アジア

世界地図 アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

西村外務大臣政務官の第16回SAARC首脳会議出席(概要)

平成22年4月30日

1.概要

(1) 4月28日から29日,ブータンの首都ティンプーにおいて,第16回SAARC首脳会議が開催された。今次首脳会議には,SAARCの加盟8カ国(インド,スリランカ,パキスタン,バングラデシュ,ネパール,ブータン,モルディブ,アフガニスタン)の首脳に加え,オブザーバーである日本,米国,中国,韓国,豪州,EU,イラン,ミャンマー,モーリシャスが参加した。日本からは西村外務大臣政務官が出席した。

(2) 開会セッション(4月28日午後)では,SAARC各国首脳及びオブザーバー国の一部(日本,米国,中国,韓国,豪州,イラン,ミャンマー)がステートメントを行った。

(3) 29日,首脳宣言及び「気候変動に関するティンプー宣言」を採択して,閉幕した。次回の第17回SAARC首脳会議は,2011年にモルディブにて開催される予定。

2.西村政務官のスピーチ

 SAARC首脳会議の開会式セッションにおいて,西村政務官が行ったスピーチ(和文英文)の概要は,以下のとおり。

(1) 気候変動・環境分野に対する支援

  1. (イ) 我が国は「鳩山イニシアティブ」を打ち出し,排出削減等の気候変動対策に取り組む途上国,及び気候変動の影響に対して脆弱な途上国に対し,国際交渉の進展状況を注視しつつ,「コペンハーゲン合意(CA)」としっかり関連づけながら,2012年までの約3年間で官民併せて1兆7,500億円規模の支援を実施。
  2. (ロ) COP15では,参加国の間で大きな立場の相違がある中で,首脳級の協議を経てCAをまとめ,CAに留意するとの決定が採択されたことは有意義。既に110以上の締約国がCAに賛同することを表明している。CAを踏まえ,すべての主要国が参加する公平かつ実効的な国際的枠組みを構築する新しい一つの包括的な法的文書の速やかな採択を目指すべき。COP16で有意義な成果が出せるよう,本年の議長国メキシコを支えながら,協力していきたい。
  3. (ハ) 持続可能な成長を実現するためには,低炭素社会の構築と経済成長を両立させることが不可欠。低炭素成長は更なる成長の機会でもある。殊にインドには主要国として大きな役割を果たしてくれることを期待。成長の実現に向け,我が国も貢献していく。

(2) 南アジアの安定と発展に資する支援

 南アジア地域が,その潜在力に相応しい成長と発展を達成するためには,幅広い分野での域内協力の推進が必要不可欠であり,我が国は様々な方法でSAARC加盟国に対する積極的な支援を引き続き行う。

3.主な成果

(1) 今次首脳宣言「緑豊かで幸せな南アジアに向けて」(Towards a Green and Happy South Asia)の要旨

  • SAARC設立25周年を迎え,SAARCの将来像を定める「ビジョン宣言」を構想するための官民共同の「南アジア・フォーラム」設立。
  • 気候変動問題の重要性を確認,COP16に向けてSAARCとして共通の立場をとる必要性を強調。
  • 「環境における協力協定」への署名を歓迎。南アジアが低炭素技術と再生可能エネルギーにおいて世界のリーダーとなるべき。

(2) 「気候変動に関するティンプー宣言」の要旨

  • 環境問題が最優先課題であるとの認識の下,気候変動に関するSAARC行動計画のダッカ宣言(2005年)に基づく実施を再度検討。
  • 専門家会合開催や環境リスク等の調査の実施を確認。

(3) その他

  • SAARC開発基金(SDF)常設事務局(於:ブータン)の開所式を開催。
  • 貿易協力の促進と地域経済の統合のための「サービス貿易に関するSAARC協定」に署名。

4.バイ会談

 SAARC首脳会議の機会を利用して,西村政務官は精力的に二国間会談を行い,(1)ブータン,(2)アフガニスタン,(3)モルディブの首脳,及び(4)スリランカ,(5)バングラデシュの外相と会談を行った。

(1) ジグミ・ケサル・ブータン国王陛下,ティンレイ・ブータン首相
 政務官より,2011年が日・ブータン外交関係樹立25周年を迎えることに言及しつつ,同国が掲げる国民総幸福量(GNH)について日本が学ぶことは多いと述べるとともに,今後,人的交流等を通じた日・ブータン二国間関係を強化することで一致した。
(2) カルザイ・アフガニスタン大統領
 政務官より,和平ジルガを着実に開催し成果を出すよう要請するとともに,和平プロセスにおけるアフガニスタンの取組を支援していくとの日本の立場を説明した。同大統領より日本の支援への謝意が示された。
(3) ナシード・モルディブ大統領
 同大統領より,コペンハーゲン合意に賛同し,気候変動問題に率先して取り組んでいるとしつつ,日本の支援への謝意が示された。政務官より,3月のモルディブ開発フォーラムの開催に祝意を述べるとともに,引き続き気候変動や国際場裡において協力したい旨述べた。
(4) ピーリス・スリランカ外相
 政務官より,国内避難民(IDP)問題や人権問題に対して更なる努力を要請するとともに,スリランカの新政権発足を踏まえ,両国間でハイレベルの意見交換を進めていくことで一致した。
(5) モニ・バングラデシュ外相
 両国間の貿易・投資の増加に言及しつつ,これまでの日本の支援に謝意が示された。政務官より,両国の経済関係構築のためには投資環境の整備が重要であると述べた。

 上記に加え,西村政務官は以下の参加者との短時間の意見交換を行った。

  • ワンチュク・ブータン外相代理
  • クリシュナ・インド外相
  • ラスール・アフガニスタン外相
  • クレーシ・パキスタン外相
  • ニャン・ウィン・ミャンマー外相
  • 王光亜・中国外交副部長
  • イ・ヨンジュン韓国外交通商部次官補
  • マクマラン豪国際開発支援担当次官
このページのトップへ戻る
第16回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議 |  南アジア地域協力連合(SAARC) |  目次へ戻る