アジア
国連安全保障理事会決議第1874号の我が国における実施に関する同理事会への報告(概要)
平成21年7月28日
(注:安保理決議第1874号パラ22では、以下2.についてのみ報告を求めているが、我が国の対北朝鮮措置の全体像を明らかにするとの立場から、我が国からの報告には以下1.、2.及び4.についても記載している。)
1.我が国の基本的立場
(1)北朝鮮による核実験は、北朝鮮による大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイル能力の増強をしていることと併せ考えれば、我が国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく害するものとして断じて容認できない。
(2)我が国は、決議第1718号及び決議第1874号を実施するために必要な措置を積極的に実施してきた。
(3)決議第1874号は北朝鮮による核実験に対する国際社会の強い非難と深刻な懸念を示す重要な決議。我が国は決議の早期かつ完全な実施の重要性及び決議が実効的に実施されるよう各国が措置を最大限に強調する必要性を改めて強調する。
(4)また、我が国は、制裁委員会(1718委員会)と密接に協力し、その作業に貢献する。
2.決議第1718号及び決議第1874号に基づく措置(報告が義務づけられている措置)
(1)1718委員会の指定に基づく措置(決議第1718号主文8)
(ア)これまで指定された8団体5個人の資産凍結のための措置を実施。
(イ)これまで指定された5個人の移動禁止のための措置を実施。
(ウ)これまで指定された2品目の禁輸措置を実施。
(2)北朝鮮への武器の輸出入の禁止(決議第1874号主文9及び10)
我が国は、従来より武器輸出を禁止し、また、北朝鮮との間のすべての品目の輸出入を禁止している。
(3)金融面の措置(決議第1874号主文18~20)
(ア)北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連又はその他の大量破壊兵器関連の計画又は活動に貢献し得る活動に寄与する目的で行う資産の移転等の防止(支払や資本取引規制等)。
(イ)金融機関等に対し、送金等に関する確認義務等の履行の徹底を要請するとともに、北朝鮮に関連する資産の移転等について特段の注意を払い、顧客の本人確認義務等の履行及び「疑わしい取引」の届出の徹底を要請。
(ウ)我が国は、北朝鮮への支援・援助(貿易関連の公的金融支援を含む)は行っていない。
3.決議第1718号及び決議第1874号に基づく措置(その他の措置)
(1)貨物検査(決議第1874号主文11~16)
現行法に基づく措置に加え、関連安保理決議により北朝鮮との間で輸出入が禁止される貨物の検査等について定める法案につき作業中。
(2)北朝鮮籍船舶への給油等の禁止(決議第1874号主文17)
我が国は、従来より北朝鮮籍船舶の入港を禁止しており、また、外国籍船舶による我が国の領海(港湾内を除く)での停泊等はやむを得ない理由がある場合を除き禁止されていること等から、決議で禁止の対象となっている給油等が北朝鮮籍船舶に提供されることは想定されない。
(3)教育・訓練の阻止(決議第1874号主文28)
(ア)北朝鮮籍を有する者の入国管理の厳格な実施。
(イ)国公私立大学その他の研究機関に対し、北朝鮮籍を有する研究者及び学生との交流に際して、北朝鮮の拡散上機微な核活動及び核兵器運搬システムの開発に寄与し得る分野の専門教育又は訓練が行われないようにするための指導。
4.我が国独自の対北朝鮮措置
平成18年11月(決議第1718号に基づく報告書の提出)以降、我が国は以下の独自の対北朝鮮措置を実施。
(1)平成21年5月22日実施
(ア)北朝鮮を仕向地とする支払手段等の携帯輸出について届出を要する金額(下限額)を、現行の100万円超から30万円超に引き下げること。
(イ)北朝鮮に住所等を有する自然人等に対する支払について報告を要する金額(下限額)を、現行の3,000万円超から1,000万円超に引き下げること。
(2)平成21年6月16日実施
「北朝鮮の貿易・金融措置に違反し刑の確定した外国人船員の上陸」及び「そのような刑の確定した在日外国人の北朝鮮を渡航先とした再入国」を原則として許可しない。
(3)平成21年6月18日実施
北朝鮮に向けたすべての品目の輸出を禁止。