中東

基礎データ

令和4年1月21日
シリア・アラブ共和国国旗

一般事情

1 面積

18.5万平方キロメートル(日本の約半分)

2 人口

2,038万人(2021年7月推定値 CIA The World Factbook)(下記5(2)参照)

3 首都

ダマスカス

4 人種・民族

アラブ人:約75%、クルド人:約10%、アルメニア人等その他:約15%

(2021年 CIA The World Factbook

5 公用語

アラビア語

6 宗教

イスラム教:87%(スンニー派 74%、アラウィ派、シーア派など 13%)、キリスト教:10%、ドルーズ派:3%

(2021年 CIA The World Factbook

7 略史

年月 略史
1918年 オスマン・トルコより独立
1920年 仏の委託統治領となる
1946年 仏より独立
1958年 エジプト・シリアによるアラブ連合共和国成立
1961年 シリアがアラブ連合共和国から離脱

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

バッシャール・アル・アサド大統領(2000年7月就任、2020年5月4選、任期7年)

3 議会

一院制(人民議会)(250議席 2020年7月選挙、任期4年)

4 政府

(1)首相
フセイン・アルヌース(2020年6月就任、同年8月再任)
(2)外相
ファイサル・アル・ミクダード(2020年11月外相就任)

5 内政

(1)シリア危機(2011年)勃発以前の状況
 1970年以来シリア大統領職にあったハーフェズ・アサド大統領は、国内少数派(アラウィー派)の出身ながら、巧みな政治手腕(多数派スンニー派の掌握等)により長期安定政権を維持したが、2000年6月10日に69歳で死去。その後は、次男バッシャール(長男バーセルは事故死)に政権が平和裡に移譲された。共和政体下にあるものの、実質はバアス党による一党支配。政権の課題は、中東和平及び経済面を中心とした改革の推進とされた。
(2)シリア危機勃発以降の状況
 2011年3月中旬以降、各地で反政府デモが発生し、反政府勢力に過激派武装勢力なども参加してシリア政府当局との間で暴力的衝突に発展した。シリア政府と反政府勢力との間の暴力的衝突がその後も継続する中、2014年以降はイスラム過激派勢力である「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」が勢力を拡大し、また、関係国がシリア情勢への関与を深めるなど、シリア内政は複雑化の一途を辿った。
 2011年のシリア危機勃発以降全土で約40~47万人以上の死者、約670万人以上の国内避難民が発生し、周辺諸国等に約570万人以上の難民が流出(国連等、2021年11月時点) したとされ、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続している。
 2019年3月にISILが最後の拠点を失って以降も、シリア国内では、関係国も関与する形で、シリア政府軍と反政府勢力との間での軍事衝突が継続しており、特にイドリブ地域では2019年4月に露等の支援を受けたシリア政府軍と反体制派との間で戦闘が激化して以降、多くの国内避難民が発生し、人道状況が極めて悪化した。
 シリア危機の政治的解決に向けては、安保理決議第2254号(2015年)に沿った政治プロセスの進展を図るべく、国連仲介の下、2016年以降、「シリア人対話」が開催されていたが、2018年1月以降中断されたままとなっていた。その後、ペデルセン特使を中心する国連等の仲介努力により、2019年10月には憲法改革についてシリア人間で議論する憲法委員会が活動を開始した。憲法委員会の活動等を通じて政治プロセスに進展が見られることが期待されるものの、これまでのところ具体的な進展は見られていない。
 こうした中、シリア政府は、2020年7月にシリア危機発生以降3度目(前回は2016年)となる人民議会選挙を実施した。2021年5月には大統領選挙を現行憲法に基づき実施し、アサド大統領が約95%の得票率で再選を果たした。

外交

1 シリア危機勃発(2011年)以前の状況

 中東和平問題等の中東情勢の鍵を握る重要な立場にあったが、2005年2月のハリーリ・レバノン元首相の暗殺事件以来、米仏による対シリア圧力が強まり、国際社会において孤立してきた。その後、2008年以降、徐々に欧米諸国との対話が開始され、孤立からの脱却が図られるとともに、中東地域内においては、イランとの関係強化を図る一方、長年対立的な関係にあったトルコやサウジアラビアを始めとする周辺アラブ諸国との関係の改善に向けた動きも見られた。

