西村大臣政務官は、8月6日(木曜日)から7日(金曜日)までバヌアツ共和国の首都ポートビラを訪問し、PIF域外国対話に出席するとともに、PIF議長であるナタペイ・バヌアツ首相を始めとする太平洋島嶼国の代表、キャンベル米国務次官補、崔天凱中国外交部副部長等とのバイ会談を行った。
1 域外国対話
- (1)総論
ナタペイ・バヌアツ首相(PIF議長)から、域外国対話に先立って開催されたPIF総会及び首脳リトリートにおける総括として、特に気候変動、貿易、エネルギー、運輸等の分野に関する議論の概要説明が行われた。これに続いて、各国政府代表から、各国の大洋州島嶼国に対する援助実績・計画を中心に発言が行われた。
- (2)西村政務官による発言(概要以下のとおり)
- ア 日本としては、引き続き「イコール・パートナーシップ」に基づいて太平洋島嶼国に対する支援を継続し、地域の平和と繁栄に貢献していく考え。その一環として、昨年の第5回太平洋・島サミットのフォローアップのため、本年秋に初の中間閣僚会合を開催するので、PIF加盟国からのハイレベルの参加を期待する。
- イ 日本は、8月4日にソロモンで行われた総選挙に7名の選挙監視団を派遣するとともに、約10万ドルの資金援助を行った。
- ウ 非民主的な政権が続くフィジーに対しては、粘い強い対話を通じた民主化の働きかけが重要。
- エ 気候変動問題に脆弱なはずの一部太平洋島嶼国が、コペンハーゲン合意(CA)に対する賛同を示していないことは残念であり、すべてのPIF加盟国が早期にCAに対する賛同を表明することを期待する。
2 二国間会談
- (1)ナタペイ・バヌアツ首相(PIF議長)
ナタペイ首相から日本によるバヌアツに対する継続的な経済支援に対し謝意が表明された。また、双方はフィジーの民主化問題について意見交換を行った。
- (2)キャンベル米国務次官補
双方は、大洋州地域における日米協力を強化していくことで一致するとともに、フィジーの民主化問題について意見交換を行った。
- (3)崔天凱中国外交部副部長
西村政務官から、日中両国は経済援助を含む大洋州地域に対する取組について意見交換を行い、お互いに透明性を確保していくべきである旨述べた。また、双方はこの地域に対する両国の政策について意見交換を行った。
- (4)スレードPIF事務局長
西村政務官から、PIF加盟島嶼国・地域に対する太陽光発電及び海水淡水化装置の供与のためにPIFに拠出した68億円の基金の早期実施に向け、PIF事務局が大きな役割を発揮することを期待する旨述べた。これに対し、スレード事務局長から最大限努力したい旨応答があった。
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(5) 上記の他に、西村政務官はタランギ・ニウエ首相、ヤノ・パラオ国務大臣(外相)と会談するとともに、トン・キリバス大統領、モリ・ミクロネシア大統領、トゥイラエパ・サモア首相、スティーブン・ナウル大統領、セベレ・トンガ首相、マクマラン豪外務政務次官、アダムス世界銀行副総裁等と立ち話を行った。
3 評価
- (1) 今次域外国対話では、域外国から大洋州地域に対する経済援助を中心とする自国の取組に関する発言が行われ、域外国それぞれの立場を理解する上で有意義な意見交換が行われた。
- (2) 西村政務官からは、上記1のとおり、大洋州地域に対する我が国の取組について説明を行った。これにより、日本の取組に対する各国の理解が深まり、各国からは日本のコミットメントに対する謝意・賛辞が表明された。また、西村政務官からすべてのPIF加盟国によるコペンハーゲン合意に対する早期の賛同表明を働きかけた。
- (3) 短い滞在時間にもかかわらず、西村政務官は、上記2のとおり、ナタペイ・バヌアツ首相、キャンベル米国務次官補、崔天凱中国外交部副部長等多くの二国間会談と立ち話を行った。これにより、今次域外国対話は、我が国と太平洋島嶼国及び域外国の間でハイレベルの意見交換を行う上で極めて有意義な機会となった。