アジア

平成25年3月31日
アルタンホヤグ首相と<br> (写真提供:内閣広報室)
エルベグドルジ大統領と<br> (写真提供:内閣広報室)
共同記者会見<br> (写真提供:内閣広報室)
 30日(土)及び31日(日)、安倍総理はモンゴル・ウランバートルを訪問したところ、概要は以下のとおり。
 
1. 日程
(1)30日
歓迎式典
アルタンホヤグ首相との日モンゴル首脳会談
エルベグドルジ大統領との日モンゴル首脳会談
共同記者会見
エンフトゥブシン人民党党首との会談
アルタンホヤグ首相主催晩餐会
 
(2)31日
エンフボルド国家大会議議長との会談
日本人抑留中死亡者慰霊碑献花
 
2. アルタンホヤグ首相との日モンゴル首脳会談
午後3時50分(日本時間午後4時50分)頃から約1時間20分間、安倍総理大臣は、政府庁舎において、アルタンホヤグ首相との間で日モンゴル首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり。なお、冒頭20分間、別室において少人数会合が行われ、両首脳間の信頼関係の醸成が図られた。(日本側同席者:加藤官房副長官、清水駐モンゴル大使他、モンゴル側:ボルド外務大臣、フレルバータル駐日モンゴル大使他)
 
(1)日モンゴル関係総論
(ア)安倍総理から、前29日にモンゴル紙にも寄稿した、日本とモンゴルとが共有する3つの精神((1)自由と民主の精神、(2)平和の精神、(3)助け合いの精神)に言及し、これが両国関係の発展の基礎にある旨述べ、アルタンホヤグ首相から賛意が表明された。
(イ)その上で、両首脳は、2010年に日モンゴル両国間で打ち立てられた「戦略的パートナーシップ」を深化させるため、政治・安全保障、経済、人的交流・文化交流の3つの分野の協力を強化していくことで一致した。
 
(2)政治・安全保障分野
(ア)安倍総理から、政治・安全保障分野において戦略的対話を強化したい旨述べ、アルタンホヤグ首相の本年中の訪日を招請した。これに対して、同首相から謝意が示された。また、日モンゴル双方は、同首相訪日に向けて「中期行動計画」を策定すべく、調整を進めていくこととなった。
(イ)安倍総理から、モンゴルの民主主義共同体議長国としての貢献への評価を伝えるとともに、諸般の事情が許せば、4月にモンゴルで行われる民主主義共同体閣僚級会合にハイレベルを派遣する旨述べた。外務省次官級による戦略対話の立ち上げ、安全保障当局間協議の外務省の代表を局次長級から局長級への格上げ、日米モンゴル三カ国事務レベル協議の早期開催に向けた調整につき提案し、アルタンホヤグ首相の賛同を得た。
(ウ)地域情勢として、安倍総理から、2月の核実験を含む北朝鮮の一連の挑発行為は極めて遺憾であり、国際社会が一致して北朝鮮に対し関連安保理決議を誠実かつ完全に実施し、いかなる挑発行為も行わないことを強く求め続けて行く必要があると述べた。また、北朝鮮による拉致問題への我が国の立場への理解と支持を求めた。これに対して、アルタンホヤグ首相からは、拉致問題を含め、日本側の立場を支持する旨の発言があった。
(エ)さらに、安倍総理から、日中関係について説明した。
 
(3)経済分野
(ア)安倍総理から、地域のパートナーであるモンゴルとの間で経済関係を促進したいとして、(1)投資環境の整備及び(2)持続可能な経済発展への協力を2本柱とする「エルチ・イニシアティブ」(下部リンク参照)と名付けた協力を提案し、アルタンホヤグ首相から賛同を得た。
(イ)同イニシアティブの一環として、双方は、経済連携協定(EPA)交渉の早期妥結に向けて精力的に交渉を進めることにつき一致した。また、鉱物資源開発、就中、タバントルゴイ炭田開発計画について、安倍総理から、昨年3月の首脳間の合意を踏まえ、日本企業に対する支援を期待したい旨述べ、アルタンホヤグ首相から、同炭田の開発については長期かつ安定的に日本に石炭を供給できるようにしたいとの意向が表明された。
 
