パラグアイ共和国
パラグアイ共和国(Republic of Paraguay)
基礎データ
一般事情
1 面積
40万6,752平方キロメートル(日本の約1.1倍)
2 人口
約678万人(2022年、世銀)
3 首都
アスンシオン
4 民族
混血(白人と先住民)95%、先住民2%、欧州系2%、その他1%
5 言語
スペイン語、グアラニー語(ともに公用語)
6 宗教
主にカトリック(信教の自由は憲法で保障)
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1811年 | スペインから独立 |
1864年~1870年 | 三国戦争(対ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ連合軍)で人口激減 |
1932年~1935年 | チャコ戦争(対ボリビア)に勝利 |
1954年 | ストロエスネル将軍がクーデターにより政権掌握。以後35年間にわたり独裁政権継続 |
1989年2月 | クーデターによりロドリゲス将軍が政権掌握 |
1989年5月 | ロドリゲス将軍、大統領に就任 |
1993年8月 | ワスモシ大統領就任(文民政権) |
1998年8月 | クーバス大統領就任 |
1999年3月 | ゴンサレス大統領(前上院議長)就任 |
2003年8月 | ドゥアルテ大統領就任 |
2008年8月 | ルゴ大統領就任 |
2012年6月 | 上院によりルゴ大統領が弾劾、フランコ副大統領が大統領に昇格 |
2013年8月 | カルテス大統領就任 |
2018年8月 | アブド・ベニテス大統領就任 |
2023年8月 | サンティアゴ・ペニャ大統領就任 |
政治体制・内政
1 政体
立憲共和制
2 元首
サンティアゴ・ペニャ・パラシオス大統領(任期は2028年8月まで)(任期5年再選禁止)
3 議会
二院制(上院45、下院80、任期5年)
4 政府
- (1)首相
- 首相職なし
- (2)副大統領
- エルクレス・ペドロ・ロレンソ・アリアナ・ロドリゲス
- (3)外相
- ルベン・ダリオ・ラミレス・レスカノ
5 内政
1954年より35年にわたったストロエスネル軍事独裁政権は、1989年2月、ロドリゲス将軍のクーデターにより倒壊。政治活動・言論の自由、労働者の団結権等を保証する新憲法が1992年に公布され、1993年8月、同国で初めて民主的選挙が実施された。
2008年8月、中道左派のルゴ元司教(野党連合「変革のための愛国同盟」)が大統領に就任し、61年ぶりの政権交代を果たした。しかし、ルゴ大統領は国会内の少数与党出身で政治的基盤が脆弱であったことに加え、農地改革や治安問題の解決に向けた取組の遅れに対する不満が与野党各方面から噴出。2012年6月にパラグアイ上院においてルゴ大統領は弾劾され、憲法の規定に基づき、フランコ副大統領が新大統領に昇格した。
2013年8月に就任したカルテス大統領(コロラド党(中道右派))は、政権の優先課題として貧困の撲滅を掲げるとともに、積極的な外国企業誘致を推進した。
2018年8月に就任したアブド大統領(コロラド党)は、前政権の開放的経済政策を引き継ぐとともに、貧困対策、治安・麻薬対策、汚職対策に積極的に取り組んだが、社会格差などの問題への対処で課題を残した。
2023年4月に行われた大統領選挙では、与党コロラド党から出馬したサンティアゴ・ペニャ候補が勝利し、同年8月に大統領に就任。保育園無償化、公共料金の値下げ、住宅取得支援、新規雇用の創出などに取り組むことを約束している。
外交・国防
1 外交基本方針
伝統的に中南米諸国との関係を重視し、特にメルコスール(南米南部共同市場)を戦略的同盟と位置付け、加盟諸国間との関係強化を図る一方、これらと歩調を合わせることで対外交渉力の拡大を狙っている。また、南米で唯一台湾との外交関係を維持する。
2 軍事力(ミリタリーバランス2022)
- (1)予算
- 約2億7,400万米ドル
- (2)兵役
- 徴兵制
- (3)兵力
- 13,950人(陸軍7,400人、海軍3,800人、空軍2,750人)
経済(単位 米ドル)
1 主要産業
