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平成22年1月
1月20日(水曜日)、神戸市において、アジア防災センター(ADRC、於:神戸)及びSAARC防災管理センター(SDMC、於:デリー)共催による日本SAARC防災シンポジウムが開催されたところ、概要は以下のとおり。
本シンポジウムでは、SAARC各国の脆弱性マップ等(注)の整備状況につき情報を共有すると共に、域内防災協力を促進する手段としてデジタル脆弱性マップの利用につき議論を行った。本シンポジウムの結果として、SAARC加盟各国で脆弱性マップ等の開発・利用を促進するため、情報・技術共有を行うとともに、防災分野における域内の連結性を向上させるために、域内で統一された基準による地図に基づくデジタル脆弱性マップを開発し、利用するための域内協力を促進していく旨の提言(英文・和文(仮訳))(PDF)がまとめられた。
なお、SAARC域内の防災協力を促進するため、日本・SAARC特別基金によって、平成19年度に「南アジアにおけるデジタル脆弱性マップ準備のためのフィージビリティ・スタディ」を実施し、平成20年度以降、SAARC域内のデジタル脆弱性マップを作成中。
本シンポジウムには、ドルジ・ブータン内務文化大臣やシャヒド・モルディブ住宅・運輸・環境大臣の他、アフガニスタン、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカ各国政府の防災担当者、SAARC防災管理センター、アジア防災センター、防災分野の有識者及び地方自治体関係者、外務省からは小原アジア大洋州局審議官が出席した。ディスカッション・セッションでは、シンハ・アジア防災センター・シニアアドバイザーが議長を務めた。また、ADB、OCHA等の国際機関からの聴衆が参加した。
議論に先だって、SAARC防災管理センターからSAARC域内のデジタル脆弱性マップの作成状況の説明、兵庫県から自治体におけるハザードマップの活用事例の説明があり、引き続き、SAARC加盟各国の防災担当者から各国の脆弱性マップ等の整備状況について報告があった。最終セッションでは「南アジアにおけるデジタル脆弱性マップを利用」を議題とし、域内防災協力の手段として脆弱性マップ等の開発・利用についての技術・情報の共有の促進や、地域内で統一された基準による地図に基づくデジタル脆弱性マップの開発・利用を促進するための協力促進等、同地域における防災協力に関する多様な議論が行われた。
かかる議論の結果、同シンポジウム参加者は、脆弱性マップ等が政策立案者、政策決定者及び防災管理者にとって非常に有効なツールであることを認識し、以下を主要点とし、提言した。
1.SAARC加盟国への提言
(1)脆弱性マップ等を開発・利用するにあたり、人的、制度的及び運用能力を組織的に強化する。
(2)国家から地方まであらゆるレベルにおいて、脆弱性マップ等への容易で、広範囲なアクセスを可能にする技術・情報を共有し、それらを普及させる適切なアプローチ、戦略等への理解や認識を構築する。
(3)防災分野での連結性を向上させるため、域内で統一された基準に基づく脆弱性マップ等を開発し利用するための域内協力をより一層促進する。
2.開発パートナーへの提言
関連する国連機関や他の開発パートナーが適切な財政・技術支援によって、SAARC
防災管理センター(SDMC)が南アジアにおける域内デジタル脆弱性マップを開発するイ
ニシアティブの支援を要望する。
【注】脆弱性マップ等
脆弱性マップ等とは、脆弱性マップ、ハザードマップ、リスクマップを指す。それぞれの概要は以下のとおり。
(1)脆弱性マップ
潜在的に損害を与え得る現象に関する発生可能性と、損害を受ける人口や人口密度から推定し、自然災害における総合的な脆弱性を示したもの。デジタル脆弱性マップは、脆弱性マップをデジタル資料として作成したもの。
(2)ハザードマップ
津波、地震、火山、風水害等の自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図に示したもの。
(3)リスクマップ
様々な危機を被害の規摸や発生確率で相対化し、グラフ化したもの。
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