(4)人的交流・文化交流
人的交流に関し、安倍総理から、白鵬関の我が国における活躍に言及した上で、民間団体間交流や議会交流等を積極的に推進して相互理解を促進したい、先般発表した「ジェネシス2.0」のプログラムによりモンゴルから300人程度の青少年を日本に招待したいと述べた。これに対して、アルタンホヤグ首相から、安倍総理の取組を歓迎する旨述べた。また、同首相から、モンゴルの閣僚の中にはガントゥムル教育・科学大臣及びガンホヤグ鉱業大臣が日本留学経験者である旨の紹介があったほか、首相自身も20年前に訪日の経験がある旨の紹介があった。
 
3.エルベグドルジ大統領との日モンゴル首脳会談
午後5時15分(日本時間午後6時15分)から約1時間、安倍総理は、政府庁舎において、エルベグドルジ大統領との間で日モンゴル首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり。なお、安倍総理から白鵬関の手形の色紙を贈呈したり、エルベグドルジ大統領から、安倍総理と同大統領との関係は「アベ・エベ関係」であるといった発言があったりする等、会談は終始和やかな雰囲気で行われた。(日本側同席者:加藤官房副長官、清水駐モンゴル大使他、モンゴル側:ボルド外務大臣、フレルバータル駐日モンゴル大使他)。
 
(1)日モンゴル関係総論
安倍総理から、日本とモンゴルとが「3つの精神」を共有している旨を述べ、エルベグドルジ大統領から賛同を得た。また、両首脳は、2010年の大統領の訪日の際に打ち出した「戦略的パートナーシップ」について、今後とも各分野での協力や交流を着実に進め、深化させていくという考えを確認した。
 
(2)政治・安全保障分野
(ア)安倍総理からは、政治・安全保障分野の戦略的対話を強化したい旨述べ、ハイレベル往来を推進し、安全保障分野を中心に重層的な対話を進めたい旨述べた。
(イ)安倍総理から、北朝鮮の拉致問題に関する理解と支持を求め、エルベグドルジ大統領からは、最大限の支援をしたい旨述べた。
 
(3)経済分野
安倍総理から、日モンゴル間の経済関係を促進したいとして、「エルチ・イニシアティブ」について述べ、日本企業がモンゴルに進出するためにもビジネス環境の改善が必要であるとして、ビジネス環境の整備への期待を述べた。
 
(4)人的交流・文化交流
安倍総理から、我が国における相撲力士の活躍は日モ友好関係に積極的な貢献を行っている、「ジェネシス2.0」によるモンゴル青少年の我が国への招聘等を通じて交流を推進したい旨提案し、エルベグドルジ大統領の賛同を得た。
 
4.エンフトゥブシン・モンゴル人民党党首との会談
(1)30日午後、安倍総理はエンフトゥブシン・モンゴル人民党党首と会談した。会談において安倍総理から、人民党は長く政権を担い、歴史と伝統を有する政党であり、人民党との間でも、日本とモンゴルの共有する「3つの精神」に基づいて、両国間の協力を進めていきたい旨述べた。
(2)これに対して、エンフトゥブシン党首からは、これまでの日本の協力に謝意を表しつつ、安倍総理の今次訪問は二国間関係の発展に大きな意義がある旨述べた。また、野党から与党に復活した自民党に学ぶべきところが多いとの発言があった。
(3)また、双方は、政治・安全保障、経済、人的・文化交流の各分野における協力について意見交換を行い、両国政治レベルの相互理解の増進のためにも、両国議会間交流を積極的に推進していくことで一致した。
 
5.エンフボルド・モンゴル国家大会議議長との会談
(1)31日午前、安倍総理はエンフボルド・モンゴル国家大会議議長と会談した。会談において、安倍総理から、日モンゴル間で共有している「3つの精神」を大切にしながら日モンゴル関係を発展させたい、モンゴル議会内のモンゴル・日本友好議連はモンゴルで最大規模の議連であり、議会間交流が更に活発に進められることを期待する旨述べた。
(2)これに対して、エンフボルド議長からは、両国関係を包括的に発展させていきたい旨期待が表明された。
 


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