとともに,限られた人材,財源を効果的に投入し,アフリカ開発につなげていくためには,これまでの実績を整理した上で,戦略的な対応が必要である旨述べた。最後に,榛葉副大臣より,TICADVは,2013年の日本外交にとって最も重要な会議であり,まさにオールジャパンの取組が必要,本協議会での御意見も踏まえつつ,準備を進めていきたい旨述べ,会合を締めくくった。