アフリカ

概要と評価

平成25年6月3日
1.概要

(1)全体会合

(ア)6月1-3日,横浜において,第五回アフリカ開発会議(TICAD V)が開催された。「躍動するアフリカと手を携えて(Hand in Hand with a More Dynamic Africa)」を基本メッセージとし,TICAD Vの主要テーマである「強固で持続可能な経済」,「包摂的で強靱な社会」,「平和と安定」に沿って,今後のアフリカ開発の方向性について活発な議論が行われた。また,民間セクター主導による成長の重要性を反映し,アフリカ首脳と日本の民間企業の代表が直接対話を行う「民間との対話」セッションが,今回のTICAD全体会合で初めて実施された。

(イ)39名の国家元首・首脳級を含むアフリカ51カ国,31カ国の開発パートナー諸国及びアジア諸国,72の国際機関及び地域機関の代表並びに民間セクターやNGO等市民社会の代表等,約4,500名以上が参加し(別添1:出席国・機関の首席代表一覧),TICAD Vは前回の規模を上回り,我が国が主催する最大規模の国際会議となった。また,全ての共催者の長(潘基文国連事務総長,ズマ・アフリカ連合委員会(AUC)委員長,キム世界銀行総裁,クラーク国連開発計画(UNDP)総裁)が参加した。

(ウ)本会合は安倍総理とハイレマリアム・エチオピア首相(AU議長)が共同議長を務めた。安倍総理は,開会式/全体会合1の基調演説において我が国のアフリカ支援の基本姿勢とODA約1.4兆円を含む官民による最大約3.2兆円の取組や,「安倍イニシアティブ」を含む産業人材育成及びサヘル地域への開発・人道支援を内容とする,アフリカ支援パッケージ(別添2:支援策概要)を打ち出した。また,我が国の現職総理として最初にアフリカを訪問した森元総理がTICADIV同様,全体会合の共同議長代理を務めた。

(エ)最終成果物として,今後のアフリカ開発の方向性を示す「横浜宣言2013」(別添3:概要/本文),同宣言に基づき今後5年間のTICADプロセスの具体的取組を示すロードマップである「横浜行動計画2013-2017」(別添4:概要/本文)の2つの文書が発出された。

(2)個別会談等

(ア)TICADVに際し,安倍総理は,39名の首脳級参加者すべて及びAU委員長並びに2名の個人招待者のほか,14の国際機関の代表等,あわせて56名と会談を行うとともにアフリカ諸国の首脳との間で晩餐会を行った。

(イ)また,岸田外務大臣は,首脳級参加者,アフリカ諸国の閣僚や国際機関代表等22名との個別会談のほか,国際機関代表との間で昼食会を行い,あわせて32名と会談を行った。さらに,森元総理(共同議長代理),松山外務副大臣,阿部外務大臣政務官も会談を行った。

(ウ)これらの会談等では,アフリカ開発,地域情勢,国際場裡における協力等,幅広いテーマにつき意見交換を行い,短期間で記録的な規模のハイレベルによる交流が行われた。

(3)その他の会議・行事等

(ア)5月31日には,岸田外務大臣とテドロス・エチオピア外務大臣を共同議長として閣僚級事前会合が行われ,閣僚レベルで成果文書についての議論を深め,翌日からの本会合に備えた。

(イ)また,5月31日には,ソマリア特別会合が開催され,ソマリアの新たな国づくりの方向性について議論を行い,安倍総理から日本の対ソマリア直接支援の再開等を表明した。

(ウ)6月1日には,野口英世アフリカ賞授賞式・記念晩餐会が天皇・皇后両陛下ご臨席の下行われ,ピオット博士,コウティーノ博士に第二回野口英世アフリカ賞が贈られた。

(エ)6月1日には,アフリカ各国首脳配偶者等を対象としたHIV/エイズに関する国際シンポジウムが行われるほか,様々な配偶者プログラムが行われ,総理夫人と各国首脳夫人との友好が深まった。

(オ)6月2日には,人間の安全保障シンポジウムが開催され,安倍総理からミレニアム開発目標や人間の安全保障に関する日本の貢献を国際社会に発信した。6月3日には,安保理改革に向けたアフリカ諸国との連携を一層強化するため,安保理改革に関する会合を開催した。

(カ)その他数多くの公式サイドイベント等が行われた。

2.評価

(1)アフリカ各国からは,TICADプロセス20年を通じたアフリカ開発への貢献を評価する旨の発言が多くあった。「躍動するアフリカと手を携えて」というテーマの下,現下のアフリカの経済成長を更に後押しし,その恩恵を社会のあまねく層に拡大することを目指す今回のTICAD Vのコンセプトは,昨今のアフリカを巡る大きな変化を反映した適切なものであるとして高い評価を受けた。安倍総理は,本会合での発言において,アフリカの自助自立,成長の重要性を示し,また,アフリカへの早期訪問を表明した。

(2)TICAD Vでは,AU委員会が共催者として新たに加わったことにより,TICADの基本原則の一つであるアフリカのオーナーシップが更に強化された。また,AUの掲げる大陸レベルでのイニシアティブが一層議論に取り入れられ,アフリカ全体の開発政策とTICADプロセスとの整合性が強化された。横浜行動計画2013-2017には,共催者,開発パートナー諸国のみならず,アフリカ自身の取組についても具体的に盛り込まれることとなり,アフリカのオーナーシップを具体化させることができた。

(3)本会合には,51カ国から参加があり,また,首脳級の参加者は,39名にのぼった。これは,アフリカ諸国のTICADプロセスに対する高い期待感が明確に示されたもの。また,全体会合の場には欧州・アジア諸国,また,数多くの国際機関のトップもハイレベルの参加があり,今次会合に対する国際社会の関心の高さがうかがわれた。

(4)我が国が打ち出したインフラ整備や人材育成等ビジネス環境整備に資する支援や「人間の安全保障」を推進する保健,教育,農業分野での支援策に対して,各国首脳からアフリカの現下のニーズに即したものであり,高く評価する等の発言が多くあった。

(5)安倍総理がTICADVに参加するために訪日した39名の元首・首脳級参加者すべて及びAU委員長並びに2名の個人招待者等と会談をもつことができたことは,TICADVの成功に大きく寄与し,我が国とアフリカ諸国との関係強化につながった。安倍総理,岸田外務大臣他による会談に加え,経済界との交流や議員外交等を通じ,アフリカ側から一様に今回表明した日本の支援パッケージに対する高い評価と感謝が表明され,関係強化の方針と意気込みを確認することができた。

(6)46の公式サイドイベントのほか,各種のセミナーやシンポジウムなどのイベントやレセプションを通じて,アフリカのハイレベルの代表団と我が国国民各層との交流が深まった他,これらの開催を通じて我が国におけるアフリカに対する理解・関心が深まった。加えて,NGOや市民社会が日・アフリカ間協力の推進に果たす役割の大きさを印象づけた。

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