アジア

平成25年9月17日
ファム・ビン・ミン・ベトナム外務大臣(H.E. Mr. Pham Binh Minh、 Minister of Foreign Affairs of the Socialist Republic of Viet Nam)は、9月12日(木曜日)~14日(土曜日)に外務省賓客として訪日したところ概要と評価は以下のとおり。
 
1 日程

12日(木曜日):日越友好議員連盟会長表敬、日越協力委員会第5回会合、ベトナムデイズ開幕式出席、日越外相共同記者発表、日越外相会談(ワーキングディナー形式)等
13日(金曜日):安倍総理表敬等
14日(土曜日):ベトナムフェスティバル開会式出席等
 
2 全般的評価

(1)日越外交関係樹立40周年「日越友好年」の機会を捉えたミン外相の就任後初の訪日を通じ、政治、経済、人的・文化交流のあらゆる分野で「戦略的パートナーシップ」の強化をはかることができた。
(2)日越協力委員会第5回会合においては、経済・経済協力分野を中心とする各種協力案件について協議を行い、今後の協力の方向性を確認した。
(3)地域及び国際社会の課題に共に取り組む戦略的パートナーとして、政治・安全保障面の協力を引き続き強化することで一致。また、日ASEAN特別首脳会合等、国際場裡において引き続き協力を進めていくことを確認した。
 
3 主要行事の概要

(1)日越協力委員会第5回会合

12日(木曜日)午後4時30分から約1時間50分にわたり、岸田文雄外務大臣とミン外相は共同議長として日越協力委員会第5回会合を開催し、両国の関係省庁も交え、経済・経済協力分野における両国の関心事項について協議を行った。
  • 冒頭、岸田大臣から、近年の両国の経済関係は、相互補完関係を活かして戦略的パートナーの名にふさわしい厚みのあるものとなっている、昨年のベトナムへの投資の半分は日本によるものである旨述べた。ミン大臣からは、戦略的パートナーシップが構築されて以来、日越関係は力強く発展している、ベトナムの政府・国民は本年1月、安倍総理が総理就任後初の訪問国としてベトナムを訪問したことを高く評価しているとの発言があった。
  • 岸田大臣から、ベトナムに対して新たに3件約5億ドル(約540億円)の円借款を供与する意向を伝達し、これらの円借款により、ベトナムの電力、道路、空港の整備に協力する旨述べた。また、ODA以外にも、官民が連携しつつベトナムのインフラ整備に引き続き協力していく旨表明した。
  • 投資環境整備に関連し、日本側から、「日越共同イニシアティブ」第5フェーズの成功に向けた協力を求めたほか、日本からの輸入食品に対するベトナムの放射能残留検査が9月1日から廃止されたことに歓迎の意を表明した。ミン大臣からは日越の貿易額拡大のため緊密に協力を進めたい旨発言があった。
  • TPPについては、岸田大臣から引き続きベトナムと連携したいと述べたのに対し、ミン大臣から、日本の正式交渉への参加を歓迎する、日本とよく連携していきたい旨述べた。
  • このほか、日越EPAの下で進められている看護師・介護福祉士候補者の受入れについて引き続き協力していくことや、両国の将来を担う若者の人材育成を進めること等で一致した。また、先方から、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定について祝意の表明があり、我が方から謝意を述べるとともに、日本全体としてしっかり準備していく旨述べた。
(2)日越外相会談

12日(木曜日)午後8時15分から約80分間、日越外相会談をワーキングディナー形式で実施した。
  • 岸田大臣から、「日越友好年」である本年は1月の安倍総理の訪越を始め、要人往来が活発であることに言及しつつ、政治・安全保障面での二国間協力を引き続き強化していきたい、外務・防衛当局間の対話の枠組みである「日越戦略的パートナーシップ対話」についても着実に実施したい旨述べた。ミン外相からは、同対話をはじめ両国の政治・安全保障協力の仕組みは重要な役割を果たしているとの発言があった。
  • 文化面の交流にも話が及び、岸田大臣から、安倍総理の下におかれた「アジア文化交流懇談会」で、アジアとの文化交流を促進するための新たな策が検討されていることを紹介した。
  • 両外相は、日ASEAN協力や日メコン協力の文脈でも協力を強化していくことで一致した。また、アジア太平洋情勢についても意見交換を行い、北朝鮮問題について、岸田大臣から、我が国の立場を改めて説明するとともに、拉致問題について人権状況決議を含め引き続き理解と支持を要請した。ミン外相からは、ベトナムは拉致について一貫して反対しており可能な限り協力したい旨発言があった。
(3)安倍総理への表敬

13日(金曜日)午後1時15分から、安倍晋三内閣総理大臣は、ミン・ベトナム外務大臣による表敬を受けたところ、概要は以下のとおり。
  • 冒頭、ミン外務大臣から安倍総理に対し、2020年オリンピックの東京開催が決定したことに対する祝意が表された。また、日越間では要人往来が活発に実施されており、ベトナム政府・国民は、安倍総理が就任後初の外国訪問国としてベトナムを選んだことを高く評価している旨述べた。さらに昨12日に開催された日越協力委員会第5回会合において表明された計3件、約5億ドルの円借款供与に対して謝意を表すると共に、投資環境改善に引き続き努力したいとの発言があった。
  • これに対し安倍総理から、オリンピック決定への祝意に謝意を述べると共に、ベトナムは日本の重要な戦略的パートナーであり、日本は今後もベトナムの経済発展に協力していく、またベトナムによる投資環境整備の努力を歓迎する旨述べた。

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