パプアニューギニア独立国
パプアニューギニア独立国(Independent State of Papua New Guinea)
基礎データ


一般事情
1 面積
約46万平方キロメートル(日本の約1.25倍)
2 人口
9,949,437人(2021年、世界銀行)
3 首都
ポートモレスビー
4 民族
メラネシア系
5 言語
英語(公用語)の他、ピジン英語、モツ語等を使用
6 宗教
主にキリスト教。祖先崇拝等伝統的信仰も根強い。
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
16世紀前半~19世紀後半 | ヨーロッパ人の来訪 |
1884年 | 独、ニューギニア北東部を保護領とする(独領ニューギニア) |
1884年 | 英国、ニューギニア南東部を保護領とする(英領ニューギニア) |
1906年 | 英領ニューギニア、豪領となる |
1914年 | 第1次世界大戦勃発に伴い、豪が独領ニューギニアを占領 |
1920年 | 国際連盟、独領ニューギニアの統治を豪に委任 |
1942年 | 日本軍進駐 |
1945年 | 日本軍降伏、豪州が統治 |
1946年 | 豪州を施政権者とする国連の信託統治地域となる |
1964年 | 住民議会設置 |
1973年 | 内政自治に移行 |
1975年9月16日 | 独立 |
政治体制・内政
1 政体
立憲君主制
2 元首
チャールズ三世国王(英国国王)、ボブ・ダダイ(Bob DADAE)総督(2017年2月就任)
3 議会
一院制、議員数121名、任期5年
4 政府
- (1)首相 ジェームス・マラペ(James MARAPE)
- (2)外相 マラペ首相が暫定的に外交を担当。
5 内政
- (1)2007年6月から7月にかけて総選挙が行われた結果、与党の国民同盟党(NA)が再び勝利し、ソマレ首相が再任され、新政権を発足させた(ソマレ首相は「建国の父」と呼ばれた独立時の初代首相)。
- (2)2011年8月、4月以降シンガポールで病気療養中であったソマレ首相の不在中に、野党と一部の与党議員が同調して、人民国民会議党(PNC)のオニール氏が首相に選出され、野党であったPNG党のナマ党首が副首相に就任し、オニール内閣が発足した。
- (3)2011年12月、最高裁判所がオニール首相選出プロセスを違憲と判断、ソマレ首相の復帰を指示。ソマレ側、オニール側いずれもが正統な政府であることを主張しているが、実質的に政府として機能しているのはオニール政権であり、議会、行政機関についてもオニール政権の下で機能していた。
- (4)2012年7月に総選挙が行われ、オニール首相が党首を務める人民国民会議党(PNC)が最大議席を獲得。2012年8月、オニール首相が議会の圧倒的多数の支持を得て首相に再選された。
- (5)2017年6月から7月の総選挙においては、オニール首相率いる与党連合が大幅に議席を減らしたものの、過半数を維持し、オニール首相が賛成多数で再選。その後野党からの合流が続き、2019年4月まで安定した政権を運営。
- (6)2019年4月末頃から、オニール首相に不満を持つ閣僚を含む国会議員の与党からの離脱や内閣不信任案の提出等により、内政状況が不安定化した。5月下旬、更に多数の国会議員が与党を離脱したことを受け、オニール首相が辞任を表明、首相選出の投票が行われ、マラペ前金融相が首相に選出された(2022年8月再選)。
外交・国防
1 外交
旧宗主国であり最大の援助国・貿易相手国である豪州との対等な関係の促進、国境を接しているインドネシアとの友好関係の維持、近隣諸国との連携強化等を引き続き外交の機軸としている。また、アジア太平洋地域の一員として、日本をはじめとするアジア諸国との関係強化、同地域内での多国間外交にも力を入れており、太平洋島嶼地域で唯一のAPEC加盟国となっている。
また、太平洋島嶼地域の大国として、太平洋諸島フォーラム(PIF)において強い発言力を有し、地域のリーダーとして独自の外交を展開している。
2015年の9月から2016年9月までPIF議長国。2018年のAPECでは議長国を務めた。
2 国防
- (1)予算 305百万キナ(2021年度予算)
- (2)兵役 志願兵制度
- (3)兵力 兵員規模 約3,600人(陸軍3,300人、海軍200人、空軍100人)
経済
1 主要産業
