アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
タイにはソンクラーン祭りという新年を祝う伝統的な正月行事があります。ソンクラーンはサンスクリット語では「移る」という意味があり、太陽の軌道が白羊宮(Aries)へ移動することを指します。これは12ヶ月の周期が終結して、太陽暦による新年が始まることを意味します。ソンクラーンは、旧正月にあたる4月12日から15日に行われる「水かけ祭り」として世界的に知られています。この水をかけるという行為には「敬意を払う」という意味があり、仏像や年長者に水をかけます。タイでは3月から5月は暑季とよばれる最も暑い時期で、そんな真夏日の猛暑を水をかけることで和らげるのです。
ソンクラーンはタイの社会にとって、非常に重要な伝統祭で、タイの人々は各自の実家に里帰りし、尊敬の意を込めて両親や祖父母の両手に水を丁寧に注ぎ、贈り物を贈ります。こうした習慣は、それまでに積んできた功徳を先祖に捧げること、年長者が年少者に対して幸福を祈ることという2つの意義を持ちます。
仏陀へ聖水を注ぐ儀式
この日は、去り行く年を送るために様々な行事が行われます。朝には功徳を施す儀式が行われ、僧侶に対してお布施が為されます。家の掃除または精神的浄化もまた「再生」のための儀式の一つです。その後仏像が町の至るところに運ばれ、敬意を表すために一般の人々によって聖水で洗われます。
この日太陽は双魚宮(Pisces)と白羊宮(Aries)との間に位置します。朝は功徳を積む儀式が続けられ、僧侶に捧げものが贈られます。終日ソンクラーンの水かけが行われ、真夏日の猛暑を和らげます。夕方になると砂がお寺に運ばれ、その砂でお城を造り、色彩に富んだ花や旗で飾り付けをします。これは境内の砂が、参拝が終わって帰宅しようとする人々の靴について運び出されてしまうのを防ぐ目的で行われる昔からの習慣であると同時に功徳を積むという意味合いもあります。
この日はタイの元旦にあたります。僧侶に食べ物やその他の供え物を捧げたり、魚や鳥を放つといった功徳を与える儀式が行われます。年少者は尊敬、懺悔の意をこめて年長者に聖水を注ぎ、年長者は年少者に祝福を与えると共に年少者のそれまでの犯した過ちを赦します。これらの儀式や式典が、親愛・敬愛する人々や亡くなった人々の幸福と幸運を祈ることになると考えられています。