南スーダン共和国

基礎データ

令和7年4月28日
南スーダン共和国国旗

一般事情

1 面積

64万平方キロメートル(日本の約1.7倍)

2 人口

1,501万人(2023年 IMF)

3 首都

ジュバ

4 人種・民族

ディンカ族、ヌエル族、シルク族、ムルレ族、バリ族、他多数

5 言語

英語(公用語)、アラビア語、その他部族語多数

6 宗教

キリスト教、イスラム教、伝統宗教

7 略史

年月 略史
1899年 英国とエジプトによる北部及び南部スーダンの共同統治。
1955年 南部スーダンの自治や独立を求め、武装蜂起が発生。第1次スーダン内戦勃発。
1956年 南部を含むスーダンが英国から独立。
1960年代 南部の分離独立を求める運動が拡大。
1972年 アディスアベバ和平合意が成立(南部スーダンに南部政府を設置し、部分的自治権を付与)。
1983年 第2次スーダン内戦勃発。(2005年の南北包括和平合意(CPA)の締結まで、アフリカで最長の内戦となる。)
2005年 南北包括和平合意(CPA)が成立。国連スーダン・ミッション(UNMIS)設立。
2010年4月 総選挙実施、バシール・スーダン大統領再選、キール南部政府大統領当選。
2011年1月 南部独立の住民投票実施。
2011年7月 南スーダン共和国独立。国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)設立。
2012年1月 スーダン政府との石油に関する交渉が停滞、原油生産停止を決定。
2012年9月 スーダン政府とともに、二国間の未解決課題に関する9つの合意文書に署名。
2013年4月 原油生産の再開。
2013年12月 首都ジュバにおいて大統領警護隊同士が衝突。
2015年8月 IGAD(政府間開発機構:東アフリカの地域経済共同体)等の仲介により、衝突解決合意(南スーダンにおける衝突の解決に関する合意文書)が成立(恒久的停戦や国民統一暫定政府設立等を規定)。
2016年4月 国民統一暫定政府 設立。
2016年7月 首都ジュバにおいてキール大統領派とマシャール第一副大統領派が衝突。
2017年5月 キール大統領が国民対話の開始と一方的敵対行為停止を宣言。
2017年12月 衝突解決合意の再活性化を目指し、IGADがハイレベル再活性化フォーラムを開催。南スーダン関係者が敵対行為停止等に合意。
2018年2月、5月 ハイレベル再活性化フォーラム開催。
2018年6月 南スーダン関係者が恒久的停戦を含むハルツーム宣言を採択。
2018年9月 再活性化された衝突解決合意に署名。
2019年5月 南スーダン関係者が暫定準備期間の6か月の延長に合意。
2019年11月 南スーダン関係者が暫定準備期間の100日間の延長に合意。
2020年2月 キール大統領は10州制への復帰を決定。
2020年2月 新国民統一暫定政府設立。
2022年9月 和平合意期間の24か月延長が決定(2025年2月まで)。
2024年9月 和平合意期間の再度の延長(24か月、2027年2月まで)が決定。

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

サルヴァ・キール・マヤルディト(Salva KIIR Mayardit)大統領(2011年7月)

3 議会

二院制(暫定国民立法議会550議席(ITGoNU(332)、SPLM/A-IO(128)、SSOA(50)、OPP(30)、FDs(10))、全州評議会66議席(選出議員50名+大統領指名議員16名)

4 政党

  • 与党:SPLM-IG、SPLM-IO、SSOA、FD、OPPの五党で国民暫定統一政府を構成
  • 野党(和平合意非署名勢力):United People’s Alliance、NAS

5 政府

  • 第一副大統領:リエク・マシャール・テニー
  • 副大統領:ベンジャミン・ボル・メル
    ジョセフィーヌ・ラグー
    タバン・デン・ガイ
    レベッカ・ニャンデン・デ・マビオール
  • 外務・国際協力大臣:マンデー・セマヤ・クンバ

