ルワンダ共和国
ルワンダ共和国(Republic of Rwanda)
基礎データ
令和6年11月11日


一般事情
1 面積
2.63万平方キロメートル
2 人口
1,378万人(2022年、世銀)
3 首都
キガリ(Kigali)
4 民族
フツ、ツチ、トゥワ(なお、ルワンダは、これらを示す身分証明証を廃止している。)
5 言語
ルワンダ語、英語(2009年、公用語に追加され、フランス語に代わって教育言語となった)、フランス語、スワヒリ語
6 宗教
キリスト教(カトリック、プロテスタント)、イスラム教
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
15世紀頃 | ルワンダ王国建国 |
1890年 | ドイツ保護領となる(ドイツ領東アフリカの一部) |
1916年 | ベルギー軍による侵攻・占領 |
1922年 | ベルギーの委任統治領となる(ルアンダ・ウルンディの一部) |
1946年 | ベルギーの信託統治領となる(ルアンダ・ウルンディの一部) |
1961年 | 国民投票により王政を廃止 カイバンダ初代大統領就任 |
1962年7月 | ベルギーから独立 |
1973年7月 | クーデターによりハビヤリマナ大統領就任 |
1990年10月 | ルワンダ愛国戦線(RPF)がウガンダから侵攻 |
1993年8月 | アルーシャ和平合意成立 |
1994年4月 | ハビヤリマナ大統領暗殺 「ルワンダ大虐殺」が始まる |
1994年7月 | RPFが全土を完全制圧 ビジムング大統領、カガメ副大統領就任 |
2000年4月 | カガメ大統領就任 |
2003年5月 | 国民投票による新憲法制定 |
2003年8月 | 大統領選挙でカガメ大統領当選 |
2007年7月 | 東アフリカ共同体(EAC)加盟 |
2003年9~10月 | 上院・下院議員選挙(与党RPFの勝利) |
2008年9月 | 下院議員選挙(与党RPFの勝利) |
2009年11月 | コモンウェルス加盟 |
2010年8月 | 大統領選挙でカガメ大統領再選 |
2013年9月 | 下院議員選挙(与党RPFの勝利) |
2015年12月 | 国民投票による憲法改正(カガメ大統領が2017年の大統領選挙に立候補することが可能となる) |
2017年8月 | 大統領選挙でカガメ大統領再選 |
2024年7月 | 大統領選挙でカガメ大統領再選 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
ポール・カガメ(Paul KAGAME)大統領
3 議会
上院(26議席、任期8年)、下院(80議席、任期5年)
4 政府
- (1)首相 エドワード・ンギレンテ(Edouard NGIRENTE)
- (2)外相 オリビエ・ンドゥフンギレヘ(Olivier NDUHUNGIREHE)
5 内政
- (1)1962年の独立以前から、フツとツチの抗争が繰り返されていたが、独立後多数派のフツが政権を掌握し、少数派のツチを迫害する事件が度々発生していた。1990年に独立前後からウガンダに避難していたツチが主体のルワンダ愛国戦線(RPF)がルワンダに武力侵攻し、フツ政権との間で内戦が勃発した。1993年8月にアルーシャ和平合意が成立し、国連は停戦監視を任務とする「国連ルワンダ支援団(UNAMIR)」を派遣したが、1994年4月のハビヤリマナ大統領暗殺を契機に、フツ過激派によるツチ及びフツ穏健派の大虐殺が始まり、同年7月までの約100日間の犠牲者は80~100万人と言われている。
- (2)1994年7月、RPFがフツ過激派を武力で打倒すると、ビジムング大統領(フツ)、カガメ副大統領(ツチ)による新政権が成立した。同政権は大虐殺の爪痕を乗り越えようと、出身部族を示す身分証明書の廃止(1994年)、遺産相続制度改革(女性の遺産相続を許可)(1999年)、国民和解委員会及び国民人権委員会の設置(1999年)等、国民融和・和解のための努力を行った。
- (3)2003年8月には大統領選挙が実施されカガメ大統領が当選した。以後行われた上院(2003年、2011年)・下院議員(2003年、2008年、2013年)選挙の全てで、与党RPFが勝利した。2010年8月の大統領選挙でカガメ大統領は再選された。2015年12月、国民投票を経て憲法が改正され、大統領の三選禁止規定は維持しつつ大統領任期が7年から5年に短縮された。2017年8月の大統領選挙で再選(ただし憲法改正後、2017年から2024年の任期は憲法移行中の特別措置として7年間の任期としていた)、2024年7月の大統領選挙では、カガメ大統領が99.18%の支持を得て再選された。
- (4)カガメ大統領は汚職対策に力を入れており、汚職の少なさは、治安の良さとともに、良好なビジネス環境を提供している。なお、ルワンダは女性が国会議員に占める割合が63.8%(2024年7月現在)で、2024年4月現在で世界一(IPU)。下院議長の要職を女性が占め、女性閣僚の割合は約45.4%(2024年4月現在)と、女性の社会進出が進んでいる。
