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第二回TICAD閣僚級フォローアップ会合コミュニケ
於:タンザニア・アルーシャ
2010年5月2~3日
(日本語仮訳)

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 アフリカ諸国の閣僚、代表団及びTICAD共催者である日本政府、国際連合、国連開発計画、世界銀行の代表は、他のパートナー諸国、アフリカ連合(AU)委員会、その他の国際・地域機関、民間セクター、市民社会団体の代表とともに、2010年5月2日及び3日、第二回TICAD閣僚級フォローアップ会合のため、タンザニアのアルーシャで一堂に会した。本会合の目的は、相互に連関する下記I~IVの議題に焦点を当てつつ、第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)で発出された「横浜行動計画」の履行状況を検討することである。

 本会合は、日本の外務大臣及びタンザニアの財務経済大臣が共同議長を務め、タンザニアのジャカヤ・ムリショ・キクウェテ大統領によって正式に開会された。

 参加者は、本会合と密接に関連する議題にかかる重要国際会議()が2010年に複数予定されていることを踏まえ、これらの会議に対し、アフリカの視点からの声を更に伝えるため、本コミュニケを発出した。

 参加者は、会合開催中にタンザニア連合共和国政府及び国民による歓待と素晴らしい便宜が提供されたことに深い謝意を表明した。

) 重要国際会議には、G8サミット、G20サミット、MDGs国連首脳会合、生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)、気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)が含まれる。


I.「横浜行動計画」の履行状況と今後の課題

  1. 参加者は、「横浜行動計画」の実施2年目の進捗状況が顕著であったことに総じて満足の意を表するとともに、TICAD IVで表明された全ての約束を順守しようとする日本政府の取組を賞賛した。
  2. 一方で参加者は、アフリカへの民間セクターの関与増大にかかる「横浜行動計画」の一部、すなわち、アフリカの対日輸出品の市場アクセスを含む貿易、投資及び観光分野について、日本とアフリカ双方における全ての関係者の更なる努力が必要であることを指摘した。
  3. 参加者は、TICADフォローアップ・メカニズムのモニタリングが効果的に機能し、開発パートナーとアフリカ諸国による約束履行につき説明責任及び透明性向上のモデルを提供していることを認識した。また、参加者は、同メカニズムが関係者間で協調的な取組をさらに推進する効果的なプラットフォームとして機能している点を再確認した。
  4. 参加者は、TICADのパートナーシップ拡大プロセスを更に強化すべく、AU、そのNEPAD計画調整庁(NPCA)、汎アフリカ議会、地域経済共同体、及び地域開発銀行を含む金融機関とより緊密に連携することで合意した。参加者はこれに関し、アフリカの首脳および政府により持続的な地域開発に役立つとして2009年7月に承認された、AU/NEPAD(アフリカ連合/アフリカ開発のための新パートナーシップ)のアフリカ行動計画(2010~2015年)に盛り込まれたプロジェクトの重要性を強調した。また、参加者は、TICADプロセスの開始以来促進されてきた南南協力が、現在では広く認知された開発協力の手法となり、アフリカ大陸内で協力を推進する手段となっていることを喜びつつ、こうした協力をさらに追求することを呼びかけた。

II.世界金融・経済危機からの回復に向けたアフリカの取組

  1. 参加者は、2009年にボツワナで開催された第一回TICAD閣僚級フォローアップ会合において持続的な経済成長軌道に戻るためのアフリカの自助努力に対する支援を目的として日本が表明した、約20億米ドルの無償資金・技術協力の早期実施及び「横浜行動計画」の履行加速化を含む約束を果たしたことを賞賛した。
  2. 参加者は、アフリカが金融・経済危機による著しい成長の減退から概ね回復基調にある一方、開発パートナーによる外部資金及び関連支援が回復に向けた流れを定着させる上で決定的な意味を持つと強調した。そのため全ての開発パートナーが各々の役割を果たすとともに、特に、対アフリカ政府開発援助(ODA)を2010年までに年間250億米ドル増加させ、2004年比で2倍以上にするというG8グレンイーグルズ・サミットで表明された公約を含む全ての公約の履行を促した。また、世界銀行国際開発協会(IDA)第16次増資およびアフリカ開発基金(ADF)第12次増資の交渉が成功することの重要性を強調した。
  3. 参加者は、アフリカ各国政府のこれまでの前向きな政策対応を賞賛するとともに、特にグッド・ガバナンス、アフリカ相互審査メカニズム(APRM)の遵守、適切なマクロ経済運営、貧困層及び子ども、女性、避難民を含む脆弱層の保護、ビジネス環境改善等に引き続き取り組むことを奨励した。参加者は、開発における採取産業の重要な役割を認識しつつ、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)並びに他のイニシアティブによる進展を賞賛した。
  4. 参加者は、持続的な経済成長及び雇用創出を通じた貧困削減の重要性、またこれに関連して、インフラや農業・農村開発分野の大きな欠陥が大半のアフリカ諸国で生産性や競争力、サービス提供、さらには地域統合を阻害していることに鑑み、これらの分野の継続的な支援の重要性を再確認した。すでに顕著な進捗がみられるものの、参加者はこれらの分野における取組を倍加することで一致した。参加者は、日本が円借款のさらなる積極活用を図り、今後2年間で最大20億ドル相当のインフラ案件の実施を表明したことを歓迎した。