6 内政

 2011年7月9日、スーダンから分離・独立。新生国家としての体裁づくりに着手。しかしながら、国造りで目に見えた成果が見られる前に、与党スーダン人民解放運動(SPLM)内の派閥抗争(キール大統領派対マシャール前副大統領派)が激化。
 2013年12月、首都ジュバにおいて、大統領警護隊同士の衝突が発生。ジュバの治安はすぐに回復したが、その後各地で衝突が続き、多くの難民が発生した。
 2015年8月、政府間開発機構(IGAD)及び関係諸国等による仲介により、「南スーダンにおける衝突の解決に関する合意文書(衝突解決合意)」が、関係当事者によって署名された。合意文書署名を受けて、合同監視評価委員会(JMEC)が立ち上がり、2016年4月にマシャール元副大統領が第一副大統領に就任、国民統一暫定政府が設立された。
 しかしながら、同年7月、ジュバ市内でキール大統領派とマシャール第一副大統領派(反主流派)が衝突。ジュバの治安はすぐに回復したが、その後各地で衝突が続き、さらに多くの難民が発生した。キール大統領は、ジュバ衝突後にジュバから逃避したマシャール第一副大統領を解任し、新たに反主流派代表となったタバン・デン鉱山大臣を第一副大統領に任命した。
 2017年5月、キール大統領は、国内の平和と安定を促進するため、国民対話の開始と一方的敵対行為停止を宣言(その後、国民対話運営委員会が各地で対話を継続。)。また、同年6月、IGADは、衝突解決合意の再活性化を図るため、ハイレベル再活性化フォーラム(HLRF)の開催を発表。12月にHLRF第1回会合が開催され、南スーダン関係者が敵対行為停止等に合意(HLRF会合は2018年2月及び5月にも開催。)。2018年6月、協議の場所がアディスアベバからハルツームに移され、南スーダン関係者が恒久的停戦を含むハルツーム宣言を採択。同年8月には、暫定政府の体制に合意し、同年9月にはアディスアベバで再活性化された衝突解決合意(R-ARCSS)が署名された。
 その後南スーダンでは、R-ARCSSに従って、合意の実施業務が開始されたが、暫定準備期間(8か月)内に新国民統一暫定政府の設立のための準備が完了せず、南スーダン関係者は暫定準備期間を2019年5月には6か月、2019年11月には更に100日間延長することについて合意した。
 2020年2月15日、キール大統領は従来の政府見解(32州制の維持)を撤回し、10州制への復帰を決定する旨の発表を行った。南スーダン関係者は、州の数と境界線の問題に関する政府の譲歩を歓迎し、同年2月22日、新国民統一暫定政府が設立された。
 2022年9月1日、RJMEC会合において暫定期間の24か月延長が採択され、和平プロセスのロードマップが承認された。
 2024年9月18日、RJMEC会合において暫定期間の再度の24か月延長が採択された。

外交・国防

1 外交方針

  • (1)スーダン共和国との密接な関係の維持
  • (2)国連及び地域機関等との連携の強化
  • (3)東アフリカ近隣諸国、米国及び中国等との経済関係促進

2 軍事力(出典:ミリタリーバランス2020)

  • (1)予算 7,010万ドル
  • (2)兵役 不明
  • (3)兵力 18.5万人

経済

1 主要産業

原油、農業、林業、畜産業、漁業

2 GDP

70.1億ドル(2023年 IMF)

3 一人当たりGDP

467.07ドル(2023年 IMF)

4 経済成長率

5.6%(2023年 IMF)

5 物価上昇率

27.8%(2023年 IMF)

6 失業率

13%(2022年、ILO推定)

7 総貿易額

(1)輸出
46.5億ドル程度(2021年 世銀)
(2)輸入
40.4億ドル程度(2021年 世銀)

8 主要貿易品目

(1)輸出
原油等
(2)輸入
車両等

9 主要貿易相手国

(1)輸出
中国等
(2)輸入
UAE、中国、ケニア等

10 通貨

南スーダン・ポンド(SSP)

11 為替レート

変動相場制:1米ドル=約1097.3SSP(2024年1月8日付け南スーダン中央銀行)

12 経済概況

 政府収入の大部分を原油生産・輸出に依存。油価の低迷と不安定な治安が影響し、政府の財政状況は深刻。外貨準備はほぼ枯渇し、現地通貨の対ドル減価が継続(2015年12月変動為替相場制導入。)しており、インフレが常態化している。

経済協力

1 主要援助国・機関

米国、英国、ドイツ、EU等

2 我が国の援助(2005年以降)

  • (1)我が国は、2005年4月にオスロで開催されたスーダン支援国会合において平和の定着のために当面1億ドルの支援実施を表明し、2008年までに約2億ドルの支援を実施。更に2008年5月、第3回スーダン・コンソーシアム会合で、南北包括和平合意(CPA)履行期間後期に向け、当面約2億ドルをプレッジ。
  • (2)2009年1月、約1,600万ドル(約15.75億円)のDDR(武装解除・動員解除・社会再統合)支援、同10月に約1,000万ドル(約10億円)の総選挙支援実施を決定。
  • (3)2010年7月、817万ドル(約7.7億円)の南部住民投票支援を決定。
  • (4)2012年以降、ナイル架橋建設計画(事業費112.29億円)、ジュバ市水供給改善計画(事業費65.08億円)等の無償資金協力を実施中。
  • (5)2013年12月の情勢悪化以降、我が国はこれまで、国際機関を通じて総額約2億ドルの対南スーダン人道・復興・開発支援を実施(2014年1月に約2,500万ドル、2015年2月に約8,800万ドル、2016年2月に約3,100万ドル、2017年2月に約2,240万ドル、2018年2月に約3,400万ドル、2019年2月に約2,500万ドル、2020年1月に約1,200万ドル、2021年1月に約1,500万ドル、2022年1月に約792万ドル、2023年1月に約2,100万ドル、2024年1月に約1,600ドルの支援を決定。)。
  • (6)我が国は、2017年以降、IGAD、CTSAMVM、及びRJMECを通じた南スーダンの和平プロセス支援を実施。2020年には、再活性化された衝突解決合意(R-ARCSS)の実施のために、IGADに1.08百万ドル、CTSAMVMに37万ドル、RJMECに14万ドルの資金協力によって合意の実施促進に貢献したほか、仮宿営地設置のために国際平和協力法に基づきIGADに対して約4億5千万円規模の物資協力を実施した。