農業、製造業(自動車部品など)、電力
2 GDP(名目)
417億ドル(2022年 世銀)
3 一人当たりGDP(名目)
6,153ドル(2022年 世銀)
4 経済成長率(GDP)
0.1%(2022年 世銀)
5 物価上昇率
9.8%(2022年 世銀)
6 失業率
6.8%(2022年 世銀)
7 総貿易額(2023年暫定値 パラグアイ中銀)
- (1)輸出
- 172.8億米ドル
- (2)輸入
- 158.1億米ドル
8 主要貿易品目
- (1)輸出
- 大豆(大豆粉、大豆油等含む)、電力、牛肉、トウモロコシ、コメ
- (2)輸入
- 燃料・鉱油、電子機器類、原子炉・ボイラー、自動車・トラクター、肥料
9 主要貿易相手国(2023年、パラグアイ中銀)
- (1)輸出
- アルゼンチン、ブラジル、チリ、米国、ロシア、台湾
- (2)輸入
- 中国、ブラジル、米国、アルゼンチン、ドイツ、インド
10 通貨
グアラニー
11 為替レート
1米ドル=7,288グアラニー(2023年平均暫定値 パラグアイ中銀)
12 対外債務
143.38億米ドル(2023年末暫定値 パラグアイ中銀)
13 経済概要
経済は、農牧畜業と電力が輸出総額の8割以上を占めており、アルゼンチン、ブラジルの経済状況に依存している。主要農作物は、大豆、トウモロコシ、コメ、小麦、綿花、マテ茶、ゴマ等。とりわけ日本人移住者が導入し急成長した大豆の輸出量は世界6位(2022年、FAO)、その他トウモロコシが世界7位(2022年、FAO)、コメが世界5位(2022年、FAO)、マテ茶が世界3位(2022年、FAO)、ゴマが世界18位(2022年、FAO)の輸出量である。また、世界第10位の牛肉輸出国(2022年、米国農務省(USDA))でもある。近年、積極的な外資誘致策、低い税率、安価な労働力や電力等を背景に、自動車部品等製造を中心に、日本企業を含めた外国企業の進出が活発化している。2020年からの新型コロナ感染拡大による影響は、他のメルコスール諸国と比較して小さかった。
経済協力
1 日本の援助実績(2021年度までの累計)
- (1)有償資金協力 1,732.13億円
- (2)無償資金協力 403.21億円
- (3)技術協力実績 908.57億円
2 主要援助国(2020年DAC諸国二国間援助)
- (1)韓国(65.44百万ドル)
- (2)日本(53.44百万ドル)
- (3)フランス(43.01百万ドル)
1976年以降、2004年、2011年、2014年、2020年を除き、日本が最大の援助国。
二国間関係
1 政治関係
外交関係樹立日:1919年11月17日
経済技術協力と日本人移住者及び日系人(約1万人(推定))の存在を基盤として友好協力関係にある。
2 経済関係
対日貿易
- (1)貿易額(2023年 財務省貿易統計)
- 対日輸出 51.5億円
- 対日輸入 155.5億円
- (2)主要品目
- 対日輸出 ごま(採油用)、飼料(植物性油かす)、非鉄卑金属くず
- 対日輸入 輸送用機器、電気機器、一般機械、ゴム製品
3 在留邦人
3,757名(2023年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)
4 在日当該国人数
2,215名(2023年6月末、法務省在留外国人統計)
5 要人往来
年 | 要人名 |
---|---|
1978年 | 皇太子同妃両殿下、二階堂進衆議院議員(日・パラグアイ協会会長) |
1983年 | 中尾栄一衆議院議員(大統領就任式特派大使) |
1986年 | 常陸宮同妃両殿下 |
1990年 | 土屋参議院議長 |
1991年 | 鈴木外務政務次官 |
1993年 | 二階堂衆議院議員(大統領就任式特派大使) |
1996年 | 小川外務政務次官、相沢英之衆議院議員 |
1997年 | 岡野労働大臣 |
1998年 | 有馬政府代表(大統領就任式特派大使) |
1999年 | 高円宮同妃両殿下(非公式) |
2001年 | 植竹外務副大臣 |
2003年 | 河本英典参議院議員(大統領就任式特派大使) |
2004年 | 小野寺五典外務大臣政務官 |
