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日・OSCE共催会議(概要)

平成21年6月11日

(写真)


 6月10、11日、外務省にて日・OSCE共催会議を開催したところ、概要は以下のとおり。

1.会議概要

(1)趣旨:OSCEとアジア・パートナー国は両地域の相互理解の促進のため、共催会議を2000年以来、年一回開催しており、本年は、我が国がホストとなった。我が国開催は2000年、2004年に続き今回が3回目。来年は韓国がホスト国となり開催予定。

(2)テーマ:「OSCEとアジア・パートナー国の間の知見の共有~共通の課題対処への協力~」を全体テーマとし、各セッションにおいては、1)「軍事透明性による信頼醸成強化」、2)「エネルギー安全保障対話」、3)「メディアを含めた市民社会形成への対応」について議論を行った。

(3)参加者:OSCE参加国36か国、アジア・パートナー国5か国、地中海・パートナー国4か国、国際機関(EU、UNHCR、NATO等)より総勢約110名。OSCE事務局からは、ド・ブリシャンボー事務総長が出席。

2.主な議論

(1)冒頭、中曽根外務大臣の挨拶メッセージにおいて、日本が最も歴史あるパートナーとしてアフガニスタン関連プロジェクト等でOSCEとの協力を進展させていることを紹介するとともに、厳しさを増すアジアの安全保障、特に北朝鮮の核実験等の問題についてOSCEの理解と協力を求めた。

(2)第一セッション「軍事透明性による信頼醸成強化」

 OSCE側からはOSCEにおける軍事透明性面での取り組みの状況について、アジア側からはARFを中心とするアジアにおける透明性向上・信頼醸成努力の現状、地域的枠組みに関する議論の状況について説明。アジア地域では、その多様性等のため枠組みの発展には時間が必要であろうこと、当面、OSCEとARFの協力強化が有益といった議論がなされた。なお、アジア側から、地域の安全保障において北朝鮮の核・ミサイル問題解決が緊急の課題、国際社会の協調した対応が必要との指摘が相次いだ。我が国からも、核、ミサイルと共に、拉致を含む人権問題の包括的な解決の必要性を主張。OSCE側からは、OSCE議長(ギリシャ外相)が北朝鮮の行動を非難し六者協議への復帰を求めるコメントをしたとおり、北朝鮮の問題は共通の挑戦である旨の発言が相次ぎ、北朝鮮問題の深刻さについての懸念が共有された。

(3)第二セッション「エネルギー対話」

 双方より、エネルギー需給は世界的に長期的逼迫傾向にあり、特に成長著しいアジアでその傾向が強い、代替エネルギー開発や既存のエネルギー増産への投資が必要、エネルギー効率向上・環境配慮の改善・エネルギー輸送に対する物理的防御等が課題、リスク軽減のためにはエネルギーの種類・輸入元・輸出先の多様化が必要、といった発言が相次いだ。これら課題は、生産国・消費国・通過国の異なる利害の調整が必要なグローバルな問題であり、包括的な対話が不可欠であることが指摘された。

(4)第三セッション「メディアの役割を含めた市民社会形成への対応」

 OSCE側出席者からは、独立したメディア、活発な市民社会確立のためのOSCEの取り組み、課題について説明。アジア側出席者からは、途上国におけるメディア育成の困難さ、市民社会形成の現状と課題について説明。人間の尊厳という普遍的価値達成のために市民社会・メディアを育成し民主主義を定着させることが重要、地域の文化・社会・歴史を踏まえた取り組みが重要であり制度の画一的適用は不適当、OSCEとアジア側で取り組みの成功例・知見の共有が有益、といった議論がなされた。

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