3 日本の援助実績

  • (1)有償資金協力(2019年度までの累計) 実績なし
  • (2)無償資金協力(2019年度までの累計、交換公文ベース) 311.36億円
  • (3)技術協力(2019年度までの累計、経費実績ベース) 106.79億円

二国間関係

1 政治関係

(1)我が国の南スーダン承認 2011年7月9日
(2)公館設置
我が方公館
2013年7月1日に在南スーダン・日本国大使館を開設
先方公館
2022年3月25日に在日本・南スーダン大使館を開設

2 経済関係(対日貿易)(財務省貿易統計)

(1)品目
輸出 再輸出品、はちみつ等
輸入 中古乗用車、バス・トラック、配電盤、医薬品、タイヤ等
(2)貿易額
輸出 約105万円(2022年度)
輸入 約22億6,982万円(2022年度)

3 文化関係

  • (1)一般文化無償 なし
  • (2)文化協定 なし

4 在留邦人数

47名(2023年7月現在)

5 在日当該国人数

39名(2020年6月現在)

6 進出日本企業社数

2社(2023年7月現在)

7 要人往来(2005年以降)

(1)往訪
年月 要人名
2011年7月 菊田外務大臣政務官(独立式典出席)
2011年10月 山根外務副大臣(官民合同ミッション)
2011年10月 石田内閣府副大臣
2011年11月 自民党PKO調査団(中谷議員、今津議員)
2011年12月 渡辺防衛副大臣
2012年12月 榛葉外務副大臣
2013年4月 左藤防衛大臣政務官
2013年5月 小野寺防衛大臣
2015年1月 中谷防衛大臣
2015年5月 宇都外務大臣政務官、石川防衛大臣政務官
2015年8月 赤澤内閣府副大臣
2016年10月 稲田防衛大臣
2017年2月 若宮防衛副大臣
2017年3月 柴山総理補佐官
2017年12月 佐藤外務副大臣
2018年8月 山本防衛副大臣
2019年5月 河野外務大臣
2023年1月 和田内閣府副大臣
(2)来訪
年月 要人名
2005年3月 国民統一移行チーム(JNTT)
2007年10月 ベンジャミン南部スーダン政府地域協力相
2009年3月 ルカ・ビオン南部スーダン政府(GOSS)大統領府担当相、ベンジャミンGOSS地域協力相(TICADIVフォローアップ・シンポジウム)
2009年10月 パガン・アマム南部政府和平・CPA履行相(21世紀パートナーシップ促進招へいプログラム)
2011年9月 アン・イトーSPLM副幹事長(閣僚級招へい)
2011年11月 バルナバ・ベンジャミン情報・放送相(JICA研修)
2012年9月 コスティ・マニベ財務・経済計画相(閣僚級招へい)
2013年6月 サルヴァ・キール大統領、ニアル・デン外務・国際協力相(TICAD V)
2015年3月 ワニ・イッガ副大統領、アウット・デン・ジェンダー・人道・防災相(国連防災会議共同副議長)
2016年10月 ナディア・アロップ文化・青年・スポーツ相(スポーツ文化世界フォーラム)
2016年12月 アウット・デン・ジェンダー・児童・社会福祉相(WAW! 2016)
2018年10月 ニアル・デン外務・国際協力相(TICAD閣僚会合)
2019年8月 ワニ・イッガ副大統領、アディゴ・ニクウェチ農業相(TICAD7)
2019年10月 クオル・マニャン・ジュク国防・退役軍人担当相(即位の礼)
2021年3月 ルーベン・マドル・アロル司法・憲法相(第14回国際連合犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス))
2022年7月 レベッカ・ニャンデン副大統領(東京オリンピック開会式)
2024年8月 ラマダーン・モハメッド・アブダッラー・ゴッチ外相(TICAD閣僚会合)

8 国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)への要員派遣

  • (1)我が国は、国際平和協力法に基づき、UNMISSに対し、2011年11月から司令部要員を、また、2012年1月から2017年5月まで自衛隊施設部隊をそれぞれ派遣。
  • (2)司令部要員:UNMISS司令部に対し、兵站全体の需要調整を行う兵站幕僚、データベースの保守管理等の業務を行う情報幕僚、施設業務に関する企画・調整を行う施設幕僚、及び航空機の運航支援に関する企画・調整を行う航空運用幕僚の計4名を派遣。
  • (3)施設部隊要員:首都ジュバにおいて、国連施設内外で敷地造成等の国内避難民の支援活動や、道路整備等の活動を実施。2017年5月活動終了。

9 外交使節

  • 南スーダン共和国駐箚日本国大使
    小田切 敏郎特命全権大使
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