中東

基礎データ

令和2年9月7日
シリア・アラブ共和国国旗

一般事情

1 面積

18.5万平方キロメートル(日本の約半分)

2 人口

1,690万人(2018年 世銀)

(注)2011年に始まったシリア危機は、戦闘行為が継続して情勢の安定化の見通しが見えない中、約57万人以上(2019年 国際NGO筋)とも言われる死者、約550万人以上(2020年 UNHCR)の難民、約610万人(2019年 UNOCHA)の国内避難民を発生させており、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続している。

3 首都

ダマスカス

4 人種・民族

アラブ人:約75%
クルド人:約10%
アルメニア人等その他:約15%

(2020年 CIA The World Factbook

5 公用語

アラビア語

6 宗教

イスラム教:90%(スンニー派 74%、アラウィ派、シーア派など 13%、ドルーズ派 3%)
キリスト教:10%

(2020年 CIA The World Factbook)

7 略史

年月 略史
1918年 オスマン・トルコより独立
1920年 仏の委託統治領となる
1946年 仏より独立
1958年 エジプト・シリアによるアラブ連合共和国成立
1961年 シリアがアラブ連合共和国から離脱

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

バッシャール・アル・アサド大統領(2000年7月就任、2007年5月再任、2014年6月3選、任期7年)

3 議会

一院制(人民議会)(250議席 2020年7月選挙、任期4年)

4 政府

(1)首相
フセイン・アルヌース(2020年6月就任、同年8月再任)
(2)副首相兼外相
ワリード・アル・ムアッリム(2006年2月外相就任、2012年6月副首相兼任、2020年8月再任)

5 内政

(1)シリア危機(2011年)発生以前の状況
 1970年以来シリア大統領職にあったハーフェズ・アサド大統領は、国内少数派(アラウィー派)の出身ながら、巧みな政治手腕(多数派スンニー派の掌握)により長期安定政権を維持したが、2000年6月10日に69歳で死去。その後は、次男バッシャール(長男バーセルは事故死)に政権が平和裡に移譲された。共和政体下にあるものの、実質はバアス党による一党支配。政権の課題は、中東和平及び経済面を中心とした改革の推進とされた。
(2)シリア危機発生以降の状況
 2011年3月中旬以降、いわゆる「アラブの春」の中、各地で反政府デモが発生し、反政府勢力に過激派武装勢力なども参加してシリア政府当局との間で暴力的衝突に発展した。シリア政府と反政府勢力との間の暴力的衝突がその後も継続する中、2014年以降はイスラム過激派勢力である「イラクとレバントのイスラム国(ISIL)」が勢力を拡大して関係国がシリア情勢への関与を深めるなど、シリア内政は複雑化の一途を辿った。
 2011年のシリア危機発生以降全土で約40~47万人以上の死者、約610万人以上の国内避難民が発生し、周辺諸国に約550万人以上の難民が流出したとされ(国連等)、今世紀最悪の人道危機と言われる状況が継続している。
 2019年3月にISILが最後の拠点を失って以降も、シリア国内では、関係国も関与する形で、シリア政府軍と反政府勢力との間での軍事衝突が継続している。特にイドリブ地域では2019年4月にロシア等の支援を受けたシリア政府軍と反体制派との間で戦闘が激化して以降、多くの国内避難民が発生し、人道状況が極めて悪化した。
 こうした状況の中、シリア危機の政治的解決に向け、安保理決議第2254号(2015年)に沿った政治プロセスの進展を図るべく、2016年以降、国連仲介の下で「シリア人対話」が開催されていたが、2018年1月以降中断されたままとなっていた。こうした中、ペデルセン国連事務総長特別代表を中心とする国連及び国際社会の仲介努力により、2019年10月には憲法改革についてシリア人同士で議論する憲法委員会が活動を開始した。憲法委員会の活動等を通じて政治プロセスに進展が見られることが期待される。
 シリア政府は、2020年7月にシリア危機発生以降3度目(前回は2016年)となる人民議会選挙を実施した。また、2021年にはシリア危機発生以降2度目(前回は2014年)となる大統領選挙が実施される見込みとなっている。この点、2020年7月の人民議会選挙に関しては、米国や反体制派は、シリア難民が不参加であることからも,今次選挙が自由で公正な選挙ではない旨指摘している。

