スイス連邦
スイス連邦(Swiss Confederation)
基礎データ
一般事情
1 面積
4.1万平方キロメートル(九州と同じくらい)
2 人口
867万人(2020年、スイス連邦統計庁)
3 首都
ベルン
4 言語
ドイツ語(62.1%)、フランス語(22.8%)、イタリア語(8.0%)、ロマンシュ語(0.5%)(2019年、スイス連邦統計庁)
5 宗教
カトリック35.1%、プロテスタント23.1%、イスラム教5.4%(2019年、スイス連邦統計庁)
6 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1291年 | スイス誓約同盟 |
1815年 | 欧州列強がウィーン会議でスイスの永世中立を承認。 |
1848年 | 連邦憲法制定・連邦内閣樹立 |
1960年 | EFTA加盟 |
1973年 | ECと自由貿易協定締結 |
1999年 | EUと第1次二国間協定を署名(政府調達、農産品市場へのアクセス自由化等7分野、2002年発効) |
2000年 | 現行憲法に大幅改正 |
2002年 | 国連加盟(190番目の加盟国) |
2004年 | EUと第2次二国間協定を署名(詐欺対策、加工農産品等9分野、一部を除き2005~2008年発効) |
政治体制・内政
1 政体
連邦共和制(20の州(カントン)及び6の準州により構成される)
2 元首
ヴィオラ・アムヘルト大統領兼国防・市民防衛・スポーツ大臣(2024年1月就任、任期1年)(連邦参事会(内閣)全体が集団的な国家元首であり、大統領は同輩中の首席(primus inter pares))
3 議会
2院制(上院(全州議会)46議席、下院(国民議会)200議席)
4 政府
- 大統領兼国防・市民防衛・スポーツ大臣 ヴィオラ・アムヘルト
- 副大統領兼財務大臣 カリン・ケラー=ズッター
- 外務大臣 イグナツィオ・カシス
- 内務大臣 エリザベート・バウム=シュナイダー
- 司法・警察大臣 ベアト・ヤンス
- 経済・教育・研究大臣 ギィ・パルムラン
- 環境・交通・エネルギー・通信大臣 アルベルト・レスティ
5 内政
(1)政治体制
- 連邦議会は二院制で、国民代表の国民議会(下院)(200議席)と州代表の全州議会(上院)(46議席)で構成される。連邦議会の選挙は4年ごとに行われる。最近では、2019年10月末に総選挙(両院)が実施された。
- 内閣(連邦参事会)は、連邦議会によって選出される7人の閣僚で構成される。7人はそれぞれ各省の大臣を務め、その中の1人が大臣兼任のまま、任期1年の大統領となる。スイスの大統領は、閣僚7名が1年ごとに交替で務める輪番制(毎年1月1日に就任)
(2)直接民主制
スイスは直接民主制が浸透しているのが特徴。主として、イニシアティブ(国民発議制度)とレファレンダム(国民投票制度)の2つの制度からなる。
- イニシアティブ:連邦レベルでは、有権者10万人以上の署名を要件として、国民は連邦憲法の全面又は部分改正の発議を行うことが可能。
- レファレンダム:連邦レベルでは、義務的レファレンダム(連邦憲法の改正等に際して必要)と任意的レファレンダム(有権者5万人の署名によって要求できる。)の2種類がある。年間約4回実施される。
(3)最近の政治情勢
1959年以降、スイスの連邦内閣の7閣僚ポストが、与党間で一定の比率に従って割り振られてきた(「魔法の公式」:社会民主党、自由民主党、キリスト教民主党がそれぞれ2閣僚、国民党が1閣僚)が、1990年代後半以降、EU加盟反対、入国管理強化等を唱える右派政党の国民党が躍進した(1999年の連邦議会選挙では第2党に、2003年の選挙では第1党に躍り出た)結果、2003年に、閣僚の政党配分比率が約半世紀ぶりに再編成された(社会民主党、自由民主党、国民党がそれぞれ2閣僚、キリスト教民主党が1閣僚)。
2007年10月の連邦議会選挙においても国民党は第1党の座を維持したが、同年12月に実施された閣僚選出選挙で同党出身の現職大臣が落選したことに端を発し、国民党は連立政権から離脱した。その後の国民党の分裂(同党より分離する形で市民民主党が成立)等を経て、2009年1月以降は5党(社会民主党、自民党がそれぞれ2閣僚、国民党、キリスト教民主党、市民民主党がそれぞれ1閣僚)が連立していたが、2016年以降は伝統的4党の連立(社会民主党、自由民主党、国民党がそれぞれ2閣僚、キリスト教民主党が1閣僚)に戻っている。