鉱業(液化天然ガス、金、原油、銅)、農業(パーム油、コーヒー)、林業(木材)
2 GDP
265億米ドル(2021年、世界銀行)
3 一人当たりGNI
2,460米ドル(2021年、世界銀行)
4 経済成長率
0.3%(2021年、世界銀行)
5 物価上昇率
12.7%(2021年、世界銀行)
6 総貿易額
- (1)輸出 7,581.4百万米ドル
- (2)輸入 5,319.3百万米ドル
(2021年、アジア開発銀行)
7 主要貿易品目
- (1)輸出 液化天然ガス、金、銅、木材、原油
- (2)輸入 機械類、石油、自動車・自動車部品、米、小麦
8 主要貿易相手国
- (1)輸出 オーストラリア、中国、日本
- (2)輸入 オーストラリア、中国、シンガポール
(2021年、アジア開発銀行)
9 通貨
- キナ及びトヤ(100分の1キナ)
- 1キナ=約40円(2023年8月)
10 経済概況
2003年から2019年までほぼプラス成長を達成していたが、2020年はコロナ禍の影響もありマイナス成長となった。2019年までの経済成長は鉱業産品(2014年6月にLNG(液化天然ガスの輸出を開始。)・非鉱業産品の増産・価格上昇を反映して輸出部門により牽引された。2019年までの好調な輸出、輸入の減少及び政府による財政引き締めにより為替相場の安定、インフレ率の低下をもたらしており、国内的には、民間部門の活動と雇用に成長が見られる。
経済協力
1 日本の援助
2020年度 | 2020年度までの累計 | |
---|---|---|
(1)有償資金協力 | 300.00億円 | 1,357.28億円 |
(2)無償資金協力 | 29.27億円 | 491.30億円 |
(3)技術協力 | 5.74億円 | 377.05億円 |
2 主要援助国
- (1)オーストラリア(475)
- (2)日本(236)
- (3)ニュージーランド(24)
- (4)米国(13)
(単位:百万米ドル、2021年、DAC)
二国間関係
1 政治関係
- 1975年1月
- ポートモレスビーに日本側総領事館開設
- 1975年9月
- 独立と同時に外交関係を樹立
- 1975年12月
- 在パプアニューギニア日本大使館開設
- 1976年4月
- 在パプアニューギニア大使館に初代大使赴任
2 経済関係
- (1)貿易額(2021年度、財務省貿易統計)
-
- パプアニューギニアへの輸出 203.1億円
- パプアニューギニアからの輸入 3,328.7億円
- (2)駐在日本企業数 14社(2021年10月現在、外務省海外進出日系企業拠点数調査)
3 在留邦人数
127名(2022年10月現在、外務省海外在留邦人調査統計)
4 在日パプアニューギニア人数
82名(2022年12月、法務省在留外国人統計)
5 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1980年 | 大平総理大臣、大来外務大臣 |
1985年 | 中曽根総理大臣、安倍外務大臣 |
1986年 | 浦野外務政務次官 |
1987年 | 倉成外務大臣 |
1989年 | 小泉厚生大臣 |
1991年 | 鈴木外務政務次官 |
1992年 | 柿沢外務政務次官(立寄り) |
1995年 | 福田外務政務次官(独立20周年特派大使) |
1997年 | 佐々木満参議院議員一行 |
2000年 | 伊藤公介衆議院議員(独立25周年特派大使) |
2002年 | 原田昇左右衆議院議員、植竹外務副大臣 |
2004年 | 村田吉隆衆議院議員 |
2005年 | 福島外務大臣政務官、有馬政府代表(日・PIF域外国対話) |
2006年 | 遠山外務大臣政務官 |
2011年 | 菊田外務大臣政務官 |
2013年6月 | 城内外務大臣政務官 |
2013年12月 | 三ツ矢外務副大臣 |
2014年7月 | 安倍総理大臣 |
2014年9月 | 宇都外務大臣政務官 |
2015年9月 | 中根外務大臣政務官(総理特使)(PIF域外国対話) |
2017年5月 | 佐藤正久参議院議員 |
2018年3月 | 薗浦総理大臣補佐官 |
2018年5月 | 堀井巌外務大臣政務官 |
2018年9月 | 田中内閣府副大臣 |
2018年11月 | 安倍総理大臣、河野外務大臣(APEC) |
2019年5月 | 逢沢一郎衆議院議員 |