2 シリア危機勃発以降の状況

 2011年のシリア危機勃発以降、欧米諸国などはシリア政府によるシリア国民に対する激しい弾圧等を踏まえシリアに対する経済制裁措置を累次に亘り講じてきている他、アラブ連盟はシリア政府の同連盟参加資格を停止している(2011年11月~)。
 2013年8月のシリアにおける化学兵器使用を巡る問題を受け、シリアは同年中に化学兵器禁止条約(CWC)に加入し、2016年1月までにシリア政府が申告した化学兵器の廃棄を完了した。しかし、廃棄完了以降も、シリアにおける化学兵器使用事案は頻発しており、シリア政府による申告との整合性に疑念が生じている。こうした中、2020年4月、シリアでの化学兵器使用事案について、その使用者を調査していた化学兵器禁止機関(OPCW)は、2017年3月にシリア北西部で発生した化学兵器使用事案に関してシリア空軍の関与を結論づける旨の報告書を発表した。
 シリア危機の政治的な解決に向けて、我が国や欧米諸国を始めとする国際社会は、安保理決議第2254号等に沿ったシリア危機の政治的解決に向けたシリア政府による真摯な対応を求めてきている。国連は、シリア政府や反体制派、関係国などの間での対話を促進すべく、安保理決議第2254号に沿う形で仲介努力(シリア人対話(Intra-Syrian talks)(2016~18年)、憲法委員会(2019年~)等)を行ってきているが、政治プロセスは停滞している状況にある。 シリア国内で戦闘を継続するシリア政府や親政府民兵組織、 反体制派などの各勢力に強い影響力を有する露、トルコ、イランは、国連の仲介努力を支援すべく、シリア国内各地域での停戦等の実現に向けて「アスタナ・プロセス」を立ち上げた。同プロセスは、これまで、「イドリブや南西部等における緊張緩和地帯の設置」や「イドリブに関する露トルコ合意(ソチ合意)」等の一定の成果をもたらしたものの、シリア全土での停戦は依然として実現されていない。
 アサド政権が国土の多くを回復しその優勢が自明となる中、最近では、10年ぶりとなるヨルダンとの首脳電話会談の実施(2021年10月)やアラブ首長国連邦外相によるダマスカス訪問(同11月)等、一部アラブ諸国によるシリアとのハイレベルでの関係再構築の動きが見られる。一方、主要西側諸国は、アサド政権による化学兵器使用や人権蹂躙行為等を理由に、シリア政府への再関与には慎重な姿勢を維持している。

国防(軍事力)

1 予算

不明(ミリタリーバランス 2020年)

2 兵力等

(1)兵力:
16万9,000人(うち陸軍13万人、海軍4,000人、空軍・防空軍2万人)
(2)予備役兵:
10万人
(3)兵役:
徴兵制度 30か月

(以上、ミリタリーバランス 2019年)

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

石油生産業、繊維業、食品加工業

2 GDP(購買力平価)

502.8億ドル(一人当たり 2,900ドル)(2015年推定値 CIA The World Factbook

3 GDP成長率

-36.5%(2014年推定値 CIA The World Factbook

4 インフレ率

28.1%(2017年推定値 CIA The World Factbook

5 失業率

50%(2017年推定値  CIA The World Factbook

6 貿易

(1)輸出 18.5億ドル(2017年推定値 CIA The World Factbook
主要輸出品:オリーブオイル、果物・野菜(馬芹種子、ピスタチオ、トマト、林檎等)など
主要輸出先:サウジ(23%)、トルコ(18%)、エジプト(14%)、UAE(8%)、ヨルダン(7%)、クウェート(5%)
(2)輸入 62.7億ドル(2017年推定値 CIA The World Factbook
主要輸入品:煙草、放送機器、小麦粉、ヒマワリ油、製油など
主要輸入元:トルコ(27%)、中国(22%)、UAE(14%)、エジプト(5%)

