1.総論
「戦略的パートナーシップ」の構築
- 日・フィリピン両国は,基本的価値観(自由,民主主義等),市場経済国という地位,及び戦略的利益(海上交通路の安全確保確保等)を共有。
- 両国は,二国間関係の強化にとどまらず,地域における開放的・多層的なネットワークの育成に向け協力していくことを確認。
2.二国間関係
(1)経済分野(フィリピンの経済開発努力を支援)
ア 経済連携協定を通じた貿易・投資の促進
- ODA・民間投資の積極的な活用による投資環境改善・インフラ整備。
⇒フィリピン政府が重視する官民パートナーシップ(PPP)の支援(初の官民ミッションの派遣等)。
- 看護師・介護福祉士候補者の受入れに係る協力の継続。
イ 経済協力を通じた貢献(高い水準の政府開発援助(ODA)の維持)
- 防災分野での協力:
- 「マヨン火山周辺地域における避難所整備」(無償資金協力,7.39億円)
- 「パッシグ・マリキナ川の河川改修」(円借款,第1期11.67億円,第2期85.29億円)
- 「気象レーダーシステム整備」(無償資金協力,33.50億円)
- 「災害リスク軽減・管理能力向上プロジェクト」(技術協力)
- 環境・気候変動分野での協力:
- 「森林管理計画」(円借款,92.44億円。首脳会談後,E/N署名予定。)
- 「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」(無償資金協力,6億円)
- 「気候変動による自然災害対処能力向上計画」(無償資金協力,15億円)
(2)政治・安全保障分野(相互信頼の増進)
ア ハイレベル対話,各種政策対話の実施等
- 首脳レベル・閣僚レベルでの対話の頻繁な実施。
- 次官級戦略対話の立ち上げ,海洋協議の定例化,早期のPM協議開催。
- 海上保安機関間の協力強化:
巡視船派遣の機会を捉えた訓練,人材育成支援 等
- 防衛当局間の協力強化:
海上幕僚長と比海軍司令官の相互訪問,海上自衛隊艦隊の比寄港拡充,海自と比海軍の幕僚協議の実施 等
イ ミンダナオ和平プロセスに対する支援(新たに2件の技術協力案件を採択)
- ムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)稲作中心営農技術普及プロジェクト
- ミンダナオ紛争影響地域コミュニティ開発のための能力支援プロジェクト
(3)観光・青少年交流(国民レベルでの相互理解の促進)
- 「東北友好親善大使」としてフィリピン大学生等400名を来年招へい。
3.地域・国際社会への貢献
(1)東アジア地域協力
- 本年11月の日・ASEAN首脳会議,東アジア首脳会議(EAS)に向けた連携を確認。
(2)海上安全保障(南シナ海)
- 南シナ海の平和・安定は国際社会の共通の関心事項。航行の自由,円滑な商業活動,確立された国際法の遵守は,両国及び地域全体の利益。
(3)その他
- 地域の経済統合促進,防災分野での地域協力,朝鮮半島,気候変動交渉,国連安保理改革,平和維持活動。