III.ミレニアム開発目標(MDGs)達成

  1. 参加者は、2015年までのMDGs達成のためには、特に大きな遅れに直面しているアフリカの諸国により焦点を当てることが鍵となる点を強調した。また、参加者は、気候関連の衝撃や金融・経済危機がMDGs達成の後退をもたらしうる一方、MDGsのための介入措置が、コミュニティや社会がこれらのショックから回復する力を養うことにもなることを認識した。過去数年間の進展を逆戻りさせないために、参加者は、国際社会とアフリカ諸国が一致団結して取り組むこと、すなわち、全てのミレニアム開発目標、中でも立ち遅れているものの達成に向け、アフリカ諸国が政治的意思やコミットメントを引き続き示し、開発パートナーが約束を果たすことの重要性を強調した。
  2. 参加者は、日本がMDGs関連分野の支援を強化し、本年から次回のフォローアップ会合までに約10億ドルの支援を行う旨約束したことを歓迎した。参加者は、2010年9月のMDGs国連首脳会合において2015年までのMDGs達成に向けた世界的な戦略と具体的な行動の決定を促す力強いアフリカの声を発するよう呼びかけた。
  3. 参加者は、「人間の安全保障」の理念に根ざしたTICADプロセスの包括的アプローチが、国全体の能力を強化し、現場へ社会的、経済的なサービスを効果的に届け、コミュニティレベルでの保護と自己実現のために有効に機能しているという点で一致した。参加者は、こうしたアプローチの成功をMDGs達成に不可欠な要素として、MDGs国連首脳会合の成果文書に適切に反映させるべきという点で合意した。参加者は、MDGs達成の前提条件である平和の構築及び定着へのコミットメントを再確認するとともに、脆弱な国家や人々の回復力を高めることの重要性を強調した。

IV.気候変動への対処

  1. 参加者は、気候変動がアフリカ大陸に深刻な悪影響を与えるとの懸念を共有した。参加者は、全ての関係国が参加する公平かつ実効性ある国際的枠組みが必要であることを再確認するとともに、アフリカの共通ポジション及び「コペンハーゲン合意」が留意されたことを含む国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)の重要な進展を認識しつつ、新しい一つの包括的な法的拘束力のある文書の可能な限り速やかな採択に向けて協力を強化することが必須である点で一致した。参加者は、メキシコのカンクンで開催されるCOP16の成功に向け緊密に連携していくことを確認した。また、意欲的な目標と行動に合意することの必要性を認識し、今後の国際交渉において日本とアフリカ諸国との対話を強化することに合意した。
  2. これに関し、参加者は、気候変動対策のための行動を起こす強い意思を示すとともに、「鳩山イニシアティブ」に基づく日本政府のアフリカ支援、特に、気候変動に起因する自然災害への国家的、地域的な対処能力強化に向けた支援などを含む気候変動による悪影響への適応支援や、緩和策としての再生可能エネルギーに対する支援がすでに実行に移されていることを歓迎した。また、参加者は、日本政府が他の開発パートナーと適切に連携しつつ、アフリカ諸国の気候変動対策への支援を更に強化することに期待を表明した。
  3. 参加者は、アフリカ大陸での森林減少および森林劣化に由来する排出削減並びに砂漠化対処(REDDプラス)の支援における日本の積極的な役割を歓迎した。これに関連して、アフリカ諸国は、本年10月の生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)に際し、日本政府が森林保全協力及び気候変動に関する閣僚級会合を開催する旨表明したことを歓迎した。また、森林保全が生物多様性の保全に貢献することを想起しつつ、参加者は、CBD/COP10の成功に向けた連携を強化することに合意した。これに関し、参加者は、「緑の壁(The Great Green Wall)」や世界第二の熱帯雨林を擁するコンゴ盆地における取組など、アフリカにおける環境プログラム強化の必要性を強調したほか、本年9月にリーブルビルで国際生物多様性会議を開催するガボン政府のイニシアティブを歓迎した。
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