外交

1 シリア危機発生(2011年)以前の状況

 シリアは、中東和平問題等の中東情勢の鍵を握る重要な立場にあったが、2005年2月のハリーリ・レバノン元首相の暗殺事件以来、米仏による対シリア圧力が強まり、国際社会において孤立してきた。2008年以降、徐々に欧米諸国との対話が開始され、孤立からの脱却が図られていた。中東地域内においては、イランとの関係強化を図る一方、長年対立的な関係にあったトルコやサウジアラビアを始めとする周辺アラブ諸国との関係の改善に向けた動きも見られた。

2 シリア危機発生以降の状況

 2011年のシリア危機発生以降、欧米諸国などはシリア政府によるシリア国民に対する激しい弾圧等に対して、シリアに対する経済制裁措置を累次に亘り講じてきている他、アラブ連盟はシリア政府の同連盟参加資格を停止している(2011年11月~)。
 2013年8月のシリアにおける化学兵器使用を巡る問題を受け、シリアは同年中に化学兵器禁止条約(CWC)に加入し、2016年1月までにシリア政府が申告した化学兵器の廃棄を完了した。しかし、廃棄完了以降も、シリアにおける化学兵器使用事案は頻発しており、シリア政府の申告の整合性に疑念が生じている。こうした中、2020年4月、シリアでの化学兵器使用事案について、その使用者を調査していた化学兵器禁止機関(OPCW)は、2017年3月にシリア北西部で発生した化学兵器使用事案に関してシリア空軍の関与を結論づける報告書を発表した。
 シリア危機の政治的な解決に向けて、我が国や欧米諸国を始めとする国際社会は、安保理決議第2254号等に沿ったシリア危機の政治的解決に向けたシリア政府による真摯な対応を求めてきている。国連は、シリア政府や反体制派、関係国などの間での対話を促進するべく、安保理決議第2254号に沿う形で仲介努力(シリア人対話(Intra-Syrian talks)(2016~18年)、憲法委員会(2019年~)等)を行ってきている。
 シリア国内で戦闘を継続するシリア政府や親体制派民兵組織及び反体制派などの各勢力に強い影響力を有する露、トルコ、イランは、国連の仲介努力を支援すべく、シリア国内各地域での停戦等の実現に向けて「アスタナ・プロセス」を2016年に立ち上げ、第1回会合を2017年1月に開催した。同プロセスは、これまで,「イドリブや南西部等における緊張緩和地帯の設置」や「イドリブに関する露トルコ合意(ソチ合意)」等の一定の成果をもたらした。

国防(軍事力)

1 予算

不明(ミリタリーバランス 2019年)

2 兵力等

(1)兵力:
13万9,000人(うち陸軍10万人、海軍4,000人、空軍・防空軍3.5万人)
(2)予備役兵:
10万人
(3)兵役:
徴兵制度 30カ月

(以上、ミリタリーバランス 2019年)

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

石油生産業、繊維業、食品加工業

2 GDP

341億ドル(一人当たり 1,821ドル)(2014年 UN Data

3 GDP成長率

-36.5%(2014年推定値 CIA The World Factbook

4 インフレ率

28.1%(2017年推定値 CIA The World Factbook

5 失業率

13.2%(2014年 UN Data

6 貿易

(1)輸出 18.5億ドル(2017年推定値 CIA The World Factbook
主要輸出品:原油、鉱物資源、石油製品、果物・野菜、綿繊維、衣料品、精肉類、小麦など
主要輸出先:レバノン(31.5%)、イラク(10.3%)、ヨルダン(8.8%)、中国(7.8%)、トルコ(7.5%)、スペイン(7.3%)
(2)輸入 62.7億ドル(2017年推定値 CIA The World Factbook
主要輸入品:機械類・輸送機器、電機・発電機類、食料・日用品、金属・金属製品、化学製品類など
主要輸入元:ロシア(32.4%)、トルコ(16.7%)、中国(9.5%)

7 為替レート

(1)通貨:
シリア・ポンド
(1)為替レート:
1ドル=700シリア・ポンド(公定レート)(2020年1月20日 シリア中央銀行)

