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第8回日本・スペイン・シンポジウム(結果概要)

平成17年6月

【セッション1】「日本・スペイン交流」

(1)地方自治体間交流

(イ)日本・スペイン間の自治体間の姉妹提携を踏まえ、両国間交流を行政レベルから市民レベルに拡大していく方法について意見交換が行われた。

(ロ)スペイン側からは、マドリード市の展開している対日経済・観光促進計画である「プラン・ハポン」が紹介され、地理的距離の障害が小さくなりつつある昨今、経済・観光をより発展させ、戦略的パートナーである両国の関係をより緊密化させるための方策につき議論が行われた。また、両国間の直行便就航の重要性についても言及がなされた。

(ハ)日本側講演で、日本外務省の委託によりスペイン・エルカノ財団が行った「スペインにおける日本のイメージ」についての調査結果が発表され、スペインでの対日認識のレベルはさほど高くはないが、日本への信頼の度合いは非常に高いこと等が報告された。

(ニ)また、自由討論の際、日本側出席者から、スペインに長期滞在する日本人に対するスペインの不動産情報提供サービスの導入について要望が示された。また、数年前と比較してマドリードの治安が改善されたとの指摘を踏まえつつ、日本へのスペイン人観光客の一層の安全確保のための手段等について意見交換が行われた。

(2)世界遺産

(イ)熊野古道及びサンティアゴ巡礼の道に関する説明の後、日本側講演者(和歌山県知事)の要望に応じスペイン側は世界遺産の管理の仕方につき説明しつつ、要すれば和歌山県側と管理の仕方につき協力する用意がある旨表明。

(ロ)自由討論の際、巡礼の道は、ともすればその宗教的な部分ばかりに焦点が当てられがちであるが、宿泊所での地元の人との交流など娯楽や観光といった側面もあり、巡礼が持つ多様な意味合いが確認された。

(3)教育・文化交流

(イ)日本側講演では、日本におけるスペイン語教育の質を高めるため、スペイン語教員の養成に力を注ぐべきであり、そのためにはセルバンテス協会の協力が必要であること、またスペインに関する質の高い情報を受容するために、より多くのスペインの文化人の訪日を実現し、日本におけるスペイン研究とスペインでの日本研究を連動させていく必要性を指摘。

(ロ)スペイン側講演では、様々な面で同盟国である日本と、文化面においても同盟関係を推進したい、また、スペインは文化・教育面においてアジア、特に日本に注目し、カサ・アシア(:2003年3月にバルセロナに開設されたアジアに関する教育・文化センター。スペインにおけるアジア諸国の紹介、日本語・中国語を中心とする言語教育、講演、文化行事の開催を行っている。)も、国際交流基金との協力関係を確立したり、子供のための日本文化紹介イベントを行ったりしている、今後奨学金制度の充実や、ASEFの枠組みにおける協力も検討されるべきである旨表明された。

(ハ)自由討論においては、両国間で文学作品(特に現代文学)及び技術書の翻訳を促進すること、フランシスコ・ザビエル生誕500周年を契機に二国間文化交流を強化すること、スペインにおける日本語及び日本文化の教授を質・量ともに高めること、スペイン人の日本への留学生を増やすこと等が提案された。

【セッション2】「経済」

(イ)それぞれの国に於ける経済情勢につき講演が行われた。

(ロ)質疑応答において、1)スペイン側は、日本からの直接投資を増加させたいとの意向を持っているようであるが、中国は市レベルで年間50回を越える頻度で対中直接投資誘致のためのミッションを日本に派遣しており、スペインも我が国から更なる投資を誘致するのであれば一層の努力と工夫が求められること、2)アジアの窓口としての日本、中南米への窓口としてのスペインという潮流が文化面のみならず経済面においても可能性をもつことが考えられ、そのためのツールとしてカサ・アジアの一層の活用が考えられること、さらには3)地球規模の競争の中では両国ともにR&Dに対する投資の重要性が高まっており、右分野が、日本とスペインが、あるいは日本とEUが、協力していく重要なポイントとなっている等の指摘がなされた。

【セッション3】「国際問題・地域情勢」

(イ)日本側から東アジア情勢につき説明すると共に、日本とスペインは民主主義というベースを共有していることから更なる関係強化に努めるべきであり、そのためにも、スペインにおいて対日友好議員連盟を発足させるのも一案ではないかと提案した。

(ロ)スペイン側からは、アジアにおけるリーダーシップは劇的に変化しており、中国も天安門事件当時の中国ではない、今後日本・中国・インドが主要な役割を果たしていくであろうとの見解とともに、今後日ーEU対話を進めていく必要がある旨指摘がなされた。また、スペイン側より、マドリードでおきた列車爆破テロ事件に言及しつつ、イスラム・西洋間の対話を推進すること(文明間の同盟)が重要との発言があった。

【セッション4】「民主主義と国民意思」

(イ)日本側が日本の憲法改正を巡る議論の現状につき説明を行い、スペイン側が「憲法改正と国民投票システム」につき、スペイン憲法は、各条項の重要度の違いに応じて大改正と小改正のふたつの改正手続を有すること等を中心とした講演を行った。

(ロ)質疑応答では、欧州憲法条約を巡る仏・蘭の国民投票否決を受けた欧州統合の今後の見通し、欧州統合とアジアにおける地域統合の比較、代表民主制における議会と国民の関係、少子高齢化と移民問題等について意見交換が行われた。

【総括】

(イ)スペイン側より、1)次回は来年の春頃にマドリードで開催、2)経済・産業界の代表者による参加、3)シンポとシンポの間に様々なテーマにつき、何らかの会合を持つこと、4)二国間交流の向上(議員間交流・青少年リーダー招聘)等につき提案があった。

(ロ)日本側からは、急激に変化している世界情勢下において、両国の代表者が話し合いを行うことの重要性に賛同しつつ、今後も有意義なシンポになるよう関係者の協力も得つつ考えていきたい旨述べた。

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