中東

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第3回シリア・フレンズ会合(概要と評価)

平成24年7月9日

英語版

  • (写真)第3回シリア・フレンズ会合-1
  • (写真)第3回シリア・フレンズ会合-2

 7月6日(金曜日),パリにおいて,第3回シリア・フレンズ会合が開催されたところ,概要と評価は以下のとおり(我が国からは,浜田和幸外務大臣政務官,鈴木敏郎大使(中東・北アフリカ諸国における改革その他の諸情勢担当)が出席)。

1 会合の概要

  1. (1)日時:7月6日(金曜日) 9時00分~15時30分
  2. (2)場所:仏外務省コンベンション・センター
  3. (3)議長:ファビウス仏外相
  4. (4)参加者:約107の国・国際機関の代表,シリア反体制派グループの代表など(クリントン米国務長官,ヘーグ英外相,ヴェスターヴェレ独外相,ダーヴトォール・トルコ外相,ハマド・ビン・ジャーシム・カタール首相兼外相,エルアラビー・アラブ連盟事務総長,ナーセル・キドワ国連・アラブ連盟共同副特使,スィーダ・シリア国民評議会(SNC)議長などが参加)

2 議論の概要

 オランド仏大統領による基調演説により開幕。続いて,シリア反体制派グループから,スィーダSNC議長の他,シリア国内よりの参加者数名がビデオ・メッセージも含めてスピーチを行った。また,国連,アラブ連盟,国連人権理事会などの代表者を含め,ほぼ全ての参加国代表よりステートメントが行われた。シリアの主権,独立,領土一体性のために全ての参加者がコミットメントを示し,シリア政権による武力の使用を非難するとともに,全ての人権侵害を非難。ジュネーブ・コミュニケを歓迎し,アサド大統領が権力を棄てる必要があることを強調。アナン特使の6提案をシリア政権が遵守するよう呼びかけがなされた。議長総括(PDF)は以下のとおり。次回フレンズ会合はモロッコにおいて開催される予定(時期未定)。

  1. 1)より強化された安全保障理事会の必要性(国連憲章第7章下の決議により,アナン特使の6項目提案を再確認し,アクション・グループ会合の政治的移行の計画を支持し,遵守を強制するための国連憲章第41条の下での措置を課すことで,その役割を果たし,アナン特使を支援するよう安保理に呼びかけ)
  2. 2)犯罪者は不処罰のままにはされない(国連人権理事会のマンデートによるシリアの独立国際調査委員会の活動を支持)
  3. 3)弾圧を行う者,またこれを支える者は,より強く広範な制裁に直面
  4. 4)民主的な反体制派とシリア国内連帯ネットワークをより積極的に支援(カイロでの会合において,これまでで初めて「国民協定」と詳細な移行プランに合意できたことを評価)
  5. 5)人道支援の強化の必要性
  6. 6)国際社会はシリアの人々及びその復興を支援していく(UAEと独による共同議長によるワーキンググループを評価)

3 我が国の対応

 我が国からは,浜田外務大臣政務官より以下のステートメントを行った。

  1. (1)シリアにおける暴力と流血を一刻も早く止めるため,国際社会が共に協力すべき。
  2. (2)まずはシリア政府が,アナン国連・アラブ連盟共同特使の提案を無条件で遵守する必要がある。ジュネーブで開催されたアクション・グループ会合においては,そうした点に加えて,「シリア人主導の政権移行のためのガイドライン」について合意が得られたことを評価。他方,何よりもその実施が重要であり,そのためにもフレンズ会合などの有志国の圧力や働きかけは非常に重要。また,シリア反体制派に対しては,カイロで開催された反体制派会合の成果に留意しつつ,かかる政権移行期に備え,その準備を強化するよう要請する。
  3. (3)我が国としては,引き続き国際社会と連携し,暴力の停止に向け積極的な役割を果たしていく考えである。これまで,シリア政府に対する圧力としては,新規の経済協力の見合わせ,累次に亘る経済制裁,前例のない駐日大使へのペルソナ・ノン・グラータ通告などの措置を行ってきた。本日も,資産凍結対象の追加,シリア国籍チャーター便の乗り入れ禁止等の新たな制裁措置を講じた。
  4. (4)また,最大の犠牲者であるシリア国民,特に子供や女性など弱者救済のため,これまで800万ドルの緊急無償資金協力を行ってきた。
  5. (5)我が国としては,引き続き,手を血で染めていない全てのシリア人のために協力して人道支援,ひいては国造り支援を行っていきたい。また,全てのシリア人が安心して,民主的かつ多元的な国家再生に向けた要望を実現するよう真に願っている。

4 評価

  1. (1)第1回会合(チュニジア),第2回会合(イスタンブール)を更に上回り,107の国・国際機関よりのハイレベルでの参加(閣僚級は40人以上)が得られたことは,シリア問題の解決に向けた国際社会の強い関心(含,強制力を有する国連安保理決議採択の呼びかけ)及びシリアの人々に対する連帯の意を改めて表示することとなった点で評価される。他方,露や中は前回,前々回会合に続き今回も不参加。
  2. (2)6月30日のジュネーブ会合の結果については,シリアにおける移行政権樹立の必要性について,露・中も含めて合意されたことを改めて評価された。
  3. (3)シリア国内から参加したシリア反体制派の若い活動家のスピーチでは,国際社会はシリアにおける人権侵害を一刻も早く止めるよう実効的な手段を講じるよう強く訴えかけた。
  4. (4)また,一部の国からは,明示的にアサド大統領の退陣が必要であることが強調されるとともに,露や中に対する働きかけを含め,各国がシリアを危機から脱出させるために,迅速な行動と圧力をかける必要性が強調された。

5 浜田外務大臣政務官は,今次会合の機会を捉え,スィーダSNC議長やダーヴトォール・トルコ外相らの参加者と短時間懇談した。スィーダ議長に対しては,シリアの人々に対する連帯の意と反体制派の活動を引き続き支援していくとの我が国の立場を表明した。また,ダーヴトォール外相に対しては,先のシリアによるトルコ軍機撃墜事件について,お悔やみを述べるとともに,シリアをめぐる情勢につき,引き続きトルコと連帯感を持って協力していきたい旨述べた。


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