2005年 | 福島啓史郎外務大臣政務官、保坂三蔵経済産業副大臣、河村建夫衆議院議員(日・パラグアイ友好議連会長) |
2006年 | 秋篠宮殿下、玉澤徳一郎衆議院議員、宮腰光寛農林水産副大臣、扇参議院議長、山中外務大臣政務官(移住70周年記念祭典出席) |
2007年 | 山際大志郎衆議院議員、井上信治衆議院議員 |
2008年 | 高円宮妃殿下、玉澤徳一郎衆議院議員(大統領就任式特派大使) |
2009年 | 玉澤徳一郎衆議院議員 |
2011年 | 松本剛明外務大臣、高橋千秋外務副大臣(メルコスール首脳会合出席) |
2012年 | 加藤敏幸外務大臣政務官 |
2013年 | 若林外務大臣政務官(大統領就任式特派大使) |
2014年 | 松島経済産業副大臣 |
2015年 | 宇都外務大臣政務官 |
2016年 | 眞子内親王殿下(移住80周年記念式典御臨席)、宮沢洋一衆議院議員(移住80周年記念式典出席)、黄川田外務大臣政務官 |
2017年 | 世耕経済産業大臣、薗浦外務副大臣、木原財務副大臣、岡本外務大臣政務官、細田農林水産大臣政務官 |
2018年 | 安倍総理大臣、谷公一衆議院議員(大統領就任式特派大使)、宮腰光寛総理大臣補佐官、土屋品子衆議院議員、水落文部科学副大臣、笹川博義環境大臣政務官 |
2019年 | 辻外務大臣政務官、尾身外務大臣政務官 |
2021年 | 茂木外務大臣 |
2022年 | 奥野信亮衆議院議員 |
2023年 | 林外務大臣、武井外務副大臣(大統領就任式特派大使) |
年 | 要人名 |
---|---|
1972年 | ストロエスネル大統領 |
1976年 | モンタナロ内相 |
1977年 | サマニエゴ国防相 |
1979年 | セントゥリオン商工相、ベルトーニ農牧相 |
1981年 | ノゲス外相、カセレス公共事業通信相 |
1984年 | サルディバル外相 |
1986年 | アルガーニャ最高裁長官 |
1987年 | セントゥリオン商工相 |
1988年 | ミルトス下院議長、サルディバル外相 |
1989年 | アルガーニャ外相(大喪の礼) |
1990年 | ロドリゲス大統領(即位の礼)、フルトス外相、ベルトーニ農牧相 |
1992年 | スカボーネ商工相 |
1994年 | ワスモシ大統領(公式実務訪問)(外相、農牧相、公共事業相、商工相同行) |
1995年 | バレイロ蔵相 |
1997年 | ソサ企画庁長官 |
2002年 | モレノ外相(外務省賓客) |
2004年 | マテオ・バルメリ上院議長、ラチド外相(外務省賓客)、フィリッピ企画庁長官 |
2005年 | ドゥアルテ大統領(公式実務訪問)(ラチド外相、ベルヘン蔵相、アルデレテ公共事業通信相、ベラ商工相、ボガード下院議長、カナサワ三軍司令官他同行)ボルダ蔵相(IDB沖縄総会出席) |
2006年 | アルカラス商工副大臣(JETRO三ヶ国展) |
2007年 | クラメル観光庁長官、モリナス農牧相 |
2010年 | ラコニャタ外相(外務省賓客) |
2012年 | ルゴ大統領(実務訪問賓客) カセレス外務次官(経済担当) |
2013年 | アファラ次期副大統領、サバラ商工相、ゴドイ農牧相(投資誘致ミッション) モラレス環境庁長官(水俣条約外交会議) ロハス蔵相(日・ラ米ビジネスフォーラム) |
2014年 | カルテス大統領(実務訪問賓客) (ロイサガ外相、ロハス蔵相、レイテ商工相他同行) |
2015年 | ロア国家緊急事態庁長官(第3回国連防災世界会議) ヒメネス・ガオナ公共事業通信相 カベージョ筆頭外務次官 |
2016年 | ロイサガ外相(外務省賓客) レイテ商工相 |
2017年 | リエラ教育相 |
2018年 | カスティグリオーニ次期外相 |
2019年 | ベラスケス副大統領(即位の礼) |
2021年 | アセベド外相(外務省賓客) |
2024年 | ラミレス外相 |
6 二国間条約・取極
- 1959年 移住協定
- 1978年 海外青年協力隊派遣取極(2021年 改正)
- 1979年 技術協力協定
- 1989年 移住協定改定(効力無期限延長)