外交・国防
1 外交基本方針
法の支配、普遍性、中立性、対話、連帯と責任、効率性と一貫性などを基本として以下の戦略的重点分野を定めている。
- (1)EU及びEU・EFTA諸国との関係維持・強化
- (2)グローバルなパートナーとの関係強化
- (3)平和と安全に対する取組の拡大
- (4)持続的開発のための努力・世界の繁栄への貢献
2 軍事力
- (1)予算 47.3億スイスフラン(2018年)
- (2)兵役 徴兵制
- (3)兵力 約14万人(2020年)
基礎的経済指標
項目 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|---|
実質GDP成長率 | 3.04(%) | 1.11(%) | -2.98(%) |
名目GDP総額 | 736.4(10億ドル) | 732.2(10億ドル) | 747.4(10億ドル) |
一人当たりの名目GDP | 86,803(ドル) | 85,686(ドル) | 86,849(ドル) |
消費者物価上昇率 | 0.94(%) | 0.36(%) | -0.73(%) |
失業率 | 2.63(%) | 2.33(%) | 3.14(%) |
輸出額 | 309,862(100万ドル) | 313,746(100万ドル) | 314,009(100万ドル) |
輸入額 | 275,499(100万ドル) | 276,403(100万ドル) | 290,222(100万ドル) |
経常収支(国際収支ベース) | 49,095(100万ドル) | 49,151(100万ドル) | 28,094(100万ドル) |
貿易収支(国際収支ベース、財) | 73,376(100万ドル) | 75,541(100万ドル) | 68,025(100万ドル) |
金融収支(国際収支ベース) | 55,441(100万ドル) | 22,003(100万ドル) | -117,844(100万ドル) |
直接投資受入額 | -146,999(100万ドル) | 37,313(100万ドル) | -133,463(100万ドル) |
(出典:日本貿易振興機構ホームページより改訂)
二国間関係
1 政治関係
1864年に修好通商条約を締結。伝統的に友好関係。
2 経済関係
(1)貿易関係
先進経済であり、WTOの場において日本と共にG10に参加し密接な協力関係にあるスイスは、ともに貿易・技術立国として、国際貿易・経済において日本と利害が一致することが多い。日・スイス経済連携協定が2009年に発効し、両国の経済関係が一層強化された。
(ア)日・スイス貿易の推移(100万ドル)
年 | 対スイス輸出(A) | 対スイス輸入(B) | 収支(A-B) |
---|---|---|---|
2015 | 2,701 | 7,396 | -4,695 |
2016 | 3,147 | 7,638 | -4,491 |
2017 | 5,082 | 7,810 | -2,728 |
2018 | 3,787 | 7,766 | -3,979 |
2019 | 4,105 | 8,184 | -4,079 |
2020 | 4,820 | 7,446 | -2,626 |
(出典:財務省「貿易統計」)
(イ)主要貿易品目(出典:財務省「貿易統計」)
主要貿易品目 | |
---|---|
日本からスイス | 金(マネタリーゴールドを除く)(25.6%) 医薬品(23.8%) 再輸出品(20.1%) |
スイスから日本 | 医薬品(39.9%) 精密機器類(30.3%) 一般機械(7.1%) |
(2)投資関係
- (ア)在日スイス企業は約150社で、機械、精密機器、化学製品、医薬品の輸入関連企業が多い。
- (イ)在スイス日系企業は約200社で、主な進出先はチューリッヒ、ジュネーブ。商業(卸売業)中心で、製造業は少ない。投資先としてのスイスは、欧州の中心部に位置するという地理的利点、語学に堪能で勤勉な国民性、低い法人税率、柔軟な労働法制等が魅力といわれている。
- (ウ)日・スイス投資関係の推移
(i)残高(2020年末、日本銀行国際収支統計)
- 日本からスイス:55,760億円