8 経済概況

  • (1)基本的には社会主義的計画経済を維持しながらも、近年は民間資本の導入と規制緩和を中心とした経済政策を採用するなど市場経済への移行努力を続け4~5%の経済成長率を記録し、湾岸諸国や新興国からの投資が増加していた。
  • (2)2011年3月以降、シリア当局の反政府デモに対する弾圧と暴力に対して、欧米諸国等が石油の禁輸措置などを含む経済制裁措置を実施。この点、長年の紛争により、シリア政府の外貨準備高は著しく減少したとみられ、シリア・ポンドの価値も著しく低下した。
  • (3)また、紛争が長期化する中で、発電所などの社会インフラの多くも破壊され、農業や観光業などの主要産業も大きな打撃を受けるなど、経済情勢は著しく悪化しており、国民生活へのその影響は非常に大きい。

経済協力

1 主要援助国

米国、ドイツ、英国、EU、ノルウェー、カナダ、日本、スウェーデン、オランダ、デンマーク(2020年3月 FTS/UNOCHA)

2 日本の援助(2012年度末以前)

(1)有償資金協力
約1,563.05億円
(2)無償資金協力
約306.41億円
(3)技術協力
約293.90億円

3 我が国の対シリア・周辺国に対する緊急・人道的支援(2012年以降)

 我が国は,シリア危機発生によるシリア国内及びその周辺国での人道状況の悪化を受けて、2012年以降,シリア及びその周辺国に対して、国際機関等を通じて29億ドル以上の緊急・人道的支援を実施。

(注)2011年以降のシリア情勢により、緊急・人道的性格の援助を除き、シリアに対する新規の経済協力の実施を見合わせることとしている。

二国間関係

1 政治関係

年月 略史
1953年12月 国交樹立
1954年6月 在シリア日本国公使館開設
1958年3月 在ダマスカス日本国総領事館開設(エジプトとの合邦のため公使館廃止)
1962年4月 在シリア日本国大使館となる。(エジプトの合邦から分離独立)
1978年12月 在日シリア大使館開設

(注)在シリア日本国大使館は、シリア国内の治安状況が悪化したことから、2012年3月に一時閉館。現在は、在レバノン日本国大使館内に臨時事務所を移転して業務を継続中。

2 経済関係

対日貿易(2019年財務省貿易統計)
輸出(シリアから日本):
0.5億円
輸入(日本からシリア):
15.6億円(自動車、一般機械等)

(注)我が国は、シリア危機の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容に沿い、シリアのアサド大統領及びその関係者等に対し、外為法に基づく資産凍結等の措置を平成23年9月以降実施してきている(制裁対象は累計59個人及び35団体)。

3 文化関係

 シリアには、日本語教育機関としてダマスカス大学人文学部日本語学科、ダマスカス大学高等言語学院日本語科、アレッポ大学学術交流日本センターがある。

4 要人往来

(1)日本からシリア
年月 要人名
2000年6月 河野外務大臣
2001年1月 石破防衛庁副長官
2001年8月 杉浦外務副大臣
2002年8月 参議院訪問団(関谷議員他)
2002年11月 茂木外務副大臣(総理大臣特使)
2003年3月 中山元外務大臣(総理大臣特使)
2003年4月 川口外務大臣
2003年12月 逢沢外務副大臣(総理大臣特使)
2004年3月 岡本総理大臣補佐官
2006年11月 有馬政府代表
2007年6月 浅野外務副大臣
2008年3月 有馬政府代表
2009年5月 西村外務大臣政務官
2009年8月 飯村政府代表
2010年5月 長島防衛大臣政務官
2011年2月 飯村政府代表
(2)シリアから日本
年月 要人名
2001年3月 ムアッリム外務次官
2002年7月 リファーイ経済貿易相
2003年2月 ダハル電力相
2003年2月 アッタール元文化相
2004年2月 ダルウィーシュ外務次官
2008年12月 フセイン・シリア日本友好議員連盟会長
2009年1月 ミクダード外務副大臣
2009年11月 アガ文化相
2009年12月 ダルダリ経済担当副首相
2011年1月 シャアバーン大統領補佐官

5 二国間条約・取極

貿易取極
1953年署名
司法共助取極
1957年署名
日本青年海外協力隊派遣取極
1967年署名
技術協力協定
1985年署名
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