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TICAD V推進官民連携協議会第1回会合 議事要旨
平成24月8月17日
1.日時:
平成24年8月2日(木曜日)18時30分~20時00分
2.場所:
飯倉別館
3.出席者
- (1)共同座長(玄葉光一郎外務大臣(官側),坂根正弘経団連副会長(民側))
- (2)関係省庁・機関(外務省,財務省,経済産業省,JICA,JBIC,JOGMEC,JETRO,NEXI)
- (3)民間企業22社の代表
4. 議題
- (1)TICAD Vの準備状況(政府側説明)
- (2)アフリカ・ビジネスの現状と政府の役割(自由討議)
5. 議事概要
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(1)冒頭,玄葉大臣より,これまでのTICADプロセスを通じたアフリカ開発支援に言及しつつ,来年6月に開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)では,引き続きアフリカの経済成長が重視され,特にインフラ整備と農業・食料安全保障が重要なテーマになると考える旨説明。さらに,成長の恩恵を広く社会に行き渡らせ,成長を環境面でも持続可能なものとすることも重要である旨述べ,政府として,TICAD Vに向け,あらゆる政策ツールを活用し,オールジャパンとして民間企業のアフリカ・ビジネスを支援するとともに,そうした取組を通じアフリカの成長を日本の成長につなげていきたい旨述べた。
- (2)坂根共同座長より,政府への提言の取りまとめにあたっては,1)基幹産業である農業の再生,2)農業及び資源開発を支えるインフラ整備の推進,3)環境技術の活用や再生可能エネルギー分野での一層の協力強化といった視点も入れ,今後の対アフリカ協力のあり方,特に官民連携の具体策を話し合い,提言をまとめていきたい旨述べた。
- (3)アフリカを巡る状況とTICAD Vについて(政府側説明)
- (ア)外務省
新たな投資先として注目を集めるアフリカを巡る状況及びTICADプロセスについて説明するとともに,ODAを活用した官民連携を含む今後の官民連携のあり方等について紹介。
- (イ)財務省
アフリカ開発銀行(AfDB)を通じたアフリカ支援を始め,財務省によるアフリカ開発支援を紹介。
- (ウ)経済産業省
日本企業のアフリカへの進出動向及び経産省によるアフリカでの取組を紹介。
- (エ)JICA
JICAが取り組む官民連携の例を紹介。
- (オ)JBIC
TICAD IVでJBICが掲げた公約の実施状況について説明するとともに,アフリカの開発需要を埋めるための民間資金の重要性を指摘。
- (カ)JOGMEC
地質リモート・センシングセンターを始め,JOGMECのアフリカにおける活動を紹介。
- (4)アフリカビジネスの現状と政府の役割(自由討議)
自由討議における参加者から出された主な意見は以下のとおり。
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(ア)アフリカビジネスに対する日本企業の認識
-北アフリカを除けば,既に多くの日本企業も進出している東部アフリカ,また,鉱物資源が豊富な南部アフリカが魅力的。他方,今後は資源のみの投資ではなく,現地で付加価値を高めるための産業への投資が重要。例えば肥料プラントを作り,農業を推進する等,有機的な事業展開に取り組んでいきたい。
-アフリカでは現在急速に携帯が普及しており,この観点からもITを活用したビジネスが今後有望。現地でビジネスを行っていると,特にアフリカ市場の成長の可能性を実感するが,同時に圧倒的に技術系労働者が不足していることを痛感。人材育成はアフリカが直面する大きな課題の一つ。
-アフリカでは交通インフラの未整備が大きな課題。
-治安と法制度の未整備がアフリカビジネスを進める上で大きな課題。
- (イ)アフリカビジネスを促進するためのアフリカ各国・日本政府の役割
-今後,アフリカの中間層が増加するに伴い,電力,水道,鉄道といったインフラに対する需要がより高まるが,インフラ整備こそ官と民が連携して行うべきもの。この観点から,TICAD IVの際の公約の一つでもあるアフリカ貿易投資促進のための官民合同ミッションは有益かつアフリカ側の評価も高いので,TICAD Vの際も公約の一つとすべき。
-民間資金を活用したインフラ整備は,アフリカの経済活性化に資すると同時に日本企業にとっても大きなチャンスとなるが,相手国政府からのコミットメントがないと中々進まないため,日本政府に支援してもらいたい。
-アフリカでは特に若年層人口が急速に増加しているが,こうしたアフリカの若い世代に親日的になってもらうためにも,TICADプロセスを通じ日本が中心となって教育を普及させていくことが重要。特に「出口のある教育」,すなわち雇用に結びつく教育が重要であり,この観点から職業訓練センターは有益。
-今後,人口が増大するアフリカにおいて食料の確保は特に重要。食料が確保されてこそ,人々の健康につながり,ひいては将来的な産業育成にもつながるため,日本はアフリカ各地の気候に適した品種の開発等を通じ,日本らしい支援を推し進めるべき。
-アフリカビジネスを進める上で,共通市場の創出を目的とするアフリカの地域共同体の役割が重要と考えるが,地域共同体を実効性のあるものに変え,魅力ある共通市場を作り出すべく,日本政府としても協力すべき。
-民間企業がアフリカで新たなビジネスモデルを作るに際し,これを実際に軌道に乗せるためのアドバイスや情報提供,さらにはネットワークの提供を行ってもらえるような仕組みを政府に作ってもらえればありがたい。
- (5)閉会
坂根座長より,これまでの議論を総括するとともに,アフリカ経済の高い潜在性を踏まえ,対アフリカビジネスを促進するため,今後の議論を通じ引き続き官民連携のあり方についての議論を深めていきたい旨述べた。最後に,玄葉大臣より,オーナーシップを重視する日本の取組について言及するとともに,今後もさらに充実した議論がなされることを祈念し,会合を締めくくった。