- (5)2015年4月以降、隣国ブルンジの情勢が悪化したことにより、ブルンジ難民の流入が続いていたが、ルワンダ国内のブルンジ難民は、7.3万人(2020年9月現在)に達している。
外交・国防
1 外交基本方針
ルワンダの経済発展のための経済外交を重視しており、主要な援助国と良好な関係を築く一方、東アフリカ共同体(EAC)やアフリカの経済統合にも積極的である。国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)にPKO要員を派遣しており、長年、アフリカの平和と安定に貢献してきている。2018年、カガメ大統領がAU議長を務め、AU改革等に向けたリーダーシップも発揮した。
2 軍事力
- (1)予算1億650万ドル(2023年 ミリタリーバランス2024)
- (2)兵役 志願制
- (3)兵力 3万3,000人(陸軍32,000人、空軍1,000人、予備役2,000人)(2023年 ミリタリーバランス2024)
経済
1 主要産業
農業(コーヒー、茶等)
2 GDP
133.1億ドル(2022年、世銀)
3 一人当たりGNI
966米ドル(2022年、世銀)
4 経済成長率
8.2%(2022年、世銀)
5 物価上昇率
17.7%(2022年、世銀)
6 総貿易額(2022年、OEC)
- (1)輸出 17.70億ドル
- (2)輸入 43.20億ドル
7 主要貿易品目(2022年、OEC)
- (1)輸出 金、錫、コーヒー
- (2)輸入 石油、金、パーム油、米
8 主要貿易相手国(2022年、OEC)
- (1)輸出 アラブ首長国連邦、コンゴ民主共和国、タイ
- (2)輸入 中国、インド、タンザニア、ケニア、アラブ首長国連邦
9 通貨
ルワンダ・フラン
10 為替レート
1ドル=1,327.6ルワンダ・フラン(2024年7月、BNR)
11 経済概況
- (1)農業・林業・漁業がGDPの約25%を占め、多くの農民が小規模農地を所有している。主要な商用作物はコーヒー及び茶(輸出の約11%(2022、OEC))であり、高品質化により国際競争力を強化する政策をとっている。一方で、内陸国のために輸送費が高いという問題も抱えており、これを克服するために経済特区の整備やICT産業の振興に注力している。
- (2)1980年代は、構造調整計画を実施し経済の再建に努めたが、内戦勃発以降はマイナス成長、特に1994年の大虐殺で更に壊滅的打撃を受けた。その後、農業生産の堅実な回復(1998年には内戦前の水準を回復)、ドナー国からの援助、健全な経済政策により1999年までにGDPは内戦前の水準に回復した。2010年以降平均7%前後の実質経済成長率を維持。慢性的な輸入超過が課題だが、全体的には安定したマクロ経済運営がなされている。
- (3)ルワンダ政府は、2035年までに高中所得国、2050年までに高所得国となる目標を掲げており、2017年からは、年平均9.1%の経済成長を目標とした中期的成長戦略「第一次国家変革戦略(NST1)」を実施している。
開発協力
1 日本の援助実績
- (1)有償資金協力(2021年度まで、ENベース)292.08億円
- (2)無償資金協力(2021年度まで、ENベース)525.60億円
- (3)技術協力実績(2021年度まで、経費ベース)212.59億円
2 主要援助国(2019~2020年、単位:百万ドル)
- (1)米国(189.76)
- (2)ドイツ(59.88)
- (3)ベルギー(59.33)
- (4)日本(56.01)
二国間関係
1 政治関係
- (1)日本は、ルワンダが独立した1962年7月に国家承認した。1993年から2009年末まで在ケニア日本大使館がルワンダを兼轄していたが、2010年1月に在ルワンダ日本大使館を開館した。ルワンダは1979年5月に在京大使館を開設した(2000年9月に閉鎖したが、2005年1月に再開)。
- (2)1994年4~7月のルワンダ大虐殺後に国外に避難したルワンダ難民を支援するため、日本は、同年9~12月の間、国際平和協力法に基づき、ザイール共和国(当時、現コンゴ民主共和国)のゴマ等に約400名の難民救援隊・空輸隊等を派遣した。
2 経済関係(対日貿易)(2023年、財務省)
- (1)貿易額
- 輸出 約7.5億円
- 輸入 約5.0億円
- (2)主要品目
- 輸出 コーヒー
- 輸入 魚介類、自動車、医薬品
3 文化関係
在ルワンダ日本大使館が、空手道大使杯、日本映画祭などを実施してきている。2018年には、ルワンダ空手連盟に対し、空手用マットほかを供与した。2024年には、ルワンダハンドボール連盟に対し、ハンドボールを供与した。
4 在留邦人数
169人(2023年10月現在)
5 在日当該国人数
