アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
平成24年3月3日
3月1日(木曜日)及び2日(金曜日),スリランカの首都コロンボ郊外において,当省、南アジア地域協力連合(SAARC)事務局及びADBの共催による第5回日・SAARCシンポジウムがモラトワ大学により開催されたところ,概要は以下のとおり(なお,シンポジウムに続きADBの支援により,2日間のフィールドトリップが実施された)。会合には,SAARC7カ国(都合によりブータンからは参加できず。また,アフガニスタンからは初の参加となった)に加え,日本及びADBが参加した。
2005年11月の第13回SAARC首脳会議においてSAARCへのオブザーバー参加が認められたことを機に,我が国は2006年に第1回,2008年に第2回,2010年に第3回,2011年に第4回シンポジウムを開催した。第5回シンポジウムでは,これまでのシンポジウムを踏まえて,再生可能エネルギーを中心に事例紹介や施策について議論が行われ,提言(英文(PDF)・仮訳(PDF)
)がまとめられた。
ウィジャヤトゥンガADB上級エネルギー専門家より,開発途上国は,適切な政策と調整のための介入により,大規模な財政的負担なしにクリーン・エネルギー事業を進めることが可能であり,これにより広範囲な世界的利益につながると述べた。
須藤帝京平成大学教授より,日本のエネルギー効率性の改善に関する取組や国際エネルギー機関(IEA)のエネルギー効率性政策を紹介し,SAARC諸国はIEAとの協力関係を築いているインドを通してIEAのノウハウを学び,エネルギー効率性の一層の改善及び電化率向上に活用することが出来ると述べた。
事業者優遇政策や管轄省庁の法整備により,再生可能エネルギー促進に向けたインドの事例が紹介され,民間企業参入のための政府の役割について議論された。また,再生可能エネルギーを活用するため政府,国際社会,NGO,地域住民,民間部門が参加するアフガニスタンの事例が紹介された。
アフガニスタンの特に地方部(貧困地域)における再生可能エネルギー活用の優位性や中央アジア・南アジア地域の電力市場の建設を目指すCASA1000プロジェクトが紹介され,再生可能エネルギーが貧困削減や経済活性化に果たす役割について議論された。
再生可能エネルギー促進のために政府が財政的,技術的な支援を行うネパールの事例が紹介され,再生可能エネルギー分野における炭素金融(carbon finance)が果たす役割について議論された。
バイオマスはSAARC諸国で実行可能なエネルギーの選択肢であり,各国の自立と地域発展のためにも真剣に検討される必要性が強調され,バイオマス促進のための政策目標や政策重点を設定すべきであると論じられた。
電力不足を解消するために既存の送電・配電網に再生可能エネルギーを統合する混合電源の概念が紹介され,増加する電力需要に応えつつ,如何に再生可能エネルギーを将来の混合電源に取り込んでいくかについて議論された。
スマート・エネルギー・システムは送電・配電・電力管理の近代化を伴うもので,電力ロスを軽減すると同時に,代替エネルギーの市場を創出することについての発表があり,オン・グリッドの太陽光システムにより発電された電力の固定価格買い取り制度がエネルギー危機の解決手段となり得るか等につき議論された。
我々が建物の維持管理に莫大な量のエネルギーを使い,多くの場合環境に負の影響を与えている現状を受け,エネルギー効率性の高い建物を建設するため,設計の初期段階で建物のエネルギー消費や環境への影響を予測する技術を紹介した。
都市の交通量の急増に伴う環境汚染を解決するために,自家用車の利用に対する料金徴収とともに,非動力式の移動手段(自転車等)を活用することの必要性が紹介され,これを実現する際の民間部門の参入と世論の支持の重要性が議論された。
シヤムバラピティアRMAエネルギー・コンサルタンツ理事(モラトワ大学客員講師)より,SAARC地域にとっては安定的かつ信頼性のある費用対効果に優れたエネルギー供給が優先課題であり,持続可能なエネルギー事業における急速な発展の社会経済的制約となっている,よって,持続可能なエネルギーの実践は,商業的なエネルギー源の代わりに再生可能エネルギーを活用しつつ,あらゆる形態のエネルギーを活用するという広い意味でとらえる必要があるとの講評があった。
以上の議論を踏まえ,同シンポジウム参加者は,SAARC加盟国における再生可能エネルギーやエネルギー効率性の促進について,以下を主要点とした提言を採択した。
Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAcrobat Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。