欧州

平成25年11月19日
第21回日EU定期首脳協議(1) (写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
 11月19日(火曜日)18時00分から共同記者発表を挟み約2時間半,東京で,第21回日EU定期首脳協議が開催されたところ,概要は以下のとおりです。我が国より安倍晋三内閣総理大臣,岸田文雄外務大臣,茂木敏充経済産業大臣,EU側よりヘルマン・ファン=ロンパイ欧州理事会議長,ジョゼ・マヌエル・バローゾ欧州委員会委員長,カレル・デ・ヒュフト欧州委員(貿易担当)他が出席しました。協議の成果として,共同プレス声明(骨子(PDF)PDF仮訳(PDF)PDF本文(PDF)PDF)を発出しました。

主な成果

1.経済関係の強化:包括的かつ高いレベルの日EU経済連携協定(EPA)を目指すことで一致し,早期締結に向けた双方の強いコミットメントを改めて確認。

2.安全保障分野での協力の拡大:厳しさを増す東アジアの安全保障環境や,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」に対するEU側の理解と支持を確認。ソマリア沖海賊対策や,サイバー分野などで,更なる協力強化を探求することで一致。

3.グローバルな利益の増進:宇宙空間の平和利用,効果的な開発協力,防災の主流化といった国際社会の共通の課題について,協力していくことを確認。こうした日EU間の幅広い協力関係を一層強化する基礎となる戦略的パートナーシップ協定(SPA)の早期締結を目指すことで一致。

4.地域情勢及びグローバルな課題:東アジア,中東・アフリカ情勢や,気候変動などの課題について幅広く議論し,共通の認識を醸成すると共に更なる連携推進で一致。

協議の概要

1.冒頭発言
 安倍総理から,訪日を歓迎,日本は統合の深化と拡大を通じて国際社会の一極を構成し,基本的価値を共有するEUをグローバル・パートナーとして重視しており,世界の平和と繁栄に向けて共に主導的役割を果たしていきたい旨述べました。これに対しEU側から,日本側の歓迎に謝意表明があり,国際情勢が急速に変化する中,日EU間の戦略的パートナーシップを強化することが重要である旨述べました。

2.日EU協力の展望
(1)経済関係の強化
 両首脳は,包括的かつ高いレベルの日EU・EPAを目指すことで一致し,早期締結に向けた双方の強いコミットメントを改めて確認しました。また,LNG市場の研究などを含め,研究・イノベーション分野での協力を推進することで一致しました。
 このほか,安倍総理から,女性の参画推進の取組を含め,経済再生と財政再建の両立に向けた日本の具体的な施策を説明しました。また,EUによる日本産食品輸入規制の一層の緩和を要請しました。これに対しEU側から,欧州債務危機克服の取組について紹介があるとともに,アベノミクスは過去12か月でめざましい成果を上げているとして,我が国の経済・財政政策に対する肯定的な評価が示されました。

(2) 安全保障分野での協力の拡大
 安倍総理から,積極的平和主義に基づく日本の安全保障政策について説明するとともに,地域及び世界の平和と安定に貢献していくとの日本の決意を表明しました。これに対し,EU側から,より大きな役割を果たそうとする日本側の姿勢を評価するとして,日本の積極的平和主義に対する明確な歓迎と強い支持が表明されました。
 両首脳は,今後の協力として,ソマリア沖海賊対策の一環として,ジブチ地域訓練センター等を通じ周辺国の海上保安能力向上支援での連携を強化することを確認しました。また,双方の要員が派遣されている現場レベルでの意思疎通と情報交換を推進していくことで一致しました。さらに,サイバーセキュリティーに関する対話の立上げ検討のため,専門家間での協議の実施を決定しました。EU側から,日本とEUのCSDP(共通安全保障防衛政策)ミッションとの更なる連携強化に対する期待が表明されました。
 なお,両首脳は,共同プレス声明において,特に緊張状態にある地域の平和と安定の維持を考慮して,武器及び汎用品・技術の責任ある輸出管理への決意を再確認しました。

(3) グローバルな利益の増進
 両首脳は,宇宙政策対話の立ち上げで合意しました。また,日本とEUが共に開発分野における主要ドナーであることから,双方の援助機関間の効果的な連携を強化すること,また,防災の主流化を促進し,2015年に日本で開催が予定されている第3回国連防災世界会議に向け協力していくことで一致しました。
 両首脳は,現在交渉中の日EU戦略的パートナーシップ協定(SPA)は,こうした幅広い協力関係を一層強化する基礎となるものであり,EPA同様,早期締結が重要であることを改めて確認しました。

3.地域情勢,グローバルな課題
(1) 東アジア
 安倍総理から,日中関係は日本にとり最も重要な二国間関係の1つであり,個別の問題はあるが,日本として積極的に関係をマネージしていきたい,日本の対話のドアは常にオープンである旨述べました。これに対し,EU側から,日本が中国に対話を働きかけていることを評価,これから北京を訪問するが,建設的な対話に応じるよう働きかけたい旨の発言がありました。
 北朝鮮の核問題については,両首脳は,北朝鮮による核保有を断じて認めないこと,北朝鮮は一連の安保理決議を誠実且つ着実に実施すべきことで一致しました。また,拉致問題に関する更なる連携を確認しました。

(2) 中東・北アフリカ
 イランに関し,安倍総理から国連総会の機会におけるローハニ大統領との会談,岸田大臣のイラン訪問も踏まえ,同国が地域・国際社会の課題に前向きに関与し,国際社会との信頼醸成を進められるように,日本も役割を果たしていきたい旨述べました。
 これに対し,EU側からEU3+3の取組み状況に関する説明がなされ,日本と引き続き緊密に連携したいとの意向が表明されました。
 シリアに関しては,両首脳は,国連安保理による化学兵器廃棄に関する決議採択を歓迎し,更なる連携を確認しました。

(3) グローバルな課題
 気候変動問題に関し,安倍総理から,日本が新たに発表した攻めの地球温暖化外交戦略の内容について説明し,EUからは,現在日本が置かれた困難なエネルギー状況への理解が示され,地球温暖化対策で日本とEUが緊密に連携していくことが重要である旨発言がありました。

4.日EU首脳の俳句の披露
 ファン=ロンパイ欧州理事会議長が,共同記者発表の場において,「離れ居て,星日の旗に集い来る」との自作の俳句を披露したことを受けて,安倍総理から,ワーキングディナー冒頭の乾杯の挨拶の中で,「降る星を,見上げる夜に,友来たる」との俳句を披露しました。

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