ポルトガル共和国

基礎データ

令和6年8月9日
ポルトガル共和国国旗

一般事情

1 面積

92,225平方キロメートル(日本の約4分の1)

2 人口

  • 1,031万人(2023年、IMF)

3 首都

  • リスボン市

4 言語

ポルトガル語(その他、ブラガンサ県のミランダ・ド・ドウロ地域ではミランダ語も公用語として認められている。)

5 宗教

カトリック教徒が圧倒的多数

6 国祭日

6月10日(ポルトガルの日、16世紀に活躍したポルトガルの国民的詩人ルイス・デ・カモンイスの命日)

7 略史

年月 略史
1143年 ポルトガル王国成立(カスティージャ王国による承認)
1580年 スペインとの同君連合(スペイン王フェリペ2世がポルトガル王となる。)
1640年 スペインから独立(王政復古)
1755年 リスボン大震災
1910年 王政終焉、ポルトガル共和国成立
1925年 カルモナ将軍による軍事政権(共和制の崩壊)
1932年 独裁体制の開始
サラザール政権(~1968年)、カエターノ政権(1968年~1974年)
1949年 NATO加盟
1955年 国連加盟
1974年4月25日 カーネーション革命(独裁体制の終焉、民主化)
1986年 欧州共同体(EC)(後EUに発展)に加盟
1996年 ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)に加盟(同年に設立。事務局リスボン)
1998年 万国博覧会開催(リスボン)
1999年 ユーロ導入(2002年から流通)

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

  • マルセロ・ヌノ・ドゥアルテ・レベロ・デ・ソウザ大統領
  • Marcelo Nuno Duarte Rebelo de Sousa
  • (2021年1月就任、3期目。任期5年)

3 議会

1院制 230議席、任期4年

4 政府

民主連盟(AD)(社会民主党(PSD)、民衆党(CDS)、人民君主党(PPM)による中道右派政党の連合)政権(2024年4月~)(1期目)

  • (1)首相名 ルイス・フィリペ・モンテネグロ・カルドーゾ・デ・モライス・エステヴェス(Luís Filipe Montenegro Cardoso de Morais Esteves
  • (2)外相名 パウロ・ランジェルPaulo RANGEL

5 内政

  • (1)2021年1月、レベロ・デ・ソウザ大統領(社会民主党(PSD))が再選。
  • (2)2021年10月、2022年予算法審議において予算法案が否決されたことから、レベロ・デ・ソウザ大統領は議会解散命令を発出。2022年1月の共和国議会議員選挙及び3月の欧州選挙区での再投票の結果、コスタ書記長率いる社会党(中道左派)が単独過半数となる120議席を獲得して勝利し、3月30日に第3次コスタ政権が発足。
  • (3)第三次コスタ内閣は、2023年の始め頃から複数閣僚への汚職疑惑が相次いで報じられた。同年11月には、ガランバ・インフラ相ほかに対し、リチウム鉱山開発、シネス港の水素事業及びデータセンター事業との関係で特定企業への利益誘導に関する疑惑が浮上。その直後にコスタ首相本人にも汚職の嫌疑がかかったことが決定打となり、11月7日に同首相は辞意を表明し(なお、その後コスタ首相本人の汚職疑惑は嫌疑不十分として処理されている)、大統領はこれを受理。2024年1月15日に議会は解散となった。
  • (4)2024年3月10日、共和国議会総選挙が実施され、野党・社会民主党(PSD)率いる民主同盟(AD)が与党・社会党(PS)に僅差で勝利。PSD党首のルイス・モンテネグロ氏が首相に就任した。

外交・国防

1 外交基本方針

  • (1)欧州統合への積極的参加
    1992年、2000年に続き、2007年後半にEU議長国を務め、リスボン条約が署名された。
    2018年1月、ユーログループ(ユーロ圏各国の財相の会合)の議長に、センテーノ財相が就任(任期2020年7月終了)。2021年前半に、4回目のEU議長国を務めた。
  • (2)大西洋同盟の重視(NATO、対米関係)
    NATO原加盟国。2010年11月にはNATO首脳会合を主催。リスボン統合司令部(JFC-Lisbon)は2012年末に閉鎖されたが、代わりにNATO海上打撃支援部隊(STRIKFORNATO)が移設。米国との協定に基づき、ラージェス空軍基地(大西洋上アソーレス自治州のテルセイラ島に所在)を米軍の使用に供与しているが、2015年1月、米国防省は欧州における軍事施設の合理化計画を発表。同2月、リスボン市内でポルトガル米国二国間常設委員会が開催され、ポルトガル政府は本合理化計画について改めて否定的姿勢を表明。段階的な基地縮小は開始されたが、両国は協議を続けている。
  • (3)ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)
    CPLP(加盟国は全9か国:ポルトガル、ブラジル、アンゴラ、カーボベルデ、ギニアビサウ、モザンビーク、サントメ・プリンシペ、赤道ギニア、東ティモール)を通じ、旧植民地諸国との連携、経済関係の強化及び人的交流の促進を図るとともに、ポルトガル語の国際語化を図っている。
  • (4)在外公館の新規開設、AICEP(ポルトガル投資貿易振興庁)と連携した輸出促進、外国投資誘致等を目指した多角的な経済外交を推進。
  • (5)グテーレス元ポルトガル首相の国連事務総長就任(2017年1月)等を受け、国連を一層重視。国際移住機関(IOM)のヴィトリーノ事務局長(2018年~)、GAVIワクチンアライアンス(GAVI)のバローゾ理事会議長(2012年~)も輩出。ポルトガルは2011~2012年には国連安全保障理事会非常任理事国を務めた。また、2024年6月、欧州理事会は次期欧州理事会議長にアントニオ・コスタ前首相を選出。12月に就任予定。

