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平成19年3月
3月22~23日 ナイロビ(ケニア)
(日本政府、国連、GCA(アフリカのためのグローバル連合)、UNDP、世銀の共催、ケニア政府、UNEPによる開催協力)
72カ国(うちアフリカ45カ国が参加し、23名の閣僚級が参加)、約30地域・国際機関、約40団体(NGO・市民社会等)から500名以上が参加。
(1)日本:岩屋毅外務副大臣(全体議長、日本政府代表団長)、西村六善地球環境問題担当大使(分科会議長)等
(2)TICAD共催者:国連(レグウェイラ・アフリカ問題担当事務総長特別顧問)、UNDP(ディウフ・TICAD部長)、世銀(シエラ副総裁)が出席。(他に、国連事務総長のビデオ・メッセージあり。)
(3)開催協力者(Co-host):ケニア(キバキ大統領、オボチャ計画・国家開発大臣)、UNEP(シュタイナー事務局長)が出席。
(4)アフリカ諸国:45カ国が参加。ピン・ガボン副首相兼外相(元国連総会議長)及びウェッセ・リベリア外務副大臣が分科会議長を務めた。開会式・全体会議においては、ワンガリ・マータイ・ケニア元環境副大臣によるビデオメッセージの放映、ティバイジュカUN-HABITAT事務局長、ジョンボ・アフリカ環境大臣会議議長(コンゴ(共))、ドゥジャンガ・アフリカ・エネルギー大臣フォーラム議長代行(ウガンダ)、トラオレ国連持続可能な開発委員会(CSD)第15会期副議長(ブルキナファソ)によるスピーチが行われた他、計23名の閣僚級参加者(外務、開発、エネルギー、環境)が出席。
(5)主要ドナー:G8、EU、ノルウェー等。
(6)アジア諸国等:中国、インド、ベトナム、タイ、フィリピンを含む約10カ国
(7)国際機関:UNHCR、UNICEF、UNIDO、UNESCO、UNECA、FAO、OECD、OIF等約30機関。
(8)市民社会・NGO:TICAD市民社会フォーラム、アクション・エイド等約40団体。
(1)オーナーシップ、地域協力、パートナーシップの重要性
アフリカにおける持続可能な開発の文脈における環境及びエネルギー問題への取組に当たり、「オーナーシップの構築(アフリカ諸国の国レベルの取組)」、「地域協力の推進」及び「パートナーシップの深化(官民連携を含む関係者間の協力)」の三つの視点が重要であると確認。特に環境・エネルギー問題を各国の開発戦略の中に組み入れることとともに、地域経済共同体レベルでの戦略強化の必要性が強調された。また、市民社会の役割を再認識し、サイドイベント「市民社会との対話」からの意見を踏まえ、貧困層の視点での環境及びエネルギー問題への取組についても議論。
(2)環境、エネルギー及びその他の開発イシューの相互連関性
アフリカ諸国及び国際社会全体が、更なる政治的コミットメントに基づき、特に貧困、ジェンダー、基礎教育、保健等のミレニアム開発目標(MDGs)との密接な相互連関性を踏まえつつ、人間の安全保障の視点から、統合的に環境及びエネルギー問題への取組を前進させていくことが緊急課題である点につき認識を共有。
(3)気候変動及び適応問題の重要性
アフリカ大陸が地球規模の気候変動問題に対して特に脆弱であること、及び適応(※)の問題への取組がアフリカの持続可能な開発にとり一つの重要課題となることを強調。各論についても議論。
※適応:気候変動による悪影響(海水面の上昇、洪水、干ばつ等)への対応
(4)エネルギー・アクセスの重要性及び代替エネルギー・省エネ技術の役割・潜在性
エネルギー・アクセスの問題がアフリカ開発にとり主要課題であることが一様に認識され、加えて、代替エネルギー及び省エネ技術の役割及び潜在的可能性について、1)アクセスの拡大及び選択肢の分散、2)官民協力の活性化、3)環境適合性の三つの観点から評価・強調。具体的事例と共に議論。
(5)南南協力の重要性
アフリカの持続可能な開発のための環境及びエネルギー問題は複雑で多元的であり、単一の処方箋はなく、実際の問題に対処する際には柔軟な戦略と長期的視点が必要となる。アフリカや他地域の過去及び現在の経験から得られた教訓を共有することが特に重要であり、この点、南南協力、とりわけアジア・アフリカ協力をTICADの枠組みで推進。
(1)会議期間中、岩屋副大臣は、各出席者と個別に広く意見交換を行う機会を得た他、ケニア(大統領、外相他)、ガボン(副首相兼外相)、エリトリア(国家開発相)、ナミビア(国家計画委員長)、リベリア(外務副大臣)、タンザニア(外務副大臣)、スーダン(外務担当国務大臣)との会談及びUNEP(事務局長)との意見交換等を計10件実施した。更に、会議開催に先立ち、岩屋副大臣は、各国・機関首席代表を招待して夕食会を開催した。
(2)上記の会談等においては、岩屋副大臣から我が国のTICADプロセスを基軸とした対アフリカ支援の取組につき説明した他、スーダン情勢、ソマリア情勢を主としたアフリカ情勢一般に加えて、国連安保理改革及び北朝鮮情勢等についても協議を行った。
(1)アフリカにおける環境・エネルギー問題に関して深められてきている最新の議論の結果(AU/NEPAD、国連持続可能な開発委員会(CSD)、アフリカ環境大臣会合(AMSEN)等)を共有し、これらに基づき今後の具体的政策の方向性を討議し、本件閣僚会議の結果をアフリカ・エネルギー大臣フォーラム(FEMA)、CSD、G8開発大臣会合等の関連会合にも広くフィードバックすることとなった。右により大きな相乗効果が期待できる。
(2)会議参加者からは本件会議の開催のタイミングが極めて時宜にかなっているとの指摘を多く受けた。更に、アフリカ諸国からは、TICADプロセスへの取組に当たり、アフリカの意見を十分に反映させんとの日本の姿勢に対しても多くの肯定的反応が得られた。岩屋副大臣の「アフリカ人の琴線に触れる」プレゼンテーション(基調演説やディナー・スピーチ)も好意的に受け止められた。
(3)テーマ別のTICAD閣僚会議を開催する試みとしては、2004年の「アジア・アフリカ貿易投資会議」(東京)、昨年の「平和の定着」会議(アディス・アベバ)に続き3度目であるが、アフリカのオーナーシップを尊重しつつ、アフリカ開発に係るアジェンダを提起する場としてのTICADの特徴を如実に示すことができた。今次会議においては、従来個別に或いは断片的に取組が進められがちであったアフリカにおける環境問題、エネルギー問題及びその他の開発問題について、それらの相互連関性に着目して統合的な形で議論したが、これが今後の議論の潮流を創出することも期待される。
(4)岩屋副大臣は参加した外務・開発担当関係閣僚等との間で計10件の二国間会談を行ったが、これら協議を通じて1)各国との二国間の懸案の推進、2)地域情勢のより的確な把握と日本の関与のあり方に係る検討課題の明確化が図られた。特に、アフリカ各地の地域紛争への日本の取組、「平和の定着」に向けた協力に対しては、各国から高い評価を得ることができ、今後の協力の基盤を構築した。更に、安保理改革、北朝鮮問題等、我が国外交目標探求の機会としても十分に活用することができた。
(5)日本政府としては、今回の閣僚会議の成果やアフリカ各国、TICAD共催者等の意見を十分に踏まえ、明年4月乃至5月に開催するTICADIVに向けた準備を進めていくこととなる。