- スイスから日本:-22億円
(ii)ネット・フロー
年 | 日本からスイス | スイスから日本 |
---|---|---|
2015 | -689 | -261 |
2016 | 2,165 | 740 |
2017 | -1,731 | -2,804 |
2018 | 246 | -1,825 |
2019 | 40,290 | -3,250 |
2020 | 12,056 | -2,135 |
(注):ネット・フロー:資本撤退や投資回収を含む。マイナス数値は引き上げ超過。
(出典:日本銀行国際収支統計)
3 在留邦人数
11,940人(2023年10月現在)
4 在日スイス人
1,306人(2023年6月、法務省在留外国人統計)
5 要人往来(抜粋)
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年5月 | 天皇皇后両陛下(当時)スイスお立寄り |
2001年1月 | 森総理大臣(ダボス会議出席) |
2002年9月、10月 | 皇后陛下(当時)スイス御訪問 (国際児童図書評議会創立50周年記念大会御出席) |
2008年1月 | 福田総理大臣(ダボス会議出席) |
2009年1月 | 麻生総理大臣(ダボス会議出席) |
2011年1月 | 菅総理大臣(ダボス会議出席) |
2014年1月 | 安倍総理大臣(ダボス会議出席) |
2014年6月 | 皇太子殿下(当時)(「日本・スイス国交樹立150周年」日本側名誉総裁) |
2015年1月 | 下村文部科学大臣、塩崎厚生労働大臣(ダボス会議出席) |
2017年1月 | 鶴保内閣府特命担当大臣 |
2019年1月 | 安倍総理、河野外務大臣、世耕経産大臣(ダボス会議出席) |
2023年12月 | 上川外務大臣(グローバル難民フォーラム出席) |
その他 | 例年、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)、 その他国際会議出席のため、閣僚等が多数訪問 |
年月 | 要人名 |
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2002年6月 | ダイス外相(外務省賓客) |
2003年3月 | ダイス経済相(WTO非公式閣僚会合) |
2004年10月 | ダイス大統領兼経済相 |
2005年4月 | シュミート大統領兼国防・市民防衛・スポーツ相(万博賓客) |
2007年7月 | クシュパン副大統領兼内相 |
2007年10月 | ビエリ上院議長 |
2009年2月 | ロイタード副大統領兼経済相(外務省賓客、日・スイス経済連携協定署名) |
2009年10月 | ロイタード副大統領兼経済相 |
2012年10月 | ヴィドマー=シュルンプ大統領兼財務相(IMF世銀総会、日スイス首脳会談)、シュナイダー=アマン経済相(IMF世銀総会) |
2014年2月 | ブルカルテール大統領兼外相(実務訪問賓客) |
2015年3月 | ブルカルテール外相(第3回国連防災世界会議出席) |
2016年10月 | コント上院議長 |
2018年4月 | ベルセ大統領兼内務相 |
2019年6月 | マウラー大統領兼財務相(G20財務大臣・中央銀行総裁会議) |
2019年7月 | パルムラン経済・教育・研究相 |
2019年10月 | アムヘルト国防・市民防衛・スポーツ相(即位礼正殿の儀) |
2021年 7月 | パルムラン大統領兼経済・教育・研究相 |
2022年4月 | カシス大統領兼外相 |
2022年9月 | ブルカルテール元大統領 |
6 二国間条約・取極
年月 | 略史 |
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1911年 | 居住通商条約(1952年存続確認) |
1920年 | 司法共助取極(1956年効力確認) |
1953年 | 工業所有権保護協定 |
1955年 | 請求権解決に関する取極 |
1956年 | 航空協定 |
1957年 | 査証免除取極 |
1971年 | 租税条約 |
2007年 | 科学技術協力協定 |
2009年 | 経済連携協定 |
2011年 | 租税条約改正議定書 |
2012年 | 社会保障協定 |