2 軍事力(2023年ミリタリーバランス)

  • (1)予算 33.9億ユーロ
  • (2)兵役 2004年11月から完全志願兵制に移行した。
  • (3)兵力 軍人:26,050人、予備役:23,500人

経済

1 主要産業

製造業(機械類、衣類、履き物、コルク製造)及び観光業等

2 概況(2024年、IMF)

  2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
名目GDP(億ドル) 2,400 2,288 2,557 2,554 2,874 2,989
一人当たりGDP(ドル) 23,330 22,220 24,840 24,800 27,880 28,970
経済成長率(%) 2.7% -8.3% 5.7% 6.8% 2.3% 1.7%
物価上昇率(%) 0.3% -0.1% 0.9% 8.1% 5.3% 2.2%
失業率(%) 6.7% 7.2% 6.7% 6.1% 6.6% 6.5%

3 総貿易額(2023年、ポルトガル国立統計院)

  • (1)輸出:775億ユーロ
  • (2)輸入:1,049億ユーロ

4 主要貿易品目(2023年、ポルトガル国立統計院)

  • (1)輸出:機械及び機器、車両その他輸送用機材、金属製品、繊維品、プラスチック及びゴム等
  • (2)輸入:機械及び機器、化学製品、鉱物・石油製品、車両その他輸送用機材等

5 主要貿易相手国(2023年、ポルトガル国立統計院)

  • (1)輸出:スペイン、フランス、ドイツ、米国、英国
  • (2)輸入:スペイン、ドイツ、フランス、オランダ、中国

6 通貨

ユーロ

7 経済概要

  • (1)欧州金融危機後は緊縮財政に努め堅調に国内経済を回復。コロナ禍で2020年は一時マイナス8.4%のGDP成長となったものの、2021年4月にはEU加盟国で最初に復興強じん化計画(補助金及び融資の合計166億ユーロ)を提出し、2021年末には4.9%のGDP成長を達成。
  • (2)2024年4月に発足した第一次モンテネグロ政権にとって、汚職による政治不信の払拭、優秀な人材の国外流出、住宅価格上昇、ウクライナ戦争による物価と金利の上昇の抑え込みが大きな課題。DXとGXを政策の柱に据え、産学連携やスタートアップ企業の育成にも注力しつつ、堅実な経済成長を追求している。

二国間関係

1 政治関係

(1)天皇皇后両陛下・皇太子殿下御訪問

 天皇皇后両陛下は1998年5月の英国、デンマーク御訪問の途次にポルトガルにお立ち寄りになり、リスボン万国博覧会を御視察になった(「日本館」での昭和天皇の貝のコレクション展示等)。また、2004年5月、皇太子殿下がポルトガルを公式訪問され、首都リスボン、コインブラ、ポルトを御訪問された。

(2)その他要人往来(肩書はいずれも当時)

 2002年1月、田中外務大臣は我が国外務大臣として初めてポルトガルを訪問し、ガマ外相との会談、サンパイオ大統領及びグテーレス首相への表敬を行った。また、2004年4月、ゴウヴェイア外相が我が国を訪問し、川口外務大臣との会談を行い、2005年5月には、サンパイオ大統領夫妻が、愛・地球博ポルトガル・ナショナルデー(5月24日)に出席するために訪日し、小泉総理との会談を行った。2007年2月には、アマード外相が訪日し、麻生外務大臣と会談を行い、政策協議に関する覚書に署名した。2013年3月にポルタス外相が外務省賓客として訪日し、岸田外務大臣を始め、政府関係者らと会談を行った。2014年5月に安倍総理が現職総理として初めてポルトガルを訪問し、カヴァコ・シルヴァ大統領表敬、パッソス・コエーリョ首相との会談等を行った。2015年3月26~28日、パッソス・コエーリョ首相がポルトガル首相として25年ぶりに訪日(公式実務訪問賓客)した。2016年7月及び2018年1月には、マルケス企画・インフラ相が訪日し、2019年8月には、平井内閣府特命担当大臣がリスボンを訪問した。2020年9月には、茂木外務大臣がポルトガルを訪問し、サントス・シルヴァ外相と会談したほか、レベロ・デ・ソウザ・大統領を表敬した。2021年7月には、井上国際博覧会担当及び内閣府特命担当大臣がポルトガルを訪問し、サントス・シルヴァ外相と会談した。2022年9月には、安倍元総理国葬儀にフェロ・ロドリゲス前共和国議会議長が参列した。同年10月にはガランバ環境・エネルギー担当副大臣が来日した。2022年11月にはサントス・シルヴァ共和国議会議長(前外相)が来日し衆参両議院議長と会談したほか、京都・長崎を訪問した。2023年4月、ベルギーで開催されたNATO外相会合の機会に、林外務大臣とゴメス・クラヴィーニョ外相との間で外相会談が実施された。また、同年9月、米国で開催された国連ハイレベルウィークの機会に、上川外務大臣とゴメス・クラヴィーニョ外相との間で外相会談が実施された。