7 為替レート

(1)通貨:
シリア・ポンド
(1)為替レート:
1ドル=2,500シリア・ポンド(公定レート)(2022年1月 シリア中央銀行)

8 経済概況

  • (1)2011年3月以降、シリア当局の反政府デモに対する弾圧と暴力に対して、欧米諸国等が石油の禁輸措置などを含む経済制裁措置を実施。この点、長年の紛争により、シリア政府の外貨準備高は著しく減少したとみられ、シリア・ポンドの価値も著しく下落した。
  • (2)また、紛争が長期化する中で、発電所などの社会インフラの多くも破壊され、農業や観光業などの主要産業も大きな打撃を受けるなど、経済情勢は著しく悪化しており、国民生活への影響は非常に大きい。

経済協力

1 主要援助国

米国、ドイツ、英国、EU、カナダ、日本、イタリア、フランス、ノルウェー

2 日本の援助(2012年度末以前)

(1)有償資金協力
約1,563.05億円
(2)無償資金協力
約306.41億円
(3)技術協力
約293.90億円

3 我が国の対シリア・周辺国に対する緊急・人道的支援(2012年以降)

 我が国は、シリア危機発生によるシリア国内及びその周辺国での人道状況の悪化を受けて、2012年以降、シリア及びその周辺国に対して、国際機関等を通じて31億ドル以上の緊急・人道的支援を実施。

(注)2011年以降のシリア情勢により、緊急・人道的性格の援助を除き、シリアに対する新規の経済協力の実施を見合わせることとしている。

二国間関係

1 政治関係

年月 略史
1953年12月 国交樹立
1954年6月 在シリア日本国公使館開設
1958年3月 在ダマスカス日本国総領事館開設(エジプトとの合邦のため公使館廃止)
1962年4月 在シリア日本国大使館となる。(エジプトの合邦から分離独立)
1978年12月 在日シリア大使館開設

(注)在シリア日本国大使館は、シリア国内の治安状況が悪化したことから、2012年3月に一時閉館。現在は、在レバノン日本国大使館内に臨時事務所を移転して業務を継続中。

2 経済関係

対日貿易(2019年財務省貿易統計)
輸出(シリアから日本):
0.5億円
輸入(日本からシリア):
15.6億円(自動車、一般機械等)

(注)我が国は、シリア危機の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容に沿い、シリアのアサド大統領及びその関係者等に対し、外為法に基づく資産凍結等の措置を平成23年9月以降実施してきている(制裁対象は累計59個人及び35団体)。

3 文化関係

 シリアには、日本語教育機関としてダマスカス大学人文学部日本語学科、ダマスカス大学高等言語学院日本語科、アレッポ大学学術交流日本センターがある。

4 要人往来

(1)日本からシリア
年月 要人名
2000年6月 河野外務大臣
2001年1月 石破防衛庁副長官
2001年8月 杉浦外務副大臣
2002年8月 参議院訪問団(関谷議員他)
2002年11月 茂木外務副大臣(総理大臣特使)
2003年3月 中山元外務大臣(総理大臣特使)
2003年4月 川口外務大臣
2003年12月 逢沢外務副大臣(総理大臣特使)
2004年3月 岡本総理大臣補佐官
2006年11月 有馬政府代表
2007年6月 浅野外務副大臣
2008年3月 有馬政府代表
2009年5月 西村外務大臣政務官
2009年8月 飯村政府代表
2010年5月 長島防衛大臣政務官
2011年2月 飯村政府代表
(2)シリアから日本
年月 要人名
2001年3月 ムアッリム外務次官
2002年7月 リファーイ経済貿易相
2003年2月 ダハル電力相
2003年2月 アッタール元文化相
2004年2月 ダルウィーシュ外務次官
2008年12月 フセイン・シリア日本友好議員連盟会長
2009年1月 ミクダード外務副大臣
2009年11月 アガ文化相
2009年12月 ダルダリ経済担当副首相
2011年1月 シャアバーン大統領補佐官

5 二国間条約・取極

貿易取極
1953年署名
司法共助取極
1957年署名
日本青年海外協力隊派遣取極
1967年署名
技術協力協定
1985年署名
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