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高村外務大臣とナルィシュキン露副首相兼政府官房長官との会談(結果概要)

平成19年11月5日

 11月5日、高村正彦外務大臣は、午後5時20分より約40分間、訪日中のナルィシュキン・ロシア連邦副首相兼政府官房長官と会談を行ったところ、概要以下のとおり。

 本件会談は、同副首相の福田総理大臣及び町村官房長官への表敬に続いて行われた。なお、7月に続き本年2回目となるナルィシュキン副首相の訪日は、(1)ハイリゲンダム(本年6月)及びシドニー(同9月)において行われた日露首脳会談のフォローアップ、(2)「ロシア文化フェスティバル」の閉会式への出席、(3)国際ビジネス会議、有識者円卓会議への出席を目的として行われた。

1.冒頭発言

 冒頭、ナルィシュキン副首相より、福田総理及び町村官房長官への表敬を通じて、日本の指導部において「日露行動計画」に従って全ての分野において関係を発展させるとの方針に変更がないことを確認することができた、また、ビジネス・フォーラムで日露の企業関係者と会合し、双方において協力に関心があることを確認することができた、こうした点は日露の貿易・経済関係の拡大への展望を明るくするものであるとの発言があった。

2.領土問題

(1)高村大臣より、プーチン大統領が「日露関係にいかなる停滞もあってはならない」旨ラヴロフ大臣に述べたことを全面的に支持する旨述べた上で、日本側は、引き続き、全ての分野において日露関係を高い次元に引き上げていくために作業していく用意がある、領土問題の解決に向けても具体的な進展を図る必要がある旨述べ、このような日本側の考えをプーチン大統領に伝えることを要請した。

(2)これに対し、ナルィシュキン副首相より、確実にプーチン大統領に伝える旨述べた上で、首脳レベルで率直にやり取りができる雰囲気は、領土問題を含め如何なる問題も議論することを可能にしている、ロシア側は領土問題に関する話合いを避けることはなく、相互主義に基づいて建設的に話し合う用意がある旨述べた。

(3)その上で、双方にとり受入れ可能な解決策を模索する作業を集中的に行っていくことを確認した。

(4)平和条約交渉との関連で、高村大臣より、北方四島において第三国の労働者を入れて開発を進めているとの報道について、このようなことが行われることは、日本側の対露感情にも領土交渉にも悪影響を及ぼすものであり、避けていただきたい旨改めて申し入れた。また、高村大臣より、我が国企業等がロシアの管轄権に服するかのような形で四島において活動することは受け入れられないが、四島における協力について双方に受入れ可能な方法についてはロシア側と議論する用意がある旨述べた。

3.日露経済・実務関係

(1)極東・東シベリア・イニシアティブ

(イ)10月26日にウラジオストクで開催した貿易経済日露政府間委員会の第1回地域間交流分科会が、「極東・東シベリア・イニシアティブ」の具体化に向けた良いスタートとなったとの認識で一致した。

(ロ)ナルィシュキン副首相より、ロシア側は、特に極東・東シベリアの発展のための日本との協力拡大に関心があり、「極東ザバイカル発展連邦目的プログラム」の実施を促進させるためにとられるあらゆる日本側とのコンタクトを支持する、貿易経済日露政府間委員会を活用すべきと考える、ロシアにとり極東・東シベリアは戦略的地域であり、インフラ整備を通じて開発を進めたい旨述べた。

(2)密漁・密輸出対策

 ナルィシュキン副首相より、極東地域における水棲生物資源の保護の観点からロシア側として密漁・密輸出対策における協力を重視している旨述べたのに対し、高村大臣より、9月に東京で行われた日露の関係省庁会議は有意義であり、話合いを続けていきたい旨述べた。

(3)エネルギー

(イ)ナルィシュキン副首相は、サハリン・プロジェクトに関し、日露間で良い協力が進められている旨述べた。

(ロ)高村大臣より、サハリンIIプロジェクトについて、我が国への液化天然ガス(LNG)の供給が来年確実に履行されることが重要である、10月初めに我が国企業が製造したLNG運搬船が完成し、サハリンからのアジア太平洋向け輸出に使われると承知している旨述べた。また、原子力協力協定交渉も促進させたい旨述べた。

(4)鉄道

 ナルィシュキン副首相より、シベリア鉄道に関する協力は、「極東ザバイカル発展連邦目的プログラム」に関する協力に資する旨指摘した上で、7日に東京で行われる官民会議が重要であるとの認識で一致した。

(5)気候変動

 高村大臣より、京都議定書の枠内での協力、ポスト京都議定書に向けた連携・協力のあり方を検討するため、気候変動に関する日露政府間協議を立ち上げることを提案した。これに対し、ナルィシュキン副首相より、(イ)京都議定書の実施に関する日露双方の立場は近い、(ロ)新たな枠組み作りについても協力していきたい、(ハ)この分野における露日間の協力の拡大を期待する旨述べた。

(6)保健・医療

 高村大臣より、「極東・東シベリア・イニシアティブ」の保健・医療分野の取組として、来年度、日本センターによる研修として、医療器械のビジネスマッチングの観点も含め、ロシア人専門家を我が国に招聘する用意がある旨表明した。

(7)農水産業

 高村大臣より、本年9月に我が国水産企業がモスクワの食品見本市に出展したのに加え、モスクワの赤の広場の前にあるグム百貨店の日本食品コーナーにおいて日本産のコメが販売される計画があることを紹介した。

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