2 経済関係

  1. 貿易
    対ポルトガル輸出:952.8億円
    対ポルトガル輸入:836.3億円
    (1)主要輸出品目(日本からポルトガル):輸送用機器、鉄鋼、一般機械
    (2)主要輸入品目(ポルトガルから日本):輸送用機器、衣類及び同附属品、果実及び野菜
    出典:(2023年、財務省貿易統計)
  2. 企業進出
    日本からポルトガルへの進出企業の拠点数 118拠点(2023年)
    出典:外務省

3 在留邦人数

872人(2023年、外務省)

4 在日ポルトガル人数

752人(2023年、法務省)

5 要人往来(2000年以降)

(1)往
年月 要人名
2001年9月 井上参議院議長(公式)
2002年1月 田中外務大臣
2003年8月 綿貫衆議院議長
2004年5月 皇太子殿下
2006年1月 中馬内閣府大臣
2006年3月 山口特派大使(大統領就任式)
2007年4月 北川防衛大臣政務官
2007年8月 松山経済産業大臣政務官
2009年6月 小泉元内閣総理大臣
2010年11月 伴野外務副大臣
2014年5月 安倍内閣総理大臣
2014年7月 稲田内閣府特命担当大臣
2015年6月 松本内閣府大臣政務官
2017年1月 滝沢外務大臣政務官
2019年8月 平井内閣府特命担当大臣
2020年9月 茂木外務大臣
2021年7月 井上国際博覧会担当及び内閣府特命担当大臣
2022年6月 務台環境副大臣
三宅外務大臣政務官(国連海洋会議)
(2)来
年月 要人名
2000年6月 フェロ・ロドリゲス労働社会保障相(小渕総理葬儀参列)
2002年1月 アマード副外相(アフガン復興支援国際会議)
2003年9月 サントス副外相(TICAD III)
2004年4月 ゴウヴェイア外相(外賓)
2005年5月 サンパイオ大統領夫妻(博覧会賓客)
2006年2月 ピーニョ経済革新相
2007年2月 アマード外相(外賓)
2008年3月 ガマ国会議長(参議院招待)
2011年2月 サントス財相
2012年10月 ガスパール財相、コスタ中銀総裁(IMF・世銀年次総会)
2013年3月 ポルタス外相(外賓)
2014年6月 クリスタス農業・海洋相
2015年2月 ヴィエイラ・イ・ブリット食糧・農業食品研究担当副相
2015年3月 ロドリゲス内相(第3回国連防災世界会議)
パッソス・コエーリョ首相(公式実務訪問賓客)
マシェッテ外相、ピーレス・デ・リマ経済相、モレイラ・ダ・シルヴァ環境・国土・エネルギー相(首相に同行)
2016年7月 マルケス企画・インフラ相、コスタ・オリヴェイラ外務省国際化担当副相
2017年5月 コスタ・オリヴェイラ外務省国際化担当副相(アジア開発銀行第50回年次総会)
2018年1月 マルケス企画・インフラ相、ブリリャンテ・ディアス外務省国際化担当副相
2019年8月 テレーザ・リベイロ外務省外務・国際協力担当副相(TICAD7)
2019年10月 カヴァコ・シルヴァ前大統領(即位令正殿の儀参列)
2020年2月 ブリリャンテ・ディアス外務省国際化担当副相、ガランバ環境・気候変動省エネルギー担当筆頭副相
2021年8月 レベロ青少年・スポーツ担当副相(東京オリンピック)
2021年9月 アントゥネス障害者社会参画担当副相(東京パラリンピック)
2022年6月 アンドレ・国際協力担当副相
2022年9月 フェロ・ロドリゲス前共和国議会議長(安倍元総理国葬儀)
2022年10月 ガランバ環境・エネルギー担当副相
2022年11月 サントス・シルヴァ共和国議会議長(衆議院招へい)
2023年5月 ガランバ・インフラ相

6 二国間条約・取極等

  • 査免協定(1974年)、漁業協定(1978年)、租税条約(2013年7月発効)、ワーキング・ホリデーに関する協力覚書(2015年7月発効)

7 外交使節

  • (1)ポルトガル駐箚日本国特命全権大使 太田 誠
  • (2)本邦駐箚ポルトガル国特命全権大使 ヴィットル・パウロ・ダ・コスタ・セレーノ
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