ソマリア連邦共和国

基礎データ

令和6年11月19日
ソマリア連邦共和国国旗

一般事情

1 面積

63万8千平方キロメートル(日本の約1.8倍)

2 人口

1,760万人(2022年:世銀)

3 首都

モガディシュ

4 民族

ソマリ族

5 言語

  • 公用語:ソマリ語
  • 第二公用語:アラビア語

6 宗教

イスラム教

7 略史

年月 略史
1960年7月 伊信託領及び英領がそれぞれ独立し、合併して「ソマリア共和国」を形成
1969年10月 クーデターによりバレが最高革命評議会議長に就任。その後、大統領に
1991年1月 バレ大統領追放、全武装勢力間の内戦状態に突入
1991年5月 北部が「ソマリランド」と自称し独立宣言
1992年4月 国連ソマリア活動(UNOSOM)、米を中心とする統一タスクフォース(UNITAF)が活動開始
1995年3月 UNOSOMが、武装勢力間の抗争、武装勢力の激しい抵抗により完全撤退
1998年7月 北東部が「プントランド」と自称し自治領宣言
2000年8月 ジブチの仲介により、暫定国民「政府」成立(ただし2003年に崩壊)
2005年1月 周辺諸国の仲介により、暫定連邦「政府」(TFG)成立
2006年6月 「イスラム法廷連合」(UIC)がバイドアを除く中・南部ソマリア地域を制圧
2006年12月 TFGの要請を受けたエチオピアがソマリアに派兵
2007年9月 エチオピア軍に駆逐されたUICが、エリトリアで「ソマリア再解放連盟」(ARS)結成
2008年8月 TFGとARSの穏健派グループが、ジブチ合意(停戦等)に署名
2009年1月 エチオピア軍撤退終了後、反TFG勢力アル・シャバーブがバイドアを掌握
シェイク・シャリフ(ARSの穏健派グループ指導者)が、ユスフ初代TFG「大統領」の後任として就任
2011年6月 シェイク・シャリフTFG「大統領」とハッサン暫定連邦議会「議長」が、TFGの暫定統治期間の1年延長を決定する旨のカンパラ合意に署名。
2012年8月 新暫定憲法が採択され、TFGの暫定統治期間の終了とともに、新連邦議会が発足。
2012年9月 ハッサン・シェイク・モハムッドが連邦議会により新大統領に選出され就任。21年ぶりに統一政府が樹立。
2012年10月 ハッサン大統領によりアブディ・ファラ・シルドンが新首相として任命され、連邦議会の承認を得て就任。翌月、新内閣が発足。
2013年12月 シルドン首相が連邦議会で不信任決議を受け、アブディウェリ・シェイク・アフメドが新首相として任命される。翌年1月、連邦議会の承認を得て新内閣が発足
2014年12月 アブディウェリ首相が連邦議会で不信任決議を受け、オマール・アブディラシッド・アリ・シャマルケが新首相として任命される。翌2015年2月、連邦議会の承認を得て新内閣が発足
2015年2月 2014年12月に首相が交代し、内閣改造実施、新内閣発足
2016年10月~2017年1月 上下院議員選挙、上下院議長の選出
2017年2月 大統領選挙(間接選挙)が行われ、モハメド・アブドゥライ・モハメド・ファルマージョが新大統領に選出される
2017年5月 ソマリアに関するロンドン会合開催(ソマリア、英国及び国連共催)。治安維持枠組み(セキュリティ・パクト)、ソマリアのための新たなパートナーシップ(NPS)を採択
2021年7月~2022年5月 上下院選挙
2022年5月 大統領選挙が実施され、ハッサン・シェイク・モハムッドが新大統領に選出される。

政治体制・内政

1 政体

連邦共和制

2 元首

ハッサン・シェイク・モハムッド大統領(H.E. Mr.Hassan Sheikh Mohamud
(2022年5月就任、任期4年)

3 議会

二院制(上院:最大72名、下院:最大275名、いずれも任期4年)

4 政府

  • (1)首相 ハムザ・アブディ・バレ(Hamza Abdi Barre
  • (2)外務・国際協力大臣 アフメド・モアリム・フィキ(Ahmed Moallim Fiqi

5 内政

 1969年のクーデターにより政権を掌握していたバレ政権が、1991年に崩壊して以来、ソマリアは、全土を実効的に支配する政府が存在しない状態に陥った。劣悪な治安状況の下、大量の難民及び国内避難民が発生し、また干ばつの深刻化等により、食糧不足が悪化する等、重大な人道危機が生じた。