2019年9月 | 山際大志郎衆議院議員、穴見陽一衆議院議員、金子俊平衆議院議員 |
2020年3月 | 山本防衛副大臣 |
2020年8月 | 茂木敏充外務大臣 |
2023年4月 | 髙田稔久太平洋・島サミット(PALM)担当大使 |
2023年8月 | 秋本真利外務大臣政務官 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1977年 | ソマレ首相(公賓) |
1979年 | オレワレ副首相兼外相・貿易相(外務省賓客) |
1985年 | ソマレ首相(公賓) |
1989年 | ディベラ総督(大喪の礼) |
1989年 | ポラ蔵相 |
1989年 | エブ漁業相 |
1990年 | マティアベ文化・観光相(花博賓客) |
1990年 | エリ総督(即位の礼) |
1992年 | ドイ副首相兼漁業相等 |
1994年 | モミス通信相 |
1995年 | ヤマ運輸・公共事業相、コンガ商工相、チャン首相兼外務貿易相(APEC) |
1996年 | チャン首相兼外務貿易相(SPF議長、外賓) |
1997年 | ゲニア外相(第1回太平洋・島サミット) |
1998年 | ナマリュウ石油エネルギー相 |
1999年 | タラヌピ教育相、ペイプル公共サービス相 |
2000年 | モラウタ首相(第2回太平洋・島サミット) |
2000年 | モラウタ首相(小渕前総理大臣葬儀) |
2001年 | ソマレ元首相 アベイ・ブーゲンビル問題担当相、ヤキ石油・エネルギー相(大阪シンポジウム) |
2001年 | ナロコビ国会議長 |
2002年 | クンバコール金融相 アウアリ民営化相、ルス文化観光相 |
2003年 | ソマレ首相、アベイ石油・エネルギー相(第3回太平洋・島サミット) |
2005年 | ソマレ首相(公賓)、アベイ石油・エネルギー相、ティエンステン貿易・産業相、ソマレ国家計画・地方開発相 ブラウン公共サービス相 |
2006年 | ナマリュー外相(外務省賓客(PIF議長代理)) ソマレ首相(PIF議長として第4回太平洋・島サミットに参加) |
2007年10月 | ライモ教育相(オピニオン・リーダー招待) |
2007年12月 | アラン環境保全相(第1回アジア・太平洋水サミット(於:大分)) |
2009年2月 | アバル外務貿易移民相、ソマレ国営企業相 |
2009年5月 | ソマレ首相(第5回太平洋・島サミット)、カプリス商工相 |
2010年3月 | ソマレ首相(公賓) |
2010年10月及び11月 | ポリエ副首相兼運輸公共相(太平洋・島サミット中間閣僚会合及びAPEC) |
2011年4月 | ポリエ外務貿易相(日・パプアニューギニア投資協定署名) |
2011年6月 | ティエンステン国家計画・地方開発相(ミレニアム開発目標(MDGs)フォローアップ会合) |
2013年3月 | オニール首相(実務訪問賓客) |
2013年10月 | パト外務移民相(太平洋・島サミット第2回中間閣僚会合) |
2014年6月 | オニール首相、マラペ金融相(LNGタンカー到着式典) |
2015年5月 | ソマレ東セピック州知事(平成27年春の叙勲親授式出席) |
2015年5月 | オニール首相、パト外務移民相(第7回太平洋・島サミット) |
2015年10月 | オニール首相(公式実務訪問賓客) |
2016年5月 | オニール首相(G7アウトリーチ会合) |
2017年1月 | パト外務移民相(太平洋・島サミット第3回中間閣僚会合) |
2018年5月 | オニール首相、パト外務貿易相(第8回太平洋・島サミット) |
2019年9月 | クア石油相(LNG産消会議、水素閣僚会議) |
2019年10月 | ダダイ総督(即位の礼) |
2022年9月 | マラペ首相、マル国際貿易相(安倍元総理国葬儀) |
6 二国間条約・取極
- 1979年 青年海外協力隊派遣取極
- 1997年 航空協定
- 2014年 投資協定
7 外交使節
- (1)パプアニューギニア駐箚日本国大使
- 渡邊 信之 特命全権大使
- (2)本邦駐箚パプアニューギニア大使
- サミュエル・アバル 特命全権大使
- (3)在取手パプアニューギニア名誉領事
- 井原 信近
- (4)在室蘭パプアニューギニア名誉領事
- 栗林 和徳