アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ
平成18年12月7日
南アフリカ共和国のンコサザナ・クラリス・ドラミニ=ズマ南アフリカ共和国外務大臣は、随員とともに12月3日(日曜日)から6日(水曜日)まで、我が国の招待(外務省賓客)により来日したところ、概要と評価は以下のとおり。
(1)来日中、ドラミニ=ズマ外務大臣は、12月3日に麻生外務大臣と会談を行い、その後麻生大臣主催夕食会に出席した。
(2)同外相は、滞在中、小泉前総理、森元総理、矢野参議院議員を中心とする国会議員、緒方JICA理事長、篠沢JBIC総裁等政府関係機関及び日本企業の関係者との間で協議・意見交換を行った。
(3)麻生外務大臣との外相会談及び夕食会での主なやりとりは以下のとおり。
(イ)外相会談においては、麻生大臣より日・南ア二国間関係は実質的かつ緊密な関係を有しており、今後とも連携を強化したい旨述べた。南ア駐在企業の企業内転勤ビザの期間が4年に延長される方向となったことに一定の評価を示したが、南アの外交団及び企業関係者にとって不安要素になっている治安悪化に対して早急な改善を申し入れた。
これに対し、ドラミニ=ズマ外相より、両国が、政治、経済、文化等の分野で関係が緊密化している、今後の連携強化の観点から、事実上、副大臣レベルで行われている日・南ア・パートナーシップ・フォーラムを本来の大臣レベルに戻したい。南アフリカは、年5%の経済成長を享受する一方、多数の貧困層・失業者を抱えており、技能育成のための経済成長加速化戦略/人的資源育成イニシアティブ(ASGISA/JIPSA)を推進しており、日本からも協力を得たい、南アの治安事情については具体的な事例を確認した上で対処したい旨述べた(麻生外務大臣より、日・南ア・パートナーシップ・フォーラムについては、双方の都合がつくのであれば、外相間で行ってもいいと考える。日本も人材育成を重視しており、より具体的な協議を行う用意がある旨述べた)。
(ロ)麻生外務大臣より、日本はアフリカ開発会議(TICAD)を基軸に対アフリカ外交を展開している。来年3月に「持続可能な開発のための環境とエネルギー」をテーマとするTICAD閣僚会議をアフリカで開催すべく準備中であり、ドラミニ=ズマ外相にも出席頂きたい、また、2008年の第4回TICADには、ムベキ大統領の御出席を要請したい旨述べた。これに対して、ドラミニ=ズマ外相は、双方につき是非、前向きに検討したいと応答した。
(ハ)麻生大臣から、国連安保理改革について、南アが、日本の常任理事国入りを支持していることへの謝意を伝え、改革の早期実現の必要性について再確認するとともに、来年から南アフリカが安保理非常任理事国となることから種々の協力を要請した。ドラミニ=ズマ外相からも、現状を変える必要があり、国連加盟国の合意を得るための議論の枠組みが必要であるとの態度が示された。
(ニ)麻生大臣から、核兵器、拉致等の北朝鮮問題について日本の懸念を伝え、日本が国連総会に共同提案している「北朝鮮の人権状況」決議への支持を要請した。これに対して、ドラミニ=ズマ外相からは、南アフリカは北朝鮮の核兵器開発に対して明確に非難するとの立場をとっている、また、拉致問題については、より国際社会に知られる必要があるが、驚くべき暴挙であるとの見方が示された。
(ホ)スーダン、今般大統領選挙が無事終了し大統領就任式の運びとなったコンゴ民主共和国などアフリカ諸国の情勢について意見交換が行われた。
(1)8度目となるドラミニ=ズマ外相の訪日は、麻生大臣、小泉前総理及び森元総理との面談並びに政府関係機関との意見交換等を通じて、既に存在する良好な二国間関係を更に強固することとなり、極めて有意義であった。
(2)南アフリカ共和国は、2007年1月から国連安保理非常任理事国となることから、国連安保理改革及び北朝鮮問題等に関して我が国と南アが国際場裡において協働することを確認することができた。