 1992年以降、停戦監視及び被災民援助活動の支援のために国連ソマリア活動(UNOSOM: United Nations Operation in Somalia)が設立され、更に米を中心とする統一タスクフォース(UNITAF: Unified Task Force)の活動が開始されたが、武装勢力の激しい抵抗を受け、1995年3月には完全撤退を余儀なくされた。

 2005年には、周辺関係国の仲介により、ケニアにおいて暫定連邦「政府」(TFG: Transitional Federal Government)が樹立した。新設されたTFG議会でユスフTFG初代「大統領」が選出され、TFGの拠点はケニアからソマリア国内に移されたが、TFGに反対する勢力の抵抗は継続した。

 2008年8月、TFGは、反TFG勢力の穏健派との間で停戦等を内容とする「ジブチ合意」に署名した。国際社会は、アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM: African Union Mission in Somalia。2007年~)の派遣や様々な援助を通じ、シェイク・シャリフ「大統領」(当時)による和平プロセスを後押ししていたが、和平プロセスへの参加を拒むアル・シャバーブ等の反TFG武装勢力による激しい抵抗により、ソマリアでは不安定な情勢が続き、TFGの実効支配地域は極めて限定されていた。2021年3月31日、ソマリア政府が治安維持に責任を持つ体制への移行を図るため、AMISOMのマンデートを改編したアフリカ連合ソマリア暫定ミッション(ATMIS)の成立が国連安保理で承認された。

 2011年6月にシェイク・シャリフTFG「大統領」(当時)とハッサン暫定連邦議会「議長」(当時)が、TFGの暫定統治期間の1年延長を決定する旨のカンパラ合意に署名した。TFGは2012年8月20日の暫定統治期間終了に向け、国連や国際社会の後押しを得て、8月に暫定憲法を採択し、新連邦議会が招集、9月にハッサン・シェイク・モハムッド大統領が選出され、10月にアブディ・ファラ・シルドン首相が就任、11月に新内閣が発足し、21年ぶりに統一政府が樹立した。2014年12月、首相が交代し、新たにオマール・アブディラシッド・アリ・シャマルケ首相が就任、2015年2月に新内閣が発足した。

 2016年10月から2017年1月にかけ、上下院議員選挙及び上下院議長の選出が行われ、右を踏まえて2017年2月、大統領選挙(間接選挙)が行われ、モハメド・アブドゥライ・モハメッド・ファルマージョが新大統領に選出された。2017年5月、ソマリアに関するロンドン会合が開催(ソマリア、英国及び国連共催)され、治安維持枠組み(セキュリティ・パクト)、ソマリアのための新たなパートナーシップ(NPS)が採択された。

 2021年7月から2022年5月にかけ上下両院選挙が実施され、同月、大統領選挙が平和裡に実施され、ハッサン・シェイク・モハムッドが新大統領に選出された。

(参考1)ハッサン新大統領は、ソマリアのヒラン州ジャララクシ出身。2012年から2017年の間、ソマリア連邦共和国大統領を務め、第5回アフリカ開発会議(TICADV)への出席や実務訪問賓客として訪日経験あり。

 なお、ソマリア沖・アデン湾での海賊等事案発生件数は、近年低い水準で推移しており、これには自衛隊を含む各国海軍等による海賊対処行動の継続をはじめとする国際社会による海賊対策等が大きく寄与している。その一方、海賊を生み出す根本原因の一つであるソマリア国内の貧困や若者の就職難等は未だ解決しておらず、海賊による脅威は引き続き存在している。日本をはじめとする各国は、この地域の海賊対策を国際的に重要な課題と捉え、引き続き海賊問題の根本的解決の観点からも、ソマリアの国造り支援に取り組んでいる。

外交・国防

1 外交方針

 1991年にバレ大統領が追放されて以来、全土を統一的に支配する政府は存在していなかったが、2012年8月に暫定期間が終了した後、国際社会の後押しを得て新政府が樹立され、治安回復及び情勢安定化を目指し、国際社会からの支援を呼びかけている。アラブ・アフリカ諸国との友好関係の維持を外交の基盤とし、ソマリア自身による国造りと国際社会の支援を呼びかけている。

2 軍事力

 24,100人(ミリタリーバランス2024)。ATMIS(アフリカ連合ソマリア移行ミッション)が展開中(約1.5万人が展開:2024年5月時点)。

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

畜産業(ラクダ、羊、山羊、牛等)、農業(ソルガム、メイズ、米、豆、ゴマ等)

2 GDP

104億ドル(2022年:世銀)