119人(2022年12月現在)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1982年6月 | 辻外務政務次官(独立20周年記念式典に政府特派大使として参加) |
2005年10月 | 逢沢一郎外務副大臣 |
2006年8月 | 日本・アフリカ連合友好議員連盟(村田吉隆衆議院議員、北村誠吾衆議院議員) |
2006年10月 | 浜田昌良外務大臣政務官 |
2008年12月 | 御法川信英外務大臣政務官 |
2009年6月 | 橋本聖子外務副大臣 |
2010年12月 | 参議院ODA調査団(柳澤光美参議院議員、米長晴信参議院議員、佐藤正久参議院議員) |
2014年5月 | 山本博司財務大臣政務官(アフリカ開発銀行年次総会) |
2014年8月 | 三原朝彦衆議院議員、山際大志郎衆議院議員(日AU友好議連) |
2014年8月 | 石原宏高外務大臣政務官(貿易投資促進ミッション) |
2015年12月 | 三原朝彦議員、山際大志郎議員(日AU議連) |
2017年7月 | 三原朝彦議員、山際大志郎議員(日AU議連) |
2018年7月 | 堀井学外務大臣政務官(アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッション) |
2018年8月 | 茂木敏充内閣府特命担当大臣(経済財政担当) |
2019年3月 | 山田賢司外務大臣政務官(第7回アフリカCEOフォーラム) |
2022年5月 | 鈴木貴子外務副大臣 |
2024年5月 | 辻󠄀清人外務副大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1981年10月 | ンガリュキイントワリ外務・協力相(外務省賓客) |
1985年3月 | ルカシャサ外務協力次官(中堅指導者招聘) |
1988年3月 | ハビャリマナ大統領(非公式) |
1989年2月 | ムゲマナ内務相(大喪の礼) |
1990年11月 | ハビマナ「発展のための国民革命運動」書記長(即位の礼) |
1991年3月 | ンギラバトワレ計画相(大統領特使) |
1993年10月 | ルコゴザ情報相(第1回アフリカ開発会議(TICAD)) |
1996年1月 | ビララ計画相(非公式) |
1996年6月 | ビジムング大統領(非公式)及びガザナ外務・協力相 |
1997年4月 | カガメ副大統領(外務省賓客)及びビララ大蔵・計画相 |
1998年10月 | ルイジェマ首相(TICADII) |
2000年1月 | イヤムレムイェ外相 |
2001年12月 | カベルカ財務・経済計画相(TICAD閣僚レベル会合) |
2003年9月 | マクザ首相、ムリガンデ外相(TICAD III) |
2005年2月 | ムジャワマリア初等中等教育担当相(フォーラム出席) |
2005年4月 | カベルカ財務・経済計画相(実務) |
2005年6月 | ンシュティ商業・産業・投資促進・観光・協同組合相(愛知万博) |
2005年7月 | ムリガンデ外相(外務省賓客) |
2005年9月 | ムレンジ教育・科学・技術・研究相(科学技術社会フォーラム出席) |
2006年6月 | ムリガンデ外相 ンサンザバガンワ経済計画担当国務相 カレガ産業・投資促進担当国務相 |
2006年11月 | カガメ大統領(実務訪問賓客)、カマンジ・インフラ相、ムセミナリ協力担当国務相、ンサンザバガンワ経済計画担当国務相 |
2007年10月 | ムレンジ科学・技術・研究相(科学技術社会フォーラム出席) |
2008年5月 | カガメ大統領(TICAD IV) ムセミナリ外相 |
2009年10月 | ムリガンデ教育相兼科学技術研究担当国務相(科学技術社会フォ-ラム) |
2011年6月 | ムシキワボ外相(MDGsフォローアップ会合) |
2011年11月 | ルワンゴムブワ財務・計画相 |
2012年10月 | ルワンゴムブワ財務・計画相(IMF世銀東京総会) |
2013年6月 | カガメ大統領(TICAD V) |
2015年3月 | ムレケジ首相、ムカンタバナ災害対策・難民問題相(第3回国連防災世界会議) |
2018年3月 | ルランギルワICT相(閣僚級招へい) |
2018年10月 | ンドゥフンギレヘ外務・協力EAC国務相(TICAD閣僚会合) |
2019年1月 | カガメ大統領(実務賓客招へい) |
2019年8月 | カガメ大統領(TICAD7) |
2024年8月 | カバレベ外務・国際協力国務相(TICAD閣僚会議) |
7 二国間条約・取極
- 1985年6月 青年海外協力隊派遣取極
- 2005年1月 技術協力協定
8 外交使節
- (1)ルワンダ共和国駐箚日本国大使 福島功特命全権大使(2023年2月着任)
- (2)本邦駐箚ルワンダ共和国大使 マリー・クレール・ムカシネ大使(2024年3月着任)