アジア

平成25年7月2日
 7月2日午後,ブルネイ・バンダルスリブガワンにおいて,第20回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合が開催され,我が国から岸田外務大臣が出席したところ,概要以下のとおり(議長:モハメッド・ボルキア外務貿易大臣)。

1.今次会合の意義会合では,北朝鮮問題,南シナ海を巡る問題,ミャンマー等の地域情勢を中心に,参加国の間で率直な意見交換が行われた(今次会合議長声明の北朝鮮問題及び南シナ海問題に関するパラグラフの仮訳(PDF)PDF)。

2.地域・国際情勢
主要地域情勢に関する岸田外務大臣の発言のポイント以下のとおり。

(1)北朝鮮:岸田大臣から,北朝鮮に対し挑発行為の自制,安保理決議や六者会合共同声明の誠実かつ完全な実施,非核化等に向けた具体的行動などを求めるとともに,国際社会がこの問題に一致して取り組むことが重要である旨強調した。また拉致問題の完全解決に対する決意を表明した。北朝鮮から,拉致問題は完全に解決済みであるなど,これまでと同様の内容の独自の主張があったところ,岸田大臣から拉致問題に関し,北朝鮮の発言は完全に事実に反するとして,我が国の立場に基づき反論を行った。

(2)南シナ海:岸田大臣から,南シナ海を巡る問題は地域の平和と安定に直結し,国際社会全体の関心事項であると指摘しつつ,国連海洋法条約を始めとする関連国際法の尊重・遵守,当事者各国の一方的な行動の自制の必要性を主張した。また,今回の中・ASEANによるCOCについての公式協議の開始に関する発表を踏まえ,実効的なCOCの早期締結への期待を表明した。各国からは,関連国際法の尊重,紛争の平和的解決の重要性,DOCの履行とCOCの早期策定への期待などについて言及があった。

(3))ミャンマー:岸田大臣から,5月の安倍総理ミャンマー訪問に言及しつつ,ミャンマーにおける民主化・国民和解・経済改革の進展を歓迎し,日本も引き続き官民の総力をあげ支援する旨表明した。各国からは,民主化の進展を歓迎する発言や,制裁の解除などを通じた今後のミャンマーの経済開発の進展への期待感の表明があった。

(4)シリア:岸田大臣から,事態の収束見通しがつかず,中東地域全体に重大な影響を及ぼしつつある状況を懸念している旨表明した。各国からもそれぞれの立場から事態への懸念が表明された。

(5)イラン:岸田大臣から,核問題に関する国際社会の懸念を共有し,ローハニ次期大統領の下で核問題に関する具体的進展を期待する旨表明した。


3.その他 
 ARFにおける各分野での今後の取組について各国から発言があった。岸田大臣からは,災害救援分野において,ARF災害救援ISM(会期間会合)の次期共同議長国をともに務める中国・ミャンマーと緊密に連携していく旨表明し,また不拡散・軍縮分野において,来年日本で軍縮・不拡散分野のARF会期間会合を開催し,そのテーマを核軍縮とすることを各国に説明した。

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