3 一人当たりGDP

592.1ドル(2022年:世銀)

4 経済成長率

2.4%(2022年:世銀)

5 物価上昇率

4.8%(2024年:IMF)

6 失業率

19.2(2022:世銀)

7 総貿易額

輸出額:
5.7億ドル(2022年OEC)
輸入額:
56.2億ドル(2022年OEC)

8 主要貿易品目

(1)輸出(2022年OEC)
金、家畜
(2)輸入(2022年OEC)
タバコ、食料、機械類

9 主要貿易相手国

(1)輸出(2022年OEC)
アラブ首長国連邦、オマーン、ブルガリア、インド、クウェート
(2)輸入(2022年OEC)
アラブ首長国連邦、中国、インド、トルコ、エチオピア

10 通貨

ソマリア・シリング(SOS)

11 為替レート(2023年6月13日現在)

1ドル=574ソマリア・シリング

12 経済概況

 主要産業は畜産業(ラクダ、羊、山羊等)、及び農業(ソルガム、メイズ、米、豆、ゴマ等)。伝統的に家畜とバナナが主要輸出品目だったが、内戦に加え、主要輸出先である湾岸諸国による家畜輸入禁止措置や、度重なる干ばつの影響により経済は荒廃。国外のディアスポラからの送金は17億ドルを超えており(2022:世銀)、ソマリア経済を支えている。約386万人が国内避難民(2024:UNHCR)、約71万人が周辺国で難民となっている(2023:UNHCR)。

経済協力

1 経済協力概況

 我が国は2012年11月に21年振りにソマリア政府を承認したことを受け、2013年4月、二国間援助の再開を決定した。現在、海賊撲滅、テロ拡散防止を含め、ソマリアの安定がアフリカの角地域の情勢安定化のために不可欠であり、国際社会の一致した支援が重要との観点から、農業、水管理、国際テロ対策分野等における研修事業を実施している。また、国際機関を通じた支援についても、(1)基礎サービス改善(食糧援助、インフラ支援、水・衛生、教育等)、(2)治安回復(ソマリア警察支援、海賊対策)、(3)経済活性化の三つの分野を中心に支援を2007年から継続して実施している。

2 日本の援助実績

  • (1)有償資金協力(2021年度まで) 64.70億円
  • (2)無償資金協力(2021年度まで) 213.49億円
  • (3)技術協力実績(2021年度まで) 16.46億円

3 主要援助国(2021年、OECD 単位:百万ドル)

  • (1)米国(581)
  • (2)イタリア(334)
  • (3)EU(264)
  • (4)フランス(235)
  • (5)英国(219)

二国間関係

1 政治関係

1960年7月1日
国家承認
1982年10月1日
駐日ソマリア大使館開設、但し、1990年7月1日閉鎖。

(日本は在ケニア大使館が兼轄)

2 経済関係

(1)貿易額・主要貿易品目(2023年、財務省貿易統計)

対ソマリア輸出
7.2億円 機械類及び輸送用機器、鉄鋼
対ソマリア輸入
11.2億円 魚介類、動物性油脂

(2)日本からの直接投資

なし

3 在留邦人数

4人(2024年6月現在)

4 在日当該国人数

30人(2023年6月現在、法務省在留外国人統計)

5 要人往来

(1)往
年月 要人名
1984年7月 北川外務政務次官
1985年4月 海江田参議院議員
1993年1月 鈴木衆議院議員
1993年1月 柿沢外務政務次官
(2)来
年月 要人名
1979年12月 バレ外相
1981年2月 アリ水産相
1983年11月 シアード郵政・通信相
1985年10月 オスマン大蔵相
1987年4月 タラ国連難民特別弁務官
1988年7月 ハムッド外務担当国務相
1989年2月 オスマン大統領府相(大喪の礼参列)
1990年4月 ジャワリ土地航空運輸相
1990年10月 クルミエ国会議長(即位の礼参列)
2010年2月 アリTFG「外相」
2013年6月 ハッサン大統領(TICAD Vへの参加)
2013年11月 バロウ外務国際協力副大臣
2014年3月 ハッサン大統領(実務訪問賓客招聘)
2015年1月 モハメド郵便電気通信相
2018年10月 アブドゥルカディル外務国際協力閣外相(TICAD閣僚会合参加)
2019年8月 ファルマージョ大統領及びアフメド外相(TICAD7参加)
2019年11月 アブドゥルカディル外務国際協力閣外相(即位の礼参列)
2024年8月 フィキ外務・国際協力相(TICAD閣僚会合参加)

6 二国間条約・取極

  • なし
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